結論:育休は「勤続年数に含まれる」が、中身は3パターンある
「育休を取ると勤続年数に入らないって聞いたんだけど、本当?」
こういう不安を抱えて検索している方、多いと思います。先輩から耳打ちされたり、ネットで半信半疑な情報を見て心配になったり……。
まず結論から言います。
✅ 育休期間は「在籍年数(勤続年数)」として原則カウントされます。
ただし、退職金・有給休暇・昇格それぞれで「計算上の扱い」が異なります。
「全部OK」でも「全部ダメ」でもなく、項目ごとに確認が必要です。
一言で「勤続年数」といっても、会社の中ではこの3つがバラバラに動いています。
①在籍年数としては100%カウントされる
育休中も「会社に籍がある状態」は変わりません。雇用契約は継続しているので、「入社○年目」というカウントは止まりません。これは法律で明確に定められていることで、育休を取ったからといって勤続年数がリセットされることは絶対にありません。
たとえば入社5年目で1年間育休を取り、復職したとしても、会社に在籍した年数は「6年目」となります。
②退職金の計算は「会社次第」で大きく変わる
ここが一番の問題です。退職金の計算方法は、法律ではなく各会社の「退職金規程」で決まります。育休期間を勤続年数に含めるか、除くかは会社が独自に設定できるため、「うちの会社はどうなってるの?」を確認しないとわかりません。
詳しくは後のセクションで解説しますが、「育休期間を控除する(差し引く)」という規定を設けている会社は実際にあります。
③有給休暇と年金は「法律で保護」されている
一方、年次有給休暇の付与日数に関しては、法律(労働基準法)が守ってくれています。育休期間は「出勤したものとみなす」扱いになるので、育休を取ったからといって有給の付与日数が減ることはありません。
また社会保険・厚生年金についても、育休中は保険料が免除されつつも、将来の年金受給額にはほとんど影響しない仕組みになっています。
この「項目によって話が違う」というのが、育休と勤続年数の関係をわかりにくくしている根本原因です。では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
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退職金の計算に育休期間は含まれるの?(一番気になる話)
「退職金は老後の大事なお金。育休で少なくなるなんて……」と心配している方、その気持ちはよくわかります。正直に言うと、これは会社の規定次第です。法律に明確なルールがないため、会社ごとに対応が異なります。
退職金の勤続年数は法律で縛られていない
そもそも退職金制度自体、法律で義務付けられているものではありません(労働基準法上、就業規則に記載があれば支払い義務が生じますが、制度そのものは任意です)。
退職金の計算に使う「勤続年数」も、各社の退職金規程で自由に設計できます。たとえば:
- 「在籍年数をそのまま使う」→ 育休期間も含む
- 「実際に就業した期間のみカウントする」→ 育休期間は除く
- 「育休期間は○分の1として換算する」→ 一部カウント
この3パターンのどれを採用しているかは、会社によって本当にまちまちです。
就業規則のどこを見れば確認できるか
確認方法は「退職金規程(または就業規則の退職金の項目)を見る」一択です。
🔍 確認のステップ
- 社内ポータルや共有フォルダで「退職金規程」または「就業規則」を検索
- 「勤続年数」「算定期間」「控除」などのキーワードで本文を確認
- 「休職期間」「育児休業期間」の扱いが明記されているか確認
- わからなければ人事部に「退職金の算定基礎となる勤続年数の計算方法」を聞く
多くの会社では「育児休業期間は○分の1として算入する」「一定期間までは算入する」といった形で一部カウントする方式を採用していることが多いです。しかし、就業規則に明記がない場合や曖昧な場合は、必ず人事に文書で確認することをおすすめします。
「育休期間を控除する」は違法じゃないの?
