出産育児一時金の書き方完全ガイド|申請書・差額請求の記入例付き
はじめに:出産育児一時金とは?
出産を控えているみなさん、おめでとうございます!
赤ちゃんを迎える喜びと同時に、「出産費用ってどれくらいかかるんだろう…」「手続きって難しそう…」と不安になっていませんか?
出産育児一時金は、そんな経済的な不安を軽減してくれる、とても心強い制度です。2023年4月からは支給額が42万円から50万円に増額され、さらに手厚いサポートが受けられるようになりました。
ただ、「書類の書き方がわからない」「どこに何を書けばいいの?」という声も多く聞かれます。
この記事では、出産育児一時金の申請書の書き方を、記入例付きで徹底解説します。初めての方でも迷わず手続きできるよう、図や表を使ってわかりやすくお伝えしますので、安心してくださいね。
それでは、一緒に見ていきましょう!
第1章:出産育児一時金の基礎知識
1-1. 出産育児一時金とは何か?
出産育児一時金とは、健康保険または国民健康保険に加入している方が出産したときに支給される給付金のことです。
正常な出産は病気やケガではないため、健康保険の適用対象外となり、原則として全額自己負担となります。そのため、高額な出産費用の経済的負担を軽減する目的で、この制度が設けられています。
【ポイント】
- 公的医療保険(健康保険・国民健康保険)に加入していれば誰でも対象
- 会社員の方だけでなく、自営業の方、専業主婦の方も対象
- 出産前の申請や、出産後の申請など、複数の方法から選べる
1-2. いくらもらえる?支給額の詳細
気になる支給額ですが、2023年4月1日以降の出産から、赤ちゃん1人につき原則50万円が支給されます。
| 出産時期 | 産科医療補償制度加入施設 | 産科医療補償制度未加入施設 |
|---|---|---|
| 2023年4月1日以降 | 50万円 | 48.8万円 |
| 2023年3月31日まで | 42万円 | 40.8万円 |
【産科医療補償制度とは?】
産科医療補償制度は、分娩に関連して重度脳性まひとなった赤ちゃんとご家族の経済的負担を補償する制度です。多くの医療機関が加入しており、加入している施設で出産すると50万円が支給されます。
医療機関が産科医療補償制度に加入しているかどうかは、領収書や明細書に「産科医療補償制度加入機関」というスタンプが押されているかで確認できます。
【双子・三つ子の場合】
多胎妊娠の場合は、赤ちゃんの人数分支給されます。
- 双子の場合:50万円×2人=100万円
- 三つ子の場合:50万円×3人=150万円
1-3. 誰が対象?支給条件を確認
出産育児一時金の支給対象者は以下の通りです。
【対象者】
- 健康保険または国民健康保険の被保険者(加入者本人)
- 健康保険の被扶養者(加入者の家族)
【出産の定義】
この制度における「出産」とは、妊娠4ヶ月(妊娠85日)以上の出産を指します。
以下のケースも支給対象となります:
- 正常分娩
- 帝王切開
- 早産
- 死産
- 流産
- 人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)
ただし、妊娠22週未満での出産の場合は48.8万円の支給となります。
【退職後の出産】
会社を退職した後に出産する場合でも、以下の条件を満たせば、以前加入していた健康保険から出産育児一時金を受け取ることができます:
- 退職日まで継続して1年以上その健康保険に加入していた
- 退職後6ヶ月以内に出産した
この場合、以前の健康保険と現在加入している保険のどちらから受け取るかを選択できます。健康保険組合によっては独自の付加給付がある場合もあるので、金額を比較して有利な方を選びましょう。
1-4. 産科医療補償制度とは
先ほども少し触れましたが、産科医療補償制度について、もう少し詳しく説明します。
この制度は、分娩に関連して発症した重度脳性まひのお子さまとご家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、脳性まひ発症の原因分析を行い、将来の脳性まひ予防に役立つ情報を提供することを目的としています。
【加入施設の確認方法】
出産予定の医療機関が産科医療補償制度に加入しているかどうかは、以下の方法で確認できます:
- 医療機関に直接問い合わせる
- 医療機関の受付や診察室に掲示されている「産科医療補償制度加入機関」のポスターを確認する
- 出産後に発行される領収書・明細書の「産科医療補償制度加入機関」のスタンプを確認する
ほとんどの病院や産院は加入していますが、念のため事前に確認しておくと安心ですね。
第2章:3つの申請方法を理解する
出産育児一時金には、大きく分けて3つの申請方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。
2-1. 直接支払制度(最も一般的)
直接支払制度は、出産育児一時金を、ご自身が加入している保険者(協会けんぽや健康保険組合など)から医療機関に直接支払う制度です。
【仕組み】
- 出産予定の医療機関で、「直接支払制度を利用する」という合意文書を取り交わす
- 出産後、医療機関が保険者に出産育児一時金を請求
- 保険者から医療機関へ直接50万円(または48.8万円)が支払われる
- 出産費用が50万円を超えた場合のみ、退院時に差額を医療機関に支払う
- 出産費用が50万円未満だった場合は、後日、差額が振り込まれる
【メリット】
- 退院時にまとまった現金を用意する必要がない
- 手続きが比較的簡単(医療機関が代わりに請求してくれる)
- 最も一般的な方法なので、ほとんどの医療機関が対応している
【デメリット】
- 差額が発生した場合、自分で差額申請をする必要がある
- 支給までに2〜3ヶ月かかる場合がある
【こんな人におすすめ】
手元にまとまった現金がない方、手続きを簡単に済ませたい方に最適です。現在、最も多くの方がこの方法を利用しています。
2-2. 受取代理制度(小規模施設向け)
受取代理制度は、出産予定日の2ヶ月前から事前に申請を行い、医療機関が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る仕組みです。
【仕組み】
- 出産予定日の2ヶ月前以降に、保険者から「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」を入手
- 申請書に必要事項を記入し、医療機関に受取代理人欄の記入を依頼
- 記入済みの申請書を保険者に提出
- 出産後、保険者から医療機関へ直接支払われる
- 出産費用が50万円未満だった場合は、後日、差額が振り込まれる
【メリット】
- 直接支払制度と同様、退院時にまとまった現金が不要
- 事前申請なので、計画的に準備できる
【デメリット】
- 出産予定日の2ヶ月前から手続きが必要
