「産休・育休中は社会保険料がかからないって本当?」「誰が申請するの?」「賞与の保険料も免除される?」「年金は減るの?」――社会保険料の免除は、給付金と並んで産休・育休中のお金を大きく左右する制度です。
このページでは、社会保険料免除の仕組み・対象となる保険料の種類・免除期間・賞与への影響・短期育休の注意点・申請方法・将来の年金額への影響まで、計算ツールへの導線とともに詳しく解説します。
目次
社会保険料免除とは
産休(産前産後休業)・育休(育児休業)期間中は、健康保険料・厚生年金保険料が本人負担分・会社負担分ともに免除されます。これは健康保険法・厚生年金保険法に基づく制度です。
育児休業給付金(給与の67%)に加え、この社会保険料免除があることで、産休・育休中の実質手取りは通常勤務時の約80%水準を維持できます。
💡 結論:産休・育休中は健康保険料・厚生年金保険料が本人・会社負担ともに免除されます。申請は会社が行うため自分で手続きする必要はありませんが、会社が申請しているか確認しておくことが重要です。将来の年金額への影響もありません。
📌 注意:制度の内容・免除条件は、加入している健康保険・勤務先・法改正によって変わる場合があります。実際の申請前に勤務先・健康保険組合・年金事務所の最新情報も確認してください。
対象となる保険料の種類
社会保険料の免除が適用されるのは、健康保険料と厚生年金保険料の2種類です。
| 保険の種類 | 免除の有無 | 備考 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 免除あり | 本人・会社負担ともに免除 |
| 厚生年金保険料 | 免除あり | 本人・会社負担ともに免除。将来の年金額への影響なし |
| 介護保険料(40歳以上) | 免除あり | 健康保険と合わせて免除される |
| 雇用保険料 | 対象外 | 産休・育休中は給与がないため実質負担なし |
| 住民税 | 免除なし | 前年所得をもとに課税。産休・育休中も請求が続く |
💡 注意:住民税は社会保険料免除の対象外です。産休・育休中でも前年の給与所得に対する住民税の請求が届きます。詳しくは → 育休中の住民税|なぜ請求が来る?支払い方法を解説
免除される期間
社会保険料の免除は、産休・育休を取得している月が対象です。
| 休業の種類 | 免除の適用期間 |
|---|---|
| 産前産後休業(産休) | 産休開始月〜産休終了月まで |
| 育児休業(育休) | 育休開始月〜育休終了月まで(最長子が2歳になるまで) |
| 産後パパ育休(出生時育児休業) | 産後パパ育休取得期間(14日以上の場合は月の保険料も免除) |
育休終了日が月末の場合の注意
育休終了日の翌日が属する月の前月まで免除が適用されます。育休終了日が月末の場合、その月の保険料は免除されません。
例:育休終了日が3月31日の場合
3月31日終了 → 翌日(4月1日)が属する月(4月)の前月(3月)が免除対象。3月分の保険料は発生する。
📌 ポイント:復帰のタイミングを月初(例:4月1日)にすると、前月(3月)分まで免除を受けられる場合があります。1か月分の保険料の差が発生するため、復帰日を検討する際に意識しておきましょう。
賞与の社会保険料はどうなるか
賞与(ボーナス)に対する社会保険料の免除には、月給の免除とは異なるルールがあります。
賞与の保険料免除条件
| 育休の取得状況 | 賞与の保険料免除 |
|---|---|
| 賞与支給月に育休が1か月超継続 | 免除あり |
| 賞与支給月に育休が1か月以内 | 免除なし |
| 産休中(産前産後休業) | 免除あり |
具体例
【例①】6月支給の賞与・育休が5月〜9月の場合
6月時点で育休1か月超継続中 → 賞与の保険料免除あり
【例②】6月支給の賞与・育休が6月1日〜20日(20日間)の場合
育休が1か月以内のため → 賞与の保険料免除なし
💡 補足:賞与の保険料免除を受けるには、賞与支給月をまたいで1か月超の育休を取得することが必要です。育休開始・終了のタイミングを調整することで免除の対象にできる場合があります。事前に会社と相談してみましょう。
短期間育休の場合の注意点
産後パパ育休など短期間の育休を取るパパが増えていますが、取得期間によって月給・賞与の免除可否が変わります。
取得期間別の免除可否
| 育休取得期間 | 月給の保険料 | 賞与の保険料 |
|---|---|---|
| 14日未満 | 免除なし | 免除なし |
| 14日以上・1か月以内 | 取得した月は免除 | 免除なし |
| 1か月超 | 取得した月は免除 | 免除あり |
📌 ポイント:産後パパ育休を2週間(14日)取得する場合、月給の保険料は免除されますが賞与は対象外になります。賞与支給月に育休が重なる場合は、1か月を超える期間で取得できるよう会社と調整することで免除の恩恵を受けやすくなります。
誰が申請するのか
社会保険料の免除申請は、会社(事業主)が行います。本人が年金事務所や健保組合に直接申請するものではありません。
申請の流れ
| タイミング | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 産休・育休開始前 | 会社に産休・育休取得を申し出る。社会保険料免除の手続きも依頼する | 本人→会社 |
