「育児短時間勤務の申請書、どうやって書けばいいんだろう?」「記入例を見ながら書きたいけど、どこを見ればいいのかわからない…」
そんな不安を抱えていませんか?育児と仕事の両立を支援する育児短時間勤務制度。この制度を利用するには申請書(正式には「申出書」)の提出が必要ですが、初めて書く方にとっては、どの項目に何を記入すればいいのか戸惑ってしまうものです。ママはもちろん、パパも男女問わず利用できる制度なので、共働き家庭ではぜひ知っておきたいところです。
この記事では、育児短時間勤務申請書の記入例を項目別に詳しく解説します。基本的な書き方から、ケース別の記入例、会社から交付される「取扱通知書」の見方、よくある間違いとその訂正方法まで、初めての方でも安心して申請書を作成できるよう、わかりやすくご紹介していきます。
先に記入例だけ確認したい方へ(クイックリファレンス)
厚生労働省のモデル様式(社内様式11)は、大きく次の4ブロックで構成されています。まずここを埋めればOKです。
| 1 短時間勤務に係る子の状況 | 氏名/生年月日/本人との続柄 |
| 2 現在の勤務時間 | 例)9:00〜18:00(休憩60分・実働8時間) |
| 3 短時間勤務の期間 | 開始日〜終了日/希望勤務時間(例 9:00〜15:00・休憩60分・実働5時間) |
| 4 申出に係る状況 | 開始1か月前に申し出ているか/過去に撤回したことがあるか |
※各ブロックの詳しい記入例は、この記事の「3. 記入例(基本パターン)」で1項目ずつ解説します。
1. 育児短時間勤務申請書とは?まず知っておきたい基礎知識
記入例を見る前に、まずは育児短時間勤務申請書がどういうものなのか、基本を押さえておきましょう。
1-1. 育児短時間勤務制度の概要(2025年改正のポイント)
育児短時間勤務制度とは、3歳未満の子どもを育てる労働者が、1日の所定労働時間を原則として6時間に短縮できる制度です。この制度は「育児・介護休業法」によって、すべての企業に導入が義務付けられています。
たとえば、通常9時から18時まで働いている方が、9時から15時までの6時間勤務に変更できるというイメージです。保育園のお迎えや子どもとの時間を確保しやすくなり、仕事と育児の両立がしやすくなります。
制度の対象者:
- 3歳未満の子どもを養育している労働者(原則6時間の短時間勤務は法律上の義務)
- 男女問わず利用可能(パパの取得もできます)
2025年(令和7年)改正で変わった点
育児・介護休業法は2025年4月と10月の2段階で改正されました。短時間勤務まわりで押さえておきたい変更は次のとおりです。
- 3歳未満の短時間勤務(原則6時間)は引き続き会社の義務。ここは従来どおりで、記入例もそのまま使えます。
- 残業免除(所定外労働の制限)の対象が拡大。これまでの「3歳未満」から「小学校就学前まで」の子を養育する労働者に広がりました。
- 3歳未満のテレワークが努力義務に。育児休業をしていない3歳未満の子の養育者について、テレワークを選べるようにする措置が会社の努力義務になりました。
- 2025年10月から「柔軟な働き方を実現するための措置」が制度化。3歳〜小学校就学前の子を養育する労働者向けに、会社は「①始業時刻等の変更(フレックス・時差出勤)/②テレワーク等(月10日以上)/③保育施設の設置運営等/④養育両立支援休暇(年10日以上)/⑤短時間勤務制度」の5つのうち2つ以上を導入し、労働者はその中から1つを選んで利用できるようになりました。
つまり、3歳になった後も短時間勤務を続けられるかどうかは、勤め先がどの措置を導入しているかによって変わります。3歳以降の働き方は、早めに人事へ確認しておくと安心です。
1-2. 「申請書」と「申出書」はどう違う?