- 対応している医療機関が限られる(主に小規模な助産院など)
- 自分で申請書を記入・提出する手間がかかる
【対応施設】
受取代理制度を利用できるのは、厚生労働省に届出をした小規模な医療機関等に限られています。出産予定の医療機関が受取代理制度に対応しているかどうかは、直接確認する必要があります。
出典:厚生労働省「受取代理制度を導入している医療機関等施設一覧」
2-3. 償還払い(産後申請)
償還払いは、出産後にご自身で保険者に申請を行い、出産育児一時金を受け取る方法です。
【仕組み】
- 退院時に出産費用の全額を医療機関に支払う
- 出産後、保険者から「健康保険出産育児一時金支給申請書」を入手
- 必要書類を添付して保険者に提出
- 審査後、指定口座に出産育児一時金が振り込まれる
【メリット】
- 直接支払制度や受取代理制度に対応していない医療機関でも利用できる
- 自分のペースで手続きができる
【デメリット】
- 退院時に出産費用の全額を支払う必要がある(50万円前後の現金が必要)
- 給付金が振り込まれるまで時間がかかる(1〜2ヶ月程度)
【こんな人におすすめ】
手元に十分な資金がある方、海外で出産する方、または直接支払制度に対応していない医療機関で出産する方に適しています。
2-4. どの方法を選ぶべき?比較表で確認
3つの申請方法を比較表でまとめました。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでくださいね。
| 項目 | 直接支払制度 | 受取代理制度 | 償還払い |
|---|---|---|---|
| 申請時期 | 出産時(医療機関で合意文書) | 出産予定日の2ヶ月前〜 | 出産後 |
| 退院時の支払い | 差額のみ(50万円を超えた分) | 差額のみ(50万円を超えた分) | 全額支払い |
| 必要な現金 | 少額(または0円) | 少額(または0円) | 50万円前後の全額 |
| 手続きの手間 | 簡単(医療機関が代行) | やや手間(事前申請が必要) | やや手間(産後に申請) |
| 対応医療機関 | ほとんどの病院・産院 | 限定的(小規模施設中心) | すべての医療機関 |
| おすすめの人 | 手元資金が少ない人 手続きを簡単にしたい人 |
計画的に準備したい人 対応施設で出産する人 |
手元資金に余裕がある人 海外出産する人 |
【迷ったらコレ!】
ほとんどの方には「直接支払制度」がおすすめです。理由は以下の通り:
- ほとんどの医療機関が対応している
- 退院時にまとまった現金を用意しなくて済む
- 医療機関が手続きを代行してくれるので簡単
出産予定の医療機関で「直接支払制度を利用できますか?」と確認してみてくださいね。
第3章:【最重要】申請書の書き方(記入例付き)
それでは、いよいよ本題の「申請書の書き方」に入ります!
ここでは、実際の申請書を見ながら、どこに何を書けばいいのか、詳しく解説していきますね。
3-1. 直接支払制度の合意文書の書き方
直接支払制度を利用する場合、最初に記入するのが「直接支払制度の利用に係る合意文書」です。
この書類は、医療機関で用意されており、通常は妊娠後期の健診時や入院時に記入します。
【合意文書の記入項目】
1. 制度の利用について
「直接支払制度を利用する」または「利用しない」のどちらかに○をつけます。
- 利用する場合:「利用する」に○をつける
- 利用しない場合:「利用しない」に○をつける(この場合は償還払いになります)
2. 妊婦氏名(署名)
妊婦ご本人が自筆で署名します。印鑑は不要な場合が多いですが、医療機関によっては押印を求められることもあります。
3. 生年月日
妊婦本人の生年月日を記入します。和暦(令和・平成など)で記入する場合と、西暦で記入する場合がありますので、書式に合わせてください。
例:昭和63年4月15日 → S63.4.15 または 1988/4/15
4. 住所
現在お住まいの住所を記入します。健康保険証に記載されている住所と一致していることを確認しましょう。
5. 代理人(配偶者など)の署名
妊婦本人が記入できない場合、配偶者などの代理人が署名します。通常の場合は、妊婦本人が署名すればOKです。
6. 記入日
合意文書を記入した日付を書きます。
【記入例:合意する場合】
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直接支払制度の利用に係る合意文書
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出産育児一時金の医療機関等への直接支払制度について、
以下のとおり同意します。
制度を( 利用する ・ 利用しない )← 該当する方に○
妊婦氏名:田中 花子(自筆署名)
生年月日:平成2年6月10日
住所:〒123-4567
東京都○○区△△1-2-3 ××マンション101号室
記入日:令和7年1月15日
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【記入例:合意しない場合】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
直接支払制度の利用に係る合意文書
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
出産育児一時金の医療機関等への直接支払制度について、
以下のとおり同意します。
制度を( 利用する ・ 利用しない )← 該当する方に○
※利用しない場合は、出産費用を全額お支払いいただき、
その後、ご自身で保険者へ申請してください。
妊婦氏名:山田 さくら(自筆署名)
生年月日:昭和62年3月25日
住所:〒234-5678
神奈川県○○市△△町5-6-7
記入日:令和7年2月20日
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【よくある記入ミス】
- × 夫の名前を書いてしまう → ○ 妊婦本人の名前を書く
- × 印刷された文字で記入 → ○ 自筆で署名する
- × 住所が保険証と違う → ○ 保険証記載の住所と一致させる
- × 生年月日を西暦で書く(和暦指定の場合) → ○ 書式に合わせる
【ポイント】
合意文書は、通常は医療機関が用意してくれます。記入方法がわからない場合は、遠慮せずに医療機関のスタッフに聞いてくださいね。優しく教えてくれますよ。
3-2. 出産育児一時金支給申請書の書き方
直接支払制度を利用せず、償還払いを選択した場合や、受取代理制度を利用する場合は、「出産育児一時金支給申請書」を記入する必要があります。
また、海外で出産した場合も、この申請書を使用します。
申請書の様式は、加入している保険者(協会けんぽ、国民健康保険、健康保険組合など)によって異なりますが、記入する内容はほぼ共通しています。
