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育児介護休業法による所定外労働の制限について【2025年改正対応】申請方法・対象者・企業対応を完全解説

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育児介護休業法による所定外労働の制限について【2025年改正対応】申請方法・対象者・企業対応を完全解説

育児介護休業法による所定外労働の制限について【2025年改正対応】申請方法・対象者・企業対応を完全解説

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1. 育児介護休業法における所定外労働の制限とは

育児介護休業法における所定外労働の制限とは、簡単に言うと「残業をしなくてもよい制度」のことです。小さなお子さんを育てている方や、ご家族の介護をされている方にとって、この制度は本当に心強い味方になります。

「仕事も大切だけど、家族との時間も大切にしたい」そう思われる方は多いのではないでしょうか。特に、育児や介護をされている方は、時間的な制約が多く、毎日が本当に大変ですよね。

所定外労働とは、会社が定めた所定労働時間を超えて働くこと、つまり残業のことを指します。例えば、9時から17時までが所定労働時間の会社で、19時まで働いた場合、17時から19時までの2時間が所定外労働時間になります。

この制度の最も重要なポイントは、労働者が請求すれば事業主は原則として残業を免除しなければならないということです。つまり、あなたから「残業を免除してください」と申し出れば、会社は基本的にそれを受け入れる義務があるのです。

制度の対象となるのは、育児の場合と介護の場合があります。育児については3歳未満の子を養育する労働者が対象でしたが、2025年4月の法改正により小学校就学前の子まで拡大されることになりました。介護については、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が対象となります。

この制度は、働き方改革の一環として位置づけられており、仕事と家庭生活の両立支援を目的としています。厚生労働省の調査によると、育児や介護を理由に離職する方の数は依然として多く、こうした制度の活用が社会全体の課題となっています。

実際の職場では「申請しづらい雰囲気がある」「上司に理解してもらえない」といった声も聞かれますが、これは法律で保障された権利であることを理解しておくことが大切です。

2. 2025年4月改正のポイントと変更内容

2025年4月1日から施行される育児介護休業法の改正は、子育て世代の働き方を大きく変える重要な変更です。「これまでの制度では十分ではない」という現場の声を受けて、より使いやすい制度に生まれ変わりました。

最も大きな変更点は、育児による所定外労働制限の対象年齢の拡大です。これまでは「3歳に満たない子」を養育する労働者が対象でしたが、改正後は「小学校就学前の子」まで拡大されます。つまり、お子さんが6歳になって小学校に入学するまでの間は、残業免除を請求することができるようになるのです。

なぜこの改正が行われたのでしょうか。小学校入学前の子どもは、まだまだ親のサポートが必要な時期です。保育園や幼稚園の送迎、急な発熱での呼び出し、行事への参加など、3歳以降でも育児負担は決して軽くありません。特に、小学校入学を控えた時期は、学校見学や入学準備など、新たな負担も生じます。

項目 改正前(~2025年3月) 改正後(2025年4月~)
対象となる子の年齢 3歳に満たない子 小学校就学前の子(6歳まで)
対象期間の拡大 約3年間 約6年間
施行日 2025年4月1日

この改正により、より多くの労働者がワークライフバランスを実現できるようになります。特に、共働き世帯にとっては非常に大きなメリットとなるでしょう。夫婦のどちらか一方、または両方が制度を利用することで、家庭での役割分担もしやすくなります。

企業側にとっても、この改正は重要な意味を持ちます。制度の対象者が拡大されることで、人事労務管理の見直しが必要になります。特に、就業規則や育児介護休業規程の改定は必須となり、2025年4月までに準備を完了させる必要があります。

改正の背景には、少子高齢化社会における労働力確保の課題もあります。優秀な人材の流出を防ぎ、長期的な人材育成を図るためにも、こうした制度の充実は企業にとってもメリットがあるのです。

なお、この改正は2024年5月24日に成立した「育児・介護休業法等の一部を改正する法律」に基づくものです。厚生労働省では、改正内容の周知を図るため、各種説明会やリーフレットの配布を行っています。

3. 育児による所定外労働制限の詳細

3.1 対象となる労働者の条件

育児による所定外労働制限を利用できる労働者には、いくつかの条件があります。まず理解しておきたいのは、「この制度は働く親すべてが使える」ということです。正社員だけでなく、パートタイマーや契約社員の方も対象となります。

