男性の育児休暇取得率が低い理由を徹底解説!現状と改善策を専門家が分析
男性の育児休暇取得率の現状
「うちの会社で男性が育児休暇を取るなんて聞いたことがない」「取りたいけど、周りの目が気になる」そんな声をよく耳にしますが、実際のところ日本の男性育児休暇取得率はどの程度なのでしょうか。
厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は17.13%となっており、前年度の14.41%から上昇しているものの、依然として低い水準にとどまっています。これに対して、女性の育児休業取得率は80.2%と圧倒的な差があることがわかります。
この数値だけを見ると、「男性の5人に1人も取得していない」という現実が浮き彫りになりますね。政府は2025年までに男性の育児休業取得率を30%まで引き上げる目標を掲げていますが、現状との大きなギャップが課題となっています。
さらに詳しく見ていくと、取得期間にも大きな違いがあります。女性の平均取得期間が約10ヶ月なのに対し、男性は約1ヶ月程度と非常に短期間での取得が多いのが特徴です。これは「パパ休暇」や「パパ・ママ育休プラス」などの制度を活用した短期間取得が中心となっているためと考えられます。
企業規模別に見ると、従業員数500人以上の大企業では取得率が比較的高い傾向にある一方、中小企業では依然として取得率が低く、企業規模による格差も顕著に現れています。これは企業の制度整備や職場環境の違いが影響していると考えられますね。
育児休暇取得率が低い主な理由
職場環境・企業文化の問題
男性の育児休暇取得率が低い最大の要因として、職場環境や企業文化の問題が挙げられます。「男性は仕事、女性は家庭」という伝統的な性別役割分担意識が根強く残っている企業では、男性の育児参加に対する理解が不足している場合が多いのが現実です。
具体的な問題として以下のような点があります:
上司や同僚からの理解不足
「男性が育児休暇を取るなんて」という偏見や、「仕事への責任感が薄い」といった否定的な見方をされることがあります。こういう状況では、取得したくても言い出しにくい雰囲気になってしまいますよね。
人員不足による業務負担
慢性的な人員不足に悩む企業では、一人でも欠けると業務が回らなくなる状況にあります。このような環境では、育児休暇を申請すること自体が同僚に迷惑をかけるという心理的プレッシャーを感じてしまいます。
キャリアへの影響への不安
育児休暇を取得することで昇進や昇格に影響が出るのではないかという不安を抱く男性も多くいます。実際に、復職後に重要なプロジェクトから外されたり、評価が下がったりするケースも報告されており、こうした事例が取得をためらう要因となっています。
制度はあっても運用が不十分
育児休業制度は法律で定められているため、多くの企業で制度としては存在します。しかし、実際の運用面では申請手続きが複雑だったり、取得例がなかったりして、事実上取得が困難な状況にある企業も少なくありません。
経済的な不安要素
育児休暇中の収入減少は、多くの家庭にとって深刻な問題です。特に男性が主たる家計の担い手である家庭では、収入の大幅な減少は生活に直結する問題となります。
育児休業給付金制度により、休業前賃金の67%(180日経過後は50%)が支給されますが、それでも3分の1以上の収入減となるため、住宅ローンや教育費などの固定費がある家庭では経済的な負担が重くのしかかります。
| 期間 | 給付率 | 月収30万円の場合の支給額 |
|---|---|---|
| 開始〜180日 | 67% | 約20.1万円 |
| 181日〜 | 50% | 約15万円 |
さらに、ボーナスや各種手当が減額または支給されない場合もあり、年収ベースで見ると想像以上に収入減となることがあります。こういった経済的な不安が、特に家計を支える立場にある男性の取得を躊躇させる大きな要因となっているのです。
また、職場復帰後の昇進や昇格への影響を考慮すると、将来的な収入への不安も生まれます。「今育児休暇を取ることで、将来の昇進機会を逃すのではないか」という懸念は、経済的な観点から見て合理的な判断ともいえるでしょう。
社会的偏見と心理的ハードル
日本社会に根深く存在する「男性は仕事、女性は育児」という固定観念は、男性の育児休暇取得に対する大きな心理的ハードルとなっています。これは個人の問題というより、社会全体の意識改革が必要な構造的な課題といえるでしょう。