検索では「申請書」という言葉がよく使われますが、法律や厚生労働省のモデル様式では正式名称を「育児短時間勤務申出書」といいます。呼び方が違うだけで、指しているものは同じ書類です。
会社によっては「申請書」「申出書」「時短勤務届」など独自の名称を使っている場合もあります。名称が違っても記入する内容はほぼ共通なので、この記事の記入例をそのまま参考にして大丈夫です。
1-3. 申請書が必要になるタイミング
育児短時間勤務を利用したい場合、事前に「育児短時間勤務申出書」を会社に提出する必要があります。
申請書を提出するタイミング:
- 育児休業明けに職場復帰するとき
- フルタイム勤務から短時間勤務へ切り替えたいとき
- 出産予定日の数か月前(出産前から計画を立てる場合)
一般的には、短時間勤務開始希望日の1か月前までに提出するのが標準的です。ただし、会社によって提出期限が異なる場合があるため、就業規則や人事部門に確認しましょう。
1-4. 申請書を提出しないとどうなる?
育児短時間勤務は、労働者の権利として法律で保障されています。しかし、申請書を提出しなければ、会社側も勤務時間の変更や給与計算の調整ができません。
申請書の提出が遅れると、希望する日から短時間勤務を開始できない可能性があります。スムーズに制度を利用するためにも、早めの準備と提出を心がけましょう。
2. 育児短時間勤務申請書の基本項目を理解しよう
申請書には、いくつかの記入項目があります。まずは、どんな項目があるのか全体像を把握しましょう。
2-1. 申請書に記載する主な項目一覧
厚生労働省のモデル様式(社内様式11「育児短時間勤務申出書」)をベースにすると、一般的に以下の項目が含まれます。
| 記入項目 | 内容 | 記入のポイント |
|---|---|---|
| 申出日 | 申請書を提出する日付 | 提出日を記入(西暦または和暦で統一) |
| 申請者情報 | 所属、氏名 | 正式な部署名を確認(社員番号欄がある書式も) |
| 1 子の状況 | 子どもの氏名、生年月日、続柄 | 複数の子どもがいる場合は全員記入 |
| 2 現在の勤務時間 | 短縮前の勤務時間・休憩・実働 | 例)9:00〜18:00 休憩60分 実働8時間 |
| 3 短時間勤務の期間 | 開始日・終了日・希望勤務時間 | 子どもの年齢に応じて設定。時刻を明記 |
| 4 申出に係る状況 | 1か月前申出か/過去の撤回の有無 | 「いる/いない」「ない/ある」で回答 |
| 出産予定者の状況 | 子が生まれていない場合の情報 | 出産予定日など(該当時のみ) |
※「現在の勤務時間」欄は、モデル様式では独立した項目として設けられています。短縮の前後をはっきりさせるための欄なので、記入漏れがないようにしましょう。企業独自の書式では欄の並びや名称が多少異なることがあります(要確認)。
2-2. 各項目の意味と記入の目的
それぞれの項目には、きちんとした意味があります。なぜこの情報が必要なのかを理解すると、記入もスムーズになります。
「子の状況」を記入する理由:
会社側が、労働者が制度の対象者であることを確認するためです。子どもの年齢が3歳未満であるか、生年月日から判断します。また、養子や里親の場合は、縁組成立日なども記入が必要になります。
「現在の勤務時間」を記入する理由:
短縮前の所定労働時間を明らかにすることで、短縮後の勤務時間や給与計算の基準がはっきりします。ここが空欄だと会社側が調整できないため、忘れずに書きましょう。
「申出のタイミング」を確認する理由:
法律では、短時間勤務開始の1か月前までに申し出ることが求められています。会社側が業務調整や人員配置を行うための準備期間を確保するためです。
「申出撤回の有無」を記入する理由:
過去に同じ子どもについて短時間勤務の申し出を撤回している場合、再度申請する際には理由を記載する必要があります。これは、制度の適正利用を確認するためのものです。
2-3. 企業によって異なる書式について
育児短時間勤務申出書の書式は、厚生労働省がモデル様式を提供していますが、企業が独自に作成した書式を使用している場合も多くあります。
企業独自の書式では、以下のような追加項目が含まれることがあります。
- 上司の承認欄
- 人事部門の確認欄
- 勤務スケジュールの詳細記入欄
- 業務内容の調整に関する記入欄
自社の書式がどのようなものか、まずは人事部門に確認してみましょう。この記事では、厚生労働省のモデル様式(社内様式11)に基づいた記入例をご紹介していきます。
3. 【実例付き】育児短時間勤務申請書の記入例(基本パターン)
それでは、実際の記入例を見ながら、項目別に詳しく解説していきます。ここでは、最も一般的なケースを想定した記入例をご紹介します。日付は西暦・和暦どちらでも構いませんが、書類の中で統一するのがルールです。
3-1. 申請者情報の書き方
記入例:
記入のポイント:
- 申出日:申請書を実際に提出する日付を記入します。西暦(2026年4月20日)でも和暦(令和8年4月20日)でも構いませんが、書式全体で統一しましょう。
- 所属:正式な部署名を記入します。略称ではなく、正式名称で記入しましょう。
- 氏名:フルネームで記入し、押印欄がある場合は押印します(近年は押印不要の書式も増えています/要確認)。
- 社員番号:欄がある場合は、給与明細や社員証に記載されている番号を正確に記入します。
3-2. 子の状況の記入方法
記入例:
記入のポイント:
- 氏名:子どもの氏名をフルネームで記入します。まだ名前が決まっていない場合は、「出産予定者の状況」欄に記入します。
- 生年月日:年・月・日を正確に記入します。この日付から、子どもが3歳未満であるかを確認します。
- 続柄:「子(長男)」「子(長女)」「子(次男)」のように記入します。
- 養子の場合:養子縁組をしている場合は、縁組が成立した日付を記入します。実子の場合は「該当なし」または空欄で構いません。
複数の子どもがいる場合:
短時間勤務の対象となる子ども全員について記入します。たとえば、双子の場合は2名分の情報を記入します。
3-3. 現在の勤務時間の書き方
モデル様式で見落とされやすいのがこの欄です。短縮する前の勤務時間を書きます。
記入例:
記入のポイント:
- 現在(短縮前)の始業・終業時刻をそのまま記入します。
- 休憩時間と実働時間も明記します(実働=拘束時間−休憩)。
- フレックスタイムなどで日により勤務時間が異なる場合は、人事に書き方を確認しましょう(要確認)。
3-4. 希望勤務期間・時間の書き方
記入例:
記入のポイント:
開始日について:
- 育児休業明けの場合:復職日を記入
- フルタイムから切り替える場合:希望する変更日を記入
- 1か月前までに申し出ることが原則ですので、余裕を持った日程にしましょう
終了日について:
- 法律上の義務は「子が3歳に達する日の前日」まで
- 3歳以降も短時間勤務を続けられるかは、勤め先が「柔軟な働き方を実現するための措置」として短時間勤務を導入しているかによります(2025年10月改正/要確認)
- 「2027年8月14日」のように具体的な日付を記入するか、「子が3歳に達する日まで」と記入します
希望勤務時間について:
- 原則として6時間(5時間45分〜6時間)です
- 開始時刻と終了時刻を明確に記入します
- 休憩時間も明記しましょう(「休憩60分」など)
- 会社の就業規則で認められている範囲内で希望を記入します
勤務時間のパターン例:
| パターン | 勤務時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| パターン1 | 9:00〜16:00(休憩60分・実働6時間) | 始業は通常どおりで、終業を早める |
| パターン2 | 10:00〜17:00(休憩60分・実働6時間) | 始業を遅らせ、終業も遅らせる |
| パターン3 | 9:00〜15:00(休憩なし・実働6時間) | 6時間勤務で休憩を取らないパターン(労基法上、6時間ちょうどは休憩付与義務なし) |
| パターン4 | 8:30〜15:15(休憩45分・実働6時間) | 始業を早め、休憩を短縮する |
3-5. その他の項目(申出時期・撤回の有無)
記入例:
記入のポイント:
申出時期について:
- 開始希望日の1か月前までに申し出ている場合は「いる」に丸をつけます
- 緊急の事情で間に合わなかった場合は「いない」を選び、理由を記入します
- 理由の例:「子どもの体調不良により急遽必要になった」「配偶者の転勤により保育体制が変わった」など
撤回の有無について:
- 通常は「ない」を選びます
- 過去に申請を撤回したことがある場合は「ある」を選び、再度申請する理由を記入します
- 理由の例:「以前は家族のサポートがあったが、状況が変わったため」など
4. ケース別!育児短時間勤務申請書の記入例
ここからは、状況別の記入例をご紹介します。ご自身のケースに合った記入方法を参考にしてください。
4-1. 産休・育休明けに申請する場合
育児休業から復職するタイミングで短時間勤務を開始するケースは非常に多いです。
記入例:
このケースのポイント:
- 育児休業の終了日を確認し、その翌日を開始日とします
- 育休明けの場合、1か月前申出が難しいこともありますが、できるだけ早めに相談しましょう
- 人事部門と事前に復職面談を行い、勤務時間について相談しておくとスムーズです
4-2. 出産前(子が生まれていない場合)に申請する場合
出産予定日が近づいている段階で、あらかじめ短時間勤務の申請をすることも可能です。
記入例:
このケースのポイント:
- 「子の状況」欄ではなく、「出産予定者の状況」欄に記入します
- 出産予定日を正確に記入します
- 開始日は、出産後に育児休業を取得し、その後復職するタイミングを想定して記入します
- 出産後、子どもの氏名や生年月日が確定したら、追加の届出が必要になる場合があります
4-3. 双子・多胎児の場合の書き方
双子や三つ子など、複数の子どもを同時に養育する場合の記入例です。
記入例:
このケースのポイント:
- 双子の場合、両方の子どもの情報を記入します
- 生年月日は同じですが、それぞれ独立した項目として記入します
- 終了日は、子どもたちが3歳に達する日を基準にします
- 双子の場合、育児の負担が大きいため、会社によってはより柔軟な勤務時間を認めてくれる場合もあります
4-4. 養子縁組や里親の場合の特記事項
養子縁組や里親として子どもを養育する場合も、育児短時間勤務制度の対象となります。
記入例:
このケースのポイント:
- 養子の場合、縁組成立の年月日を必ず記入します
- 特別養子縁組、養子縁組里親、養育里親の場合は、該当する手続きの完了日を記入します
- 子どもの年齢は生年月日から計算しますが、縁組成立日も重要な情報です
- 必要に応じて、縁組を証明する書類(戸籍謄本など)の添付を求められる場合があります
5. よくある記入ミスと正しい訂正方法
申請書を書いていると、うっかりミスをしてしまうこともありますよね。ここでは、よくある間違いと、その訂正方法をご紹介します。
5-1. 日付の書き間違い
よくある間違い:
- 西暦と和暦が混在している(「2026年4月20日」と「令和8年6月1日」が同じ書類内にある)
- 開始日が提出日より前の日付になっている
- 終了日が開始日より前になっている
正しい書き方:
- 西暦または和暦で統一します(どちらでも構いません)
- 開始日は提出日より後の日付にします
- 終了日は開始日より後の日付にします
- 会社の書式に合わせて記入しましょう
訂正方法:
間違えた場合は、二重線を引いて訂正印を押し、正しい日付を近くに記入します。修正液や修正テープの使用は避けましょう。訂正が多い場合は、新しい用紙に書き直すことをおすすめします。
5-2. 勤務時間の記載ミス
よくある間違い:
- 「9時〜3時」のように、午前・午後の記載がない
- 休憩時間を含めた記載がない
- 勤務時間が6時間を大きく超えている、または下回っている
- 会社の就業規則で認められていない時間帯を記入している
正しい書き方:
- 「午前9時00分から午後3時00分まで」のように、午前・午後を明記します
- 休憩時間を含むか含まないかを明記します(「休憩60分」など)
- 原則として6時間勤務(5時間45分〜6時間)の範囲内にします
- 会社の就業規則を確認し、認められている時間帯で記入します
訂正方法:
時間の記載ミスも、二重線と訂正印で訂正できます。ただし、勤務時間は給与計算に直結する重要な項目ですので、できるだけ書き直すことをおすすめします。
5-3. 印鑑・署名の間違い
よくある間違い:
- 印鑑が曲がっている、かすれている
- 氏名と異なる印鑑を押している(旧姓の印鑑など)
- 署名欄に氏名を記入していない
- 上司の承認印が押されていない
正しい書き方:
- 印鑑はまっすぐ、はっきりと押します
- 現在の氏名と一致する印鑑を使用します
- 署名欄には必ず自筆で氏名を記入します
- 上司の承認が必要な場合は、必ず押印をもらいましょう
※近年は押印を廃止し、署名のみ・電子申請のみとする会社も増えています。自社の運用を確認しましょう(要確認)。
5-4. 訂正印の使い方
申請書に間違いがあった場合、訂正印を使って訂正することができます。正しい訂正印の使い方を覚えておきましょう。
訂正印の正しい使い方:
- 間違えた箇所に二重線を引きます(定規を使うときれいです)
- 二重線の上または近くに訂正印を押します
- 正しい内容を近くの余白に記入します
- 訂正印は、申請者が押した印鑑と同じものを使用します
注意点:
- 修正液や修正テープは使用しないでください
- 訂正箇所が多い場合は、書き直すことをおすすめします
- 訂正印がない場合、申請書が受理されない可能性があります
6. 育児短時間勤務申請書の提出から承認までの流れ
申請書を記入したら、次は提出です。スムーズに承認を得るための流れを確認しておきましょう。
6-1. 事前相談のポイント
申請書を提出する前に、上司や人事部門と事前に相談することが大切です。
事前相談で確認すべきこと:
- 希望する勤務時間が会社の制度で認められているか
- 業務内容や担当範囲の調整が必要か
- 同じチームで短時間勤務を利用している人がいるか
- 給与や評価への影響はどの程度か
- 社会保険料の手続きが必要か
事前相談をしておくことで、申請書の記入内容に迷うことが少なくなり、承認もスムーズになります。
6-2. 必要書類の準備(証明書類など)
申請書と一緒に、いくつかの証明書類を提出する必要がある場合があります。
一般的に必要な書類:
- 育児短時間勤務申出書(必須)
- 子どもの戸籍謄本または住民票の写し(子どもの年齢を証明)
- 母子手帳のコピー(出産前の場合)
- 養子縁組の証明書類(養子の場合)
会社によって必要書類が異なりますので、人事部門に確認しましょう。書類に不備があると、承認が遅れる原因になります。
6-3. 提出のタイミング(1か月前ルール)
育児短時間勤務制度では、開始希望日の1か月前までに申請書を提出することが原則です。
なぜ1か月前なのか:
- 会社側が業務調整を行うための準備期間が必要
- 他の社員との業務分担を調整する必要がある
- 給与計算システムの変更手続きが必要
- 社会保険料の手続きに時間がかかる場合がある
ただし、緊急の事情がある場合は、1か月前を過ぎてしまっても相談してみましょう。会社によっては柔軟に対応してくれる場合があります。
6-4. 承認後は「取扱通知書」が交付される
申請書が承認されると、会社から「育児短時間勤務取扱通知書」が交付されます。これは会社側が記入・交付する書類で、承認された勤務条件を確認するための大切な書類です。詳しい見方は次の章で解説します。
7. 育児短時間勤務取扱通知書の見方・確認ポイント(記入例)
「育児短時間勤務取扱通知書」は、労働者が書く申出書とは逆に、会社(事業主)が記入して労働者に交付する書類です。厚生労働省のモデル様式では「社内様式13 短時間勤務取扱通知書」として用意されています。ここでは、交付された通知書のどこを確認すればよいかを、記入例のイメージとあわせて解説します。
7-1. 取扱通知書に記載される主な内容
| 記載項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 短時間勤務の期間 | 申し出た開始日・終了日と一致しているか |
| 短縮後の勤務時間 | 希望した時刻・休憩・実働で承認されているか |
| 賃金の取扱い | 給与や手当がどう計算されるか |
| 社会保険・その他の取扱い | 保険料の変更や特例手続きの案内があるか |
| 対象外の場合の理由 | 承認されない場合、その理由が明記されているか |
7-2. 取扱通知書の記入イメージ(会社が記入する部分)
※上記は厚生労働省モデル様式(社内様式13)をもとにしたイメージです。実際の様式・記載内容は会社ごとに異なります(要確認)。
7-3. 通知書を受け取ったら必ず確認する
通知書を受け取ったら、申請した内容と食い違いがないかを必ず確認してください。特に「期間」「勤務時間」「賃金の取扱い」の3点は、後々のトラブルを避けるためにも念入りにチェックしましょう。もし申請と異なる点があれば、すぐに人事部門に確認してください。
8. 申請書提出時に一緒に確認すべきこと
短時間勤務を開始すると、勤務時間だけでなく、給与や社会保険にも影響が出ます。申請時に一緒に確認しておきましょう。
8-1. 給与計算の変更について
短時間勤務になると、給与は実際に働いた時間に応じて計算されるのが一般的です。下の表は、あくまで計算のイメージ(一例)です。実際の計算方法・手当の扱いは会社の給与規定によって異なります(要確認)。
| 項目 | フルタイム勤務 | 短時間勤務(6時間) |
|---|---|---|
| 月給(基本給) | 300,000円 | 225,000円(75%) |
| 1日の勤務時間 | 8時間 | 6時間 |
| 月の勤務日数 | 20日 | 20日 |
| 時間給換算 | 約1,875円/時間 | 約1,875円/時間 |
給与以外の手当について(会社規定による):
- 通勤手当:通常どおり支給される場合が多い
- 住宅手当:会社の規定による(減額される場合もある)
- 家族手当:通常どおり支給される場合が多い
- 賞与(ボーナス):勤務時間に応じて減額される場合が多い
給与計算の詳細は、会社の就業規則や給与規定を確認しましょう。不明点があれば、人事部門に質問してください。
8-2. 社会保険料の手続き
短時間勤務により給与が下がると、社会保険料も変更になる場合があります。特に、将来の年金額に影響しないための特例手続きは重要です。
①育児休業等終了時報酬月額変更届
育児休業から復職し、そのまま短時間勤務を開始して給与が下がった場合に、標準報酬月額を実態に合わせて改定するための届出です。これにより、下がった給与に応じた社会保険料に見直されます。
②養育期間標準報酬月額特例申出書
この書類を提出すると、短時間勤務で給与(標準報酬月額)が下がっても、将来受け取る年金額の計算では子が3歳になるまで従前の高い標準報酬月額を使ってもらえる特例が適用されます。年金を減らさないための大切な手続きなので、忘れずに提出しましょう。
これらの手続きは、通常は会社の人事・総務部門が行いますが、従業員側も内容を理解しておくと安心です。具体的な金額や適用可否はケースによって異なるため、詳細は年金事務所や会社に確認してください(要確認)。
8-3. 業務調整と引き継ぎ
短時間勤務を開始すると、これまでと同じ業務量をこなすことが難しくなる場合があります。
業務調整のポイント:
- 担当業務の優先順位を上司と確認する
- 他のメンバーに引き継ぐ業務を明確にする
- 急ぎの対応が必要な業務については、代理者を決めておく
- 会議の時間帯を調整してもらう
- テレワークやフレックスタイム制度との併用を検討する(2025年改正でテレワークの選択肢が広がっています)
短時間勤務だからといって、すべての業務を諦める必要はありません。効率的に働く方法を上司や同僚と一緒に考えましょう。
8-4. 復職後のキャリアへの影響
「短時間勤務を利用すると、キャリアに影響が出るのでは?」という不安を持つ方も多いと思います。
法律上の保護:
- 育児短時間勤務を理由に、降格や不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています
- 評価制度は、勤務時間ではなく成果や貢献度で判断されるべきです
キャリアへの影響を最小限にするために:
- 短い時間でも、質の高い仕事を心がける
- スキルアップのための自己学習を続ける
- 上司と定期的にキャリア面談を行う
- 短時間勤務期間の終了後のキャリアプランを考えておく
多くの企業が、育児と仕事の両立を支援する取り組みを進めています。制度を上手に活用しながら、キャリアも大切にしていきましょう。
9. よくある質問(Q&A)
育児短時間勤務申請書について、よく寄せられる質問にお答えします。
9-1. 「申請書」と「申出書」は違うもの?
