PR

育児休業等終了時報酬月額変更届|二人目を控えた判断ポイント完全ガイド

スポンサーリンク
育児休業等終了時報酬月額変更届|二人目を控えた判断ポイント完全ガイド

育児休業等終了時報酬月額変更届|二人目を控えた判断ポイント完全ガイド

育休から復帰して時短勤務に切り替えたとき、「あれ?給料減ったのに、社会保険料は高いまま…」と感じたことはありませんか?

そんなとき役立つのが「育児休業等終了時報酬月額変更届」という制度です。でも、ちょっと待ってください。

「二人目を控えている場合」は、この手続きをするかどうか慎重に判断する必要があります。

なぜなら、社会保険料は安くなっても、次の出産手当金が大幅に減ってしまう可能性があるからです。

この記事では、二人目の妊娠・出産を控えている方が知っておくべき判断基準を、具体的なシミュレーションとともに徹底解説します。

1. 育児休業等終了時報酬月額変更届とは?基本をわかりやすく解説

まずは基本から確認していきましょう。「育児休業等終了時報酬月額変更届」とは、一体どんな制度なのでしょうか?

1-1. この制度が作られた背景と目的

育児休業から復帰したとき、多くの方が時短勤務や残業免除などの働き方を選択します。

当然、お給料は育休前より減ることになりますよね。でも、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は、育休前の高い給料をもとに計算されたままなんです。

例えば、こんな状況を想像してみてください。

【よくあるケース】

  • 育休前の月給:30万円 → 社会保険料:約4.5万円
  • 復帰後の月給:20万円(時短勤務)→ でも社会保険料は:約4.5万円のまま!

給料は減ったのに、保険料は高いまま。手取りがかなり厳しくなってしまいます…。

こういった状況を改善するために作られたのが、「育児休業等終了時報酬月額変更届」という制度です。

この届出を提出することで、復帰後の実際の給料に合わせて社会保険料を計算し直してもらえるのです。育児と仕事の両立を頑張っている方の経済的負担を少しでも軽くしよう、という趣旨で設けられた制度なんですね。

1-2. 通常の月額変更届との3つの違い

「給料が変わったときの手続きって、他にもなかったっけ?」と思われた方、その通りです。

通常、給料が大きく変動したときは「随時改定(月額変更届)」という手続きがあります。でも、育児休業等終了時報酬月額変更届は、この随時改定とは異なる特別な制度なんです。

項目 通常の随時改定 育児休業等終了時報酬月額変更届
等級差の条件 2等級以上の差が必要 1等級の差でもOK
支払基礎日数 3ヶ月とも17日以上必要 少なくとも1ヶ月が17日以上あればOK
手続きの性質 条件を満たせば義務 本人の希望による任意の手続き

特に重要なのが、「任意の手続き」という点です。

通常の随時改定は、条件を満たせば会社が必ず手続きをしなければなりません。でも、育児休業等終了時報酬月額変更届は、従業員本人が「希望します」と申し出て初めて手続きされるものなんです。