基本的な対象者は、2025年4月1日以降は「小学校就学前の子を養育する労働者」です。ここでいう「養育」とは、実子だけでなく養子も含みます。また、法律上の親子関係がある場合はもちろん、事実上養育している場合も対象となります。

具体的には、以下のような方が対象となります:

  • 生後から小学校就学前までの実子を養育している労働者
  • 養子縁組により小学校就学前の養子を養育している労働者
  • 配偶者の連れ子を事実上養育している労働者
  • 特別養子縁組の成立前でも監護期間中の労働者

ただし、労使協定を締結した場合、以下の労働者は制度の対象外とすることができます:

除外対象者 条件
勤続期間が短い労働者 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満
所定労働日数が少ない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下

この労使協定による除外規定は、企業の運営上の都合を考慮したものですが、安易に除外するべきではありません。特に勤続期間については、転職直後でお子さんがいる方などは不利になる可能性があるため、労使間での十分な話し合いが重要です。

また、雇用形態による制限はありません。正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者など、すべての雇用形態の労働者が対象となります。ただし、派遣労働者の場合は、派遣元企業に対して請求することになります。

「うちの会社は小さいから制度がないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、企業規模に関係なく、すべての事業主に義務づけられた制度です。従業員が1人でも該当者がいれば、事業主は対応しなければなりません。

3.2 申請方法と必要書類

所定外労働制限の申請方法について、「どうやって申し出ればいいの?」と不安に思われる方も多いでしょう。手続き自体はそれほど複雑ではありませんが、適切な方法で行うことが大切です。

申請は書面で行うのが原則です。口頭での申出も法的には有効ですが、後々のトラブルを避けるため、書面での申請をお勧めします。申請書には以下の内容を記載する必要があります:

  • 労働者の氏名
  • 養育する子の氏名、生年月日、続柄
  • 制限を開始したい日
  • 制限を終了する予定日

申請のタイミングですが、制限を開始したい日の1ヶ月前までに申し出ることが望ましいとされています。ただし、法律上は特定の期限は定められていないため、急な事情がある場合はできる限り早めに申し出ましょう。

必要書類については、多くの場合、子の出生証明書や住民票など、親子関係を証明する書類の提出を求められます。ただし、既に育児休業を取得しており、会社が子の存在を把握している場合は、改めて書類提出を求められないこともあります。

申請書の様式は、会社が独自に定めている場合もあれば、厚生労働省のひな形を使用している場合もあります。会社に様式がない場合は、厚生労働省のWebサイトからダウンロードすることができます。

申請の流れは以下のとおりです:

  1. 人事担当者または直属の上司に制度利用の意向を伝える
  2. 必要な申請書を入手し、記入・提出
  3. 必要に応じて証明書類を添付
  4. 会社での審査・承認
  5. 制限開始日の確定と通知

申請時に気をつけたいのは、制限期間の設定です。「とりあえず1年間」ではなく、実際の育児状況を考慮して適切な期間を設定しましょう。期間の延長や短縮も可能ですが、その都度申請手続きが必要になります。

もし会社から申請を拒否されたり、不当な扱いを受けたりした場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談することができます。法律で定められた権利ですので、遠慮せずに相談しましょう。

3.3 制限期間と範囲

所定外労働制限の期間と範囲について、具体的にどのような制限が受けられるのかを詳しく説明します。まず理解しておきたいのは、「所定外労働」とは何かということです。

所定外労働とは、就業規則等で定められた所定労働時間を超える労働のことです。例えば、あなたの会社の所定労働時間が9時から17時(休憩1時間)の7時間だった場合、17時以降の労働がすべて所定外労働になります。

制限の内容は非常にシンプルです。制限期間中は、会社はあなたに残業を命じることができません。つまり、定時で帰宅することが保障されるのです。これは、どんなに忙しい時期であっても、緊急事態であっても同様です。

制限期間については、労働者が自由に設定できます。育児の状況に応じて、以下のような期間設定が可能です:

設定例 期間 適用場面
育児休業復帰直後 3ヶ月~6ヶ月 職場復帰への慣れ期間
保育園入園前 1年間 家庭保育期間
小学校入学準備期 6ヶ月~1年 入学前の準備期間
継続的な制限 小学校就学前まで 長期的な育児サポート