周囲からの偏見や批判
「男のくせに育児休暇なんて」「甘えている」といった批判的な声を受ける可能性があります。特に親世代や地域コミュニティからの理解が得られない場合、精神的な負担が大きくなります。こういう環境では、取得したいと思っても実際に行動に移すのは難しいですよね。
男性の育児能力への疑問視
「男性に育児ができるのか」「結局妻に任せることになるのでは」という疑問の声もあります。これらの偏見は、男性自身の自信を失わせ、育児休暇取得への意欲を削いでしまいます。
「男らしさ」への固定観念
伝統的な男性像として、仕事に専念し家族を経済的に支える役割が期待されています。育児休暇を取得することが、この「男らしさ」に反する行為として捉えられることがあり、男性のアイデンティティに関わる深刻な問題となっています。
職場での孤立感
男性の育児休暇取得者が少ない職場では、先輩や同僚との共通体験がなく、相談相手もいない状況になりがちです。これにより、不安や悩みを一人で抱え込んでしまうケースも多く見られます。
制度の理解不足
育児休業制度自体の認知度や理解度の低さも、取得率の低さに直結している重要な要因です。制度があることは知っていても、具体的な手続き方法や給付内容、取得可能期間などの詳細を正確に把握している男性は意外と少ないのが現状です。
給付金制度への理解不足
育児休業給付金の存在は知っていても、支給条件や申請方法、支給時期などの詳細が分からないため、経済的な不安が先行してしまいます。実際には想像していたよりも手厚い支援が受けられる場合もあるのですが、情報不足により判断を誤ってしまうケースが多いですね。
取得可能期間の誤解
「男性の育児休暇は短期間しか取れない」という誤った認識を持っている人も多くいます。実際には、条件を満たせば最長で子どもが1歳2ヶ月になるまで取得可能ですが、この事実を知らない男性も少なくありません。
パパ休暇制度の認知不足
出産後8週間以内であれば、配偶者の育児休業期間中でも男性が育児休暇を取得できる「パパ休暇」制度の存在を知らない人も多いです。この制度を活用すれば、出産直後の大変な時期に夫婦で協力して育児に取り組むことができるのですが、認知度の低さが活用の障壁となっています。
企業内での制度説明不足
人事部門からの制度説明が不十分だったり、相談窓口が明確でなかったりする企業も多く存在します。制度があっても、従業員がアクセスしやすい形で情報提供されていないため、結果として取得に至らないケースが頻発しています。
国際比較から見る日本の課題
男性の育児休暇取得率を国際的に比較すると、日本の課題がより明確に見えてきます。OECD諸国の中でも日本の男性育児休暇取得率は低い水準にあり、他国の成功事例から学ぶべき点が多くあります。
| 国名 | 男性育児休暇取得率 | 特徴的な制度 |
|---|---|---|
| スウェーデン | 約90% | 父親専用の休暇日数(90日)が設定 |
| ノルウェー | 約70% | 父親割当制度により強制的に取得 |
| ドイツ | 約40% | 両親手当制度で経済的支援が手厚い |
| 日本 | 17.1% | 制度はあるが活用が進まない |
北欧諸国の成功要因
スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国では、男性の育児休暇取得が当たり前の社会となっています。その背景には、以下のような要因があります:
まず、「父親割当制度」の導入が大きな効果を上げています。この制度では、育児休暇の一定期間を父親専用とし、取得しなければその期間は消失してしまいます。つまり、取得しないという選択肢がない仕組みになっているんですね。
また、給付水準も日本より高く設定されており、経済的な不安を軽減する配慮がなされています。スウェーデンでは休業前収入の約80%が支給され、家計への影響を最小限に抑えています。
さらに重要なのは、社会全体の意識改革が進んでいることです。男性の育児参加が社会的に評価され、むしろ取得しないことが批判される文化が形成されています。
ドイツの両親手当制度
ドイツでは「エルターンゲルト」と呼ばれる両親手当制度により、男性の取得率が向上しています。この制度の特徴は、両親が同時期に休暇を分割して取得できることや、パートタイム勤務との組み合わせが可能なことです。
働き方の柔軟性を重視した制度設計により、各家庭の事情に合わせた取得が可能となっており、これが高い取得率につながっています。