つまり、「出すか出さないか」を自分で選べるということ。そして、二人目を控えている場合、この選択が非常に重要になってきます。

1-3. 対象となる4つの条件

この制度を利用できるのは、以下の4つの条件をすべて満たす方です。

【対象となる4つの条件】

①育児休業を終えて職場に復帰していること

育児休業または育児休業に準ずる休業(育児休業法に基づくもの)から復帰していることが前提です。産後パパ育休(出生時育児休業)も含まれます。

②復帰後も3歳未満の子どもを養育していること

育児休業終了日時点で、その子どもが3歳未満であることが必要です。3歳の誕生日を迎えると対象外になります。

③育休前と復帰後の報酬に1等級以上の差があること

標準報酬月額が1等級以上下がっている(または上がっている)必要があります。時短勤務で給料が減った場合は、ほとんどのケースで条件を満たすでしょう。

④育休終了日の翌日が属する月以降の3ヶ月のうち、少なくとも1ヶ月で支払基礎日数が17日以上あること

月給制の場合、給与計算の対象となった日数が17日以上ある月が、3ヶ月のうち少なくとも1ヶ月必要です。短時間労働者の場合は11日以上です。

※支払基礎日数:給与計算の対象となった日数のこと。月給制なら暦日数から欠勤日数を引いた日数です。

これらの条件を満たしていれば、制度を利用できます。

でも、「利用できる」からといって「必ず利用すべき」とは限りません。特に二人目を控えている場合は、慎重な判断が必要なんです。

次のセクションで、その理由を詳しく見ていきましょう。

2. 【重要】二人目を控えている場合、提出すべき?判断のポイント

ここからが、この記事の最も重要な部分です。

二人目の妊娠・出産を控えている場合、一人目の育休復帰時に変更届を提出するかどうかは、慎重に判断する必要があります。

なぜなら、社会保険料は安くなっても、次の出産手当金が大幅に減ってしまう可能性があるからです。

2-1. 一人目と二人目で大きく変わる判断基準

まず理解していただきたいのは、「一人目のときと二人目のときで、判断基準が全く変わる」ということです。

【一人目の育休復帰時】

→ 当面、次の妊娠予定がない場合

変更届を提出するメリットが大きい

  • 社会保険料が下がり、手取りが増える
  • 年金は養育期間特例でカバーできる
  • 出産手当金・傷病手当金の影響を考えなくて良い

【一人目の育休復帰時】

→ 1〜2年以内に二人目を予定している場合

変更届を提出しない方が得になることが多い

  • 社会保険料は高いままだが…
  • 次の出産手当金が多くもらえる
  • トータルで見ると、提出しない方が金額的にプラスになる可能性大

「え?社会保険料を安くできるのに、なんでしない方がいいの?」と思われるかもしれません。

その答えは、「出産手当金の計算方法」にあります。

2-2. 出産手当金への影響を具体的にシミュレーション

出産手当金は、産前産後休業中にもらえる給付金です。会社を休んでいる間、給料の代わりに健康保険から支給されます。

【出産手当金の計算式】

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3

ここがポイントです。出産手当金は、「過去12ヶ月間の標準報酬月額の平均」で計算されるんです。

つまり、一人目の復帰後に変更届を出して標準報酬月額を下げると、その下がった金額が二人目の出産手当金の計算に影響してしまうんです。

【具体的なシミュレーション】

<前提条件>

  • 一人目の育休前の標準報酬月額:24万円
  • 復帰後(時短勤務)の標準報酬月額:15万円
  • 一人目復帰から1年後に二人目を出産
  • 出産手当金の支給日数:98日分(標準的なケース)

<パターンA:変更届を提出した場合>

  • 標準報酬月額:24万円→15万円に変更
  • 二人目の出産手当金の計算基礎:(24万円×2ヶ月 + 15万円×10ヶ月)÷ 12ヶ月 = 16.5万円
  • 出産手当金:16.5万円 ÷ 30 × 2/3 × 98日 = 約35.9万円

<パターンB:変更届を提出しなかった場合>

  • 標準報酬月額:24万円のまま
  • 二人目の出産手当金の計算基礎:24万円
  • 出産手当金:24万円 ÷ 30 × 2/3 × 98日 = 約52.3万円

差額:約16.4万円!

いかがでしょうか。同じ出産なのに、もらえる出産手当金に16万円以上の差が出てしまうんです。

一方、一人目の復帰後に払う社会保険料の差額は、月々1〜2万円程度です。1年間でも12〜24万円程度。

もちろん、個々のケースによって金額は変わりますが、「社会保険料の節約額」よりも「出産手当金の減少額」の方が大きくなることが多いのが実情です。

2-3. 提出した場合としない場合の比較表

判断の参考になるよう、提出した場合としない場合を表にまとめました。

項目 変更届を提出した場合 変更届を提出しなかった場合
社会保険料 ✅ 下がる(手取りが増える)
月1〜2万円程度の節約
❌ 高いまま(手取りが減る)
育休前の金額を払い続ける
次の出産手当金 ❌ 減る
10〜20万円程度減少する可能性
✅ 高い金額がもらえる
育休前の金額で計算される
傷病手当金 ❌ 減る
病気やケガで休んだときの給付が少なくなる
✅ 高い金額がもらえる
育休前の金額で計算される
将来の年金 ✅ 影響なし
(養育期間特例を申請すれば)
✅ 影響なし
(そもそも標準報酬月額が変わらないので)
1年間のトータル損益
(二人目を1年後に出産する場合)
社会保険料の節約:12〜24万円
出産手当金の減少:10〜20万円
→ ほぼプラマイゼロ or 少しマイナス
社会保険料は高いが…
出産手当金でカバー
→ トータルでプラスになることが多い

【専門家からのアドバイス】

二人目を1〜2年以内に予定している場合、一人目の育休復帰時には変更届を提出せず、二人目の育休復帰時に提出するという選択肢を検討してみてください。

もちろん、個々の状況(給与額、復帰からの期間、家計の状況など)によって最適な選択は変わります。迷ったときは、会社の人事担当者や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