【申請書の主な記入項目】
1. 被保険者情報
- 被保険者証の記号・番号
- 被保険者の氏名
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
【注意】 「被保険者」とは、保険証の名義人のことです。
- 妊婦本人が会社員の場合 → 妊婦本人が被保険者
- 妊婦が専業主婦で夫の扶養に入っている場合 → 夫が被保険者
2. 出産者の情報
- 出産者の氏名(妊婦本人)
- 被保険者との続柄(本人、妻、など)
- 生年月日
3. 出産に関する情報
- 出産年月日
- 出産した子どもの数(単胎/双子/三つ子など)
- 妊娠週数(22週以上か未満か)
- 産科医療補償制度の加入状況
4. 医療機関情報
- 医療機関名
- 医療機関所在地
- 出産費用の総額
5. 振込先口座情報
- 金融機関名
- 支店名
- 口座種別(普通・当座)
- 口座番号
- 口座名義人
【重要】 口座名義人は、原則として被保険者本人の名義です。被保険者以外の口座に振り込みを希望する場合は、委任状が必要になることがあります。
【協会けんぽの申請書 記入例】
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健康保険 出産育児一時金支給申請書
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【被保険者情報】
被保険者証の記号:12345
被保険者証の番号:67890
被保険者氏名:佐藤 太郎
生年月日:昭和60年8月5日
住所:〒456-7890
大阪府○○市△△区1-2-3
電話番号:090-1234-5678
【出産者情報】
出産者氏名:佐藤 花子
被保険者との続柄:妻
生年月日:昭和63年4月20日
【出産情報】
出産年月日:令和7年3月15日
出産した子どもの数:1人(単胎)
妊娠週数:40週(22週以上)
産科医療補償制度加入医療機関での出産:はい
【医療機関情報】
医療機関名:○○産婦人科クリニック
医療機関所在地:大阪府○○市△△区5-6-7
出産費用総額:48万円
【振込先口座】
金融機関名:○○銀行
支店名:△△支店
口座種別:普通
口座番号:1234567
口座名義人:サトウ タロウ
申請日:令和7年3月25日
申請者署名:佐藤 太郎(自筆署名)
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【国民健康保険の申請書 記入例】
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出産育児一時金支給申請書(国民健康保険)
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【世帯主情報】
世帯主氏名:鈴木 一郎
住所:〒111-2222
東京都○○区△△3-4-5 ××ハイツ202号室
電話番号:03-1234-5678
【出産者情報】
出産者氏名:鈴木 美咲
被保険者証番号:1234567890
世帯主との続柄:本人
生年月日:平成元年11月3日
【出産情報】
出産年月日:令和7年4月10日
出産児数:2人(双子)
妊娠週数:38週
産科医療補償制度加入機関:はい
【医療機関等の情報】
医療機関名:医療法人 ○○総合病院
所在地:東京都○○区△△1-2-3
出産費用:92万円
【直接支払制度の利用】
直接支払制度を( 利用した ・ 利用していない )
※利用していない場合は、合意文書の写しを添付
【振込先金融機関】
金融機関名:△△信用金庫
支店名:○○支店
預金種別:普通預金
口座番号:7654321
口座名義人(カナ):スズキ イチロウ
申請日:令和7年4月20日
申請者(世帯主)署名:鈴木 一郎(自筆署名) 印
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【記入時のポイント】
1. 被保険者と出産者の関係を正確に
続柄欄は正確に記入しましょう。
- 出産者が被保険者本人の場合:「本人」
- 出産者が被保険者の妻の場合:「妻」
- 出産者が被保険者の娘の場合:「子」
2. 保険証を見ながら記入
保険証の記号・番号は、見間違えないよう、保険証を手元に置いて確認しながら記入してください。特に数字とアルファベットが混在している場合は注意が必要です。
3. 口座情報は正確に
振込先の口座情報が間違っていると、振り込みができず、手続きが遅れてしまいます。通帳やキャッシュカードを見ながら、正確に記入しましょう。
4. 自筆署名を忘れずに
申請者の署名欄は、必ず自筆で署名してください。パソコンで入力したり、代筆したりすると、受理されない場合があります。
【よくある記入ミス】
| ミスの内容 | 正しい記入方法 |
|---|---|
| 保険証の記号・番号を間違える | 保険証を見ながら正確に記入 |
| 出産日を間違える | 母子手帳で確認する |
| 口座番号が不正確 | 通帳やキャッシュカードで確認 |
| 署名を忘れる | 必ず自筆で署名する |
| 添付書類を忘れる | チェックリストで確認 |
3-3. 差額申請書の書き方
直接支払制度を利用し、出産費用が50万円未満だった場合、差額を受け取ることができます。
例えば、出産費用が45万円だった場合、50万円-45万円=5万円が振り込まれます。
【差額申請の流れ】
- 出産後、医療機関から「領収・明細書」を受け取る
- 出産から約2〜3ヶ月後、保険者から「出産育児一時金等支給決定通知書」と「差額申請書」が郵送される
- 差額申請書に必要事項を記入
- 必要書類を添付して保険者に提出
- 審査後、指定口座に差額が振り込まれる
【差額申請書の記入項目】
差額申請書の様式は保険者によって異なりますが、基本的な記入内容は以下の通りです。
- 申請の種類:「差額申請」に○をつける
- 被保険者情報:氏名、保険証の記号・番号など
- 振込先口座情報:金融機関名、支店名、口座番号など
- 申請日と署名
【記入例】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
健康保険 被保険者 出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
申請の種類(該当する方に○)
( 内払金支払依頼 ・ 差額申請 )← 「差額申請」に○
【被保険者情報】
保険証の記号:56789
保険証の番号:12345
被保険者氏名:高橋 健太
生年月日:昭和58年7月15日
住所:〒333-4444
埼玉県○○市△△町6-7-8
電話番号:048-123-4567
【出産情報】
出産者氏名:高橋 由美
被保険者との続柄:妻
出産年月日:令和7年5月8日