日本との違いと課題
これらの国と比較すると、日本の課題が浮き彫りになります。制度的な整備だけでなく、社会全体の意識改革や企業文化の変革が必要であることがわかりますね。
特に、「取得しないという選択肢をなくす」制度設計や、経済的支援の充実、そして何より社会全体での男性の育児参加への理解促進が急務といえるでしょう。
取得率向上に向けた企業の取り組み
男性の育児休暇取得率向上に積極的に取り組む企業が増えてきており、その結果として実際に取得率が大幅に改善している事例も多く報告されています。先進的な企業の取り組みから、効果的な施策を見ていきましょう。
制度の充実化
法定の育児休業制度に加えて、企業独自の支援制度を設ける企業が増えています。例えば、休業開始から一定期間は給与の100%を保障する制度や、段階的な職場復帰を支援するリハビリ出社制度などがあります。
サイボウズ株式会社では「育児休暇100%給与保障制度」を導入し、休業期間中の経済的不安を完全に解消することで、男性従業員の取得率を大幅に向上させています。「お金の心配をしなくていいなら、安心して取得できる」という声が多く寄せられているそうです。
管理職の意識改革
管理職への研修やセミナーを実施し、男性の育児参加に対する理解を深める取り組みも重要です。管理職が率先して理解を示すことで、職場全体の雰囲気が変わり、部下も取得しやすい環境が整います。
積水ハウス株式会社では、管理職を対象とした「イクボス研修」を実施し、部下の育児休暇取得を積極的に推進する管理職の育成に力を入れています。その結果、男性の取得率が業界平均を大きく上回る成果を上げています。
取得促進キャンペーン
社内でのキャンペーンやイベントを通じて、男性の育児参加を推進する企業も増えています。取得者の体験談発表会や、育児と仕事の両立に関するセミナーなどを開催し、取得に対するハードルを下げる工夫をしています。
代替要員の確保
育児休暇取得者の業務をカバーするため、事前に代替要員を確保する体制を整備している企業もあります。これにより、「同僚に迷惑をかける」という心理的負担を軽減し、安心して取得できる環境を作っています。
株式会社リクルートでは、育児休暇取得予定者の業務を事前に他の従業員に引き継ぐ「バックアップ体制」を構築し、チーム全体で支援する仕組みを作っています。
柔軟な働き方の導入
育児休暇取得後の働き方についても、時短勤務やリモートワーク、フレックスタイム制度などの柔軟な選択肢を用意する企業が増えています。これにより、育児と仕事の両立がしやすくなり、長期的な視点でのキャリア継続が可能となります。
| 企業名 | 主な取り組み | 男性取得率 |
|---|---|---|
| サイボウズ | 100%給与保障、最長6年まで取得可能 | 約95% |
| 積水ハウス | イクボス研修、1ヶ月以上取得推奨 | 約85% |
| リクルート | バックアップ体制、柔軟な働き方 | 約90% |
成功企業の共通点
これらの成功企業に共通しているのは、単に制度を整備するだけでなく、企業文化そのものを変革していることです。経営層が率先してメッセージを発信し、全社を挙げて男性の育児参加を支援する姿勢を示しています。
また、取得者の体験談を社内で共有し、「実際に取得してよかった」という成功事例を蓄積することで、次に続く従業員の背中を押す効果も生んでいます。
政府・自治体の支援策
男性の育児休暇取得率向上に向けて、政府や自治体レベルでも様々な支援策が講じられています。制度改正から啓発活動まで、多角的なアプローチで取り組みが進められています。
育児・介護休業法の改正
2022年4月に施行された改正育児・介護休業法では、男性の育児休業取得を促進するための制度改正が行われました。主な改正内容は以下の通りです:
「産後パパ育休(出生時育児休業)」の創設により、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取得可能となり、分割して2回まで取得することができるようになりました。これにより、出産直後の最も支援が必要な時期に、男性も柔軟に休暇を取得できるようになったんですね。
また、育児休業の分割取得が可能となり、1歳までの間に2回まで分割して取得できるようになりました。これにより、家庭の事情や職場の状況に合わせて、より柔軟な取得パターンが選択できます。
企業への義務化
従業員が1000人を超える企業に対して、男性の育児休業取得率の公表が義務化されました。これにより、企業の取り組み状況が可視化され、社会的なプレッシャーによる改善効果が期待されています。
さらに、事業主に対しては、対象となる労働者やその配偶者への個別の制度周知と取得意向確認が義務化されています。これまで「知らなかった」で済まされていた制度について、企業側から積極的に情報提供することが求められるようになりました。
くるみん認定制度の強化
子育てサポート企業として認定する「くるみん認定制度」において、男性の育児休業取得率が認定基準の一つとして設定されています。2022年の基準見直しでは、男性の取得率7%以上が必要とされ、今後さらに引き上げられる予定です。
この認定を受けることで、企業は社会的な信頼を得られるだけでなく、税制上の優遇措置も受けられるため、積極的に取得率向上に取り組む動機となっています。
自治体独自の支援策
多くの自治体でも独自の支援策を展開しています。例えば:
東京都では「男性の育児・家事参画促進事業」として、企業向けセミナーや啓発資料の提供を行っています。また、優良企業の表彰制度も設け、取り組みを社会的に評価する仕組みを構築しています。
横浜市では「パパスクール」を開催し、男性向けの育児教室や先輩パパとの交流会を実施しています。育児スキルの向上と同時に、男性同士のネットワーク形成も支援しているんです。
福岡市では「イクボス宣言」企業を募集し、管理職の意識改革を促進する取り組みを行っています。宣言企業は市のホームページで紹介され、社会的な認知度向上にもつながっています。
育児休業給付金の拡充検討
政府では、男性の取得率向上を目的として、育児休業給付金の拡充も検討されています。現在の67%から80%への引き上げや、給付期間の延長などが議論されており、経済的不安の軽減による取得促進効果が期待されています。
働き方改革との連携
働き方改革の一環として、長時間労働の是正や有給休暇取得促進などと合わせて、男性の育児参加も推進されています。残業時間の削減により家庭で過ごす時間が増え、育児への関心も高まる相乗効果が生まれています。
男性が育児休暇を取得するメリット
「育児休暇を取りたいけど、本当にメリットがあるのかな?」そんな不安を抱いている男性も多いのではないでしょうか。実際に取得した男性からは、想像以上に多くのメリットがあったという声が寄せられています。
父子の絆形成
育児休暇期間中に子どもと密に過ごすことで、深い絆が形成されます。日々の成長を間近で見守ることができ、「初めて笑った瞬間を見られて感動した」「夜泣きで大変だったけど、抱っこで泣き止んでくれた時の達成感は格別」といった体験は、父親にとってかけがえのない財産となります。
研究によると、幼児期に父親と十分な時間を過ごした子どもは、社会性や自立性が高く育つ傾向があることが分かっています。つまり、育児休暇は子どもの健全な発達にも大きく貢献するんですね。
夫婦関係の改善
育児の大変さを夫婦で共有することで、お互いへの理解が深まり、夫婦関係が改善されるケースが多く報告されています。「妻の大変さが身をもって分かった」「二人で協力して乗り越えた経験が夫婦の絆を深めた」という声が聞かれます。
また、産後うつのリスク軽減にも効果があります。出産後の女性は身体的・精神的に不安定な状態にあるため、パートナーのサポートは非常に重要です。男性が育児休暇を取得することで、女性の負担が軽減され、心身の回復が促進されます。
育児スキルの向上
日常的に育児に関わることで、おむつ替えや授乳(ミルク)、寝かしつけなどの具体的なスキルが身につきます。最初は慣れなくて大変かもしれませんが、徐々にコツを掴んでいく過程も楽しいものです。
これらのスキルは復職後も活かすことができ、平日の夜や休日の育児において、妻と対等にサポートできるようになります。「パパじゃダメ」と言われることがなくなり、家族からの信頼も高まります。
仕事に対する新たな視点
育児休暇を通じて、仕事以外の価値観や優先順位を見つめ直すきっかけにもなります。「効率的な働き方を心がけるようになった」「家族との時間を大切にするようになった」「部下の育児事情にも理解を示せるようになった」といった変化が報告されています。
また、一度仕事から離れることで、客観的に自分の業務や職場を見つめ直すことができ、復職後により効果的な働き方ができるようになったという声も多く聞かれます。
人生の充実感
「人生で最も充実した期間だった」と振り返る男性が多いのも特徴的です。子どもの成長を間近で見守れることの喜び、家族との時間を十分に持てることの幸福感は、お金では買えない価値があります。
社会貢献への意識
男性が育児休暇を取得することで、職場や社会全体の意識改革にも貢献できます。「自分が取得することで、後に続く男性たちの道筋を作れた」という使命感を持つ人も多く、社会変革の一翼を担っているという誇りも生まれます。
取得を検討する際の実践的アドバイス
「育児休暇を取りたいけど、どうやって進めればいいの?」そんな疑問を持つ男性のために、実際に取得を検討する際の具体的なステップとアドバイスをご紹介します。
まずは情報収集から
最初に行うべきは、自社の制度について詳しく調べることです。就業規則や人事制度を確認し、育児休業の取得条件、期間、給付内容などを正確に把握しましょう。
人事部や総務部に直接相談することも重要です。「制度について教えてください」という形で、まずは情報収集の段階であることを伝えれば、プレッシャーを感じることなく相談できるはずです。
同じ会社で過去に取得した男性がいる場合は、その人に体験談を聞いてみることをお勧めします。実際の手続きの流れや職場の反応、取得してよかった点や大変だった点など、生の声を聞くことで具体的なイメージが湧きます。
家族での話し合い
配偶者との十分な話し合いも欠かせません。取得期間、家事・育児の分担、経済面での計画など、具体的な内容を詰めていく必要があります。
特に経済面については、育児休業給付金の額を正確に計算し、家計への影響を把握しておくことが大切です。必要に応じて家計の見直しや節約計画も立てておきましょう。
また、双方の両親にも事前に相談し、理解と協力を得ておくことも重要です。特に理解が得られにくい場合は、育児休暇のメリットや社会的意義について丁寧に説明することが必要です。
職場での相談・調整
直属の上司への相談は、妊娠が分かった段階で早めに行うことをお勧めします。突然の申し出よりも、事前に意向を伝えておくことで、職場側も準備や調整がしやすくなります。
相談の際は、以下の点を整理して臨みましょう:
- 取得予定期間(開始時期と期間)
- 業務の引き継ぎ計画
- 緊急時の連絡体制
- 復職後の働き方への希望
「迷惑をかけて申し訳ない」という気持ちも分かりますが、育児休業は法律で認められた権利です。堂々と、しかし謙虚な姿勢で相談することが大切です。
業務の引き継ぎ準備
スムーズな引き継ぎは、職場の理解を得るためにも非常に重要です。可能な限り早い段階から引き継ぎ資料の作成や後任者の選定・育成に取り組みましょう。
業務マニュアルの作成、関係者への挨拶回り、重要案件の区切りをつけるなど、計画的に進めることで、「責任感のある取得」という印象を与えることができます。
取得時期の検討
取得時期については、家庭の事情と職場の状況の両方を考慮して決める必要があります。出産直後の妻のサポートが最も必要な時期に取得するか、職場の繁忙期を避けて取得するかなど、様々な選択肢があります。
分割取得が可能な制度を活用し、出産直後に短期間、その後まとめて長期間取得するという方法も考えられます。家庭と職場の両方にとって最適なタイミングを見つけることが重要です。
復職に向けた準備
育児休暇中も、復職に向けた準備を怠らないことが大切です。業界動向の把握、スキルアップのための学習、職場との定期的な連絡など、スムーズな復職のための準備を進めましょう。
また、復職後の働き方についても事前に検討しておくことをお勧めします。時短勤務やフレックスタイム、リモートワークなどの制度が利用できるかどうか確認し、育児と仕事の両立プランを立てておきましょう。
よくある質問と回答
男性の育児休暇について、よく寄せられる質問にお答えします。これらの疑問を解消することで、より安心して取得を検討できるはずです。
Q1. 男性はどのくらいの期間、育児休暇を取得できるのですか?
A. 原則として、子どもが1歳になるまで取得可能です。ただし、保育所に入れないなどの理由がある場合は、最長で2歳まで延長できます。また、配偶者と交代で取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月になるまで取得可能な「パパ・ママ育休プラス」制度もあります。
さらに、2022年の制度改正により、産後8週間以内であれば「産後パパ育休」として最大4週間まで取得でき、これは通常の育児休業とは別に取得可能です。
Q2. 育児休業給付金はいくらもらえるのですか?