次のセクションでは、さらに具体的なパターン別の対応策を見ていきましょう。

3. 二人目出産を控えている場合の3つのパターン別対応

ここからは、よくある3つのパターンに分けて、それぞれの対応策を詳しく解説していきます。

あなたの状況に近いパターンを見つけて、参考にしてくださいね。

3-1. パターン①:一人目で提出済み、二人目を控えている

【状況】

  • 一人目の育休復帰時に、すでに変更届を提出してしまった
  • 標準報酬月額が下がっている
  • これから二人目を妊娠・出産予定

このパターンの方は、「あ、もう提出しちゃった…どうしよう」と不安になっているかもしれません。

でも、大丈夫です。すでに提出してしまった場合でも、対応策があります。

■ 対応策

①次の定時決定(算定基礎届)まで待つ

毎年7月に行われる「定時決定(算定基礎届)」で、4月・5月・6月の給与をもとに標準報酬月額が見直されます。

もしこの時期にフルタイムに戻る、または給与が上がる働き方をしている場合、標準報酬月額が元に戻る可能性があります。

②随時改定の条件を満たす

固定的賃金(基本給や手当など)が大きく変動し、2等級以上の差が生じる場合、随時改定によって標準報酬月額を上げることができます。

例えば、復帰後しばらくして勤務時間を延ばしたり、手当が追加されたりした場合などです。

③出産手当金の減額を受け入れる

正直なところ、一度下がった標準報酬月額をすぐに元に戻すのは難しいです。

この場合は、「二人目の出産手当金は少し少なくなってしまう」ことを受け入れ、その分を家計でカバーする計画を立てることも一つの選択肢です。

【重要なポイント】

一人目で変更届を提出してしまった場合でも、養育期間標準報酬月額特例の申請だけは必ず行ってください。これを出さないと、将来の年金額まで減ってしまいます。

養育期間特例については、後のセクションで詳しく説明します。

3-2. パターン②:一人目で未提出、二人目を控えている

【状況】

  • 一人目の育休復帰後、変更届はまだ提出していない
  • 社会保険料は高いままで、手取りが厳しい
  • 1〜2年以内に二人目を予定している

このパターンの方は、最も判断が重要な状況にいます。

毎月の手取りが厳しい一方で、二人目の出産手当金のことも考えると、どうすべきか迷いますよね。

■ おすすめの対応策

結論:二人目が1〜2年以内なら、変更届は提出せず我慢する方が得策

前のセクションでシミュレーションしたように、一時的に社会保険料を多く払っても、二人目の出産手当金で十分に取り戻せることが多いです。

【損益の目安】

標準報酬月額の差が9万円(24万円→15万円)の場合

  • 月々の社会保険料の差:約1.3万円
  • 1年間の保険料の差:約15.6万円
  • 出産手当金の差:約16.4万円

→ 変更届を出さない方が、約0.8万円プラス

※さらに、出産後の育休期間は保険料免除なので、実際の差額はもっと小さくなります。

ただし、こんな場合は提出を検討してもOK:

  • 二人目の予定が3年以上先
  • 家計的に今の手取りがかなり厳しい
  • 標準報酬月額の差が小さい(1〜2等級程度)

【判断のコツ】

迷ったときは、「二人目をいつ頃予定しているか」を基準に考えましょう。

  • 1年以内 → 提出しない方が確実にお得
  • 1〜2年 → 提出しない方がお得なことが多い
  • 2〜3年 → ケースバイケース(計算してみる価値あり)
  • 3年以上 → 提出してOK(二人目の影響は小さい)

3-3. パターン③:二人目の復帰後、三人目を検討中

【状況】

  • 現在、二人目の育休から復帰したところ
  • 時短勤務で給料が下がっている
  • もしかしたら三人目も…と考えている

このパターンは、パターン②と同じ判断軸で考えることになります。

三人目を1〜2年以内に予定している場合は、変更届の提出を控えた方が良いでしょう。

ただし、二人目・三人目と続くと、復帰期間が短くなるケースが多いですよね。この場合、実は別の注意点もあります。

■ 連続出産の場合の注意点

①出産手当金の計算期間が短い

出産手当金は「支給開始日以前12ヶ月間」の標準報酬月額で計算されますが、被保険者期間が12ヶ月未満の場合は、その期間の平均で計算されます。

例えば、二人目の復帰から6ヶ月後に三人目を妊娠した場合、その6ヶ月間の標準報酬月額が計算の基礎になります。

②産休・育休期間は保険料免除

産前産後休業と育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。つまり、復帰期間が短いほど、「高い社会保険料を払う期間」も短くなるということです。

この場合、変更届を出さなくても、実際の負担はそこまで大きくなりません。

【専門家からのアドバイス】

連続して出産する場合は、最後の子の育休復帰時に変更届と養育期間特例をセットで提出するのが最も効率的です。

それまでは変更届を出さず、標準報酬月額を高く保っておくことで、各回の出産手当金を最大限に受け取ることができます。

次のセクションでは、制度のメリットとデメリットをもう少し詳しく見ていきましょう。

4. 知っておくべきメリットとデメリット

ここまで二人目を控えている場合の特別な注意点をお話ししてきました。

ここからは、育児休業等終了時報酬月額変更届そのもののメリットとデメリットを、より詳しく整理していきます。

4-1. メリット:社会保険料負担の軽減効果

まずはメリットから見ていきましょう。

最大のメリットは、やはり「社会保険料の負担が軽くなる」ことです。

■ 具体的にどれくらい安くなる?

【計算例】

標準報酬月額が24万円から15万円に下がった場合(東京都、協会けんぽ、40歳未満の場合)

項目 変更前(24万円) 変更後(15万円) 差額
健康保険料 約11,880円 約7,425円 ▲4,455円
厚生年金保険料 約21,960円 約13,725円 ▲8,235円
合計 約33,840円 約21,150円 ▲12,690円

月々約1万2,700円、年間では約15万2,400円の節約になります。

時短勤務で給料が減っているときに、月1万円以上手取りが増えるのは大きいですよね。

特に、次の妊娠予定がない方や、三人目以降の育休復帰の場合は、この制度を積極的に活用すべきです。

4-2. デメリット①:将来の年金額への影響

社会保険料が安くなるということは、その分「厚生年金保険料の支払いも減る」ということです。

厚生年金保険料が減ると、将来受け取る年金額も減ってしまうのでは…?と心配になりますよね。

でも、ご安心ください。これは「養育期間標準報酬月額特例」でカバーできます。

【養育期間標準報酬月額特例とは】

養育期間標準報酬月額特例(養育特例)とは、3歳未満の子を養育している期間中、標準報酬月額が下がっても、下がる前の高い金額で年金額を計算してくれるという制度です。

つまり:

  • 実際に払う保険料:下がった標準報酬月額(15万円)で計算 → 負担が軽い
  • 将来の年金額:下がる前の標準報酬月額(24万円)で計算 → 年金は減らない

つまり、「保険料は安く、年金は高く」という良いとこ取りができるんです!

