【2025年最新】育児休業取得率の計算方法を完全解説|男女別・公表義務対応の手順とExcel活用術
こんにちは。人事・労務担当の方で「育児休業取得率の計算方法がよく分からない…」「公表義務に対応しなければいけないけど、正確な数値が出せるか不安」という悩みを抱えていませんか?
2023年4月から、従業員数1,000人を超える企業には男性の育児休業取得率の公表が義務化されました。でも、実際に計算しようとすると「事業年度をまたぐ場合はどうする?」「分割取得はどうカウントする?」など、疑問だらけですよね。
この記事では、育児休業取得率の計算方法を初心者の方でも理解できるよう、基礎から実務レベルまで徹底解説します。厚生労働省の公式ガイドラインに基づき、よくある計算ミスや注意点、Excel活用術まで網羅していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. 育児休業取得率とは?なぜ計算が必要なのか
1-1. 育児休業取得率の定義
育児休業取得率とは、出産や配偶者の出産があった労働者のうち、実際に育児休業を取得した人の割合を示す指標です。企業の働きやすさや、仕事と育児の両立支援への取り組み姿勢を測る重要な数値として注目されています。
簡単に言えば、「育休を取れる人が10人いたら、そのうち何人が実際に取得したか」を割合で表したものです。この数値が高いほど、従業員が安心して育児休業を取得できる環境が整っていると評価されます。
1-2. 2023年4月から始まった公表義務化の背景
日本の男性育児休業取得率は、令和5年度で37.9%(産後パパ育休を含む)と年々上昇しているものの、まだまだ十分とは言えません。政府は「男性の育児参加促進」と「女性のキャリア継続支援」を目的に、育児・介護休業法を改正しました。
この改正により、2023年4月1日以降、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、男性の育児休業取得率等を年1回公表することが義務となりました。公表しない場合、企業名が公表されるペナルティもあるため、正確な計算が求められています。
1-3. 計算を間違えるとどうなる?
育児休業取得率の計算を間違えると、以下のようなリスクがあります。
- 法令違反のリスク:公表義務を果たしていない、または誤った情報を公表したとみなされる可能性
- 企業イメージの低下:後から誤りが判明した場合、「数値を偽装していた」と疑われかねない
- 助成金・認定への影響:くるみん認定や両立支援等助成金の申請に影響が出る
- 従業員の信頼喪失:取得率が実態と異なれば、社内からの信頼も損なわれる
だからこそ、正確な計算方法を理解することが大切なんです。
2. 【基本編】育児休業取得率の計算式
2-1. 男性の育児休業取得率の計算方法
男性の育児休業取得率は、以下の式で計算します。
【男性の育児休業取得率】
育児休業取得率(%)= 育児休業等をした男性労働者の数 ÷ 配偶者が出産した男性労働者の数 × 100
ポイントは、分母が「配偶者が出産した男性労働者」という点です。つまり、男性本人が出産するわけではないので、「配偶者(妻やパートナー)が出産した」という事実をもとに計算します。
2-2. 女性の育児休業取得率の計算方法
女性の場合は、以下の式になります。
【女性の育児休業取得率】
育児休業取得率(%)= 育児休業等をした女性労働者の数 ÷ 出産した女性労働者の数 × 100
女性の場合は、本人が出産したことが分母の基準となります。産休(産前産後休業)を取得した女性のうち、その後育児休業に移行した人の割合を示します。
2-3. 男女で計算方法が異なる理由
「なぜ男女で計算方法が違うの?」と疑問に思われるかもしれません。これは、男女の育児休業取得のタイミングや制度利用の実態が異なるためです。
女性の場合、出産後に産休を取得し、その後育児休業に移行するのが一般的です。一方、男性は配偶者の出産時期に合わせて育児休業を取得します。そのため、男性は「配偶者の出産」を基準に、女性は「本人の出産」を基準にすることで、公平な評価ができるよう設計されています。
3. 公表義務に対応する2つの計算方法
公表義務化では、企業は以下の2つの方法のうち、いずれか一方を選択して公表します。
3-1. ①育児休業等の取得割合(基本パターン)
育児休業等をした男性労働者の数 ÷ 配偶者が出産した男性労働者の数
こちらは最もシンプルな計算方法です。「育児休業等」には、通常の育児休業に加えて、2022年10月から新設された産後パパ育休(出生時育児休業)も含まれます。また、育児・介護休業法に基づく短時間勤務措置の代替として育児休業に準ずる措置を講じた場合の休業も対象です。