A. 育児休業開始から180日までは、休業開始前の賃金の67%が支給されます。181日目以降は50%となります。ただし、上限額があり、月額で約30万円程度が上限となります。
例えば、月収40万円の方の場合、最初の6ヶ月は約26.8万円、その後は約20万円が支給されることになります。また、この給付金は非課税のため、実質的な手取り減少はこの数字よりも少なくなります。
Q3. 育児休暇中に副業はできますか?
A. 育児休業給付金を受給している期間中は、原則として就労は制限されます。月10日以下かつ月80時間以下の就労であれば給付金の減額対象とならない場合もありますが、事前にハローワークに確認することをお勧めします。
ただし、自己啓発のための勉強や資格取得などは問題ありません。むしろ、復職に向けたスキルアップの時間として活用する方も多いです。
Q4. 取得を申請してから拒否されることはありますか?
A. 育児休業は法律で認められた権利のため、要件を満たしていれば企業は拒否することはできません。ただし、入社から1年未満の場合や、日雇い労働者など、一部取得できない場合もありますので、事前に確認が必要です。
もし会社から不当な理由で拒否された場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談することができます。
Q5. 育児休暇を取ると昇進に影響しますか?
A. 法律上、育児休業を理由とした不利益取扱いは禁止されています。昇進・昇格の査定において、育児休業期間を不利に扱うことは法律違反となります。
ただし、実際には評価への影響を心配する声もあります。このような不安がある場合は、人事部に評価制度について確認したり、取得前に上司と復職後のキャリアプランについて話し合ったりすることをお勧めします。
Q6. 配偶者が専業主婦でも取得できますか?
A. はい、取得できます。配偶者の就労状況は育児休業の取得要件には含まれていません。専業主婦の配偶者がいる場合でも、男性が育児休業を取得することは可能ですし、実際に多くの方が取得されています。
育児は夫婦で協力して行うものですから、配偶者の就労状況に関係なく、父親として子育てに参加する権利があります。
Q7. 取得中に会社から連絡が来た場合、対応する必要がありますか?
A. 育児休業中は原則として業務から離れる期間のため、日常的な業務連絡に対応する義務はありません。ただし、緊急事態や引き継ぎに関する重要な確認事項については、可能な範囲で協力することが望ましいでしょう。
事前に上司と連絡ルールを決めておき、「緊急時のみ連絡」「定期報告は不要」といった取り決めをしておくとスムーズです。
まとめ:不安を解消して新しい一歩を
男性の育児休暇取得率が低い理由について、職場環境、経済的不安、社会的偏見、制度理解不足など様々な角度から詳しく見てきました。確かに現在の日本では、男性が育児休暇を取得するには多くのハードルがあることは事実です。
しかし、社会は確実に変化しています。政府の制度改正、企業の積極的な取り組み、そして何より、実際に取得した男性たちの「取ってよかった」という声の広がりが、新たな流れを作り出しています。
「今の職場では難しいかもしれない」「経済的に不安」「周りの目が気になる」そんな不安を抱いているあなたも、決して一人ではありません。同じような悩みを持ちながらも、勇気を出して一歩を踏み出した先輩たちがたくさんいます。
大切なのは、完璧を求めすぎないことです。短期間からでも、分割取得でも、あなたの家庭に合った形で育児に参加することから始めてみてください。子どもの成長は待ってくれません。今しかない貴重な時間を、家族と一緒に過ごす選択肢があることを、ぜひ覚えておいてください。
もし迷っているなら、まずは情報収集から始めてみませんか?制度について調べ、職場に相談し、家族と話し合う。その過程で、きっと自分なりの答えが見つかるはずです。
あなたが育児休暇を取得することは、お子さんにとって、配偶者にとって、そしてあなた自身にとって、かけがえのない財産となることでしょう。また、職場や社会全体の意識を変える一助ともなります。
不安は自然な感情です。でも、その不安に負けることなく、家族との幸せな時間を選択する勇気を持ってください。あなたの決断が、より良い社会づくりの一歩となることを心から願っています。
子育ては人生最大の冒険です。その冒険を、家族みんなで楽しんでください。