この養育期間特例を申請すれば、将来の年金額が減る心配はありません。

ただし、自動的には適用されないので、必ず申請が必要です。詳しくは後のセクションで説明します。

4-3. デメリット②:出産手当金・傷病手当金の減額(二人目で重要)

これが、二人目を控えている方にとって最も重要なデメリットです。

既に前のセクションで詳しく説明しましたが、改めて整理しておきましょう。

■ 出産手当金への影響

出産手当金は、産前産後休業中に健康保険から支給される給付金です。

【計算の基礎】

支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額

変更届を提出して標準報酬月額を下げると、この「平均額」が下がるため、次回の出産手当金が少なくなってしまうんです。

【特に注意が必要なケース】

  • 一人目の復帰から1〜2年以内に二人目を予定している
  • 標準報酬月額の差が大きい(5〜10万円以上)
  • 育休前は高い給料をもらっていた(月30万円以上)

これらに当てはまる場合、出産手当金の減少額が10〜20万円を超えることもあります。

■ 傷病手当金への影響

出産手当金だけでなく、傷病手当金にも影響があります。

傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んだときに、健康保険から支給される給付金です。

こちらも標準報酬月額をもとに計算されるため、標準報酬月額を下げると、病気やケガで休んだときの給付額が減ってしまうことになります。

【重要】養育期間特例ではカバーされない

養育期間特例は、あくまで「厚生年金」に関する特例です。健康保険から支給される出産手当金や傷病手当金には適用されません。

これが、二人目を控えている場合に変更届の提出を慎重に判断すべき最大の理由です。

4-4. その他の注意点

他にも、いくつか知っておくべきポイントがあります。

■ 会社の手当への影響

会社によっては、標準報酬月額を基準にして計算される手当(例:住宅手当、家族手当など)がある場合があります。この場合、標準報酬月額が下がると手当も減る可能性があります。

ただし、これは会社の規定次第なので、心配な方は人事担当者に確認してみてください。

■ 一度提出すると取り消せない

育児休業等終了時報酬月額変更届は、一度提出すると取り消すことができません。

「やっぱり出さなければよかった…」と後悔しても、元に戻すことはできないんです。

だからこそ、特に二人目を控えている場合は、提出前にしっかり考えることが大切です。

【メリット・デメリットまとめ】

<メリット>

  • ✅ 社会保険料が安くなる(月1〜2万円程度)
  • ✅ 手取りが増える
  • ✅ 将来の年金は養育期間特例でカバーできる

<デメリット>

  • ❌ 次の出産手当金が減る(養育期間特例ではカバーされない)
  • ❌ 傷病手当金が減る
  • ❌ 一度提出すると取り消せない

→ 二人目を1〜2年以内に予定している場合は、デメリットの影響が大きいため、提出しない方が得策なことが多い

5. 養育期間標準報酬月額特例との関係を理解する

ここまで何度か登場してきた「養育期間標準報酬月額特例」。

この制度は、育児休業等終了時報酬月額変更届とセットで理解しておくべき重要な制度です。

このセクションでは、養育期間特例について詳しく解説していきます。

5-1. 養育期間特例とは何か?

正式名称は「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」といいます。

長い名前ですね…。でも、仕組みはシンプルです。

【養育期間特例の仕組み】

対象者:

  • 3歳未満の子を養育している厚生年金保険の被保険者
  • 養育期間中に標準報酬月額が下がった方

効果:

標準報酬月額が下がっても、下がる前の高い標準報酬月額で厚生年金の額を計算してくれます。

具体例:

  • 育休前の標準報酬月額:24万円
  • 復帰後(時短勤務)の標準報酬月額:15万円
  • 実際に払う保険料:15万円の標準報酬月額で計算 → 月約1.4万円
  • 将来の年金額:24万円の標準報酬月額で計算 → 年金は減らない!

つまり、「保険料は安く、年金は高く」という、働くママ・パパにとって非常にありがたい制度なんです。

■ 適用期間

養育期間特例が適用されるのは、子どもが3歳になるまでの期間です。

子どもが3歳の誕生日を迎えた月の前月まで適用されます。3歳以降は、実際の標準報酬月額で年金額が計算されるようになります。

5-2. 厚生年金はカバーされるが健康保険給付はカバーされない理由

ここが非常に重要なポイントです。

養育期間特例は「厚生年金保険」に関する制度であって、健康保険には適用されません。

項目 養育期間特例の適用 影響
厚生年金
(老齢厚生年金)
✅ 適用される 高い標準報酬月額で計算されるので、将来の年金額は減らない
健康保険
(出産手当金)
❌ 適用されない 実際の低い標準報酬月額で計算されるので、給付額が減る
健康保険
(傷病手当金)
❌ 適用されない 実際の低い標準報酬月額で計算されるので、給付額が減る

だから、二人目を控えている場合は要注意なんです。

養育期間特例を申請しても、次の出産手当金が減ってしまう問題は解決できません。

【よくある誤解】

❌「養育期間特例を出せば、すべて元通りになる」

✅「養育期間特例でカバーされるのは厚生年金だけ。健康保険の給付(出産手当金・傷病手当金)は減ったまま」

この違いを理解していないと、「養育期間特例を出したから大丈夫」と安心して変更届を提出し、後で出産手当金が減って後悔する…ということになりかねません。

5-3. いつ、どのタイミングで申請すべきか

養育期間特例は、いつ申請すればいいのでしょうか?