3-2. ②育児休業等と育児目的休暇の取得割合
(育児休業等をした男性労働者の数 + 小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)÷ 配偶者が出産した男性労働者の数
この方法では、育児休業だけでなく、育児目的休暇も分子に加えます。育児目的休暇とは、法律で定められた育児休業や子の看護休暇、年次有給休暇を除き、育児を目的として取得できる休暇制度のことです。
具体例としては、以下のような休暇が該当します。
- 配偶者出産休暇(妻の出産時に取得できる特別休暇)
- 育児参加休暇
- 失効年休の育児目的での積立・使用制度
3-3. どちらを選ぶべき?判断基準を解説
では、どちらの方法を選べばいいのでしょうか?判断基準をまとめました。
| 計算方法 | メリット | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|
| ①育児休業等のみ | ・計算がシンプル ・データ管理が容易 ・多くの企業が採用 |
・育児目的休暇制度がない ・まずは基本で対応したい |
| ②育児休業等+育児目的休暇 | ・取得率が高く見える ・多様な支援をアピールできる ・従業員の利用実態を反映 |
・配偶者出産休暇など充実した制度がある ・積極的に取り組みをPRしたい |
一般的には、育児目的休暇制度が充実している企業は②を選ぶと取得率が高くなるため、企業イメージの向上につながります。ただし、一度選んだ方法は継続して使用することが推奨されるため、慎重に判断しましょう。
4. 【実務編】分母と分子の正しいカウント方法
ここからは実務で最も重要な「誰を数に入れるか」について詳しく解説します。
4-1. 分母:「配偶者が出産した男性労働者」の定義
分母にカウントする対象は、公表前事業年度(直前の事業年度)において配偶者が出産した男性労働者です。
例えば、事業年度が4月1日~3月31日の企業が2024年6月に公表する場合、2023年4月1日~2024年3月31日の間に配偶者が出産した男性労働者が対象となります。
注意点:
- 雇用形態は問いません(正社員、契約社員、パート・アルバイトなど全て含む)
- 配偶者には、事実婚のパートナーも含まれます
- 育児・介護休業法上、育児休業の対象とならない者(入社1年未満など法令で除外される者)は除外します
- ただし、労使協定で除外している者は分母に含めます
4-2. 分子:「育児休業等をした労働者」の範囲
分子にカウントするのは、公表前事業年度中に育児休業等を開始した男性労働者です。
重要なのは「開始した」という点です。育児休業が事業年度をまたいで継続していても、開始日が属する事業年度の分子としてカウントします(詳細は後述)。
「育児休業等」に含まれるもの:
- 通常の育児休業
- 産後パパ育休(出生時育児休業)
- 育児・介護休業法第23条第2項または第24条第1項に基づく育児休業に準ずる措置による休業
4-3. 産後パパ育休(出生時育児休業)の扱い
2022年10月に新設された産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取得できる制度です。通常の育児休業とは別に取得できますが、計算上は通常の育児休業と分けずに合算します。
例えば、同じ男性労働者が産後パパ育休と通常の育児休業の両方を取得した場合でも、分子では「1人」とカウントします。
4-4. 育児目的休暇とは?対象となる休暇の種類
計算方法②を選択する場合に関係する「育児目的休暇」について整理しましょう。
育児目的休暇の条件:
- 小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度であること
- 就業規則等に明記されていること
- 法定の育児休業・子の看護休暇・年次有給休暇ではないこと
対象となる休暇の例:
- 配偶者出産休暇(妻の出産に際して取得できる特別休暇)
- 育児参加休暇
- 失効年休の育児目的での積立・使用制度
- 企業独自の育児支援休暇
対象外の休暇:
- 通常の年次有給休暇
- 子の看護休暇(法定)
- 配偶者の入院・通院に伴う付き添い休暇(育児目的でない)
5. よくあるケース別の計算方法
実務では様々なイレギュラーケースが発生します。ここでは代表的なケースを解説します。
5-1. 事業年度をまたいで取得した場合
これは非常によくある質問です。
【ルール】育児休業の開始日が属する事業年度でカウント
具体例:
事業年度が4月1日~3月31日の企業で、ある男性労働者が2024年3月15日から2024年4月30日まで育児休業を取得した場合。
- 開始日:2024年3月15日 → 2023年度(2023年4月~2024年3月)に属する
- したがって、2023年度の取得者としてカウント
- 2024年度の取得者にはカウントしない
このルールにより、同じ育児休業が2つの事業年度で重複してカウントされることを防ぎます。
5-2. 分割取得(2回に分けて取得)した場合
2022年10月の法改正により、育児休業は2回まで分割して取得できるようになりました。
【ルール】同じ子についての分割取得は「1人」とカウント
具体例:
ある男性労働者が、同じ子について以下のように育児休業を取得した場合。
- 1回目:2024年4月1日~4月14日(2週間)
- 2回目:2024年7月1日~7月31日(1か月)
どちらも2024年度内であれば、分子は「1人」としてカウントします。2回取得したからといって「2人」にはなりません。
ただし注意:最初の取得が前年度で、2回目が当年度の場合、最初の取得のみを計算対象とします。
5-3. 育休と育児目的休暇の両方を取得した場合
計算方法②を選択している企業で、同じ労働者が育児休業と育児目的休暇の両方を取得した場合。
【ルール】同じ子についてであれば「1人」とカウント
具体例:
- 産後パパ育休:2週間取得
- 配偶者出産休暇:3日間取得
どちらも同じ子について取得した場合、分子の「育児休業等をした労働者数」にも「育児目的休暇を利用した労働者数」にも該当しますが、合算する際は「1人」として扱います。つまり、ダブルカウントはしません。
5-4. 取得率が100%を超える場合のカラクリ
「育児休業取得率が110%」といった数値を見たことはありませんか?実は、これは計算上あり得る現象です。
【仕組み】前年度の取得予定者が当年度に取得した場合
具体例で理解しましょう:
2023年度(2023年4月~2024年3月)
- 配偶者が出産した男性労働者:10人(分母)
- うち2023年度中に育休取得:4人(分子)
- 2023年度の取得率:4人 ÷ 10人 = 40%
2024年度(2024年4月~2025年3月)
- 配偶者が出産した男性労働者:10人(新規、分母)
- うち2024年度中に育休取得:5人
- 加えて、2023年度に配偶者が出産したが2023年度中に取得しなかった6人のうち、2024年度に取得した人:6人
- 2024年度の取得率:(5人 + 6人)÷ 10人 = 110%
つまり、前年度の繰り越し分が加わることで100%を超えることがあります。これは計算ミスではなく、正しい計算結果です。
6. 計算から除外するケース一覧
正確な計算のためには、「誰を除外するか」も重要です。
6-1. 法律上の除外対象者
育児・介護休業法上、育児休業の対象とならない労働者は、分母・分子の両方から除外します。
法律上の除外対象:
- 入社1年未満の労働者(ただし労使協定がない場合は対象)
- 申出の日から1年以内(1歳6か月までの育休の場合は6か月以内)に雇用関係が終了することが明らかな労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
これらの労働者は、そもそも育児休業を取得する権利がないため、計算から除外します。
6-2. 労使協定による除外者の扱い
企業によっては、労使協定で一定の労働者を育児休業の対象から除外している場合があります。
【重要】労使協定で除外している労働者は、分母・分子の両方に含める
これは、公表義務の趣旨が「企業の育児休業取得の実態を正確に示すこと」にあるためです。労使協定による除外は企業の判断であり、法律上の除外ではないため、計算に含めます。
6-3. 子が死亡した場合
配偶者の出産後、残念ながら子が死亡した場合、その労働者は分母・分子の両方から除外します。
ただし、育児休業開始後に子が死亡した場合は、すでに分子にカウント済みであれば、そのままカウントを維持します(遡って除外はしない)。
6-4. 計算期間内に退職した場合
公表前事業年度の末日時点で退職している労働者の扱いは、状況によって異なります。
【ルール】
- 配偶者が出産した後、育児休業を取得せずに退職した場合 → 分母から除外
- 育児休業を取得した後に退職した場合 → 分母・分子の両方から除外
7. 【注意点】計算ミスを防ぐチェックリスト
7-1. よくある計算ミス5選
実務でよく見られる計算ミスをまとめました。
- 産後パパ育休を別途カウントしてしまう