「それって不利益取扱いになるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。実は、退職金規程で育休期間を勤続年数から除く(または一部カウントしない)こと自体は、現時点では直ちに違法とはなりません。
育児・介護休業法10条では「育児休業取得を理由とした不利益取扱いの禁止」が定められていますが、裁判所の判例を見ると「退職金規程として合理的な範囲での調整」は認められるケースがあります。
ただし、「育休を取ったこと自体を理由に退職金を大幅に削減する」「育休前と比較して著しく不利な扱いをする」といったケースは問題になりえます。
⚠️ 注意
法律の解釈は事案ごとに異なります。「おかしい」と感じた場合は、会社の就業規則の写しを持って労働基準監督署や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
実際こんな事例があります
知り合いに聞いた話ですが、育休を1年取得して復職した後、退職金の計算書を見て「勤続20年のはずが19年で計算されている」ことに気づいたという方がいました。会社に確認したところ「就業規則に育休期間は控除と書いてあります」と言われ、育休前に把握していなかったことを後悔したそうです。
退職金は何十万〜何百万円の話になります。育休に入る前に、就業規則をしっかり確認しておくことが本当に大切です。
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年次有給休暇は育休後も変わらず付与される?
有給休暇については、退職金と違って法律がしっかり守ってくれています。結論から言うと、「育休を取ったから有給の日数が減った」ということは起こりません(正しく運用されていれば)。
育休期間は「出勤したもの」とみなされる(労基法の規定)
年次有給休暇の付与には「前年の出勤率が8割以上」という条件があります。育休中は実際には出勤していませんが、労働基準法第39条第10項により、育児休業期間は出勤したものとみなされます(2019年4月施行の改正で明確化)。
つまり、1年間育休を取っていても、出勤率の計算上は「出勤していた」として扱われるため、復職後も通常通り有給が付与されます。
📋 ポイント整理
・育休期間 → 出勤率の計算に「出勤扱い」として算入される
・したがって「出勤率8割以上」の条件は問題なくクリアされる
・復職後も勤続年数に応じた有給日数が付与される
ただし「産休→育休→復職」の流れで計算がずれるケースがある
法律上は保護されているとはいえ、実務上で「あれ、有給の付与日が変わった?」と感じることがあります。これは有給の付与タイミングの問題です。
多くの会社では有給付与日が「入社月の応当日」や「4月1日」などに設定されています。産休・育休でブランクがあると、会社の人事システム上で付与処理が遅れたり、付与日がずれて見えることがあります。
実際には正しく付与されているのに「少なくなった?」と感じるのは、このタイミングのズレが原因であることが多いです。復職後に有給の残日数が気になる場合は、人事担当者に「付与履歴を確認させてほしい」と伝えましょう。
復職後すぐ有給を使いたい人への注意点
育休明けに子どもの体調不良が続いたり、保育園の慣らし保育が長引いたりして「復職早々に有給を使い切ってしまった……」という方は少なくありません。
復職前に、自分の有給残日数と付与予定日を必ず確認しておきましょう。「復職月に何日有給があるか」「次の付与はいつか」を把握しておくと、保育園の問題が起きたときに慌てずに済みます。
📌 あわせて読みたい
育休中にもらえる給付金の計算、産前産後休業中の保険料免除など、数字が複雑でわかりにくい部分は計算ツールで確認するのが一番早いです。
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昇給・昇格への影響は?「不利益取扱い禁止」の実態
「育休を取ると出世が遅れる」「査定に響く」という噂、あなたの職場でも聞いたことはありませんか?不安になりますよね。法律と実態、両方の話をします。
法律上は育休を理由にした降格・減給は違法
育児・介護休業法第10条は、育児休業取得を理由とした次のような「不利益取扱い」を明確に禁止しています。
- 解雇
- 退職の強要
- 雇用形態の変更(正社員→パートなど)
- 降格・役職の剥奪
- 給与の引き下げ
- 育休期間中の不当な査定(育休取得そのものをマイナス評価)
「育休を取ったから降格した」というような扱いは、会社が法律違反を犯していることになります。
「育休中の評価をどうするか」は会社によって異なる
法律は「育休取得を理由にした不利益取扱い」を禁止していますが、「育休中の評価期間(たとえば半期の人事考課)をどう扱うか」については、各社の裁量部分があります。
たとえば:
- 「育休前の実績をもとに前期と同等の評価をする」会社
- 「育休期間に対応する評価を除外する(評価なし・中立とする)」会社
- 曖昧なまま処理している会社(これが一番困る)
特に育休が長期にわたる場合(1年以上)、昇格のサイクルに「評価実績が足りない」という問題が起きることも実際にあります。
これは厳密には「育休取得を理由にした不利益」ではなく「育休中に評価機会がなかった」という扱いをされるため、グレーな部分でもあります。
復職後にマミートラックに乗せられないために