■ 申請のタイミング

育児休業から復帰後、できるだけ早く申請するのがおすすめです。

法律上、明確な期限は定められていませんが、申出日の前月までの2年間について特例措置が認められます。つまり、遅れて申請しても、2年前まで遡って適用してもらえるということです。

ただし、忘れてしまうと将来の年金額が減ってしまうので、復帰後なるべく早めに手続きすることを強くおすすめします。

■ 育児休業等終了時報酬月額変更届との提出順序

養育期間特例は、育児休業等終了時報酬月額変更届と同時に提出することが多いです。

ただし、変更届を出さなくても、養育期間特例だけを単独で申請することも可能です。

【パターン別のおすすめ申請方法】

<二人目を予定していない場合>

  1. 育児休業等終了時報酬月額変更届を提出(社会保険料を下げる)
  2. 養育期間標準報酬月額特例申出書を提出(年金額を守る)

両方セットで提出することで、手取りが増え、かつ将来の年金も減らない

<二人目を1〜2年以内に予定している場合>

  1. 育児休業等終了時報酬月額変更届は提出しない(出産手当金を守る)
  2. 養育期間標準報酬月額特例申出書は提出する(将来の選択肢を確保)

→ 変更届を出さなくても、養育期間特例だけは出しておくことで、将来的な選択肢を残せる

<最後の子の育休復帰時>

  1. 育児休業等終了時報酬月額変更届を提出
  2. 養育期間標準報酬月額特例申出書を提出

→ もう次の妊娠を予定していないなら、両方セットで提出してOK

■ 必要書類

養育期間特例を申請する際に必要な書類は以下の通りです。

  1. 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書(日本年金機構のホームページからダウンロード可能)
  2. 戸籍謄本または戸籍抄本(申出者と子の身分関係、子の生年月日を証明できるもの)
  3. 住民票(発行日から90日以内のもの、申出者と養育する子が記載されているもの)

※申出書に申出者と子の個人番号(マイナンバー)を記載する場合、戸籍と住民票の添付を省略できます。

【手続きのポイント】

  • 申請は会社経由で行います。直接年金事務所に提出することはできません。
  • 男性でも女性でも、3歳未満の子を養育していれば申請できます。
  • 養子や特別養子縁組の子も対象です。
  • 転職した場合、新しい会社で改めて申請が必要です。

次のセクションでは、実際のケーススタディを見ながら、具体的な金額を確認していきましょう。

6. 【実例】二人目を控えたケーススタディ

ここからは、実際のケースを想定して、具体的な金額をシミュレーションしてみましょう。

「自分の場合はどうなるんだろう?」という疑問を解消していきます。

6-1. ケース①:一人目で提出、1年後に二人目出産

【プロフィール】

Aさん(30歳・会社員)

  • 育休前の月給:32万円(標準報酬月額:30万円)
  • 一人目の育休から復帰(時短勤務):月給20万円(標準報酬月額:20万円)
  • 復帰時に育児休業等終了時報酬月額変更届を提出
  • 復帰から1年後に二人目を出産

■ 一人目復帰後の1年間の社会保険料

変更届を提出したので、標準報酬月額20万円で計算:

  • 月々の社会保険料:約2.8万円
  • 1年間の合計:約33.6万円

もし変更届を提出していなかったら(標準報酬月額30万円):

  • 月々の社会保険料:約4.2万円
  • 1年間の合計:約50.4万円

保険料の差額:約16.8万円の節約

■ 二人目の出産手当金

実際に受け取った額(標準報酬月額の平均:22万円※):

※12ヶ月の内訳:30万円×2ヶ月 + 20万円×10ヶ月 = 平均22万円

  • 出産手当金:22万円 ÷ 30 × 2/3 × 98日 ≒ 約48.0万円

もし変更届を提出していなかったら(標準報酬月額30万円のまま):

  • 出産手当金:30万円 ÷ 30 × 2/3 × 98日 ≒ 約65.3万円

出産手当金の差額:約17.3万円の損失

■ 結果:トータルの損益

項目 金額
社会保険料の節約(1年間) +16.8万円
出産手当金の減少 ▲17.3万円
差し引き ▲0.5万円

変更届を提出したことで、結果的に約0.5万円のマイナスになってしまいました。

もし変更届を出さずに我慢していれば、ほぼ同額になっていたことになります。

6-2. ケース②:一人目で未提出、2年後に二人目出産

【プロフィール】

Bさん(32歳・会社員)

  • 育休前の月給:28万円(標準報酬月額:28万円)
  • 一人目の育休から復帰(時短勤務):月給18万円(標準報酬月額:18万円相当)
  • 復帰時に育児休業等終了時報酬月額変更届は提出せず
  • 復帰から2年後に二人目を出産

■ 一人目復帰後の2年間の社会保険料

変更届を提出しなかったので、標準報酬月額28万円のまま:

  • 月々の社会保険料:約3.9万円
  • 2年間の合計:約93.6万円

もし変更届を提出していたら(標準報酬月額18万円):

  • 月々の社会保険料:約2.5万円
  • 2年間の合計:約60.0万円

保険料の差額:約33.6万円多く払った

■ 二人目の出産手当金

実際に受け取った額(標準報酬月額28万円のまま):

  • 出産手当金:28万円 ÷ 30 × 2/3 × 98日 ≒ 約61.0万円

もし変更届を提出していたら(標準報酬月額18万円):

