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【2025年最新版】育児介護休業法 改正 2025年の全容|4月・10月施行の変更点と企業の対応を完全解説

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【2025年最新版】育児介護休業法 改正 2025年の全容|4月・10月施行の変更点と企業の対応を完全解説

【2025年最新版】育児介護休業法 改正 2025年の全容|4月・10月施行の変更点と企業の対応を完全解説

「育児介護休業法が2025年に大きく変わるって聞いたけど、うちの会社は何をすればいいの?」

そんな不安を抱えている人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。実は、2025年の育児介護休業法改正は、これまでの改正とは大きく異なり、全ての企業に新たな義務が課されることになります。

2024年5月31日に公布された改正育児介護休業法は、2025年4月1日と10月1日の2段階で施行されます。この改正により、子の看護休暇の対象が小学校3年生まで拡大され、3歳以上の子を持つ従業員には柔軟な働き方を選択できる権利が与えられるなど、働き方が大きく変わることになります。

本記事では、改正内容を詳しく解説するとともに、企業が取るべき対応を具体的にお伝えします。最後までお読みいただければ、法改正への不安が解消され、スムーズな対応ができるようになるはずです。

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1. 育児介護休業法 改正 2025年とは?改正の背景と目的

1.1 改正の背景にある2025年問題

今回の法改正の最大の背景は、いわゆる「2025年問題」です。2025年には、団塊の世代(約800万人)が75歳以上の後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎えます。

これにより何が起こるでしょうか?まず、介護を必要とする人が急増します。同時に、その介護を担う現役世代は、自身の子育てと親の介護の「ダブルケア」に直面することになります。実際、総務省の調査によると、ダブルケアを行う人は約25万人に上り、その8割が30代から40代の働き盛りの世代なんです。

さらに深刻なのは、年間約10万人が介護を理由に離職しているという現実です。これは企業にとっても、貴重な人材を失うことを意味します。特に管理職世代の離職は、組織運営に大きな影響を与えかねません。

一方で、育児の面でも課題があります。男性の育児休業取得率は2023年度で17.13%と上昇傾向にはあるものの、政府目標の30%にはまだ届いていません。また、女性の約半数が第一子出産後に離職しているという現実もあります。

こうした状況を改善し、誰もが仕事と家庭を両立できる社会を実現するために、今回の大規模な法改正が行われることになったのです。

1.2 改正法の3つの大きな柱

2025年の育児介護休業法改正は、大きく3つの柱で構成されています。

第1の柱:子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現

これまでの育児支援制度は、主に3歳未満の子を持つ労働者を対象としていました。しかし、実際には子どもが小学校に入学してからも、学童保育の時間制限や学校行事への参加など、仕事との両立に悩む親は多いですよね。

そこで今回の改正では、支援の対象を小学校就学前まで、一部は小学校3年生まで拡大しました。例えば、子の看護休暇は小学校3年生まで取得可能になり、残業免除も小学校就学前まで請求できるようになります。

さらに画期的なのは、3歳以上小学校就学前の子を持つ労働者に対して、企業は「柔軟な働き方を実現するための措置」を提供する義務が生じることです。テレワークや時差出勤など、5つの選択肢から2つ以上を用意し、労働者が選択できるようにしなければなりません。

第2の柱:育児休業取得状況の透明化

男性の育児参加を促進するため、常時雇用労働者300人超の企業は、男性の育児休業取得率を年1回公表することが義務付けられます。これまでは1,000人超の企業のみが対象でしたが、対象が大幅に拡大されることになります。

この公表義務により、企業は社会的な評価を意識せざるを得なくなり、男性の育休取得を積極的に推進することが期待されています。実際、先行して公表している企業では、「取得率が低いと採用活動に影響する」という声も聞かれます。

第3の柱:介護離職防止の強化

介護については、「制度があっても使われない」という課題がありました。多くの労働者が、介護休業制度の存在を知らなかったり、利用をためらったりしているのが現状です。

そこで今回の改正では、労働者が家族の介護に直面したことを申し出た際、企業は介護休業制度等について個別に周知し、利用意向を確認することが義務付けられます。「制度がありますよ」と待つのではなく、積極的に情報提供することで、介護離職を防ぐ狙いがあります。

1.3 施行スケジュール(2025年4月・10月の2段階)

改正法は、準備期間を考慮して2段階で施行されます。

【2025年4月1日施行】

  • 子の看護休暇の見直し(対象年齢・取得事由の拡大)
  • 介護休暇の取得要件緩和
  • 所定外労働の制限(残業免除)対象の拡大
  • テレワーク努力義務化(3歳未満の子を持つ労働者)
  • 育児休業取得状況の公表義務拡大(300人超企業)
  • 介護離職防止のための個別周知・意向確認義務化
  • 介護離職防止のための雇用環境整備義務化
  • 次世代育成支援対策推進法の有効期限延長(2035年3月31日まで)

【2025年10月1日施行】

  • 柔軟な働き方を実現するための措置の義務化
  • 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化

特に注意が必要なのは、10月施行の「柔軟な働き方を実現するための措置」です。この措置は、事前に労働者代表の意見聴取が必要となるため、早めの準備が欠かせません。

2. 【2025年4月施行】育児に関する5つの改正ポイント

2025年4月1日から、育児に関する制度が大きく変わります。ここでは、企業が必ず対応しなければならない5つのポイントを詳しく解説します。

2.1 子の看護休暇→子の看護等休暇への拡充

最も影響が大きい改正の一つが、子の看護休暇の大幅な拡充です。名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更されます。

