育児休業給付金の返還が必要な事例とは?不正受給・申請ミス・退職時の注意点を徹底解説
1. はじめに:育児休業給付金の返還について不安な方へ
「育休後に退職したら、給付金を返さないといけないの?」
「会社から返還を求められたけど、これって正しいの?」
「申請ミスがあったらどうなるんだろう…」
育児休業給付金の返還について、こんな不安を抱えていませんか?
結論から言うと、基本的には育児休業給付金を返還する必要はありません。やむを得ない事情で育休後に退職した場合でも、すでに受け取った給付金を返す義務はないのです。
ただし、不正受給や申請ミスなど、一部のケースでは返還が必要になることがあります。この記事では、どんな場合に返還義務が発生するのか、実際の事例を交えながら詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 育児休業給付金の返還が必要になる7つのケース
- 返還不要なケースと安心できる理由
- 実際に起きた返還事例とその原因
- 返還を求められたときの対処法
- 2025年4月からの制度変更と注意点
- 返還トラブルを防ぐための具体的なポイント
育児休業中や復職・退職を考えている方、すでに返還通知が届いてしまった方にとって、この記事が不安解消のお役に立てれば幸いです。
2. 育児休業給付金の基本をおさらい
まず、返還の話に入る前に、育児休業給付金の基本的な仕組みを確認しておきましょう。「そんなこと知ってるよ」という方も、返還に関わる重要なポイントがあるので、ぜひ目を通してくださいね。
2-1. 育児休業給付金とは
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金で、育児休業中の収入減少を支援するための制度です。
この制度の目的は「育児休業を取りやすくし、出産や育児による離職を防ぐこと」。つまり、職場復帰を前提とした雇用継続給付なんです。この「職場復帰が前提」という点が、返還問題に深く関わってきます。
2-2. 支給額と支給期間
育児休業給付金の支給額は、育休に入ってからの期間によって異なります。
| 期間 | 給付率 | 実質的な手取り |
|---|---|---|
| 育休開始~180日目まで | 休業開始時賃金の67% | 約80%相当(社会保険料免除込み) |
| 181日目以降 | 休業開始時賃金の50% | 約65%相当(社会保険料免除込み) |
育児休業給付金は所得税が非課税で、社会保険料も免除されるため、実際の手取り額は給付率よりも高くなります。これって、ありがたいですよね。
【2025年4月から】出生後休業支援給付が追加
2025年4月からは、育休開始後28日間に限り、さらに13%が上乗せされます。これにより、最初の28日間は合計80%(実質手取り約100%)の給付を受けられるようになります。
2-3. 支給単位期間の仕組み
ここが重要です。育児休業給付金は「支給単位期間」という1ヶ月ごとの区切りで支給されます。
例えば、育休開始日が7月6日なら:
- 第1支給単位期間:7月6日~8月5日
- 第2支給単位期間:8月6日~9月5日
- 第3支給単位期間:9月6日~10月5日
この「支給単位期間」の考え方は、退職時の給付金支給や返還の判断に直結します。詳しくは後ほど説明しますね。
2-4. 2025年4月の制度変更(出生後休業支援給付)
前述の通り、2025年4月から「出生後休業支援給付」が新設されます。育児休業給付金に13%が上乗せされ、育休開始後28日間は実質手取り10割相当になる制度です。
男性の育児参加を促進する狙いもあり、男性・女性ともに対象となります。申請は事業主を通じてハローワークに行うため、会社の担当者に確認してくださいね。
3. 【重要】返還が必要になる7つのケース
さて、ここからが本題です。どんな場合に育児休業給付金の返還義務が発生するのか、具体的に見ていきましょう。
3-1. 最初から復職意思がなかった場合(不正受給)
これが最も典型的な不正受給のパターンです。
具体例:
「出産前から退職するつもりだったけど、育休を取って給付金をもらってから辞めよう」と考えて、復職する気がないのに育休を取得し、給付金を受給した場合。
育児休業給付金は「職場復帰を前提とした雇用継続給付」です。最初から復職の意思がないのに給付金を受け取ることは、明確な不正受給に該当します。
この場合、受給した全額の返還を求められます。さらに悪質と判断されれば、最大2倍の追徴金も課される可能性があります。
3-2. 育休中に10日・80時間を超えて働いた場合
育児休業給付金の支給要件には「各支給単位期間(1ヶ月)ごとに就業日数が10日以下、または就業時間が80時間以下」という条件があります。
具体例:
- 育休中に別の会社で週3日アルバイトをしていた(月12日勤務)
- 自営業を始めて月90時間働いていた
- 元の会社で週1日在宅勤務していたが、実際は週2日以上働いていた
このような場合、その支給単位期間分の給付金は返還しなければなりません。「副収入が欲しくて…」という気持ちは分かりますが、ルールを守ることが大切です。
注意点:
10日以内・80時間以内の就労であれば、適切に申告すれば給付金を受け取りながら働くこともできます。ただし、休業開始前の1ヶ月の賃金の80%以上を受け取ると給付金が支給されなくなります。