  • 出産手当金:18万円 ÷ 30 × 2/3 × 98日 ≒ 約39.2万円

出産手当金の差額:約21.8万円多くもらえた

■ 結果:トータルの損益

項目 金額
社会保険料の負担増(2年間) ▲33.6万円
出産手当金の増加 +21.8万円
差し引き ▲11.8万円

変更届を提出しなかったことで、結果的に約11.8万円のマイナスになってしまいました。

ただし、Bさんのケースでは復帰から出産まで2年間あったため、保険料の負担が大きくなりました。もし1年間だったら、出産手当金の増加分の方が大きく、トータルでプラスになっていた可能性があります。

6-3. どちらが得?具体的な金額比較

ケース①とケース②を比較すると、以下のことがわかります。

【損益分岐点】

復帰から次の妊娠までの期間が短いほど、変更届を出さない方が得

復帰から次の妊娠まで おすすめ 理由
6ヶ月〜1年 ✅ 変更届を出さない 出産手当金の増加 > 保険料の負担増
1年〜1年半 △ どちらでもOK ほぼプラマイゼロになることが多い
2年〜2年半 △ ケースバイケース 給与額や標準報酬月額の差によって変わる
3年以上 ✅ 変更届を出す 保険料の負担増 > 出産手当金の増加

■ 自分で計算してみよう

具体的な金額は、以下の要素によって変わります。

  • 育休前の標準報酬月額
  • 復帰後の標準報酬月額
  • 復帰から次の妊娠までの期間
  • 復帰期間中の勤務日数(産休・育休期間は保険料免除なので計算に含めない)

【簡易計算式】

①月々の社会保険料の差額を計算

(育休前の標準報酬月額 – 復帰後の標準報酬月額)× 0.14(おおよその保険料率)

②復帰から妊娠までの期間の保険料差額を計算

①の金額 × 復帰から妊娠までの月数

③出産手当金の差額を計算

(育休前の標準報酬月額 – 復帰後の標準報酬月額)× 98 ÷ 30 × 2/3

④トータルの損益を計算

③の金額 – ②の金額

→ プラスなら「変更届を出さない方が得」、マイナスなら「変更届を出す方が得」

実際に計算してみると、自分にとってどちらが得かが見えてきますよ。

次のセクションでは、実際の手続き方法について説明していきます。

7. 手続き方法と必要書類

ここからは、実際に育児休業等終了時報酬月額変更届を提出する場合の手続き方法を見ていきましょう。

二人目を控えていて提出しない選択をした方も、将来的に提出する可能性があるので、一読しておくと役立ちます。

7-1. 提出の流れと期限

■ 提出までの流れ

  1. 復帰後3ヶ月間の給与を受け取る

    育休終了日の翌日が属する月から数えて、3ヶ月分の給与が必要です。

    例:3月31日に育休終了 → 4月、5月、6月の給与(3ヶ月分)

  2. 従業員本人が会社に申し出る

    この制度は任意なので、本人から「変更届を提出したい」と会社に伝える必要があります。

    会社側から「出しますか?」と聞いてくれることもありますが、必ずしも聞かれるとは限りません。

  3. 会社が届出書を作成

    会社(事業主)が「育児休業等終了時報酬月額変更届」を作成します。本人は署名・押印をします。

  4. 会社が年金事務所に提出

    年金事務所(または事務センター)に提出します。健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合にも提出します。

  5. 標準報酬月額が改定される

    復帰後4ヶ月目から、新しい標準報酬月額が適用されます。

■ 提出期限

法律上は「速やかに」と定められており、明確な期限日は設定されていません。

ただし、標準報酬月額の改定を給与に反映させるため、3ヶ月目の給与が支払われた後、できるだけ早く提出するのが望ましいです。

【提出時期の例】

3月31日に育休終了、4月1日に復帰した場合:

  • 対象月:4月、5月、6月(3ヶ月分)
  • 6月分の給与支給日:通常7月上旬〜中旬
  • 提出時期:7月中旬〜下旬
  • 改定適用:7月分の社会保険料から(8月給与から控除)

提出が遅れると、改定の適用開始も遅れてしまうので、注意しましょう。

7-2. 必要書類一覧

提出に必要な書類は以下の通りです。

【必要書類】

  1. 健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届
    • 日本年金機構のホームページからダウンロード可能
    • 会社が作成し、本人が確認・署名する
  2. 添付書類
    • 基本的に添付書類は不要
    • ただし、年金事務所から求められた場合は、出勤簿や給与台帳の写しなどを提出する場合があります

■ 提出方法

提出方法は3つから選べます。

  1. 窓口持参:年金事務所の窓口に直接持参
  2. 郵送:年金事務所に郵送
  3. 電子申請:e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用してオンラインで提出

電子申請は、時間や場所を問わず手続きができるので便利です。会社が電子申請に対応している場合は、ぜひ活用しましょう。

7-3. 記入時の注意点

届出書を記入する際の注意点をまとめました。

■ 基本情報の記入

  • 事業所情報:事業所の名称、所在地、事業所整理記号などを正確に記入
  • 被保険者情報:氏名、生年月日、被保険者整理番号、個人番号(マイナンバー)を記入

■ 育休終了日

育児休業の終了日を記入します。復帰日ではなく、育休の最終日なので注意してください。

例:

  • 育休終了日:3月31日 → 記入するのは「3月31日」
  • 復帰日:4月1日 → これは記入しない

■ 報酬月額の記入

これが最も重要なポイントです。

  1. 対象となる3ヶ月を記入

    育休終了日の翌日が属する月から連続する3ヶ月を記入します。

  2. 各月の支払基礎日数と報酬月額を記入
    • 支払基礎日数:給与計算の対象となった日数(暦日数-欠勤日数)
    • 報酬月額:その月に支払われた給与の総額(通勤手当を含む)
  3. 3ヶ月の合計額と平均額を算出