出産費用総額:46万円
【振込先口座】
金融機関名:○○銀行
支店名:△△支店
口座種別:普通
口座番号:9876543
口座名義人:タカハシ ケンタ
申請日:令和7年7月20日
申請者署名:高橋 健太(自筆署名)
【計算】
出産育児一時金:50万円
出産費用総額:46万円
差額:4万円 ← この金額が振り込まれます
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【差額申請のポイント】
1. 保険者から送られてくるのを待つ
差額が発生している場合、出産後2〜3ヶ月すると、保険者から自動的に差額申請書が送られてきます。自分から問い合わせる必要はありませんが、3ヶ月経っても届かない場合は、念のため保険者に確認しましょう。
2. 添付書類は不要な場合が多い
保険者から送られてくる差額申請書を使用する場合、通常は添付書類は不要です。ただし、健康保険組合によっては領収書のコピーを求められることもあるので、案内をよく読んでください。
3. 早く受け取りたい場合
保険者からの通知を待たずに、出産後すぐに差額を請求したい場合は、以下の書類を用意して自分で申請することもできます:
- 出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書
- 医療機関から交付される領収・明細書のコピー
- 直接支払制度に係る代理契約に関する文書のコピー
【差額が発生しないケース】
以下のような場合、差額は発生しません:
- 出産費用が50万円ちょうどだった場合
- 出産費用が50万円を超えた場合(超過分は自己負担)
出産費用が50万円を超えた場合は、退院時に超過分を医療機関に支払います。この場合、特別な申請は不要です。
第4章:必要書類の準備
申請書を記入したら、次は添付書類を準備しましょう。
「書類を集めるのって大変そう…」と思うかもしれませんが、実はほとんどの書類は医療機関や役所で簡単に入手できます。一つずつ確認していきましょう。
4-1. 基本的な必要書類一覧
出産育児一時金の申請に必要な基本的な書類は以下の通りです。ただし、申請方法によって必要書類が異なるので注意してください。
【直接支払制度を利用する場合】
医療機関で合意文書を記入するだけでOK。追加の書類提出は基本的に不要です。
ただし、差額申請をする場合は、以下の書類が必要になることがあります:
- 出産育児一時金差額申請書(保険者から送られてくる)
- 領収・明細書のコピー(場合により)
【受取代理制度を利用する場合】
- 出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)
- 保険証のコピー(または資格確認書)
- 母子健康手帳の出産予定日が記載されているページのコピー
【償還払い(産後申請)の場合】
- 健康保険出産育児一時金支給申請書
- 医療機関等から交付される領収・明細書の原本またはコピー
- 直接支払制度を利用していない旨の合意文書のコピー
- 出生証明書または母子健康手帳の出生届出済証明のコピー
- 保険証のコピー
- 振込先口座がわかるもの(通帳のコピーなど)
【書類の入手先】
| 書類名 | 入手先 |
|---|---|
| 出産育児一時金支給申請書 | 協会けんぽ、健康保険組合、市区町村役場 |
| 領収・明細書 | 出産した医療機関 |
| 直接支払制度の合意文書 | 出産した医療機関 |
| 出生証明書 | 出産した医療機関 |
| 母子健康手帳 | 市区町村役場(妊娠届出時に交付) |
4-2. ケース別の追加書類
特殊なケースでは、追加の書類が必要になることがあります。
【海外で出産した場合】
海外で出産した場合も、出産育児一時金を受け取ることができます。ただし、追加の書類が必要です。
必要書類:
- 出産育児一時金支給申請書
- 海外の医療機関が発行した出生証明書(原本)
- 出生証明書の日本語翻訳文(翻訳者の署名、住所、電話番号を明記)
- 海外の医療機関が発行した領収書(原本)
- 領収書の日本語翻訳文
- パスポートのコピー(顔写真ページと出入国スタンプのページ)
- 海外の医療機関への照会同意書
【注意点】
- 翻訳は、翻訳会社に依頼する必要はなく、家族や知人が翻訳してもOKです
- 翻訳文には、翻訳者の氏名、住所、電話番号を記載する必要があります
- 出入国の記録があるパスポートのコピーで、実際に海外にいたことを証明します
- 申請は郵送のみで、窓口での申請はできない場合があります
【退職後6ヶ月以内に出産した場合】
退職後6ヶ月以内に出産し、以前の健康保険から出産育児一時金を受け取る場合は、以下の書類が必要です。
- 資格喪失証明書(会社から発行してもらう)
- 退職日が確認できる書類(離職票、退職証明書など)
【帝王切開など医療保険が適用された場合】
帝王切開などで健康保険が適用された場合でも、出産育児一時金は通常通り受け取れます。
さらに、高額療養費制度の対象にもなるので、医療費が高額になった場合は、別途高額療養費の申請も行いましょう。
必要書類(通常の申請書類に加えて):
- 医療機関の領収書(保険適用分と自費分が分かれて記載されているもの)
- 診療明細書
【双子・三つ子の場合】
多胎妊娠の場合、特別な書類は不要ですが、申請書に出産児数を正確に記入することが重要です。
出生証明書や母子健康手帳に、双子・三つ子であることが記載されているので、それを添付すればOKです。
4-3. 書類の取得方法
必要書類の取得方法を詳しく説明します。
【申請書のダウンロード】
出産育児一時金の申請書は、以下の方法で入手できます。
1. ウェブサイトからダウンロード
- 協会けんぽ:協会けんぽ公式サイトからPDFをダウンロード
- 国民健康保険:お住まいの市区町村のウェブサイトからダウンロード
- 健康保険組合:各健康保険組合のウェブサイトからダウンロード
2. 郵送で請求
保険者に電話で連絡すると、申請書を郵送してくれます。
3. 窓口で直接受け取る
- 協会けんぽの支部窓口
- 市区町村役場の国民健康保険窓口
- 勤務先の人事・総務部門(健康保険組合の場合)
【領収・明細書の確認ポイント】
医療機関から発行される領収・明細書には、以下の情報が記載されています。
- 出産年月日
- 出産費用の内訳と総額
- 産科医療補償制度加入機関のスタンプ(加入している場合)
【重要】 産科医療補償制度加入機関のスタンプがあるかどうかで、支給額が50万円か48.8万円かが決まります。必ず確認してください。
【母子健康手帳のコピー】
母子健康手帳の必要なページは以下の通りです。
- 出生届出済証明のページ(市区町村の印が押されているページ)
- 出産予定日が記載されているページ(受取代理制度の場合)
コピーは、自宅のプリンターやコンビニのコピー機で取れます。カラーコピーでなくても、白黒で問題ありません。