制限の開始日についても、労働者が決めることができます。例えば、育児休業から復帰する日から開始することもできますし、保育園の入園が決まらなかった時点から開始することも可能です。

重要なのは、この制限は「所定外労働」にのみ適用されるということです。所定労働時間内の労働については、通常どおり勤務する必要があります。また、出張や転勤についても、この制度とは別の規定になりますので、注意が必要です。

制限期間中でも、労働者が自ら残業を申し出ることは可能です。例えば、「今日は家族に子どもを見てもらえるので、少し残業してもいいです」という場合は、残業することができます。ただし、会社から残業を強制されることはありません。

期間の変更については、延長も短縮も可能です。当初3ヶ月で申請していたが、実際には6ヶ月必要だった場合は延長申請を、逆に想定より早く制限が不要になった場合は短縮申請をすることができます。

複数の子がいる場合は、それぞれの子について個別に申請することができます。例えば、3歳の子と5歳の子がいる場合、5歳の子についてのみ制限を申請することも、両方の子について申請することも可能です。

4. 介護による所定外労働制限の詳細

4.1 対象となる労働者の条件

介護による所定外労働制限は、育児の場合と同様に重要な制度ですが、対象となる条件が若干異なります。「家族の介護で残業ができない」という状況は、多くの労働者が直面する可能性のある問題です。

介護による制限の対象となる労働者は、「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」です。ここでいう「対象家族」とは、以下の範囲の人を指します:

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

この対象家族の範囲は、介護休業制度と同じです。血族は3親等まで、姻族は2親等までが対象となります。同居していなくても対象となりますが、実際に介護を行っている必要があります。

介護の場合も育児と同様に、労使協定により以下の労働者を対象外とすることができます:

除外対象者 条件
勤続期間が短い労働者 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満
所定労働日数が少ない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下
所定外労働が困難な労働者 1日の所定労働時間が6時間以下

介護の場合は育児と異なり、「1日の所定労働時間が6時間以下」の労働者も除外対象とすることができます。これは、そもそも所定外労働の時間が限定的であることを考慮した規定です。

介護による制限の特徴として、対象家族1人につき利用開始の日から3年間で2回以上に分割して取得できる点があります。これは、介護の状況が変化しやすく、長期間継続して制限が必要な場合もあれば、一時的に制限が不要になる場合もあることを考慮したものです。

4.2 要介護状態の定義

介護による所定外労働制限を利用するためには、対象家族が「要介護状態」にあることが条件となります。この「要介護状態」の定義について、詳しく説明します。

育児介護休業法における「要介護状態」とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」と定義されています。

ここでポイントとなるのは、以下の3つの要件すべてを満たす必要があることです:

  1. 負傷、疾病または障害があること
  2. 2週間以上の期間継続すること
  3. 常時介護を必要とする状態であること

「常時介護を必要とする状態」とは、歩行、排泄、食事等の日常生活に支障があり、それらについて常時介護を必要とする状態のことです。具体的には、以下のような状態が該当します:

項目 要介護状態の例
歩行 自力で歩行できない、車いすが必要
排泄 トイレでの排泄が一人でできない
食事 一人で食事ができない、食事介助が必要
入浴 一人で入浴できない、入浴介助が必要
衣服着脱 衣服の着脱が一人でできない

介護保険制度の要介護認定を受けている場合は、原則として育児介護休業法の要介護状態に該当します。ただし、介護保険の要支援1・2の認定を受けている場合は、個別に判断される場合があります。

要介護状態の判断に迷った場合は、医師の診断書や介護保険の認定結果を参考にすることができます。会社から要介護状態の証明を求められた場合は、以下のような書類が有効です:

  • 医師の診断書
  • 介護保険の要介護認定結果通知書
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 療育手帳

認知症の場合も要介護状態に該当します。認知症による見守りが必要な状態や、徘徊により常時注意が必要な状態なども含まれます。この場合、身体的な介護だけでなく、安全確保のための見守りも「常時介護」に含まれると考えられています。

4.3 申請方法と必要書類

介護による所定外労働制限の申請方法は、基本的には育児の場合と似ていますが、介護特有の注意点もあります。申請にあたっては、まず家族の介護状況を整理し、必要な期間を検討することが大切です。

申請書には以下の内容を記載する必要があります:

  • 労働者の氏名
  • 要介護状態にある対象家族の氏名、労働者との続柄
  • 対象家族の要介護状態
  • 制限を開始したい日
  • 制限期間

介護の場合の特徴として、制限期間に関する規定があります。対象家族1人につき、利用開始から起算して3年間で2回以上に分割して利用することができます。つまり、連続して3年間利用することもできますし、1年間利用した後に1年間休止し、再度1年間利用するといった使い方も可能です。

申請のタイミングについても、介護の場合は急な状況変化が多いことを考慮し、可能な限り早めに申し出ることとされています。ただし、緊急時には事後の申請でも認められる場合があります。

必要書類については、要介護状態を証明する書類の提出が求められます。具体的には以下のような書類です:

書類の種類 発行元 備考
医師の診断書 主治医 要介護状態の詳細を記載
要介護認定結果通知書 市町村 介護保険制度による認定
身体障害者手帳 都道府県・政令市 身体障害の程度を証明
家族関係を証明する書類 市町村 住民票、戸籍謄本等

申請の際に注意したいのは、介護の状況は変化しやすいということです。制限期間中に対象家族の状態が改善したり、逆に悪化したりする場合もあります。そのような場合は、制限期間の変更申請を行うことができます。

また、複数の家族が要介護状態にある場合は、それぞれについて個別に申請することができます。ただし、制限期間の重複については会社と相談が必要です。

申請が受理された後も、定期的に状況報告を求められる場合があります。これは制度の適正な運用を確保するためのものですので、協力的に対応しましょう。

5. 事業主が拒否できる場合とその判断基準

所定外労働制限の申請に対して、「事業主は必ず応じなければならない」と説明しましたが、実は例外があります。事業主が拒否できる場合について、その判断基準を詳しく説明します。

事業主が制限申請を拒否できるのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。ただし、これは非常に限定的な例外であり、簡単に拒否が認められるわけではありません。

「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断は、以下の要素を総合的に考慮して行われます:

  • その労働者の所属する事業所の規模
  • 担当する作業の内容・性質
  • 作業の繁閑の状況
  • 代行者を配置する難易度
  • 他の労働者への負担の程度

重要なのは、単に「忙しいから」「人手不足だから」という理由だけでは拒否できないということです。事業主は、労働者が制限を受けられるよう「通常考えられる相当の努力」をしなければなりません。

具体的には、以下のような努力が求められます:

努力の内容 具体例
代替要員の確保 他部署からの応援、派遣社員の活用
業務の見直し 業務の効率化、優先順位の再検討
勤務体制の調整 シフト制の導入、フレックスタイム制の活用
外部委託の検討 一部業務の外注、システム化の推進

判断基準の具体例を見てみましょう。拒否が認められる可能性が高いケースとしては、以下のような場合があります:

【拒否が認められる可能性が高いケース】

  • 従業員5名の小規模事業所で、申請者が唯一の専門技術者である場合
  • 24時間体制の医療機関で、夜勤対応可能な看護師が申請者のみの場合
  • プロジェクトの責任者で、代替が極めて困難な場合

一方、拒否が認められにくいケースとしては:

【拒否が認められにくいケース】

  • 複数の従業員が同じ業務を担当している場合
  • 単に売上目標達成のための残業が必要という場合
  • 代替要員の確保努力を十分に行っていない場合
  • 他の労働者が制限を利用していることを理由とする場合

万が一、事業主から拒否された場合でも、その理由を明確にしてもらう権利があります。拒否理由が不当と思われる場合は、労働基準監督署や都道府県労働局に相談することができます。

実際の職場では、事業主と労働者が話し合いにより、双方が納得できる解決策を見つけることが多いです。例えば、制限期間を短縮する代わりに確実に制限を受けられるようにする、特定の繁忙期のみ例外とするなどの調整が行われることもあります。

事業主側の立場から見ても、優秀な人材を失うことは大きな損失です。一時的な業務調整の負担よりも、長期的な人材確保の方が重要であることを理解している企業が増えています。

6. 労使協定による適用除外者

所定外労働制限の制度には、労使協定を締結することにより、一定の労働者を適用除外とすることができる規定があります。「労使協定って何?」「自分が除外されるのでは?」と心配される方もいらっしゃるでしょう。詳しく説明します。

労使協定とは、事業主と労働者の代表(労働組合がある場合は労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者)との間で締結される協定のことです。この協定により、以下の労働者を制度の対象外とすることができます。