    3ヶ月分の報酬月額を合計し、3で割って平均額を計算します。

【よくある間違い】

間違い:復帰した月の給与が日割りで少ない場合、その月を含めて計算してしまう

正しい:支払基礎日数が17日未満の月は除外し、17日以上の月だけで平均を計算する

例:3月31日に復帰した場合、3月分の給与は1日分しかないため、支払基礎日数が17日未満になります。この場合、3月は除外し、4月・5月・6月の3ヶ月で計算します。

■ 本人の署名・押印

届出書には、被保険者本人の署名または押印が必要です。

この制度は任意なので、本人の意思確認のために署名が求められます。会社が勝手に提出することはできません。

【記入のポイント】

  • 日本年金機構のホームページに記入例が掲載されているので、それを参考にすると安心です
  • わからないことがあれば、会社の人事・労務担当者に相談しましょう
  • 記入ミスがあると、手続きが遅れたり、差し戻されたりすることがあるので、慎重に記入してください

次のセクションでは、よくある質問にお答えしていきます。

8. よくある質問Q&A

ここでは、二人目を控えている方から特によく寄せられる質問にお答えしていきます。

8-1. 一人目で出したけど、二人目では出さなくていい?

Q:一人目の育休復帰時に変更届を提出しました。二人目の育休復帰時にも提出が必要ですか?

A:はい、必要です。一人目で提出したからといって、二人目以降は自動的に適用されるわけではありません。

育児休業等終了時報酬月額変更届は、「育休から復帰するたびに、その都度提出する」制度です。

二人目の育休から復帰したときも、条件を満たしていれば改めて提出することができます。

むしろ、二人目や三人目の復帰時こそ、提出を検討すべきタイミングです。なぜなら、もう次の妊娠・出産を予定していない(または予定が遠い)場合、出産手当金の減額を気にする必要がないからです。

8-2. 産休に入る直前に提出すると損する?

Q:一人目の復帰後しばらくしてから変更届を提出しようと思っています。でも、提出の直後に妊娠が分かったら損しますよね?

A:その通りです。提出直後に妊娠した場合、標準報酬月額が下がったタイミングで出産手当金の計算期間に入ってしまうため、給付額が減ってしまいます。

だからこそ、二人目を予定している場合は、最初から変更届を提出しないという選択肢を検討すべきなんです。

「しばらく様子を見てから判断しよう」と考えていると、タイミングが難しくなります。

  • 提出した直後に妊娠 → 出産手当金が減って損
  • 提出しないまま3年経過 → 社会保険料を多く払い続けて損

おすすめの考え方:

「二人目を2年以内に予定している」→ 最初から提出しない

「二人目の予定はない、または3年以上先」→ 復帰後すぐに提出

8-3. 養育期間特例は一人目で出さないとダメ?

Q:一人目の復帰時に養育期間特例を出し忘れました。二人目の復帰時に出しても、一人目の分は適用されませんか?

A:大丈夫です!養育期間特例は、申出日の前月までの2年間について遡って適用されます。

例えば、一人目の復帰が2023年4月で、二人目の復帰が2025年4月だった場合、2025年4月に養育期間特例を申請すれば、2023年3月分まで遡って適用してもらえます。

ただし、2年以上経過してしまうと、その分は適用されないので、できるだけ早めに申請することをおすすめします。

また、養育期間特例は各子ごとに申請が必要です。一人目の子と二人目の子、それぞれについて申請書を提出する必要があります(同時に提出することも可能)。

8-4. 男性の育休でも適用される?

Q:夫が育休を取得しました。男性でも育児休業等終了時報酬月額変更届や養育期間特例は適用されますか?

A:はい、適用されます!育児休業等終了時報酬月額変更届も養育期間特例も、男女関係なく利用できる制度です。

条件は女性の場合と同じです:

  • 育児休業から復帰していること
  • 3歳未満の子を養育していること
  • 標準報酬月額に1等級以上の差があること
  • 支払基礎日数の条件を満たしていること

近年、男性の育休取得が増えていますが、まだまだ認知度が低いのが現状です。会社の担当者も知らないケースがあるので、本人から積極的に申し出ることが大切です。

ただし、男性の場合は「二人目の出産手当金」を気にする必要がないので(出産するのは配偶者なので)、基本的には提出した方が得になります。

8-5. 途中でフルタイムに戻ったら?

Q:一人目の復帰時は時短勤務でしたが、半年後にフルタイムに戻りました。この場合、変更届は出した方がいいですか?

A:フルタイムに戻った時期によります。

パターン①:復帰後すぐにフルタイム

復帰後3ヶ月の間にフルタイムに戻った場合、その3ヶ月の給与平均がもとになるため、標準報酬月額があまり下がらない可能性があります。この場合は、変更届を出してもあまり効果がないかもしれません。

パターン②:復帰後3ヶ月以降にフルタイム

復帰後3ヶ月が経過してからフルタイムに戻した場合、変更届を出すと標準報酬月額が下がってしまいます。その後フルタイムに戻しても、次の定時決定(7月の算定基礎届)や随時改定まで標準報酬月額は元に戻りません。

この場合、二人目を予定しているなら、変更届は出さない方が良いでしょう。フルタイムに戻した時点で随時改定の条件を満たせば、自動的に標準報酬月額が上がります。

8-6. 会社が教えてくれなかった場合は?