| 産休・育休開始後 | 会社が「育児休業等取得者申出書」を年金事務所または健保組合に提出する | 会社 |
| 免除適用中 | 毎月の給与から社会保険料が控除されなくなる | 自動 |
| 復帰時 | 会社が終了届を提出し、翌月から保険料の控除が再開する | 会社 |
📌 注意:会社が申請を忘れていると、産休・育休中も保険料が控除されてしまいます。産休・育休前に「社会保険料免除の手続きをお願いできますか?」と人事・総務担当者に確認しておきましょう。後から遡って申請できる場合もありますが、手続きに手間がかかります。
免除が手取りに与える効果
給付金だけ見ると給与の67%に感じますが、社会保険料の免除を加味すると実質手取りは大きく変わります。
月収30万円の場合の試算例
| 状況 | 手取りの目安 | 通常手取り比 |
|---|---|---|
| 通常勤務時(月収30万円) | 約23〜24万円 | 100% |
| 育休給付金のみ(67%) | 約20.1万円 | 約85% |
| 育休給付金(67%)+社保免除 | 約23〜24万円 | 約80〜85% |
免除額を試算したい場合は → 社会保険料免除額シミュレーター
標準報酬月額の確認は → 標準報酬月額計算ツール
将来の年金額に影響するか
「保険料を払っていない産休・育休中、将来の年金は減るの?」という疑問はよく聞かれます。結論から言うと、将来の年金額への影響はありません。
なぜ年金が減らないか
厚生年金の免除制度では、産休・育休中に保険料を支払わなくても、産休・育休前の標準報酬月額をもとに保険料を納めたとみなして年金額が計算されます(みなし納付)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 産休・育休中の保険料 | 免除(実際には支払わない) |
| 年金の記録 | 産休・育休前の標準報酬月額で納めたとみなされる(みなし納付) |
| 将来の年金額 | 産休・育休前と変わらず計算される |
| 加入期間のカウント | 産休・育休中も加入期間として継続カウントされる |
💡 まとめると:社会保険料免除は「払わなくて済む」だけでなく「払ったのと同じ扱いになる」非常に有利な制度です。産休・育休中に保険料を節約しながら、年金は通常通り積み上がります。
自営業・フリーランスの場合
自営業・フリーランスが加入する国民健康保険・国民年金には、産休・育休中の社会保険料免除制度はありません。
2026年10月〜:国民年金の育児期間免除制度
2026年10月から、国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など)を対象に、育児期間にかかる国民年金保険料の免除制度が開始予定です。免除期間中も保険料を納めたとみなして年金額が計算されます。
- 対象:子どもが1歳(最大2歳)になるまでの国民年金第1号被保険者
- 免除内容:国民年金保険料(みなし納付で年金額への影響なし)
- 開始時期:2026年10月(予定)
📌 注意:2026年10月開始予定のため、最新の情報は日本年金機構または市区町村の国民年金担当窓口でご確認ください。
よくある質問
Q. 産休・育休中に社会保険料が引かれていた場合、返金してもらえますか?
A. 会社が免除申請を忘れていた場合でも、遡って申請することで返金を受けられる場合があります。気づいたら早めに会社の人事・総務担当に相談してください。
Q. 産休・育休中も健康保険証は使えますか?
A. 産休・育休中も健康保険の資格は継続しているため、保険証(またはマイナ保険証・資格確認書)は通常通り使用できます。子どもの健診や医療機関の受診にも利用できます。
Q. パパが育休を取った場合も社会保険料は免除されますか?
A. はい、パパも育休中の社会保険料免除が適用されます。産後パパ育休(14日以上)でも月給の免除は受けられます。賞与の免除は1か月超の育休取得が必要です。
Q. 免除される金額はどのくらいですか?
A. 月収や標準報酬月額によって異なりますが、月収30万円の場合で月2〜4万円程度の免除になるケースが多いです。本人負担分だけでなく会社負担分も免除になるため、トータルの免除額はさらに大きくなります。正確な金額は計算ツールで試算できます。
まとめ:免除は会社任せにせず確認を忘れずに
- 産休・育休中は健康保険料・厚生年金保険料が本人・会社負担ともに免除
- 住民税は免除対象外。前年所得をもとに請求が続く
- 賞与の保険料免除は育休が1か月超の場合のみ
- 短期育休(14日以上・1か月以内)は月給のみ免除・賞与は対象外
- 免除申請は会社が行う。産休・育休前に確認・依頼しておく
- 厚生年金はみなし納付扱い。将来の年金額への影響なし
- 給付金(67%)+社保免除で実質手取りは通常の約80%水準
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※本ページの情報は2026年5月時点のものです。制度の内容・免除条件は、加入している健康保険・勤務先・法改正によって変わる場合があります。実際の申請前に勤務先・健康保険組合・年金事務所の最新情報も確認してください。