育児の場合の適用除外者

除外対象 条件 理由
勤続期間が短い労働者 引き続き雇用された期間が1年未満 継続雇用の前提での制度利用
所定労働日数が少ない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下 所定外労働の機会が限定的

介護の場合の適用除外者

介護の場合は、上記に加えて以下の条件も追加されます:

除外対象 条件 理由
所定労働時間が短い労働者 1日の所定労働時間が6時間以下 所定外労働時間が限定的

ただし、労使協定があっても自動的に除外されるわけではありません。労使協定は「除外してもよい」という規定であり、実際に除外するかどうかは事業主の判断に委ねられます。

重要なのは、労使協定による除外は合理的な理由に基づいて行われるべきであり、恣意的な除外は認められないということです。例えば、特定の労働者を狙い撃ちして除外するような協定は無効となる可能性があります。

労使協定の内容について、労働者は確認する権利があります。会社に労使協定の写しの交付を求めることができますので、自分が除外対象になっているか不安な場合は確認してみましょう。

もし自分が適用除外の対象となっている場合でも、諦める必要はありません。以下のような対応が考えられます:

  • 労働組合がある場合は、労働組合に相談する
  • 労働者代表に協定の見直しを求める
  • 個別に会社と話し合いを行う
  • 勤続期間が1年を経過した時点で改めて申請する

実際の運用においては、適用除外の規定があっても、実情を考慮して制度利用を認める企業も多くあります。特に、勤続期間については、転職直後であっても育児や介護の必要性は変わらないため、柔軟な対応を求めることが大切です。

労使協定による除外規定は、制度の濫用を防ぎ、事業の円滑な運営を確保するための措置ですが、労働者の権利を不当に制限するものであってはなりません。適切なバランスが取れた協定内容であることが重要です。

7. 企業側の対応と義務

7.1 就業規則の改定要件

2025年4月の育児介護休業法改正に伴い、すべての企業は就業規則の改定が必要になります。「うちの会社は大丈夫かな?」と心配されている人事担当者の方も多いでしょう。改定要件について詳しく説明します。

就業規則の改定が必要な理由は、所定外労働制限の対象が「3歳に満たない子」から「小学校就学前の子」に拡大されるためです。現在の就業規則に「3歳に満たない子」と記載されている場合は、必ず「小学校就学前の子」に変更する必要があります。

改定が必要な具体的な箇所は以下のとおりです:

改定箇所 改定前 改定後
所定外労働制限の対象 3歳に満たない子を養育する労働者 小学校就学前の子を養育する労働者
制限期間 子が3歳に達するまで 子が小学校就学前まで
申請書の様式 「3歳」の記載 「小学校就学前」に変更

厚生労働省では、改正法に対応した就業規則のひな形を公開しています。「育児・介護休業等に関する規則の規定例」というタイトルで、同省のWebサイトからダウンロードできます。特にP7、P8の第6条が改正箇所になります。

就業規則の改定手続きについても確認しておきましょう:

  1. 改定案の作成
  2. 労働者代表の意見聴取
  3. 意見書の作成・添付
  4. 労働基準監督署への届出
  5. 労働者への周知

労働者代表の意見聴取は必須です。労働組合がある場合は労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者から意見を聞く必要があります。反対意見があっても届出は可能ですが、その意見も併せて提出する必要があります。

改定のスケジュールについては、2025年4月1日の施行日前に手続きを完了させる必要があります。労働基準監督署の届出には時間がかかる場合もありますので、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。

小規模企業(常時10人未満の労働者を使用する事業場)の場合は、就業規則の作成義務はありませんが、育児介護休業法の規定は適用されます。就業規則がない場合でも、制度の内容を労働者に周知し、適切に運用する必要があります。

7.2 申請受理から制限開始までの流れ

労働者から所定外労働制限の申請があった場合、企業はどのように対応すべきでしょうか。適切な対応フローを確立することで、トラブルを防ぎ、円滑な制度運用が可能になります。

標準的な対応フローは以下のとおりです:

ステップ 対応内容 期限・注意点
1. 申請受理 申請書の確認、受理印の押印 速やかに受理確認を行う
2. 要件確認 対象者要件、必要書類の確認 不備がある場合は速やかに連絡
3. 業務調整 代替要員、業務分担の検討 制限開始日までに調整完了
4. 承認決定 承認・不承認の決定、通知 理由を明確にして書面で通知
5. 制限開始 所定外労働の免除開始 関係部署への周知徹底

申請書の確認時には、以下の点をチェックします:

  • 申請者が制度の対象者要件を満たしているか
  • 子の年齢、続柄が正確に記載されているか
  • 制限開始日、期間が明確に記載されているか
  • 必要な添付書類が揃っているか

業務調整については、事前に想定しておくことが重要です。特に、複数の労働者から同時期に申請があった場合の対応方法や、繁忙期における調整方法について、あらかじめ検討しておくことが大切です。

承認・不承認の決定については、客観的な判断基準を設けることが重要です。恣意的な判断や差別的な扱いは法的問題を招く可能性があります。不承認とする場合は、その理由を具体的かつ明確に説明し、書面で通知する必要があります。

制限開始後の管理についても重要なポイントがあります:

  • 対象労働者への残業命令を確実に避ける仕組みの構築
  • 管理職への制度内容の周知徹底
  • 他の労働者への業務負担への配慮
  • 制限期間の管理と更新手続きの準備

人事情報システムを利用している企業では、制限対象者を一目で識別できるようにフラグを設定するなど、システム面での対応も検討する必要があります。

7.3 違反した場合の罰則

育児介護休業法に違反した場合の罰則について説明します。「法律違反になるとどうなるの?」という不安を抱えている企業担当者の方も多いでしょう。

育児介護休業法違反に対する直接的な刑事罰則はありません。しかし、違反した場合には以下のような行政措置が取られる可能性があります:

措置の種類 内容 根拠条文
報告徴収 制度の実施状況に関する報告の義務 第56条の2
助言・指導 適切な制度運用に関する指導 第56条の2
勧告 違反の是正に関する勧告 第56条の2
企業名公表 勧告に従わない場合の企業名公表 第56条の2

報告徴収を求められた場合、正当な理由なく報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした場合には、20万円以下の過料が科される可能性があります(第66条)。

実際の違反事例としては、以下のようなケースがあります:

  • 制限申請を不当に拒否した場合
  • 制限期間中に残業を強要した場合
  • 制度利用を理由に不利益な取扱いをした場合
  • 就業規則に制度の規定を設けていない場合

行政措置以外にも、以下のようなリスクがあります:

リスクの種類 具体的な内容
民事責任 損害賠償請求、慰謝料請求
労働審判 労働者からの労働審判申立て
企業イメージ 労働環境の悪化、採用への影響
人材流出 優秀な人材の離職、定着率低下

特に注意すべきは、制度利用を理由とした不利益取扱いです。以下のような行為は法律で明確に禁止されています:

  • 解雇
  • 雇止め
  • 契約更新回数の引き下げ
  • 退職の強要
  • 正社員から非正規雇用への転換の強要
  • 降格
  • 減給
  • 賞与等における不利益な算定
  • 不利益な配置変更
  • 不利益な自宅待機命令

違反を防ぐためには、以下のような対策が有効です:

  1. 管理職への教育研修の実施
  2. 制度運用マニュアルの作成
  3. 相談窓口の設置
  4. 定期的な運用状況のチェック
  5. 労働者への制度周知の徹底

万が一、行政措置を受けた場合は、速やかに改善措置を講じることが重要です。また、労働者との関係修復にも努め、今後の円滑な労使関係の構築を図ることが大切です。

8. よくあるトラブルと解決方法

所定外労働制限制度の運用において、実際の職場ではどのようなトラブルが発生しているのでしょうか。よくある事例とその解決方法について説明します。

労働者側のトラブル事例

【事例1】申請を受け付けてもらえない

「育児で残業ができないので制限を申請したいのですが、上司から『うちの会社にはそんな制度はない』と言われました。」

解決方法:

  • 育児介護休業法は全ての企業に適用される法律であることを説明
  • 厚生労働省の資料やリーフレットを提示
  • 人事部や総務部に直接相談
  • 労働基準監督署への相談も選択肢として検討

【事例2】制限中なのに残業を命じられる

「所定外労働制限の承認を受けているのに、『今日は忙しいから残業して』と言われます。断ると嫌な顔をされます。」

解決方法:

  • 制限期間中は法律上残業義務がないことを再度確認してもらう
  • 承認書のコピーを上司に渡し、制限期間を明確にする
  • 人事部門に状況を報告し、管理職への再指導を依頼
  • やむを得ない場合は都道府県労働局への相談を検討

【事例3】同僚からの理解が得られない

「制度を利用していることで、同僚から『ずるい』『私たちの負担が増える』と言われて居づらいです。」

解決方法:

  • 制度利用は法的権利であることを理解してもらう
  • できる範囲での業務効率化や協力を積極的に行う
  • 上司に職場環境の改善を相談
  • 会社全体での制度理解促進研修の実施を提案

企業側のトラブル事例

【事例4】複数の従業員から同時期に申請がある

「同じ部署の3人から同時期に制限申請があり、業務が回らなくなりそうです。」

解決方法:

  • 業務の優先順位を見直し、効率化を図る
  • 他部署からの応援体制を構築
  • 派遣社員や契約社員の活用を検討
  • 業務の外部委託可能性を調査
  • 労働者との話し合いによる調整(期間のずらし等)

【事例5】制限理由の確認が困難

「申請者から提出された書類だけでは、本当に要介護状態なのか判断が困難です。」

解決方法:

  • 医師の診断書や介護認定結果通知書などの客観的資料の提出を依頼
  • 必要に応じて追加の証明書類を求める
  • 定期的な状況報告を求める仕組みを構築
  • 社会保険労務士等の専門家に相談

解決のための基本姿勢

トラブル解決において最も重要なのは、労使双方が制度の趣旨を理解し、建設的な話し合いを行うことです。以下の基本姿勢を心がけましょう:

立場 基本姿勢 具体的行動
労働者 権利の適切な行使 制度を正しく理解し、必要な手続きを適切に行う
企業 法的義務の履行 制度を整備し、適切に運用する体制を構築する
同僚 相互理解と協力 制度の趣旨を理解し、協力的な職場環境を作る

相談窓口も活用しましょう。以下のような相談先があります:

  • 社内の人事・労務担当部署
  • 労働組合(ある場合)
  • 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
  • 労働基準監督署
  • 社会保険労務士等の専門家

早期の解決を図るためにも、問題が深刻化する前に適切な相談先に相談することをお勧めします。

9. 他の育児介護支援制度との組み合わせ

所定外労働制限は、育児や介護を支援する制度の一つですが、他の制度と組み合わせることで、より効果的なワークライフバランスを実現することができます。どのような制度があり、どのように組み合わせればよいのでしょうか。

育児支援制度との組み合わせ

育児に関する主な支援制度は以下のとおりです:

制度名 内容 対象期間 所定外労働制限との併用
産前産後休業 出産前後の休業 産前6週・産後8週 休業期間中は併用不要
育児休業 育児のための休業 原則1歳まで 休業期間中は併用不要
短時間勤務制度 1日6時間の短時間勤務 3歳まで 併用可能
子の看護休暇 子の看護のための休暇 小学校就学前まで 併用可能
時間外労働の制限 月24時間・年150時間の上限 小学校就学前まで 併用可能
深夜業の制限 22時~5時の勤務免除 小学校就学前まで 併用可能

特に効果的な組み合わせ例をご紹介します:

【組み合わせ例1】職場復帰直後の安定期確保

  • 育児休業終了 → 短時間勤務制度 + 所定外労働制限
  • 効果:勤務時間の短縮と残業免除により、段階的な職場復帰が可能

【組み合わせ例2】保育園入園後の安定運用

  • 通常勤務 + 所定外労働制限 + 子の看護休暇
  • 効果:お迎え時間の確保と、子の急病時の対応が可能

【組み合わせ例3】小学校入学前の準備期間

  • 所定外労働制限 + 時間外労働の制限(安全弁として)
  • 効果:入学準備時間の確保と、万が一の残業発生時の上限設定

介護支援制度との組み合わせ

介護に関する主な支援制度との組み合わせも見てみましょう:

制度名 内容 利用期間 所定外労働制限との併用
介護休業 介護のための休業 対象家族1人につき通算93日 休業期間中は併用不要
介護休暇 介護のための休暇 対象家族1人につき年5日 併用可能
時間外労働の制限 月24時間・年150時間の上限 制限を受ける期間 併用可能
深夜業の制限 22時~5時の勤務免除 制限を受ける期間 併用可能