Q:会社から何も説明がなく、この制度があることを知りませんでした。後から提出できますか?

A:はい、後からでも提出できます。ただし、遡って適用されるわけではないので、提出した時点から改定が始まります。

例えば、復帰が4月だったのに、制度を知らずに1年後の翌年4月に提出した場合、改定が適用されるのは翌年7月分の社会保険料からになります。復帰後の1年間は、高い社会保険料を払ったままになってしまいます。

この制度は任意なので、会社側に説明義務はありません。「知らなかった」で損をしないためにも、育休から復帰する前に、自分でこの制度について調べておくことが大切です。

会社に説明を求めたい場合は、「育児休業等終了時報酬月額変更届について説明してほしい」と人事担当者に依頼しましょう。

8-7. 二人目の育休中に一人目が3歳になったら?

Q:二人目の育休中に、一人目の子が3歳になります。養育期間特例はどうなりますか?

A:一人目の子についての養育期間特例は、その子が3歳になった月の前月で終了します。

ただし、二人目の子がまだ3歳未満であれば、二人目の子についての養育期間特例は継続します。

つまり、各子ごとに3歳までという考え方になります。

例:

  • 一人目の子:2022年4月生まれ → 2025年3月まで養育期間特例が適用
  • 二人目の子:2024年10月生まれ → 2027年9月まで養育期間特例が適用

二人目の育休復帰時に養育期間特例を申請する際、一人目の子が既に3歳を過ぎている場合でも、二人目の子についての申請は可能です。

次のセクションで、記事全体をまとめていきます。

9. まとめ:二人目を控えた正しい判断とは

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

最後に、この記事の要点をまとめて、あなたの背中を押すメッセージをお伝えします。

9-1. 判断のための3つのチェックリスト

「育児休業等終了時報酬月額変更届を提出すべきかどうか」迷ったときは、以下の3つをチェックしてみてください。

【チェックリスト】

□ チェック1:次の妊娠・出産の予定は?

  • ✅ 1年以内に予定している → 提出しない方が得
  • △ 1〜2年以内に予定している → 提出しない方が得なことが多い
  • △ 2〜3年以内に予定している → 計算してみて判断
  • ✅ 3年以上先、または予定なし → 提出した方が得

□ チェック2:標準報酬月額の差は大きい?

  • 差が大きいほど(5万円以上)、次の出産手当金への影響も大きくなります
  • 差が小さい場合(1〜2万円程度)は、提出してもしなくてもあまり変わりません

□ チェック3:家計の状況は?

  • 今すぐ手取りを増やしたい → 提出を検討
  • 将来の給付を優先したい → 提出しない選択も

この3つのチェックポイントを参考に、あなたの状況に合った判断をしてください。

9-2. 専門家からのアドバイス

【社会保険労務士からのメッセージ】

育児休業等終了時報酬月額変更届は、働くママ・パパの負担を軽減するために作られた素晴らしい制度です。

でも、「すべての人にとって常に得になる」わけではありません。

特に二人目を控えている方は、「目先の社会保険料」だけでなく、「次の出産手当金」も含めて、トータルで考えることが大切です。

大切なのは、「自分で判断する」こと。

会社が勧めるから、周りがやっているから、という理由で決めるのではなく、自分の状況に合った選択をしてください。

この記事が、あなたの判断の助けになれば幸いです。

9-3. 不安なときの相談先

「自分のケースではどうすればいいのかわからない…」という方は、以下の相談先を活用してください。

【相談先一覧】

①会社の人事・労務担当者

  • まずは会社の担当者に相談してみましょう
  • 自社の給与体系や過去の事例を知っているので、具体的なアドバイスがもらえることがあります

②年金事務所

  • 日本年金機構の年金事務所では、制度に関する相談を受け付けています
  • 電話での相談も可能です(ねんきんダイヤル:0570-05-1165)

③社会保険労務士

  • 社会保険・労働保険の専門家です
  • 個別の状況に応じた具体的なアドバイスがもらえます
  • 初回相談は無料で行っている事務所も多いです

④ファイナンシャルプランナー(FP)

  • 家計全体を見ながら、最適な選択をアドバイスしてくれます
  • 社会保険だけでなく、ライフプラン全体を相談できます

【最後に】

育児と仕事の両立は、本当に大変なことです。

毎日、子どものこと、仕事のこと、お金のこと…たくさんのことを考えて、頑張っていらっしゃることと思います。

社会保険の制度は複雑で、正直わかりにくいです。でも、知っているだけで得をすることも、損を防げることもあります。

この記事があなたの役に立ち、少しでも経済的な不安を減らすことができたら、こんなに嬉しいことはありません。

二人目の妊娠・出産・育児、そして仕事との両立。

大変なことも多いと思いますが、あなたなら大丈夫。

無理しすぎず、でも頑張りすぎず、自分のペースで進んでいってくださいね。

応援しています!

【参考情報・出典】

  • 日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」
  • 日本年金機構「養育期間標準報酬月額特例申出書の提出」
  • 厚生労働省「育児・介護休業法について」
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産手当金について」
  • 厚生年金保険法施行規則第19条の2
  • 健康保険法施行規則第26条の2

※本記事の内容は2025年10月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、最新の情報は日本年金機構や厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました