「妊娠したことを上司にどう伝えればいい?」「育休を取りたいと言い出しにくい」「パパが育休を取ることを会社にどう切り出す?」――産休・育休を取るうえで、会社への伝え方は多くの方が悩むポイントです。
このページでは、誰にいつ伝えるか・例文・引き継ぎの準備・言いづらいときの考え方まで、ママ・パパそれぞれの視点で解説します。
目次
会社にはいつ伝えるべきか
産休・育休取得の伝え方で最初の悩みは「いつ言うか」です。体調・職場環境・業務の状況を考慮しながら、適切なタイミングを選びましょう。
タイミングの目安(ママ)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 妊娠初期(〜12週) | つわりがひどい場合・業務に影響が出る場合は早めに上司のみに伝えるのが安心。「安定期前のため口外しないでほしい」と添えてOK |
| 安定期以降(14週〜) | チームや同僚にも広く報告するタイミング。産休・育休の予定も合わせて伝えると引き継ぎの準備が進めやすい |
| 妊娠7〜8か月 | 産休開始日・育休取得予定を人事・総務に正式に申し出る。引き継ぎの具体的な準備を始める |
| 産休開始1か月前まで | 法律上は産休開始の申し出に期限の定めはないが、会社側の準備のために遅くとも1か月前には伝えるのが望ましい |
タイミングの目安(パパ)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 妊娠安定期〜 | 上司に妊娠の報告とともに、育休取得の意向を伝える。取得時期の大まかな希望も共有しておく |
| 出産予定日の1〜2か月前 | 人事・総務に正式に育休取得を申し出る。産後パパ育休を希望する場合は出産前の調整が必須 |
| 産後パパ育休の場合 取得日の2週間前まで |
法律上の申し出期限。産後すぐに取りたい場合は出産前に口頭調整済みにしておくことが必須 |
📌 ポイント:早めに伝えることで、会社側が引き継ぎや人員配置の準備を進めやすくなります。結果として「迷惑をかけている」という気持ちが薄れ、お互いにとってスムーズになります。
誰に最初に伝えるか
産休・育休の伝え方は、報告する相手によって順番があります。順番を間違えると、上司より先に同僚に知られてしまうなどのトラブルが起きることもあります。
報告の順番
| 順番 | 相手 | 伝える内容 |
|---|---|---|
| ① | 直属の上司 | 妊娠の報告・産休育休の意向・取得の大まかな予定 |
| ② | 人事・総務担当 | 産休・育休の正式な申し出・必要書類の確認 |
| ③ | チーム・同僚 | 安定期以降に広く共有。引き継ぎの調整も合わせて |
💡 補足:上司の上(役員・部長など)への報告は、直属の上司が行うのが一般的です。自分から飛び越して報告すると、上司との関係がぎくしゃくすることがあります。まず直属の上司に報告し、報告ルートは上司に任せましょう。
ママが上司に伝える例文
上司への口頭報告は、1対1の場で伝えるのが基本です。「少しお時間よろしいですか」と席や会議室に呼んでから話しましょう。
妊娠の報告+産休育休の意向を伝える例文
〇〇さん、お時間いただきありがとうございます。私事のご報告になるのですが、このたび妊娠いたしました。出産予定日は〇月ごろの予定です。
産前産後休業・育児休業の取得を希望しておりますので、今後のスケジュールや引き継ぎについてご相談させていただきたいと思っています。業務に支障が出ないよう、できる限り準備を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
安定期前でまだ広めたくない場合の一言
まだ安定期前のため、他のメンバーへの周知はもう少し後でお願いできますでしょうか。〇か月頃に安定したら、改めてチームへの共有をお願いしたいと思っています。
ママがメールで伝える例文
テレワーク中や上司と話す機会が取りにくい場合は、メールで報告することもあります。口頭報告後に確認の意味でメールを送るのも丁寧な対応です。
上司へのメール例文
件名:産前産後休業・育児休業の取得についてご相談
〇〇さん
お疲れさまです。△△(氏名)です。
私事で恐れ入りますが、このたび妊娠いたしましたことをご報告いたします。出産予定日は〇年〇月ごろを予定しております。
産前産後休業および育児休業の取得を希望しており、今後の業務や引き継ぎについてご相談させていただきたいと思っております。お時間をいただけますでしょうか。
職場へのご迷惑をできる限り少なくできるよう、引き継ぎ準備を早めに進めてまいりたいと考えております。ご指示のほどよろしくお願いいたします。
なお、まだ安定期前のため、他のメンバーへの共有については、改めてご相談できますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
△△(氏名)
パパが育休を伝える場合の例文
パパが育休を取る場合、ママとは異なり「まず会社に育休取得の意向を伝え、調整する」というステップが重要です。特に産後パパ育休(取得日の2週間前まで申し出)は、出産前から動いておく必要があります。
上司への口頭報告例文(産後パパ育休)
〇〇さん、少しお時間よろしいですか。私事のご報告なのですが、パートナーが妊娠しておりまして、出産予定日は〇月〇日です。
出産後、産後パパ育休(出生時育児休業)の取得を検討しています。出産直後の〇週間ほど取得したいと考えているのですが、業務の引き継ぎや日程の調整についてご相談させていただけますでしょうか。
引き継ぎはしっかり準備しますので、どうぞよろしくお願いいたします。
上司へのメール例文(パパ育休)
件名:育児休業(出生時育児休業)取得のご相談
〇〇さん
お疲れさまです。△△(氏名)です。
私事で恐れ入りますが、パートナーが妊娠しており、出産予定日は〇年〇月〇日です。
出産後に出生時育児休業(産後パパ育休)を取得したいと考えております。取得期間は出生後〇週間程度を希望しておりますが、業務状況を踏まえてご相談できればと思います。
引き継ぎについては早めに準備を進めてまいります。一度お時間をいただき、詳細についてご相談させていただけますでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
△△(氏名)
言いづらいときの考え方
「職場の雰囲気的に言い出しにくい」「育休を取ったら迷惑がられるのでは」――そういった不安を感じるのは自然なことです。ただ、いくつかの視点で整理してみると、踏み出しやすくなります。
気持ちを整理するためのヒント
- 産休・育休は法律上の権利。会社は取得を拒否することができない(育児・介護休業法)
- 「迷惑をかける」という気持ちより「引き継ぎをしっかりやる」という姿勢を見せることが大切
- 早めに伝えるほど、会社側も準備できる。結果として職場全体への影響が小さくなる
- 2022年の法改正で、会社は従業員に育休取得の意向を確認することが義務付けられている
- 「自分が最初じゃなくていい」と気楽に考える。誰かが最初に取ることで次の人が取りやすくなる
伝える際の心構え
- 申し訳なさそうに伝えると相手も困惑する。落ち着いて、ビジネスライクに伝えてOK
- 「ご迷惑をおかけします」より「引き継ぎをしっかり準備します」という言葉が効果的
- 上司の反応が悪かった場合でも、すぐに諦めず人事担当に相談する選択肢がある
💡 かやパパより:パパが育休を取ることを会社に言い出しにくいと感じている方は多いと思います。ただ、「言わなかった」ことへの後悔を感じる人は多く、「言ってよかった」と感じる人の方がずっと多いです。引き継ぎをしっかりやれば、職場の見方が変わることもあります。
引き継ぎで準備すること
産休・育休に入る前の引き継ぎが丁寧なほど、職場への信頼が保てます。また、復帰後のスムーズな職場復帰にもつながります。
引き継ぎで準備するもの
| 準備物 | 内容 |
|---|---|
| 業務一覧・担当範囲の整理 | 自分が担当している業務を一覧にし、担当者・手順・注意点を明記する |
| 引き継ぎ先の決定 | 誰に何を引き継ぐかを上司と相談して決める |
| マニュアル・手順書の作成 | 定型業務はマニュアル化しておく。口頭だけでは引き継ぎ漏れが起きやすい |