第5章:提出方法と手続きの流れ
書類が揃ったら、いよいよ提出です。ここでは、提出先や提出方法、そして申請から支給までの期間について詳しく解説します。
5-1. 提出先の確認方法
申請書の提出先は、加入している保険の種類によって異なります。
【会社員の場合(健康保険)】
1. 協会けんぽに加入している場合
勤務先を管轄する協会けんぽの支部に提出します。
例:
- 東京都の会社に勤務 → 協会けんぽ東京支部
- 大阪府の会社に勤務 → 協会けんぽ大阪支部
管轄支部は、保険証に記載されています。
2. 健康保険組合に加入している場合
勤務先の健康保険組合に提出します。提出方法は、以下のいずれかです:
- 勤務先経由:会社の人事・総務部門に提出し、会社から健康保険組合に送付してもらう(最も一般的)
- 直接提出:健康保険組合に直接郵送または持参する
どちらの方法が良いかは、会社の担当者に確認してください。
【自営業・フリーランスの場合(国民健康保険)】
お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口に提出します。
例:
- 東京都新宿区にお住まい → 新宿区役所 保険年金課
- 横浜市にお住まい → 各区役所 保険年金課
窓口の場所や名称は、市区町村によって異なるので、事前に確認しておくと安心です。
【退職後の場合】
退職後6ヶ月以内に出産し、以前の健康保険から受け取る場合は、以前の保険者に提出します。
現在加入している保険(国民健康保険など)から受け取る場合は、現在の保険者に提出します。
5-2. 提出方法(郵送・窓口・オンライン)
申請書の提出方法は、主に3つあります。
【1. 郵送】
最も一般的な方法です。申請書と添付書類を封筒に入れて、保険者に郵送します。
【郵送時のポイント】
- 普通郵便でOK:書留や速達にする必要はありませんが、心配な方は簡易書留がおすすめ
- コピーを取っておく:提出前に申請書のコピーを取っておくと、後で確認する際に便利
- 返信用封筒は不要:通常、返信用封筒を同封する必要はありません
- 切手代:A4サイズの書類数枚なら、84円または94円切手で送れます
【2. 窓口持参】
保険者の窓口に直接持参する方法です。
【メリット】
- その場で書類の不備を確認してもらえる
- わからないことをすぐに質問できる
- 郵送より早く受理される
【注意点】
- 窓口の受付時間を事前に確認する(平日の9時〜17時が一般的)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)を持参する
- 待ち時間がある場合があるので、時間に余裕を持って行く
【3. オンライン申請(一部の保険者のみ)】
一部の健康保険組合では、オンラインでの申請が可能です。ただし、まだ対応していない保険者が多いので、事前に確認が必要です。
マイナポータルを利用したオンライン申請も、今後拡大していく予定です。
【勤務先経由で提出する場合】
健康保険組合に加入している場合、会社の人事・総務部門経由で提出することが多いです。
【手順】
- 申請書に必要事項を記入
- 添付書類を揃える
- 会社の担当者に提出
- 担当者が内容を確認し、健康保険組合に送付
【メリット】
- 会社の担当者が記入内容をチェックしてくれる
- 提出先を調べる手間が省ける
5-3. 申請から支給までの期間
「いつお金が振り込まれるの?」というのは、誰もが気になるポイントですよね。
支給までの期間は、申請方法や保険者によって異なります。
| 申請方法 | 支給までの期間 |
|---|---|
| 直接支払制度 | 医療機関への支払い:出産後1〜2ヶ月 差額の振込:出産後2〜3ヶ月 |
| 受取代理制度 | 出産後1〜2ヶ月 |
| 償還払い | 申請後1〜2ヶ月 |
【直接支払制度の場合】
医療機関から保険者への請求には、通常1〜2ヶ月かかります。その後、差額が発生している場合は、さらに1〜2ヶ月後に差額が振り込まれます。
つまり、出産から差額を受け取るまで、トータルで2〜3ヶ月かかることが一般的です。
【償還払いの場合】
申請書を提出してから、通常1〜2ヶ月で振り込まれます。
書類に不備があると、さらに時間がかかるので、提出前にしっかり確認しましょう。
【早く受け取りたい場合】
どうしても早く受け取りたい場合は、以下の方法があります:
- 出産費貸付制度を利用する:出産育児一時金の8割相当額(40万円)を無利子で借りられる制度
- 窓口申請で、その場で確認してもらう
- 保険者に問い合わせる:状況によっては、審査を早めてもらえる場合もあります
5-4. 申請期限と時効(2年)
出産育児一時金には、申請期限があります。
【申請期限】
出産育児一時金の申請期限は、出産した日の翌日から2年間です。
例:
- 2025年4月1日に出産 → 2027年4月1日まで申請可能
この期限を過ぎると、時効となり、受け取ることができなくなってしまいます。
【注意点】
- 2年という期限は意外と長いように感じますが、育児に追われていると、あっという間に時間が経ってしまいます
- なるべく早めに申請することをおすすめします
- 「忘れていた!」という場合でも、2年以内なら間に合うので、すぐに申請しましょう
【もし期限を過ぎてしまったら】
残念ながら、2年の時効が過ぎてしまうと、原則として受け取ることはできません。
ただし、特別な事情がある場合(災害や長期入院など)は、保険者に相談してみる価値はあります。
第6章:ケース別・申請のポイント
ここでは、特殊なケースでの申請方法やポイントを解説します。「私の場合はどうすればいいの?」という疑問にお答えしますね。
6-1. 双子・三つ子の場合
双子や三つ子など、多胎妊娠で出産した場合、赤ちゃんの人数分の出産育児一時金が支給されます。
【支給額】
- 双子:50万円×2人=100万円
- 三つ子:50万円×3人=150万円
【申請方法】
基本的には、単胎の場合と同じです。ただし、申請書の「出産児数」欄に正確な人数を記入することが重要です。
【必要書類】
出生証明書や母子健康手帳に、双子・三つ子であることが記載されているので、それを添付すればOKです。
【直接支払制度の場合】
医療機関が保険者に請求する際、自動的に人数分が請求されます。特別な手続きは不要です。
【出産費用が高額になりやすい】
多胎妊娠の場合、帝王切開になる確率が高く、入院期間も長くなりがちです。そのため、出産費用が100万円を超えることも珍しくありません。
出産育児一時金が100万円支給されても、実際の費用がそれを上回る場合は、差額を自己負担する必要があります。事前に医療機関に費用の目安を確認しておくと安心です。
6-2. 海外で出産した場合
海外赴任中や海外旅行中に出産した場合でも、日本の健康保険に加入していれば、出産育児一時金を受け取ることができます。