Q:会社の書式は「申出書」ですが、ネットでは「申請書」と書かれています。どちらが正しいですか?
A:指しているものは同じです。法律・厚生労働省のモデル様式では「育児短時間勤務申出書」が正式名称で、「申請書」は通称として広く使われています。会社の書式名に合わせて呼べば問題ありません。
9-2. 子が3歳になった後も短時間勤務は続けられる?
Q:子どもが3歳になった後も、時短勤務を続けたいです。可能ですか?
A:法律上、会社に義務づけられている短時間勤務(原則6時間)は「3歳になるまで」です。ただし2025年10月の改正で、3歳〜小学校就学前の子を養育する労働者向けに「柔軟な働き方を実現するための措置」が制度化されました。会社は5つの措置(始業時刻等の変更/テレワーク等/保育施設の設置運営等/養育両立支援休暇/短時間勤務)のうち2つ以上を導入し、労働者は1つを選んで利用できます。短時間勤務が選択肢に入っているかは会社によって異なるので、勤め先の制度を確認してください(要確認)。
9-3. 申請書の提出期限を過ぎてしまったら?
Q:希望する開始日の1か月前までに申請書を提出できませんでした。もう短時間勤務は利用できないのでしょうか?
A:まずは早急に上司や人事部門に相談してください。1か月前というのは原則であり、緊急の事情がある場合は柔軟に対応してもらえる可能性があります。ただし、会社側も業務調整が必要ですので、希望する日から開始できない場合は、開始日を少し遅らせることで対応できるケースが多いです。
9-4. 申請後に期間を変更できる?
Q:申請書を提出した後、短時間勤務の終了日を延長したくなりました。変更は可能ですか?
A:はい、変更可能です。多くの会社では「育児短時間勤務期間変更申出書」という別の書類を提出することで、期間の延長や短縮ができます。変更希望日の1か月前までに申し出ることが望ましいです。3歳以降の延長可否は会社の制度によります(要確認)。
9-5. 会社独自の書式がない場合は?
Q:会社に育児短時間勤務申出書の書式がありません。どうすればいいですか?
A:厚生労働省が提供しているモデル様式(社内様式11)を使用できます。厚生労働省のウェブサイトからダウンロードして、必要事項を記入しましょう。育児短時間勤務制度は法律で義務付けられていますので、書式がないことを理由に利用を拒否されることはありません。
9-6. 上司の承認が得られない場合の対処法
Q:上司に「業務に支障が出る」と言われて承認してもらえません。どうすればいいですか?