| 関係者への挨拶・周知 | 社外の取引先・クライアントへの連絡は早めに行い、引き継ぎ担当者を紹介する |
| 連絡先・緊急時の対応 | 育休中の連絡の可否・緊急連絡の有無などを事前に上司と取り決めておく |
引き継ぎのスケジュール目安
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 産休2〜3か月前 | 業務の棚卸し・引き継ぎ先の決定・マニュアル作成の開始 |
| 産休1か月前 | 引き継ぎ担当者への説明・マニュアルの共有・社外への挨拶 |
| 産休直前 | 未完了事項の確認・引き継ぎ漏れがないかの最終チェック |
マタハラ・パタハラが不安な場合
妊娠・出産・産休育休を理由とした嫌がらせや不利益な扱いは法律で禁止されています。「マタハラ(マタニティハラスメント)」「パタハラ(パタニティハラスメント)」と呼ばれるこれらの行為は、受けた場合は一人で抱え込まず対処することが大切です。
禁止されている主な行為
- 妊娠・出産・育休取得を理由とした降格・減給・解雇・配置転換
- 「育休なんて取れるわけない」「妊娠したなら辞めるべき」などの発言
- 育休申し出後に嫌がらせ的な業務変更・孤立させるような扱い
- パパが育休を申し出たことへの不利益な対応(パタハラ)
相談できる窓口
| 相談先 | 内容 |
|---|---|
| 会社の人事・コンプライアンス担当 | まずは社内の担当窓口に相談する |
| 都道府県労働局・総合労働相談コーナー | 無料で相談できる公的窓口。社内で解決できない場合に活用 |
| 労働基準監督署 | 解雇・降格など重大な不利益が生じた場合に相談 |
📌 ポイント:ハラスメントを受けた場合は、日時・発言内容・状況を記録しておくことが重要です。記録があることで、相談・申告の際に証拠として役立ちます。
よくある質問
Q. 育休取得を口頭で伝えたあと、書面での申し出も必要ですか?
A. 法律上、育休の申し出は書面が原則です(会社が認める場合はFAX・メールなども可)。口頭で意向を伝えた後、会社から所定の「育児休業申出書」を受け取り、正式に提出しましょう。
Q. 上司に反対されたらどうすればいいですか?
A. 育休取得は法律上の権利のため、会社は拒否できません。上司が反対した場合でも、人事担当や会社の相談窓口に申し出ることができます。それでも解決しない場合は、都道府県労働局の相談窓口を利用してください。
Q. 育休中に会社から連絡が来た場合、対応しなければなりませんか?
A. 育休中は就労義務がありません。ただし、育休前に上司と「緊急時のみ連絡する」「基本連絡なし」など取り決めをしておくとトラブルを防げます。育休中の連絡対応は強制されるものではありません。
Q. 妊娠を報告したら部署異動を命じられました。これはマタハラですか?
A. 妊娠を理由とした不利益な配置転換は、マタニティハラスメントに該当する可能性があります。まず会社の人事担当に相談し、解決しない場合は都道府県労働局や労働基準監督署に相談してください。
Q. 復帰後のポジションについて事前に確認しておくべきですか?
A. できれば確認しておくことをおすすめします。育休中は原則として育休前と同等の職位・職務内容で復帰する権利がありますが、組織の変化で変わる場合もあります。産休前または育休中に上司・人事と確認しておくと安心です。
まとめ:早めに・落ち着いて・引き継ぎをしっかり
- ママは安定期以降・遅くとも産休2〜3か月前に上司へ伝えるのが目安
- パパは妊娠安定期〜出産予定日の1〜2か月前に伝え、産後パパ育休は出産前に調整
- 最初に伝えるのは直属の上司→人事→チームの順が基本
- 「迷惑をかける」より「引き継ぎをしっかりやる」という姿勢を見せることが大切
- 産休・育休取得は法律上の権利。会社は拒否できない
- マタハラ・パタハラを受けた場合は記録して相談窓口へ
📌 あわせて読みたい
※本ページの情報は2026年5月時点のものです。法律の内容は改正される場合があります。詳細は勤務先または都道府県労働局にご確認ください。