【条件】
- 出産時点で、日本の健康保険または国民健康保険に加入していること
- 妊娠4ヶ月(85日)以上の出産であること
【必要書類】
海外出産の場合、通常の書類に加えて、以下の書類が必要です:
- 海外の医療機関が発行した出生証明書(原本)
- 出生証明書の日本語翻訳文
- 海外の医療機関が発行した領収書(原本)
- 領収書の日本語翻訳文
- パスポートのコピー(顔写真ページと出入国スタンプのページ)
- 海外の医療機関への照会同意書
【翻訳文の作成方法】
翻訳文は、専門の翻訳会社に依頼する必要はありません。家族や知人が翻訳してもOKです。
翻訳文には、以下の情報を記載する必要があります:
- 翻訳者の氏名
- 翻訳者の住所
- 翻訳者の電話番号
- 翻訳日
【申請方法】
海外出産の場合、直接支払制度や受取代理制度は利用できません。償還払いのみです。
帰国後、保険者に申請書と必要書類を提出します。
【注意点】
- 海外の医療費は日本円に換算して請求します(為替レートは、支払日のレートを使用)
- 海外の医療費が高額でも、支給額は日本国内と同じ50万円(または48.8万円)です
- 審査に時間がかかる場合があります(3〜6ヶ月程度)
6-3. 里帰り出産の場合
里帰り出産をする方も多いですよね。「手続きはどうすればいいの?」と不安になるかもしれませんが、基本的には通常の出産と同じです。
【直接支払制度を利用する場合】
里帰り先の医療機関で、直接支払制度の合意文書を取り交わせばOKです。
保険者(協会けんぽや健康保険組合)は、お住まいの地域ではなく、加入している保険によって決まるので、どこで出産しても問題ありません。
【注意点】
- 里帰り先の医療機関が直接支払制度に対応しているか、事前に確認しましょう
- 一部の小規模な産院では、直接支払制度に対応していない場合があります
- その場合は、償還払いになるので、出産費用を全額用意しておく必要があります
【保険証の住所変更は不要】
里帰り出産の場合、一時的に実家に滞在するだけなので、保険証の住所変更をする必要はありません。
6-4. 退職後6ヶ月以内に出産した場合
会社を退職した後に出産する場合、「出産育児一時金はもらえないの?」と心配になりますよね。
安心してください。以下の条件を満たせば、退職後でも受け取ることができます。
【条件】
- 退職日まで継続して1年以上、その健康保険に加入していた
- 退職後6ヶ月以内に出産した
【どちらの保険から受け取るか選べる】
上記の条件を満たす場合、以下の2つから選ぶことができます:
- 以前加入していた健康保険から受け取る
- 現在加入している国民健康保険から受け取る
【どちらを選ぶべき?】
健康保険組合によっては、独自の付加給付(50万円に上乗せして支給される給付金)がある場合があります。
例:
- A健康保険組合:50万円+付加給付5万円=55万円
- 国民健康保険:50万円
この場合、A健康保険組合から受け取った方がお得ですね。
以前の健康保険組合に問い合わせて、付加給付があるか確認しましょう。
【注意点】
- 両方から二重に受け取ることはできません
- 一度選択すると、変更できません
- 以前の保険から受け取る場合は、資格喪失証明書が必要です
6-5. 帝王切開など医療保険が適用される場合
帝王切開や吸引分娩、鉗子分娩など、医療行為が必要になった場合、健康保険が適用されます。
【出産育児一時金は通常通り受け取れる】
医療保険が適用された場合でも、出産育児一時金は通常通り50万円(または48.8万円)受け取れます。
【さらに高額療養費制度も利用できる】
帝王切開などの医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を軽減できます。
高額療養費制度とは、1ヶ月間の医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
【自己負担限度額の目安】
| 所得区分 | 自己負担限度額(月額) |
|---|---|
| 年収約370万円〜約770万円 | 約8万円+超過分の1% |
| 年収約370万円以下 | 約5万7,600円 |
| 住民税非課税世帯 | 約3万5,400円 |
【例】
帝王切開の医療費が30万円かかった場合:
- 自己負担額(3割):9万円
- 高額療養費制度を利用:自己負担限度額約8万円
- 払い戻し:9万円-8万円=1万円が戻ってくる
【申請方法】
高額療養費制度は、出産育児一時金とは別に申請する必要があります。
- 加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村)に申請書を提出
- 申請期限は、医療費を支払った月の翌月の初日から2年間
【限度額適用認定証を使うとさらに便利】
事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、病院の窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。
帝王切開の予定がある場合は、出産前に取得しておくことをおすすめします。
第7章:よくあるトラブルと解決方法
出産育児一時金の申請で、「あれ、思っていたのと違う…」というトラブルが起こることもあります。ここでは、よくあるトラブルと、その解決方法をご紹介します。
7-1. 申請書が届かない
【トラブル】
「出産後3ヶ月経っても、差額申請書が届かない…」
【原因】
- 保険者の処理が遅れている
- 住所変更の手続きをしていなかった
- 医療機関からの請求がまだ届いていない
- 出産費用が50万円を上回っていて、差額が発生していない
【解決方法】
- 保険者に問い合わせる:まずは、加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村)に電話で確認しましょう。
- 住所を確認する:引っ越しをした場合、住所変更の手続きをしていないと、書類が届きません。
- 自分で申請する:待っていても届かない場合は、自分で申請書をダウンロードして提出することもできます。
7-2. 差額が振り込まれない
【トラブル】
「差額申請書を提出したのに、いつまで経っても振り込まれない…」
【原因】
- 書類に不備があった
- 口座情報が間違っていた
- 審査に時間がかかっている
【解決方法】
- 保険者に確認する:申請書を提出してから1ヶ月以上経っても振り込まれない場合は、保険者に問い合わせましょう。
- 書類の再提出:不備があった場合は、保険者から連絡が来るはずです。すぐに訂正して再提出しましょう。
- 口座情報を再確認:振込先の口座番号が間違っていないか、通帳で確認しましょう。
7-3. 書類に不備があった場合
【トラブル】
「保険者から『書類に不備があります』という連絡が来た…」