A:3歳未満の子を養育する労働者の育児短時間勤務は、法律で認められた権利です。会社は、労働者から申し出があった場合、原則として応じる義務があります。まずは人事部門に相談しましょう。それでも解決しない場合は、都道府県労働局や労働基準監督署に相談することもできます。育児・介護休業法に違反する対応は、行政指導の対象となります。
10. 育児短時間勤務申請書のテンプレートダウンロード先
申請書のテンプレートを入手できるサイトをご紹介します。
10-1. 厚生労働省のモデル様式(最新版)
最も信頼できるのは、厚生労働省が提供しているモデル様式です。「育児・介護休業等に関する規則の規定例」のページから、社内様式11「育児短時間勤務申出書」や社内様式13「短時間勤務取扱通知書」を、Word版・PDF版でダウンロードできます。
モデル様式の特徴
- 法律に基づいた標準的な書式で、どの企業でも使用できる
- 記入項目が明確で分かりやすい
- 現在は「令和7年(2025年)4月1日・10月1日施行対応版」が最新(旧・令和4年版から更新されています)
10-2. その他の入手先
厚生労働省以外にも、各都道府県労働局のウェブサイトや、人事労務系の書式配布サイトで無料のテンプレートを入手できます。ダウンロードの際は、令和7年改正に対応した最新版かどうかを必ず確認しましょう。古い様式には、改正で変わった項目が反映されていないことがあります。
10-3. Word・PDF形式の選び方
Word形式がおすすめの場合:
- パソコンで記入したい
- 会社独自の項目を追加したい
- 書式を編集して保存しておきたい
PDF形式がおすすめの場合:
- 印刷して手書きで記入したい
- 書式を編集する必要がない
- Wordを持っていない
どちらの形式でも内容は同じですので、ご自身の環境に合わせて選びましょう。
11. 記入でつまずきやすいポイントと解決のヒント
初めて育児短時間勤務申請書を書くとき、多くの人が同じ場所でつまずきます。ここでは、よくある「困った」と、その解決のヒントを整理しました。
11-1. 「希望勤務時間」が決められない
一番迷いやすいのが勤務時間です。おすすめは、保育園のお迎え時間から逆算する方法です。たとえばお迎えが17時、通勤に30分かかるなら、遅くとも16時半には退社したい。そこから逆算して「9:00〜15:30(休憩60分)」のように組み立てると、生活リズムに無理のない時間になります。実際の生活を思い浮かべながら決めるのがコツです。
11-2. 「終了日」に何を書けばいいかわからない
基本は「子が3歳に達する日の前日」です。日付が計算しづらい場合は、そのまま「子が3歳に達する日まで」と文言で記入しても問題ありません。3歳以降も続けたい場合は、会社が「柔軟な働き方を実現するための措置」で短時間勤務を導入しているか、先に人事へ相談しておきましょう。
11-3. 双子・多胎児の書き方に迷う
双子の場合は、両方の子どもの情報をそれぞれ独立して記入します(生年月日が同じでも別々に書く)。書ききれない場合は欄を追加するか、余白に補記しましょう。判断に迷ったら人事に確認するのが確実です。
11-4. パパが取得するときの進め方
育児短時間勤務は男女問わず利用できます。パパが取得する場合も、記入内容はまったく同じです。夫婦で時間帯を分担(例:午前はパパ、午後はママ)すると、保育の穴を埋めやすくなります。前例が少ない職場では、制度が法律上の権利であることと、業務の引き継ぎ案をあわせて相談すると理解を得やすいでしょう。
12. まとめ:安心して育児短時間勤務を申請するために
ここまで、育児短時間勤務申請書の記入例と、申請から承認までの流れを詳しくご紹介してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
申請書記入の5つのポイント
- 4ブロックを漏れなく記入:「子の状況」「現在の勤務時間」「短時間勤務の期間」「申出に係る状況」を埋めましょう(現在の勤務時間欄の記入漏れに注意)
- 日付は統一:西暦または和暦で統一し、開始日・終了日の前後関係を確認しましょう
- 勤務時間は明確に:午前・午後を明記し、休憩・実働時間も記載しましょう
- 証明書類の準備:戸籍謄本や住民票など、必要な証明書類を一緒に提出しましょう
- 1か月前に提出:開始希望日の1か月前までに提出することを心がけましょう
最新の制度もチェック
2025年(令和7年)の法改正で、残業免除の対象拡大やテレワークの推進、3歳以降の「柔軟な働き方を実現するための措置」など、両立支援の選択肢が広がりました。短時間勤務とあわせて、自社でどんな制度が使えるかを人事に確認しておくと、3歳以降の働き方も見通しやすくなります。
不安なときは相談しよう
- 上司:業務調整や勤務時間について相談
- 人事部門:申請書の書き方や手続きについて相談
- 労働局:会社が対応してくれない場合は、都道府県労働局に相談
育児短時間勤務制度は、仕事と育児の両立を支援するための大切な制度です。そして、これは法律で認められたあなたの権利でもあります。ママもパパも、子どもとの時間は今しかありません。大切な時期を安心して過ごせるよう、制度を上手に活用してください。この記事が、あなたの申請の一歩を後押しできれば幸いです。



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