→ 通常の育児休業と合算して「1人」とカウントが正解 - 分割取得を複数人としてカウント
→ 同じ子についての分割取得は「1人」 - 労使協定による除外者を分母から除いてしまう
→ 労使協定除外者は分母・分子に含める - 事業年度をまたぐ場合に両方の年度でカウント
→ 開始日が属する年度のみでカウント - 退職者の扱いを間違える
→ 育休取得後の退職者は両方から除外
7-2. 小数点以下の端数処理
計算結果の端数処理にもルールがあります。
【ルール】小数点第1位以下を切り捨て
計算例:
- 85人 ÷ 90人 × 100 = 94.444…% → 94%と表記
- 67人 ÷ 70人 × 100 = 95.714…% → 95%と表記
四捨五入ではなく、切り捨てですので注意してください。
7-3. 分母がゼロの場合の表記方法
小規模企業や、たまたま該当者がいなかった場合、分母がゼロになることがあります。
【ルール】分母がゼロの場合は「-」(ハイフン)と表記
「0%」や「該当者なし」ではなく、「-」と表記することが厚生労働省のガイドラインで定められています。
7-4. 再度の育児休業の扱い
同じ子について、一度育児休業を終了した後、再度取得することを「再度の育児休業」と言います。
【ルール】再度の育児休業は分子にカウントしない
ただし、これは「再取得」に限った話です。最初から計画的に分割取得した場合(2回目の取得)は、前述の通り「1人」としてカウントします。違いは、分割取得が最初から予定されていたものか、状況の変化による再取得かという点です。
実務上は、「最初の取得のみをカウント」と覚えておくと間違いありません。
8. 実際に計算してみよう|Excel活用術
8-1. 基本的な計算フロー
育児休業取得率を算出する基本的な流れは以下の通りです。
- 対象期間を確定
公表前事業年度(例:2023年4月1日~2024年3月31日) - 分母を集計
対象期間中に配偶者が出産した男性労働者をリストアップ
除外対象者を確認して除外 - 分子を集計
対象期間中に育児休業等を開始した男性労働者をリストアップ
分割取得や育児目的休暇の重複を確認して調整 - 計算実行
分子 ÷ 分母 × 100で取得率を算出
小数点第1位以下を切り捨て - 結果の確認
前年度との比較で大きな変動がないか確認
明らかにおかしい数値がないかダブルチェック
8-2. Excelテンプレートの作り方
Excelで管理すると効率的です。以下のような項目を設けましょう。
【シート1:分母(配偶者出産者リスト)】
| 社員番号 | 氏名 | 配偶者出産日 | 雇用形態 | 法律上の除外対象 | 労使協定除外 | 退職日 | 分母カウント |
|---|
【シート2:分子(育休取得者リスト)】
| 社員番号 | 氏名 | 育休開始日 | 育休終了日 | 取得種類 | 対象の子 | 分割取得 | 分子カウント |
|---|
【シート3:計算・公表用】
最終的な数値と計算式を記載します。
- 事業年度:2023年4月1日~2024年3月31日
- 分母(配偶者が出産した男性労働者の数):○○人
- 分子(育児休業等をした男性労働者の数):○○人
- 育児休業取得率:○○%(小数点第1位以下切り捨て)
- 計算方法:①育児休業等の取得割合
8-3. 計算例:具体的な数値で理解する
それでは、具体的な数値例で計算してみましょう。
【前提条件】
事業年度:2023年4月1日~2024年3月31日
計算方法:①育児休業等の取得割合
【データ】
- 配偶者が出産した男性労働者:100人
- うち、法律上の除外対象者:5人(入社1年未満等)
- うち、子が死亡したケース:1人
- うち、育休取得せず退職:2人
分母の計算:
100人 – 5人(法律除外)- 1人(子死亡)- 2人(未取得退職)= 92人
【育休取得者データ】
- 通常の育児休業のみ取得:60人
- 産後パパ育休のみ取得:15人
- 産後パパ育休+通常育休(両方取得):8人
- 分割取得(1人が2回取得):3人
- 育休取得後に退職:2人
分子の計算:
60人 + 15人 + 8人(両方取得でも1人として)+ 3人(分割でも1人として)- 2人(取得後退職は除外)= 84人
最終計算:
84人 ÷ 92人 × 100 = 91.304…%
小数点第1位以下切り捨て → 91%
公表する内容は以下の通りです。
- 事業年度:2023年4月1日~2024年3月31日
- 男性の育児休業等の取得割合:91%
- 計算方法:育児・介護休業法第71条の4第1号における育児休業等の取得割合
9. 公表方法と時期
9-1. いつまでに公表すればいい?