【よくある不備】
- 署名が抜けている
- 保険証の記号・番号が間違っている
- 添付書類が足りない
- 記入漏れがある
【解決方法】
- 落ち着いて対応する:不備があっても、慌てる必要はありません。指摘された箇所を訂正すれば大丈夫です。
- 保険者の指示に従う:どこを訂正すればいいか、丁寧に教えてくれます。
- 迅速に再提出する:訂正したら、なるべく早く再提出しましょう。
7-4. 医療機関が直接支払制度に対応していない
【トラブル】
「出産予定の産院が、直接支払制度に対応していないと言われた…」
【原因】
小規模な助産院や一部のクリニックでは、直接支払制度に対応していない場合があります。
【解決方法】
- 受取代理制度を確認する:直接支払制度に対応していなくても、受取代理制度に対応している場合があります。
- 償還払いを利用する:どちらの制度にも対応していない場合は、償還払い(産後申請)を利用します。この場合、出産費用の全額を退院時に支払う必要があるので、資金を準備しておきましょう。
- 出産費貸付制度を利用する:手元に資金がない場合は、出産費貸付制度を利用できます。出産育児一時金の8割(40万円)を無利子で借りられます。
7-5. 保険証が手元にない場合
【トラブル】
「保険証を紛失してしまった…」「会社を辞めたばかりで、新しい保険証がまだ届いていない…」
【解決方法】
- 保険証の再発行を申請する:紛失した場合は、すぐに再発行の手続きをしましょう。
- 資格確認書を利用する:マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナ保険証として利用できます。また、保険者に申請すれば「資格確認書」を発行してもらえます。
- 保険証番号がわかれば申請できる:保険証の現物がなくても、記号・番号がわかれば申請書を記入できます。会社の担当者や保険者に確認しましょう。
第8章:【専門家のアドバイス】確実に受け取るためのポイント
ここでは、社会保険労務士の視点から、出産育児一時金を確実に受け取るためのポイントをお伝えします。
8-1. 社会保険労務士が教える申請のコツ
【コツ1:妊娠中から準備を始める】
出産後は、赤ちゃんのお世話で忙しく、手続きをする余裕がないことも多いです。妊娠中から、必要な書類や手順を確認しておきましょう。
【コツ2:医療機関に遠慮せず質問する】
「こんなこと聞いていいのかな…」と遠慮する必要はありません。医療機関のスタッフは、出産育児一時金の手続きに慣れているので、わからないことは何でも聞いてください。
【コツ3:コピーを取っておく】
提出前に、申請書や添付書類のコピーを取っておくと、後で確認する際に便利です。万が一、郵送中に紛失した場合も、再提出がスムーズになります。
【コツ4:記録を残す】
いつ申請書を提出したか、いつ保険者に問い合わせたかなど、記録を残しておきましょう。トラブルが起きた際に、スムーズに対応できます。
【コツ5:期限を忘れない】
申請期限は出産日の翌日から2年ですが、早めに申請することをおすすめします。スマホのカレンダーやリマインダーに登録しておくと安心です。
8-2. 医療機関の窓口で確認すべきこと
出産前の健診や入院時に、医療機関の窓口で確認しておくと良いポイントをまとめました。
【確認リスト】
- □ 直接支払制度に対応していますか?
- □ 受取代理制度に対応していますか?
- □ 産科医療補償制度に加入していますか?
- □ 出産費用の目安はどのくらいですか?
- □ いつ合意文書を記入すればいいですか?
- □ 領収・明細書はいつもらえますか?
- □ 支払い方法(クレジットカード、現金など)は何が使えますか?
8-3. 書類記入時のチェックリスト
申請書を記入したら、提出前に以下のチェックリストで確認しましょう。
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| □ 被保険者の氏名を正確に記入した | |
| □ 保険証の記号・番号を正確に記入した | |
| □ 出産者の氏名を正確に記入した | |
| □ 出産日を正確に記入した | |
| □ 出産児数を正確に記入した | |
| □ 振込先の口座情報を正確に記入した | |
| □ 自筆で署名した | |
| □ 押印が必要な場合は押印した | |
| □ 添付書類を全て揃えた | |
| □ 領収書のコピーを添付した | |
| □ 合意文書のコピーを添付した | |
| □ 母子健康手帳のコピーを添付した | |
| □ 提出前に全体をコピーした |
すべてにチェックが入ったら、提出の準備完了です!
第9章:【体験談】先輩ママの申請エピソード
ここでは、実際に出産育児一時金を申請した先輩ママたちの体験談をご紹介します。リアルな声を参考にしてくださいね。
9-1. スムーズに手続きできた事例
【Aさん(32歳・会社員)の場合】
「私は直接支払制度を利用しました。妊娠8ヶ月の健診のときに、産院で合意文書を記入しただけで、あとは特に何もしなくて大丈夫でした。
出産費用が48万円だったので、退院時の支払いは0円。2万円の差額も、出産から2ヶ月後にちゃんと振り込まれていました。
産後は本当に忙しいので、事前に手続きが済んでいて助かりました。直接支払制度、本当におすすめです!」
【ポイント】
- 妊娠中に合意文書を記入しておく
- 直接支払制度なら、産後の手続きが最小限
9-2. トラブルに遭遇したけど解決できた事例
【Bさん(28歳・専業主婦)の場合】
「私は里帰り出産だったんですが、実家近くの小さな産院が直接支払制度に対応していなくて、最初はちょっと焦りました。
でも、産院のスタッフさんが『受取代理制度が使えますよ』と教えてくれて、出産予定日の2ヶ月前に申請書を提出。出産後、無事に差額を受け取ることができました。
事前に産院に確認しておいて良かったです。同じように里帰り出産を考えている方は、早めに確認することをおすすめします!」
【ポイント】
- 里帰り先の医療機関の対応を早めに確認
- 受取代理制度も選択肢に入れる
【Cさん(35歳・自営業)の場合】
「私は双子を出産したんですが、最初は申請書の書き方がよくわからなくて…。市役所に電話で問い合わせたら、とても丁寧に教えてくれました。
『出産児数の欄に「2人」と書いて、母子手帳のコピーを添付すれば大丈夫ですよ』って。
実際に100万円振り込まれて、本当に助かりました。双子の出産費用は85万円だったので、差額の15万円は育児用品の購入に使えました。
わからないことがあったら、遠慮せずに問い合わせるのが一番ですね。」
【ポイント】
- わからないことは保険者に問い合わせる
- 双子の場合は人数分支給される
9-3. 知っておいて良かったポイント
【Dさん(30歳・会社員)の場合】