【対象となる子の範囲の拡大】

項目 改正前 改正後(2025年4月〜)
対象年齢 小学校就学前まで 小学校3年生修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)
取得日数 年5日(子2人以上は10日) 年5日(子2人以上は10日)※変更なし
取得単位 1日または時間単位 1日または時間単位 ※変更なし

【取得事由の大幅拡大】

これまでは「病気・けがの看護」と「予防接種・健康診断」に限定されていましたが、新たに以下の事由が追加されます。

  • 感染症に伴う学級閉鎖等:インフルエンザや新型コロナウイルス等による学級閉鎖、学年閉鎖、休校時
  • 入園式・入学式への参加:保育園、幼稚園、小学校等の入園式・入学式
  • 卒園式への参加:保育園、幼稚園等の卒園式

「うちの会社は小さいし、そんなに休まれたら困る」と思われるかもしれません。しかし、この制度により、急な学級閉鎖で困っていた従業員が安心して働けるようになり、結果的に離職防止につながるというメリットもあるんです。

【労使協定による除外規定の変更】

重要な変更点として、勤続6ヶ月未満の労働者を除外することができなくなります。これまでは労使協定により除外できましたが、改正後は入社直後の従業員も取得可能になります。

除外できる労働者 改正前 改正後
勤続6ヶ月未満 除外可能 除外不可
週所定労働日数2日以下 除外可能 除外可能(変更なし)

2.2 残業免除(所定外労働の制限)対象の拡大

所定外労働の制限、いわゆる「残業免除」の対象が大幅に拡大されます。

【対象労働者の拡大】

  • 改正前:3歳に満たない子を養育する労働者
  • 改正後:小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者

これにより、子どもが3歳から6歳になるまでの期間も、労働者は残業免除を請求できるようになります。保育園のお迎え時間に間に合わせたい、学童保育の時間に合わせたいという親のニーズに応えるものです。

ただし、以下の場合は請求を拒むことができます。

  • 事業の正常な運営を妨げる場合
  • 日雇労働者からの請求
  • 労使協定により、入社1年未満の労働者を除外している場合

「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、例えば、その従業員以外に業務を遂行できる者がいない場合や、業務の性質上、その従業員が欠けると重大な支障が生じる場合などが該当します。ただし、単に「人手不足だから」という理由では認められません。

2.3 3歳未満の子を持つ労働者へのテレワーク努力義務化

3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務となります。

「努力義務だから対応しなくてもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、努力義務も法的な義務の一種です。全く検討しないというわけにはいきません。また、今後義務化される可能性もあるため、早めの対応が望ましいでしょう。

【テレワーク導入のメリット】

  • 通勤時間の削減により、保育園の送迎が楽になる
  • 子どもの急な体調不良時にも対応しやすい
  • 育児と仕事の両立がしやすくなり、離職防止につながる
  • 優秀な人材の確保・定着に寄与する

もちろん、製造業や接客業など、業務の性質上テレワークが困難な場合もあります。その場合は、代替措置として時差出勤制度の導入や、事業所内保育施設の設置などを検討することが求められます。

2.4 育児休業取得状況の公表義務拡大(300人超企業)

男性の育児休業取得率の公表義務が、常時雇用労働者1,000人超から300人超の企業に拡大されます。

【公表内容】

以下のいずれかを選択して公表:

  • 男性の育児休業等の取得率
  • 男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率

【公表時期・方法】

  • 年1回、事業年度終了後おおむね3ヶ月以内
  • インターネット等、一般の方が閲覧できる方法で公表
  • 厚生労働省の「両立支援のひろば」サイトでの公表を推奨

【計算方法の例】

育児休業取得率 = 育児休業を取得した男性労働者数 ÷ 配偶者が出産した男性労働者数 × 100

公表により、「うちの会社は育休取得率が低い」と見られることを心配される企業も多いでしょう。しかし、むしろこれを機会と捉え、男性の育休取得を推進することで、企業イメージの向上や人材確保につなげることができます。

2.5 次世代育成支援対策推進法の有効期限延長

次世代育成支援対策推進法の有効期限が、2025年3月31日から2035年3月31日まで10年間延長されます。

これにより、くるみん認定・プラチナくるみん認定制度も継続されます。認定を受けることで、以下のメリットがあります。

  • 企業イメージの向上
  • 優秀な人材の確保
  • 公共調達における加点評価
  • 日本政策金融公庫による低利融資

3. 【2025年4月施行】介護に関する4つの改正ポイント

介護離職は、企業にとって貴重な中核人材を失うリスクがあります。2025年4月からの改正では、介護離職を防ぐための制度が大幅に強化されます。

3.1 介護休暇の取得要件緩和

介護休暇についても、子の看護休暇と同様に、勤続6ヶ月未満の労働者を除外できなくなります

項目 改正前 改正後
勤続6ヶ月未満の除外 労使協定により除外可能 除外不可
週所定労働日数2日以下 労使協定により除外可能 除外可能(変更なし)
取得日数 年5日(対象家族2人以上は10日) 変更なし

親の介護は突然始まることが多いですよね。転職したばかりの従業員でも、入社直後から介護休暇を取得できるようになることで、安心して働き続けることができます。

3.2 介護離職防止のための雇用環境整備義務化

全ての事業主に、介護離職防止のための雇用環境整備が義務付けられます。具体的には、以下の措置のいずれかを講じる必要があります。

  1. 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
    • 全労働者を対象とすることが望ましい
    • 少なくとも管理職は必須
  2. 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談窓口の設置
    • 相談窓口の周知が必要
    • プライバシーに配慮した体制整備
  3. 自社の労働者の介護休業取得事例の収集・提供
    • 実際の取得事例を社内で共有
    • 取得しやすい雰囲気づくり
  4. 介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
    • トップメッセージの発信
    • 社内報やイントラネットでの周知

「どれを選べばいいか分からない」という場合は、まず相談窓口の設置から始めることをお勧めします。既存の人事部門や総務部門が窓口となることで、追加コストを抑えられます。

3.3 個別の周知・意向確認の義務化

これが今回の介護関連改正の最重要ポイントです。労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時、事業主は以下の対応が義務付けられます。

【周知すべき事項】

  1. 介護休業に関する制度(介護休業中・休業後の待遇、労働条件など)
  2. 介護休暇に関する制度
  3. 介護のための所定外労働の制限に関する制度
  4. 介護のための時間外労働の制限に関する制度
  5. 介護のための深夜業の制限に関する制度
  6. 介護のための所定労働時間の短縮等の措置
  7. 介護休業の申出先
  8. 雇用保険の介護休業給付に関すること
  9. 介護休業期間中の社会保険料の取扱い

【周知・意向確認の方法】

以下のいずれかの方法で実施:

  • 面談(オンライン可)
  • 書面交付
  • FAX(労働者が希望した場合のみ)
  • 電子メール等(労働者が希望した場合のみ)

ここで重要なのは、「申出があった時」という点です。労働者から「親が倒れた」「認知症の診断を受けた」などの申出があった際、速やかに対応する必要があります。

3.4 介護期のテレワーク努力義務化

介護のための所定労働時間の短縮等の措置として、テレワークも選択肢の一つとして明確化されました。

介護の場合、育児と異なり、通院の付き添いやケアマネジャーとの面談など、日中の一定時間だけ対応が必要なケースが多いです。テレワークなら、そうした時間を確保しながら仕事を続けることができます。

【介護期テレワークの活用例】

  • デイサービスの送迎時間に合わせた在宅勤務
  • 通院付き添い日の部分的なテレワーク
  • ケアマネジャーとの定期面談への対応
  • 遠距離介護における帰省時の業務継続

4. 【2025年10月施行】柔軟な働き方を実現するための措置

2025年10月から施行される「柔軟な働き方を実現するための措置」は、今回の改正の目玉といえる制度です。全ての企業に新たな義務が課されるため、早めの準備が必要です。

4.1 5つの選択肢から2つ以上の措置を義務化

3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対し、事業主は以下の5つの措置から2つ以上を選択して講じる必要があります。

措置の種類 具体的内容 要件・条件
1. 始業時刻等の変更 ・フレックスタイム制
・時差出勤制度
・始業終業時刻の繰上げ繰下げ
労働者が選択可能な複数パターンを用意
2. テレワーク等 ・在宅勤務
・サテライトオフィス勤務
月10労働日以上
原則時間単位で利用可能
3. 保育施設の設置運営等 ・事業所内保育施設
・ベビーシッター費用補助
・保育所との提携
実質的に利用可能な内容であること
4. 養育両立支援休暇 ・有給または無給の特別休暇
・子の看護等休暇とは別枠
年10日以上
原則時間単位で取得可能
5. 短時間勤務制度 ・1日の所定労働時間短縮
・週または月の所定労働時間短縮
原則1日6時間勤務を含む

「どの2つを選べばいいの?」と迷われる企業も多いでしょう。選択のポイントは、自社の業務特性と労働者のニーズを考慮することです。

4.2 各措置の詳細内容と要件

それぞれの措置について、詳しく見ていきましょう。

【1. 始業時刻等の変更】

最も導入しやすい措置の一つです。例えば、以下のような制度設計が考えられます。

  • 時差出勤制度の例
    • 通常勤務:9:00〜18:00
    • 早番:8:00〜17:00(保育園の送りを配偶者に任せられる)
    • 遅番:10:00〜19:00(保育園の送りを担当できる)

フレックスタイム制を導入する場合は、コアタイム(必ず勤務すべき時間帯)を設定し、その前後で柔軟に出退勤時刻を選択できるようにします。

【2. テレワーク等】

月10労働日以上利用可能にする必要がありますが、これは「月の半分程度」という意味です。完全在宅である必要はありません。

  • 週2〜3日の在宅勤務
  • 午前中は在宅、午後から出社などの組み合わせも可
  • 業務に支障がない範囲で柔軟に設定可能

【3. 保育施設の設置運営等】

大企業向けと思われがちですが、中小企業でも以下のような方法があります。

  • ベビーシッター利用補助:月1〜2万円程度の補助でも該当
  • 近隣保育所との提携:優先入所枠の確保など
  • 共同事業所内保育所:複数企業で共同設置・運営

【4. 養育両立支援休暇】

子の看護等休暇(年5日)とは別に、年10日以上の休暇を付与する制度です。

  • 学校行事参加のための休暇
  • 子どもの習い事の送迎のための休暇
  • PTA活動のための休暇

有給・無給は問いませんが、労働者が利用しやすいよう、有給とすることが推奨されています。

【5. 短時間勤務制度】

3歳未満対象の短時間勤務制度を、3歳以上にも拡大する形で対応可能です。

  • 1日6時間勤務(9:00〜16:00など)
  • 週4日勤務
  • 隔日勤務

4.3 労働者の選択権と事業主の義務

重要な点は、労働者が措置を選択できるということです。事業主が一方的に「あなたはテレワーク」と決めることはできません。

【労働者の選択プロセス】

  1. 事業主が2つ以上の措置を用意
  2. 労働者に各措置の内容を説明
  3. 労働者が希望する措置を選択
  4. 労使で話し合い、利用条件等を決定
  5. 措置の利用開始

また、職種や部署によって利用できない措置を設定してはいけません。例えば、「営業職はテレワーク不可」といった一律の制限は認められません。個別の業務内容を検討し、可能な範囲で対応する必要があります。

4.4 個別周知・意向確認の実施方法

事業主は、子が3歳になるまでの適切な時期(具体的には、3歳の誕生日の1ヶ月前までの1年間)に、個別に周知と意向確認を行う必要があります。

【周知すべき内容】

  • 選択可能な措置の種類と内容
  • 申出の方法と期限
  • 利用可能な期間
  • 給与・賞与等の取扱い
  • 措置利用中の評価・昇進への影響(不利益取扱いは禁止)

【実施方法】

  • 面談(推奨):対面またはオンラインで実施
  • 書面交付:詳細な説明資料を作成し交付
  • 電子メール等:労働者が希望した場合のみ

面談を実施する場合の進め方の例:

  1. 「お子さんが来年3歳になられますね。その後の働き方について相談したいのですが」
  2. 利用可能な2つ(以上)の措置を詳しく説明
  3. 「どちらの制度を利用されたいですか?」と意向確認
  4. 利用希望がある場合、具体的な利用方法を相談
  5. 面談記録を作成し、双方で保管

5. 【2025年10月施行】仕事と育児の両立に関する個別対応

2025年10月からは、さらにきめ細やかな個別対応が義務付けられます。これは、労働者一人ひとりの事情に寄り添った支援を実現するための制度です。

5.1 妊娠・出産申出時の意向聴取

労働者から本人または配偶者の妊娠・出産の申出があった時、事業主は仕事と育児の両立に関する意向を個別に聴取する必要があります。

【聴取すべき事項】

  1. 育児休業の取得意向
    • 取得希望の有無
    • 希望する取得時期と期間
    • 分割取得の希望
  2. 勤務時間帯に関する希望
    • 時短勤務の利用意向
    • 時差出勤の希望
    • 深夜業免除の必要性
  3. 勤務地に関する希望
    • 転勤の可否
    • 在宅勤務の希望
    • 通勤時間への配慮の必要性
  4. 業務内容・業務量の調整
    • 現在の業務継続の可否
    • 業務量の調整希望
    • 担当変更の必要性

「プライベートなことまで聞いていいの?」と心配される方もいるでしょう。しかし、これは労働者を支援するための聴取です。強制ではなく、あくまで希望を聞くというスタンスが大切です。

5.2 子が3歳になるまでの適切な時期の対応

子の3歳の誕生日の1ヶ月前までの1年間に、再度意向聴取を行います。これは、前述の「柔軟な働き方を実現するための措置」の選択と合わせて実施します。

【この時期に聴取する理由】

  • 3歳を境に利用できる制度が変わる
  • 保育園から幼稚園への移行を検討する時期
  • 第2子の妊娠・出産を考える時期
  • キャリアプランを見直す時期

具体的には、以下のような内容を聴取します。

  • 現在の両立支援制度の利用状況と満足度
  • 3歳以降の働き方の希望
  • キャリアアップの意向
  • 第2子以降の予定(聴取は慎重に)

5.3 配慮義務の具体的内容

意向聴取の結果を踏まえ、事業主は労働者の意向に配慮する義務があります。ただし、「配慮」であって「希望を全て叶える」ことまでは求められていません。

【配慮の具体例】

労働者の意向 配慮の例
残業を減らしたい ・定時退社日の設定
・業務の再配分
・残業免除制度の利用案内
在宅勤務をしたい ・テレワーク制度の整備
・必要機器の貸与
・セキュリティ環境の整備
転勤を避けたい ・転勤猶予制度の適用
・地域限定職への転換
・配偶者の勤務地への配慮
キャリアを維持したい ・時短でも責任ある業務を担当
・研修機会の確保
・メンター制度の活用

【配慮が難しい場合の対応】

業務上の理由で希望に応えられない場合も、以下の対応が必要です。

  1. 理由の説明:なぜ対応できないかを丁寧に説明
  2. 代替案の提示:可能な範囲での代替案を提案
  3. 将来的な見通し:いつなら対応可能かを検討
  4. 定期的な見直し:状況が変わったら再検討

重要なのは、労働者との対話を重視することです。一方的に「無理です」と断るのではなく、どうすれば両立できるかを一緒に考える姿勢が求められます。

6. 企業が取るべき実務対応【チェックリスト付き】

ここからは、企業が具体的に何をすべきか、実務レベルで解説します。「何から手をつければいいか分からない」という企業も、このチェックリストに沿って進めれば、確実に対応できます。

6.1 就業規則の改定ポイント

まず最優先で取り組むべきは、就業規則の改定です。2025年4月1日の施行に間に合わせるため、遅くとも2025年2月中には改定作業を開始しましょう。

【改定が必要な主な条文】

改定項目 改定内容 施行日
子の看護等休暇 ・名称変更(看護→看護等)
・対象年齢を小学3年生まで拡大
・取得事由の追加
・勤続6ヶ月要件の削除
2025年4月1日
介護休暇 ・勤続6ヶ月要件の削除 2025年4月1日
所定外労働の制限 ・対象を小学校就学前まで拡大 2025年4月1日
テレワーク ・3歳未満の子を持つ労働者への努力義務 2025年4月1日
柔軟な働き方措置 ・2つ以上の措置を新設 2025年10月1日

【子の看護等休暇の規定例】

第○条(子の看護等休暇)

1. 小学校第3学年修了前の子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、もしくは疾病にかかった当該子の世話をするため、または当該子に予防接種や健康診断を受けさせるため、感染症に伴う学級閉鎖等により当該子の世話をするため、当該子の入園式、入学式、卒園式に参加するために、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護等休暇を取得することができる。

2. 前項の休暇は、時間単位で取得することができる。

6.2 労使協定の見直し事項

労使協定も見直しが必要です。特に、除外規定に関する部分は必ず改定してください。

【改定が必要な労使協定】

  • 育児・介護休業等に関する労使協定
  • 子の看護等休暇に関する労使協定
  • 介護休暇に関する労使協定

【削除すべき文言】

「次の従業員からの子の看護休暇/介護休暇の申出は拒むことができる」

一 入社6ヶ月未満の従業員 ←この部分を削除

二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

労使協定の改定は、労働者代表との協議が必要です。早めに労働組合や従業員代表に改定案を提示し、意見交換を始めましょう。

6.3 社内周知と研修の実施

制度を整備しても、従業員が知らなければ意味がありません。効果的な周知方法を実施しましょう。

【周知方法の例】

  1. 全社説明会の開催
    • 改正内容の説明
    • 利用方法の案内
    • Q&Aセッション
  2. 管理職研修の実施
    • 部下からの相談対応方法
    • 不利益取扱いの禁止
    • 業務調整の方法
  3. 社内イントラネット・掲示板での周知
    • 制度概要の掲載
    • 申請フローの明示
    • よくある質問の掲載
  4. ハンドブック・リーフレットの作成
    • 制度一覧表
    • 利用事例の紹介
    • 相談窓口の案内

【管理職研修で伝えるべきポイント】

  • 「制度利用は労働者の権利」という認識
  • 制度利用を理由とした不利益取扱いは違法
  • 「みんな忙しいから」は断る理由にならない
  • 代替要員の確保は会社の責任
  • 制度利用者へのハラスメントは厳禁

6.4 申請書類・様式の整備

新しい制度に対応した申請書類を準備する必要があります。厚生労働省のモデル様式を参考にしながら、自社用にカスタマイズしましょう。

【準備すべき書類】

書類名 改定ポイント
子の看護等休暇申請書 ・名称変更
・取得事由の選択肢追加
・対象年齢の記載欄変更
介護休暇申請書 ・勤続期間の確認欄削除
所定外労働制限申請書 ・対象年齢の拡大に対応
柔軟な働き方措置申請書 ・新規作成
・選択した措置の記載欄
個別周知・意向確認記録票 ・新規作成
・面談記録用

6.5 公表義務への対応準備

常時雇用労働者300人超の企業は、男性育休取得率の公表準備が必要です。

【公表までのスケジュール例(3月決算企業の場合)】

  1. 2025年4月~2026年3月:対象期間のデータ収集
  2. 2026年4月~5月:データ集計・取得率計算
  3. 2026年6月末まで:公表(3ヶ月以内)

【必要なデータ】

  • 配偶者が出産した男性労働者数
  • 育児休業を取得した男性労働者数
  • 育児目的休暇を取得した男性労働者数(該当する場合)

【公表方法】

  • 自社ホームページ(推奨)
  • 厚生労働省「両立支援のひろば」サイト
  • CSR報告書、統合報告書

7. 業種別・規模別の対応ポイント

企業規模や業種によって、対応すべきポイントは異なります。ここでは、それぞれの特性に応じた対策を解説します。

7.1 300人超企業の追加義務

常時雇用労働者が300人を超える企業には、一般企業にはない追加の義務があります。

【300人超企業の追加義務】

  • 男性育休取得率の公表義務(2025年4月~)
  • 次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出義務(従来から)
  • 女性活躍推進法に基づく情報公表義務(従来から)

これらの企業は、コンプライアンス体制をより強化する必要があります。

【300人超企業の対応策】

  1. 専門チームの設置
    • ダイバーシティ推進室の設置
    • 両立支援担当者の配置
    • 外部専門家(社労士等)との連携
  2. データ管理システムの構築
    • 育休取得者の管理システム
    • 自動集計機能の導入
    • リアルタイムでの取得率把握
  3. 経営層のコミットメント
    • トップメッセージの発信
    • 役員の育休取得推進
    • KPIとしての位置づけ

7.2 中小企業の対応策

中小企業は、限られたリソースで対応する必要があります。しかし、「うちは小さいから無理」と諦める必要はありません。工夫次第で、大企業以上に柔軟な対応が可能です。

【中小企業の強み】

  • 意思決定が早い
  • 従業員一人ひとりの事情を把握しやすい
  • 柔軟な制度設計が可能
  • 家族的な雰囲気で相談しやすい

【中小企業向けの実践的対策】

  1. シンプルな制度設計
    • 複雑な制度は避け、分かりやすさを重視
    • 申請手続きの簡素化
    • 口頭での相談も可とする
  2. 多能工化の推進
    • 複数の業務をこなせる人材育成
    • 休業者が出ても対応できる体制
    • チーム制での業務遂行
  3. 外部リソースの活用
    • 商工会議所の相談窓口
    • 労働局の無料相談
    • 助成金の活用(両立支援等助成金など)
  4. 柔軟な働き方措置の選択例
    • 時差出勤+養育両立支援休暇:コストを抑えて対応可能
    • 時差出勤+短時間勤務:既存制度の活用

7.3 テレワークが難しい業種の代替措置

製造業、建設業、医療・介護、小売・サービス業など、テレワークの導入が難しい業種でも、他の措置で対応できます。

【業種別の推奨措置】

業種 推奨される措置の組み合わせ 具体例
製造業 時差出勤+短時間勤務 ・早番/遅番シフト
・6時間勤務の選択制
建設業 始業時刻変更+養育休暇 ・現場に合わせた時間調整
・月1~2日の特別休暇
医療・介護 シフト調整+保育支援 ・日勤固定シフト
・院内保育所の設置
小売・サービス シフト希望制+短時間勤務 ・希望シフトの優先
・パート転換と正社員復帰保証
運輸業 勤務地限定+養育休暇 ・近距離配送限定
・学校行事用特別休暇

重要なのは、「できない理由」を探すのではなく、「どうすればできるか」を考えることです。

7.4 製造業・サービス業別の実践例

実際の企業での取り組み例を紹介します。

【製造業A社(従業員500名)の事例】

課題:生産ラインでの勤務のため、テレワークは不可能

対策:

  1. フレックスタイム制の導入
    • コアタイム:10:00~15:00
    • 生産ライン稼働時間内で調整
  2. 事業所内託児所の設置
    • 近隣企業3社と共同運営
    • コスト分担で負担軽減

結果:女性の離職率が30%から10%に減少

【サービス業B社(従業員50名)の事例】

課題:店舗営業のため固定シフトが必要

対策:

  1. シフト希望制度の充実
    • 月3日まで希望休を確約
    • 土日どちらか必ず休み
  2. 養育両立支援休暇(有給)
    • 年10日付与
    • 時間単位取得可

結果:従業員満足度が向上し、採用応募者が2倍に

8. 違反時の罰則と行政指導

法改正への対応を怠った場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。「罰則があるなら怖い」と思われるかもしれませんが、適切に対応していれば心配はありません。

8.1 厚生労働大臣による指導・勧告

育児介護休業法違反に対しては、段階的な行政指導が行われます。

【行政指導の流れ】

  1. 報告の徴収(法第56条)
    • 労働局から報告を求められる
    • 必要書類の提出要請
    • 立入検査の実施
  2. 助言・指導(法第56条)
    • 改善すべき点の指摘
    • 是正方法のアドバイス
    • 改善計画の提出要請
  3. 勧告(法第56条)
    • 指導に従わない場合に発出
    • 具体的な是正措置の指示
    • 期限を定めた改善要求
  4. 企業名公表(法第56条の2)
    • 勧告に従わない場合
    • 厚生労働省HPで公表
    • 社会的信用の失墜

実際には、いきなり企業名公表されることはありません。段階的な指導があるので、その都度真摯に対応すれば問題ありません。

8.2 企業名公表のリスク

企業名公表は、最も重いペナルティです。公表されることで生じるリスクは計り知れません。

【企業名公表による影響】

  • 採用活動への影響:優秀な人材が集まらない
  • 取引への影響:コンプライアンス違反として取引停止も
  • 株価への影響:上場企業の場合、株価下落リスク
  • 従業員のモチベーション低下:離職者の増加
  • ブランドイメージの毀損:消費者離れ

ただし、企業名公表に至るケースは極めて稀です。多くの企業は、助言・指導の段階で改善しています。

8.3 過料(20万円以下)の対象行為

以下の行為には、20万円以下の過料が科される可能性があります。

違反行為 根拠条文 過料の額
報告をせず、または虚偽の報告をした場合 法第58条 20万円以下
立入検査を拒み、妨げ、忌避した場合 法第58条 20万円以下
育休取得状況の公表義務違反(300人超企業) 法第58条 20万円以下

「20万円なら払えばいい」と考えるのは危険です。過料を科されるということは、法令違反企業として記録に残ります。

8.4 不利益取扱いの禁止

制度利用を理由とした不利益取扱いは、厳格に禁止されています。違反した場合、民事上の責任を問われる可能性があります。

【禁止される不利益取扱いの例】

  • 解雇
  • 雇止め
  • 契約更新回数の制限
  • 退職勧奨
  • 正社員からパートへの契約変更強要
  • 降格・降職
  • 減給・賞与の不支給
  • 人事評価での不当な低評価
  • 不本意な配置転換
  • 仕事を与えない

【マタハラ・パタハラ・ケアハラ防止】

制度利用に関するハラスメントも禁止されています。

  • マタハラ(マタニティハラスメント):妊娠・出産・育休取得への嫌がらせ
  • パタハラ(パタニティハラスメント):男性の育休取得への嫌がらせ
  • ケアハラ(ケアハラスメント):介護休業取得への嫌がらせ

「男のくせに育休なんて」「この忙しい時期に妊娠なんて」といった発言は、ハラスメントに該当し、企業も使用者責任を問われます。

9. よくある質問(Q&A)30選

企業の人事担当者や労働者から寄せられる質問を、カテゴリー別にまとめました。

9.1 改正内容に関する質問

Q1. 子の看護等休暇の「学級閉鎖」には、学年閉鎖や休校も含まれますか?

A. はい、含まれます。感染症による学級閉鎖、学年閉鎖、休校、登園自粛要請などすべてが対象です。

Q2. 子の看護等休暇は有給にしなければいけませんか?

A. 法律上は無給でも構いません。ただし、有給にすることで利用促進や従業員満足度向上につながります。

Q3. 300人の数え方は正社員だけですか?

A. いいえ。パート・アルバイトも含めた「常時雇用する労働者」の数です。ただし、日雇労働者は含みません。

Q4. 柔軟な働き方措置は、必ず2つ選ばないといけませんか?

A. はい。5つの選択肢から最低2つ以上を選択し、労働者が利用できるようにする必要があります。

Q5. テレワークは完全在宅でなければいけませんか?

A. いいえ。月10労働日以上利用可能であればよく、週2~3日の在宅勤務でも要件を満たします。

9.2 実務対応に関する質問

Q6. 就業規則の変更はいつまでに行えばいいですか?

A. 2025年4月1日施行分は3月31日までに、10月1日施行分は9月30日までに変更する必要があります。

Q7. 労使協定も変更が必要ですか?

A. はい。特に勤続6ヶ月未満の除外規定を設けている場合は、必ず変更が必要です。

Q8. 個別周知はメールでもいいですか?

A. 労働者が希望した場合はメールでも可能ですが、面談での実施が推奨されています。

Q9. 男性育休取得率が0%だった場合も公表しなければいけませんか?

A. はい。300人超企業は取得率が0%でも公表義務があります。

Q10. 派遣労働者も対象になりますか?

A. 派遣労働者は派遣元の制度が適用されます。派遣先では常時雇用労働者数にカウントしません。

9.3 労働者からの質問

Q11. パートでも子の看護等休暇は取れますか?

A. はい。週所定労働日数が3日以上のパート労働者は取得できます。

Q12. 入社してすぐでも介護休暇は取れるようになるのですか?

A. はい。2025年4月以降は、入社直後から取得可能になります。

Q13. 残業免除を請求したら、評価が下がりませんか?

A. 制度利用を理由とした不利益な評価は法律で禁止されています。

Q14. 夫婦で同じ会社の場合、両方が制度を使えますか?

A. はい。夫婦それぞれが制度を利用できます。

Q15. 養子や里子も対象になりますか?

A. はい。法律上の親子関係があれば、実子と同様に対象となります。

Q16. 祖父母の介護でも介護休暇は取れますか?

A. はい。配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が対象です。

Q17. 時短勤務中でも賞与はもらえますか?

A. 賞与の支給は会社の規定によりますが、勤務時間に応じた支給が一般的です。

Q18. 子の看護等休暇を時間単位で取る場合、1日何時間まで取れますか?

A. 1日の所定労働時間分まで取得できます。8時間勤務なら8時間分です。

Q19. 学童保育のお迎えのために毎日30分早く帰れますか?

A. 柔軟な働き方措置で時短勤務や時差出勤を選択すれば可能です。

Q20. 男性も育休を取りやすくなりますか?

A. はい。取得率公表により、企業も積極的に推進するようになると期待されます。

9.4 経営者からの質問

Q21. 小規模企業でも全て対応しなければいけませんか?

A. はい。企業規模に関わらず対応が必要です。ただし、公表義務は300人超企業のみです。

Q22. 制度を作っても使われなかった場合、問題になりますか?

A. 制度を整備し、適切に周知していれば、利用実績がなくても問題ありません。

Q23. 業務に支障が出る場合、申請を断れますか?

A. 「事業の正常な運営を妨げる場合」は断れますが、厳格に判断されます。

Q24. 代替要員の人件費に補助金はありますか?

A. 両立支援等助成金など、条件を満たせば受給できる助成金があります。

Q25. 違反したらすぐに罰則を受けますか?

A. いきなり罰則ではなく、まず助言・指導があります。改善すれば問題ありません。

Q26. 就業規則の変更は社労士に依頼すべきですか?

A. 複雑な改正なので、専門家に相談することをお勧めします。

Q27. 従業員への周知はどの程度必要ですか?

A. 全従業員が制度を理解できるよう、説明会や資料配布などを行ってください。

Q28. テレワーク環境整備の費用は会社負担ですか?

A. 一般的には会社負担ですが、労使で協議して決めることができます。

Q29. 管理職も残業免除を請求できますか?

A. 管理監督者でも、子の養育のための残業免除は請求できます。

Q30. いつから準備を始めるべきですか?