公表時期は、公表前事業年度の終了後、おおむね3か月以内とされています。
具体例:
- 事業年度が4月1日~3月31日の企業 → 6月末までに公表
- 事業年度が1月1日~12月31日の企業 → 3月末までに公表
「おおむね」という表現ですが、できる限り3か月以内を守りましょう。大幅に遅れると、労働局から指導を受ける可能性があります。
9-2. どこに公表する?(自社HP・両立支援のひろば)
公表方法は、インターネットの利用その他の適切な方法で、一般の方が閲覧できるようにする必要があります。
公表先の選択肢:
- 自社ホームページ
企業情報やサステナビリティレポートのページに掲載 - 両立支援のひろば
厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表可能 - 自社の採用サイト
求職者向けに採用ページで公表
多くの企業は、自社ホームページと「両立支援のひろば」の両方で公表しています。特に「両立支援のひろば」は、求職者が企業の育児支援状況を比較検討する際によく利用されるため、登録をおすすめします。
9-3. 公表する情報の3要素
公表義務で求められている情報は以下の3つです。
- 取得割合(取得率)
①育児休業等の取得割合、または②育児休業等と育児目的休暇の取得割合 - 割合の算定期間である公表前事業年度の期間
例:「2023年4月1日~2024年3月31日」 - どちらの計算方法で算出したか
①または②のいずれかを明記
公表例:
【男性の育児休業取得状況】
対象期間:2023年4月1日~2024年3月31日
男性の育児休業等の取得割合:91%
算出方法:育児・介護休業法第71条の4第1号における育児休業等の取得割合
10. 育児休業取得率に関するQ&A
10-1. 取得期間1日でも取得率にカウントされる?
はい、カウントされます。
育児休業取得率の計算では、取得期間の長さは問われません。極端な話、1日だけの取得でも、6か月の取得でも、同じ「1人」としてカウントされます。
そのため、「育児休業取得率100%」と聞くと素晴らしく聞こえますが、実際には全員が1日だけ取得しているというケースもあり得ます。厚生労働省の調査によると、令和5年度の男性育休取得者のうち、2週間未満の取得が37.7%を占めています。
企業を評価する際は、取得率だけでなく、平均取得期間も併せて確認することが重要です。
10-2. 平均取得期間も公表すべき?
法律上の義務ではありませんが、公表することを強くおすすめします。
取得率と併せて平均取得期間を公表することで、企業の本気度が伝わります。「取得率90%、平均取得期間3か月」という情報は、求職者や投資家にとって非常に価値のある情報です。
また、社内外へのメッセージとして「ただ取得させればいいわけではない」という姿勢を示すことにもつながります。
10-3. 厚生労働省の雇用均等基本調査との違いは?
厚生労働省が毎年実施している「雇用均等基本調査」と、企業が公表義務で算出する取得率では、計算方法が微妙に異なります。
| 項目 | 雇用均等基本調査 | 公表義務 |
|---|---|---|
| 調査期間 | 調査前年の9月30日までの1年間 | 公表前事業年度 |
| 分子の定義 | 調査時点までに育休を開始した者(開始予定の申出をしている者を含む) | 事業年度中に育休を開始した者 |
| 対象企業 | 抽出調査(一部企業) | 1,000人超企業 |
そのため、厚生労働省が発表する全国平均と、自社の公表数値を単純比較することはできません。あくまで参考値として捉えましょう。
10-4. 中小企業も計算しておくべき?