「マミートラック」とは、育休後に配置転換・業務軽減という名目で、実質的にキャリアの本流から外される現象です。本人の希望ではなく会社側の判断で「育休後は楽な仕事に」と決めつけられてしまうパターンです。
これを防ぐために有効なのが、育休に入る前に「復職後の業務希望」を書面で伝えておくことです。育児・介護休業法の改正(2022年〜段階施行)により、会社は育休取得者の意向を確認する義務が生まれています。この機会を積極的に利用しましょう。
📝 復職前の意向確認で伝えるといいこと
- 「復職後は以前と同様のポジションを希望します」
- 「短時間勤務制度は利用しますが、担当業務の範囲は変えないでほしい」
- 「昇格の評価基準が育休前後で変わらないか確認させてください」
感情的に伝えると伝わりにくいので、「希望を確認させてください」というスタンスで人事と対話することが大切です。
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社会保険・厚生年金への影響(意外と有利な話)
育休と聞くと「給付金が減る」「年金が下がる」というマイナスのイメージを持つ方も多いですが、社会保険については実はしっかり守られている部分もあります。
育休中は健康保険・厚生年金の保険料が免除される
育児休業期間中は、健康保険と厚生年金保険の保険料(本人負担分・会社負担分の両方)が免除されます。月々数万円の保険料がかからなくなるため、育休給付金の受給額との合わせ技で、手取りが意外と確保できるケースが多いです。
この免除は手続きが必要で、会社が日本年金機構に申請することで適用されます。通常は会社が手続きしてくれますが、「申請されているか確認したい」場合はねんきんネットで確認できます。
将来の年金額には実はほとんど影響しない
「育休中は厚生年金を払っていないから、将来もらえる年金が減るのでは?」と心配する方がいますが、これはほとんど心配不要です。
厚生年金の将来受給額は「標準報酬月額 × 加入月数」を基に計算されます。育休中は保険料を払っていませんが、年金計算上は育休前の標準報酬月額がそのまま適用される期間として扱われます(報酬比例部分の計算)。
つまり、育休期間中も「働いて同額を稼いでいた」ような前提で年金が計算されるわけです。これは育休取得者にとってかなり有利な制度設計です。
💡 ポイント
育休中の厚生年金 = 保険料は払わないが、年金額の計算には「育休前の給与水準で働いていた期間」として算入される。
→「育休で年金が大幅に減る」は基本的に誤解です。
ただし、計算の詳細は個人の給与水準や育休の期間によっても異なります。詳しくは日本年金機構の公式サイト(nenkin.go.jp)や「ねんきん定期便」で確認するようにしてください。
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育休前に「これだけは」確認しておきたい3つのこと
ここまで読んでくれた方はかなり詳しくなってきましたね。でも「じゃあ具体的に何をすればいいの?」という疑問が残っているかと思います。最後に、育休に入る前にやっておくべき3つのアクションをまとめます。
①就業規則の「退職金規程」を開いてみよう
まず最初にやることはこれです。退職金規程を確認することは、あなたの正当な権利です。会社の就業規則は労基法上、労働者がいつでも閲覧できる状態にしなければなりません。
📂 確認方法の例
- 社内ポータルサイト(イントラネット)→「規程集」「就業規則」を検索
- 総務・人事部門の共有フォルダ
- 入社時に配布された冊子(「社員ハンドブック」など)
- どれもなければ人事に「就業規則を閲覧したい」と依頼(断れません)
確認すべきキーワード:「育児休業」「勤続年数」「算定」「控除」「退職金」
規程に「育児休業期間は勤続年数に算入しない」と書いてあっても、慌てないでください。次のステップで会社と交渉・確認する材料として使えます。
②人事に確認するときの正しい聞き方(文例付き)
「聞きにくい……」という気持ち、わかります。でも曖昧にしたまま育休に入るのが一番損です。感情的にならず、事実確認として問い合わせましょう。
✉️ 人事へのメール文例(コピペOK)
お世話になっております。〇〇部の〇〇と申します。
育児休業の取得にあたり、制度の確認をさせていただきたく連絡しました。
①退職金規程において、育児休業期間は勤続年数(算定基礎期間)としてどのように扱われますか。
②年次有給休暇の付与に関して、育休期間中の出勤率の扱いはどうなりますか。
③育休期間中の人事評価の扱いについて教えてください。
お忙しいところ恐縮ですが、書面または就業規則の該当箇所を教えていただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
ポイントは「書面または就業規則の該当箇所を教えてください」という一言です。口頭での「大丈夫ですよ」だけでなく、根拠を確認する習慣をつけましょう。
③産休育休の計算ツールで金額を把握しよう
「育休中にいくらもらえるの?」「育休給付金ってどう計算されるの?」という疑問は、文章で説明されてもなかなかピンとこないですよね。
自分の給与を入力するだけで育休給付金の見込み額を自動計算できるツールがあります。育休前に「実際にいくらになるか」を把握しておくと、家計の計画が立てやすくなります。
📌 あわせて使いたい
育休給付金・産休手当の自動計算ツールで、自分のケースに合わせた金額をすぐに確認できます。
👉 産休育休 自動計算ツール(kayapapa.com)