【介護の組み合わせ例】段階的な介護体制の構築

  1. 介護開始時:介護休業(93日間)で介護体制を整備
  2. 体制確立後:所定外労働制限 + 介護休暇で継続的な介護
  3. 状況悪化時:再度介護休業の分割取得を検討

制度選択のポイント

複数の制度から最適な組み合わせを選ぶ際のポイントをご紹介します:

  • 家族の状況:子の年齢、健康状態、保育園の有無等
  • 勤務状況:職種、業務の繁閑、チーム体制等
  • 経済状況:給与への影響、家計への配慮等
  • 期間設定:短期集中型か長期継続型か
  • 柔軟性:状況変化への対応可能性

また、会社独自の制度がある場合は、それらとの組み合わせも検討しましょう。例えば、フレックスタイム制、テレワーク制度、託児所の設置などです。

制度の組み合わせを検討する際は、人事担当者や上司と十分に相談し、最適なプランを作成することが重要です。また、状況の変化に応じて柔軟に見直しを行うことも大切です。

10. 2025年10月予定の追加改正内容

2025年4月の改正に続いて、同年10月にもさらなる改正が予定されています。こちらの改正内容についても確認しておきましょう。

10月の改正では、主に以下の点が変更される予定です:

子の看護休暇の拡充

子の看護休暇について、取得理由と対象期間が拡大されます:

項目 改正前 改正後(2025年10月~)
取得理由 子の病気・怪我の看護、予防接種等 上記に加え、入園・入学式等の行事参加
対象期間 小学校就学前まで 小学校3年生まで

この改正により、小学校低学年の子を持つ保護者も子の看護休暇を利用できるようになります。小学校入学後も、学校行事への参加や子の体調不良時の対応が必要な場面は多く、働く親にとって大きなメリットとなります。

企業への影響

10月の改正についても、企業は以下の対応が必要になります:

  • 就業規則の再度の改定
  • 子の看護休暇の管理システム見直し
  • 労働者への新たな制度内容の周知
  • 管理職への教育研修の実施

4月の改正と合わせて、年間を通して制度変更への対応が求められることになります。企業としては、計画的な準備と段階的な実施が重要になるでしょう。

労働者への影響

労働者にとっては、より柔軟で使いやすい制度に発展することになります。特に、小学校低学年の子を持つ保護者にとっては、新たな支援制度が利用可能になることで、より安心して働き続けることができるでしょう。

ただし、制度の詳細については、厚生労働省からの正式な通知や省令を待つ必要があります。2025年に入ってから、具体的な運用方法や手続きについての詳細が明らかになる予定です。

11. まとめ

育児介護休業法による所定外労働の制限について、2025年改正内容を含めて詳しく解説してきました。この制度は、働く皆さんが育児や介護と仕事を両立するための重要な支援制度です。

最も重要なポイントをもう一度まとめておきます。2025年4月からは、育児による所定外労働制限の対象が「小学校就学前の子」まで拡大されます。これにより、より多くの働く親が残業免除を受けられるようになります。制度利用は労働者の権利であり、要件を満たしていれば事業主は原則として応じる義務があります。

申請方法についても、決して難しいものではありません。必要な書類を準備し、適切な手続きを行えば、どなたでも利用できる制度です。会社の規模に関係なく、すべての労働者に適用される制度であることも重要なポイントです。

企業の皆様におかれましては、2025年4月までに就業規則の改定等、必要な準備を進めていただく必要があります。制度の適切な運用は、優秀な人材の確保・定着にもつながる重要な取り組みです。

もし制度の利用や運用について不安や疑問がございましたら、決して一人で悩まずに、人事担当者、労働組合、労働局等の適切な相談先にご相談ください。法律で保障された制度ですので、遠慮なく活用していただければと思います。

育児や介護は、多くの方が人生の中で直面する課題です。こうした制度を上手に活用して、仕事と家庭生活の両方を大切にしながら、充実した毎日を送っていただければと思います。働き方の選択肢が広がることで、皆さんがより安心して働き続けられる社会の実現を期待しています。

制度の内容は今後も労働者の実情に合わせて見直しが行われていく可能性があります。最新の情報については、厚生労働省のWebサイトや労働局からの通知を定期的に確認し、変更があった場合は適切に対応していくことが大切です。

皆さんの働きやすい職場環境づくりと、充実したワークライフバランスの実現を心から応援しています。

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