はい、準備しておくことを強くおすすめします。
現在は1,000人超企業のみが対象ですが、今後対象が拡大される可能性があります。また、以下のようなメリットもあります。
- くるみん認定の取得:認定基準に育休取得率が含まれる
- 助成金の申請:両立支援等助成金の申請に必要
- 採用力の強化:求職者へのアピール材料になる
- 社内の意識向上:数値化することで現状が見える
まずは自社の現状を把握することから始めてみましょう。
11. 取得率向上のメリットと企業の取り組み
11-1. くるみん認定との関係
くるみん認定とは、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受ける制度です。認定を受けると、くるみんマークを商品や広告、求人票などに使用でき、企業イメージの向上につながります。
認定基準には育休取得率が含まれています:
- 男性の育児休業取得率が7%以上であること(2025年4月以降は10%以上)
- または、男性の育児休業取得率および育児目的休暇取得率が15%以上であること
取得率を正確に計算し、向上させることは、くるみん認定の取得にも直結します。
詳細:厚生労働省「くるみん認定・プラチナくるみん認定について」
11-2. 両立支援等助成金
育児休業の取得促進に取り組む企業は、両立支援等助成金を受給できる可能性があります。
主な助成金:
- 出生時両立支援コース:男性労働者が育児休業を取得しやすい環境整備に取り組み、実際に取得者が出た場合に支給
- 育児休業等支援コース:育児休業の円滑な取得・職場復帰を支援する取り組みを行った場合に支給
助成金の申請には、正確な取得率の算出が必須です。日頃からデータを整備しておきましょう。
11-3. 採用・定着率への影響
育児休業取得率が高い企業は、採用市場でも有利です。
具体的な効果:
- 求職者へのアピール:特に若い世代は、ワークライフバランスを重視する傾向が強い
- 女性活躍の推進:男性の育児参加が進むことで、女性のキャリア継続もしやすくなる
- 従業員満足度の向上:安心して育児休業を取得できる環境は、定着率向上につながる
- 企業ブランドの向上:社会的評価が高まり、優秀な人材が集まりやすくなる
実際、育児休業取得率が高い企業は、離職率が低く、従業員エンゲージメントも高い傾向にあるという調査結果があります。
12. まとめ|正確な計算で企業価値を高めよう
ここまで、育児休業取得率の計算方法について、基礎から実務レベルまで詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
重要ポイントのまとめ
- 基本の計算式を理解する
男性:育児休業等をした労働者数 ÷ 配偶者が出産した労働者数
女性:育児休業等をした労働者数 ÷ 出産した労働者数 - 2つの公表方法から選択
①育児休業等のみ、または②育児休業等+育児目的休暇 - 分母・分子のカウントを正確に
除外対象者、分割取得、事業年度またぎなど、ケースごとのルールを把握 - 計算ミスを防ぐ
産後パパ育休の扱い、小数点の処理、退職者の扱いなどに注意 - 公表は義務だがチャンスでもある
正確なデータ公表により、企業の信頼性と採用力が向上
これから取り組む方へ
育児休業取得率の計算は、最初は複雑に感じるかもしれません。でも、一度仕組みを理解してしまえば、そこまで難しくありません。
大切なのは、正確に計算すること、そしてその数値を企業価値向上に活かすことです。取得率を高めるだけでなく、平均取得期間の延長、取得しやすい職場環境の整備など、実質的な改善にもつなげていきましょう。
人事・労務担当者の皆さんは、この計算を通じて、企業の未来を創っているのです。従業員とその家族が安心して働き、育児に向き合える環境を作ることは、結果的に企業の持続的な成長にもつながります。
「計算が大変そう…」と感じていた方も、この記事を参考に、ぜひ一歩を踏み出してみてください。正確なデータに基づく取り組みが、あなたの企業をより魅力的な職場に変えていきます。
最後に
育児休業取得率の向上は、数値目標ではなく、従業員とその家族の幸せ、そして企業の持続的成長のための取り組みです。計算方法を理解し、正確なデータを公表することで、社会全体の育児支援の輪を広げていきましょう。
この記事が、皆さんの取り組みの一助となれば幸いです。応援しています!
※本記事の内容は2025年10月時点の法令・ガイドラインに基づいています。最新の情報は厚生労働省ホームページでご確認ください。
【参考資料】
・厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
・厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」
・厚生労働省「男性労働者の育児休業取得率等の公表について」