A. 今すぐ始めてください。特に10月施行分は事前の意見聴取が必要なので、早めの準備が必要です。

10. まとめ:スムーズな法改正対応のために

2025年の育児介護休業法改正について、詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいし、今後のアクションプランをご提案します。

改正の本質を理解する

今回の法改正は、単なる規制強化ではありません。少子高齢化という日本の構造的課題に対応し、誰もが働き続けられる社会を実現するための改革です。

企業にとっても、以下のメリットがあります。

  • 優秀な人材の確保・定着:働きやすい職場として選ばれる
  • 生産性の向上:モチベーションの高い従業員が増える
  • 企業イメージの向上:社会的責任を果たす企業として評価
  • イノベーションの促進:多様な人材が活躍することで新しいアイデアが生まれる

今すぐ始めるべき5つのアクション

  1. 現状把握(2025年1月中)
    • 現行の就業規則・労使協定の確認
    • 対象となる従業員数の把握
    • 利用実績の確認
  2. 改正案の作成(2月中)
    • 就業規則の改定案作成
    • 労使協定の見直し案作成
    • 申請書類の準備
  3. 労使協議(3月上旬)
    • 労働者代表への説明
    • 意見聴取の実施
    • 最終案の確定
  4. 周知・研修(3月中旬~下旬)
    • 管理職研修の実施
    • 全体説明会の開催
    • 相談窓口の設置
  5. 運用開始(4月1日~)
    • 新制度の運用開始
    • 問題点の把握と改善
    • 10月施行分の準備開始

成功のための3つの心構え

1. 「コスト」ではなく「投資」と考える

確かに、制度導入には一定のコストがかかります。しかし、離職による採用・教育コストを考えれば、両立支援は効率的な投資です。

2. 「完璧」を求めすぎない

最初から完璧な制度を作る必要はありません。まずはスタートし、運用しながら改善していけばよいのです。

3. 「対話」を大切にする

制度は作って終わりではありません。労働者との対話を通じて、より良い制度に育てていくことが重要です。

よくある失敗とその対策

【失敗例1】形だけの制度整備

  • 問題点:就業規則は変えたが、誰も制度を知らない
  • 対策:継続的な周知活動、利用事例の共有

【失敗例2】管理職の理解不足

  • 問題点:「うちの部署は忙しいから無理」という拒否
  • 対策:管理職研修の徹底、トップメッセージの発信

【失敗例3】利用者への嫌がらせ

  • 問題点:制度利用者が職場で孤立する
  • 対策:ハラスメント防止研修、相談窓口の設置

専門家の活用のすすめ

今回の改正は複雑で、対応事項も多岐にわたります。自社だけで対応するのが難しい場合は、遠慮なく専門家を活用しましょう。

【相談できる専門家・機関】

  • 社会保険労務士:就業規則の改定、労務管理全般
  • 労働局雇用環境・均等部(室):無料相談、助言指導
  • 都道府県労働相談窓口:労使トラブルの相談
  • 商工会議所・商工会:中小企業向け支援
  • 働き方改革推進支援センター:無料の専門家派遣

未来を見据えた制度設計を

2025年の法改正は、ゴールではなくスタートです。今後も以下のような変化が予想されます。

  • 男性育休取得の義務化
  • 介護休業期間の延長
  • テレワークの権利化
  • 週休3日制の導入促進

こうした変化を見据え、柔軟で持続可能な制度設計を心がけましょう。

最後に:ピンチをチャンスに変える

「法改正対応は大変だ」と感じるのは当然です。しかし、この機会を前向きに捉えることで、企業は大きく成長できます。

実際、先進的に両立支援に取り組んできた企業では、以下のような成果が報告されています。

  • 離職率の大幅低下(30%→5%)
  • 採用応募者数の増加(2倍以上)
  • 従業員満足度の向上(20ポイント上昇)
  • 業績の向上(売上10%増)

これらの企業に共通するのは、「やらされる」のではなく「やる」という姿勢です。

2025年の育児介護休業法改正を、自社が「選ばれる企業」になるための絶好の機会と捉え、積極的に取り組んでいきましょう。

改正対応チェックリスト

最後に、改正対応のためのチェックリストをご用意しました。このリストを活用して、漏れなく対応を進めてください。

【2025年4月1日施行分チェックリスト】

  • □ 子の看護休暇→子の看護等休暇への名称変更
  • □ 対象年齢を小学3年生まで拡大(規程改定)
  • □ 取得事由の追加(学級閉鎖、入学式等)
  • □ 勤続6ヶ月要件の削除(子の看護等休暇)
  • □ 勤続6ヶ月要件の削除(介護休暇)
  • □ 労使協定の見直し
  • □ 所定外労働制限の対象拡大
  • □ テレワーク規程の検討(努力義務)
  • □ 介護離職防止の環境整備(研修or相談窓口等)
  • □ 介護の個別周知・意向確認体制の構築
  • □ 申請書類の改定
  • □ 管理職研修の実施
  • □ 全従業員への周知
  • □ 300人超企業:男性育休取得率の集計準備

【2025年10月1日施行分チェックリスト】

  • □ 柔軟な働き方措置の選定(5つから2つ以上)
  • □ 労働者代表への事前意見聴取
  • □ 選択した措置の詳細設計
  • □ 就業規則への反映
  • □ 個別周知・意向確認の手順書作成
  • □ 意向聴取シートの作成
  • □ 配慮事項の検討
  • □ 制度利用申請フローの構築
  • □ システム・勤怠管理の対応
  • □ 予算の確保

お問い合わせ先

法改正について不明な点がある場合は、以下にお問い合わせください。

【都道府県労働局雇用環境・均等部(室)】

各都道府県に設置されています。無料で相談できます。

受付時間:平日8:30~17:15

【厚生労働省ホームページ】

最新情報、モデル就業規則、Q&Aなどが掲載されています。

「育児・介護休業法について」で検索

【両立支援のひろば】

企業の両立支援の取組事例、助成金情報などが確認できます。


本記事は2025年9月時点の情報に基づいて作成されています。
法令の解釈や運用については、必ず最新の情報をご確認ください。

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