育休の取得を迷っている方も、「実際にいくら入ってくるか」の数字を見てから判断する方が後悔しません。ぜひ一度試してみてください。
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よくある疑問Q&A
ここまで読んで「じゃあ自分の場合は?」という疑問が浮かんだ方のために、よく聞かれる質問をまとめました。
Q. 育休を2回取った場合(第1子・第2子)、2回分とも控除されるの?
A. 退職金規程の内容によります。「育児休業期間の合計を控除」する会社もあれば、1回の育休のみ対象としている会社もあります。就業規則に「通算」の記載があるか確認を。
Q. 男性(パパ)が育休を取った場合も同じルールが適用されるの?
A. はい、まったく同じルールが適用されます。育児・介護休業法上、育休の権利は男女問わず同等です。退職金や有給の扱いも、性別に関係なく就業規則の規定が適用されます。
Q. 派遣社員や契約社員でも育休中の勤続年数の扱いは同じ?
A. 派遣社員や契約社員でも育児休業の取得権利はあります(一定の条件あり)。ただし退職金制度がない場合も多く、また有期雇用の場合は契約更新が前提になるため、在籍年数の扱いが直接問題になるケースは少ないですが、個別の雇用契約・就業規則を確認することが重要です。
Q. 育休中に会社都合の解雇や雇い止めをされた。勤続年数はどうなる?
A. 育休中の解雇は原則として禁止されています(育介法10条、労基法19条)。もし解雇・雇い止めをされた場合は、退職金の計算以前に法律違反の可能性があるため、速やかに労働基準監督署または労働相談センターに相談してください。
Q. 産前産後休業(産休)期間は勤続年数に含まれるの?
A. 産休(産前6週間・産後8週間の法定休業)についても、育休と同様に在籍期間としてカウントされます。有給休暇の出勤率計算でも「出勤したものとみなす」扱いです。退職金については育休と同様に就業規則の規定次第ですが、多くの場合は産休と育休を合算して扱うことが一般的です。
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まとめ:「育休は損」ではなく「知らないと損」
長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。最後に全体をまとめます。
🗒️ この記事のまとめ
- 在籍年数としての勤続年数:育休中も100%カウントされる(法律上確定)
- 退職金の算定勤続年数:会社の退職金規程次第。育休期間を控除する会社も合法的に存在する
- 年次有給休暇の付与:法律で保護されており、育休期間は出勤扱い。付与日数は変わらない
- 昇給・昇格:育休取得を理由にした不利益取扱いは違法。ただし育休中の評価の扱いは会社ごとに異なる
- 社会保険・厚生年金:育休中は保険料免除。将来の年金額への影響は軽微
育休は「取ると損する制度」ではありません。ただし、就業規則を確認せずに漠然と取得すると、知らないところで損をしている可能性がある制度でもあります。
大切なのは「育休に入る前に、自社の就業規則(特に退職金規程)を確認すること」と「人事担当者に根拠となる規程を示してもらうこと」です。
育休は子育てと仕事を両立するための大切な権利です。正しく理解して、堂々と・賢く使いましょう。
📌 あわせて読みたい
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※本記事は2026年2月時点の法令・制度に基づいて作成しています。制度は随時改正されることがあります。退職金規程の内容や個別のケースについては、会社の就業規則・人事担当者、または社会保険労務士にご確認ください。法的トラブルについては最寄りの労働基準監督署(厚生労働省 全国の労働局・監督署)にご相談ください。



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