「私は退職して3ヶ月後に出産したんですが、以前の会社の健康保険組合に『付加給付があるから、こちらで申請したほうがお得ですよ』と教えてもらいました。
結果的に、50万円+付加給付10万円=60万円を受け取ることができて、本当にラッキーでした。
退職後6ヶ月以内の出産なら、以前の保険から受け取れる可能性があるので、ぜひ確認してみてください!」
【ポイント】
- 退職後でも条件を満たせば受け取れる
- 付加給付の有無を確認する
【Eさん(26歳・パート)の場合】
「私は出産費用が52万円で、出産育児一時金を2万円オーバーしました。『え、足りない!』と焦ったんですが、退院時に2万円だけ支払えば良くて、ホッとしました。
直接支払制度を使っていたので、50万円は医療機関に直接支払われていたんですね。手元に50万円以上用意しなくて良かったので、本当に助かりました。」
【ポイント】
- 直接支払制度なら、超過分だけ支払えばOK
- 手元に全額用意する必要がない
まとめ:出産育児一時金を確実に受け取るために
ここまで、出産育児一時金の申請書の書き方について、詳しく解説してきました。
最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
【この記事のまとめ】
1. 出産育児一時金は赤ちゃん1人につき50万円
- 2023年4月から50万円に増額(産科医療補償制度加入施設の場合)
- 双子なら100万円、三つ子なら150万円
2. 申請方法は3種類から選べる
- 直接支払制度(最もおすすめ・退院時の負担が少ない)
- 受取代理制度(小規模施設向け・事前申請が必要)
- 償還払い(産後申請・全額立替が必要)
3. 申請書の記入ポイント
- 保険証を見ながら正確に記入
- 自筆で署名する
- 添付書類を忘れずに
- 提出前にコピーを取る
4. 差額は必ず申請しよう
- 出産費用が50万円未満なら差額を受け取れる
- 出産後2〜3ヶ月で差額申請書が送られてくる
- 記入して返送するだけでOK
5. 申請期限は出産日の翌日から2年
- 期限内に必ず申請する
- 早めの申請がおすすめ
【最後に:あなたへのメッセージ】
出産は、人生の中でも特別なイベント。
でも、手続きのことを考えると、ちょっと不安になりますよね。
この記事を読んで、「なんだ、意外と簡単じゃん!」と思っていただけたら嬉しいです。
出産育児一時金の手続きは、決して難しくありません。一つずつ丁寧に進めていけば、必ず受け取ることができます。
わからないことがあったら、遠慮せずに保険者や医療機関に問い合わせてください。みんな優しく教えてくれますよ。
あなたの出産が、安心して迎えられますように。
そして、赤ちゃんとの新しい生活が、幸せなものになりますように。
この記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。
出産、頑張ってくださいね!応援しています!
【付録】お役立ち資料
よくある質問Q&A
Q1. 出産育児一時金は課税対象ですか?
A1. いいえ、出産育児一時金は非課税です。確定申告の必要もありません。
Q2. 流産・死産でも受け取れますか?
A2. はい、妊娠4ヶ月(85日)以上であれば、流産・死産の場合も受け取れます。ただし、妊娠22週未満の場合は48.8万円の支給となります。
Q3. 出産後に引っ越した場合、どこに申請すればいいですか?
A3. 出産時点で加入していた保険者に申請します。引っ越し後に別の保険に加入した場合でも、出産時に加入していた保険者から受け取ります。
Q4. 夫婦共働きの場合、どちらの保険から受け取るべきですか?
A4. 出産した妻が加入している保険から受け取ります。ただし、妻が夫の扶養に入っている場合は、夫の保険から受け取ります。
Q5. 直接支払制度を利用したのに、医療機関から全額請求された場合は?
A5. 医療機関に確認してください。直接支払制度の合意文書を取り交わしている場合、全額請求されることは通常ありません。何らかの手違いの可能性があります。
Q6. 申請を忘れていて、出産から1年経ってしまいました。もう受け取れませんか?
A6. 大丈夫です。申請期限は出産日の翌日から2年間なので、まだ間に合います。すぐに申請しましょう。
Q7. 帝王切開の場合、出産育児一時金は減額されますか?
A7. いいえ、帝王切開でも通常通り50万円(または48.8万円)が支給されます。さらに、医療保険が適用される部分については、高額療養費制度も利用できます。
Q8. 未婚のシングルマザーでも受け取れますか?
A8. はい、婚姻の有無に関係なく受け取れます。健康保険または国民健康保険に加入していれば対象です。
用語集
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 被保険者 | 健康保険や国民健康保険に加入している本人のこと |
| 被扶養者 | 被保険者に扶養されている家族(配偶者、子どもなど) |
| 保険者 | 健康保険を運営する団体(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村など) |
| 直接支払制度 | 保険者から医療機関に直接、出産育児一時金が支払われる制度 |
| 受取代理制度 | 事前に申請し、医療機関が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る制度 |
| 償還払い | 出産費用を全額支払った後、保険者に申請して払い戻しを受ける方法 |
| 産科医療補償制度 | 分娩に関連して重度脳性まひとなった赤ちゃんを補償する制度 |
| 高額療養費制度 | 医療費が高額になった場合、自己負担額を軽減する制度 |
| 付加給付 | 健康保険組合が独自に支給する追加の給付金 |
問い合わせ先一覧
【協会けんぽ】
- 公式サイト:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/
- 電話:各都道府県支部(保険証に記載されています)
【厚生労働省】
- 出産育児一時金について:厚生労働省公式サイト
【国民健康保険】
- お住まいの市区町村役場 国民健康保険窓口
【健康保険組合】
- 勤務先の人事・総務部門
- 各健康保険組合の窓口
ダウンロード可能な申請書リンク集
【協会けんぽ】
【国民健康保険】
- 各市区町村のウェブサイトからダウンロード(「○○市 出産育児一時金 申請書」で検索)
【健康保険組合】
- 各健康保険組合のウェブサイトからダウンロード
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
あなたと赤ちゃんの幸せを、心から願っています。
※この記事の情報は2025年10月時点のものです。制度は変更される場合がありますので、最新情報は厚生労働省や加入している保険者の公式サイトでご確認ください。