3-3. 職場復帰日の申告を誤った・漏らした場合
これは「申請ミスによる過誤払い」の代表例です。
具体例:
実際は8月1日に職場復帰したのに、会社の担当者が復帰日を確認せずに8月分・9月分の給付金申請をしてしまい、本来もらえない分まで支給されてしまった。
この場合、職場復帰日を含む支給単位期間分の給付金は返還する必要があります。
近年、このような申請ミスによる過誤払いが増加していると厚生労働省が注意喚起しています。特に大きな会社では、人事部門と現場の連携不足で起こりやすいトラブルです。
3-4. 育休中に退職したのに申告しなかった場合
具体例:
育休中の9月15日に退職したのに、会社が退職の事実をハローワークに報告せず、その後も給付金の申請を続けてしまった。
退職すると雇用保険の被保険者でなくなるため、給付金の支給は終了します。しかし、退職の報告が遅れたり漏れたりすると、本来支給されるべきでない期間の給付金が支払われてしまいます。
この場合も、退職日を含む支給単位期間分(場合によってはその前の期間分)の返還が必要になることがあります。
3-5. 次の子の産休に入ったのに育休中として申請した場合
第一子の育休中に第二子を妊娠・出産し、産休に入った場合のケースです。
具体例:
第一子の育休中(2024年6月)に第二子を出産。産後休業(産休)は2024年6月1日から開始されたのに、会社が第一子の育休として給付金を申請し続けてしまった。
産休期間中は育休ではありません。そのため、産休開始後の育児休業給付金は不当な受給となり、返還が必要です。
妊娠・出産のタイミングによっては複雑になるので、会社の担当者に必ず報告しましょう。
3-6. 育休中に賃金を得ていたのに無収入として申請した場合
具体例:
育休中に会社から賞与(ボーナス)が支払われたのに、給付金申請書に「賃金の支払いなし」と記載して提出した。
育休期間中に賃金が支払われた場合、その額によっては給付金が減額されたり、支給停止になったりします。
- 休業開始前の1ヶ月の賃金の80%以上を受け取った場合:給付金は支給されない
- 13%超~80%未満を受け取った場合:給付金は減額される
- 13%以下の場合:給付金は満額支給
賃金を受け取ったのに申告しなかった場合、不正受給として全額返還を求められる可能性があります。
3-7. 延長申請で虚偽の保育園申込みをした場合
これは近年、大きな問題になっているケースです。
具体例:
育休を延長して給付金を長く受け取るために、実際は保育園に入所する気がないのに「入所希望」として申し込み、わざと落選して「入所保留通知書」を入手した。
育児休業給付金は原則、子どもが1歳になるまでの支給です。しかし「保育園に入所できない」などの理由があれば、最長2歳まで延長できます。
ただし、この制度を悪用して「保育園落選狙い」で申し込むケースが問題視されています。2025年4月からは延長申請が厳格化され、申し込み内容の改ざんや虚偽が判明した場合、不正受給として給付金の返還や罰金が課される可能性があります。
「ちょっとくらい…」という軽い気持ちでも、これは立派な不正です。絶対にやめましょう。
4. 返還不要なケース:こんな場合は大丈夫
ここまで読んで「えっ、じゃあ育休後に退職したら返還しなきゃいけないの?」と不安になった方、ご安心ください。
やむを得ない事情で育休後に退職した場合、基本的に返還義務はありません。
4-1. やむを得ない事情で育休後に退職した場合
育休に入るときは復職するつもりだったけれど、その後の事情変化でやむを得ず退職することになった——このようなケースは、返還不要です。
返還不要の具体例:
- 配偶者の転勤で遠方に引っ越すことになり、通勤が不可能になった
- 子どもに持病や障害が見つかり、常時介護が必要になった
- 親の介護が必要になり、仕事との両立が困難になった
- 保育園に入れず、復職が物理的に無理になった(本当に入所希望だった場合)
- 職場環境の悪化(ハラスメント等)により、精神的に復職できなくなった
- 会社の業績悪化により、復職を拒否された
これらのケースでは「当初は復職する意思があった」ことが前提なので、すでに受給した給付金を返還する必要はありません。
大切なポイント:
育休開始時に「復職する意思があったかどうか」が判断基準です。結果的に復職できなかったとしても、それが当初からの計画でなければ問題ありません。
4-2. 支給単位期間の末日に退職した場合
これは少し専門的な話ですが、知っておくと損をしません。
育児休業給付金は「支給単位期間」ごとに支給されます。通常、退職日が含まれる支給単位期間の給付金は支給されませんが、退職日が支給単位期間の末日の場合は、その期間分も支給されます。
具体例:
育休開始日が7月6日で、支給単位期間が「7月6日~8月5日」「8月6日~9月5日」…となっている場合。
- 9月4日に退職:8月6日~9月4日分は支給されない(支給は8月5日まで)
- 9月5日に退職:8月6日~9月5日分も支給される
たった1日の違いで、まるまる1ヶ月分の給付金に差が出ることがあるんです。退職日を決める際は、会社の担当者やハローワークに確認することをおすすめします。
4-3. 会社都合で復職できなかった場合
具体例:
- 復職予定日に会社から「業績悪化のため、復職を延期してほしい」と言われた
- 復職予定だったポジションが廃止されていた
- 復職を希望したが、会社から解雇を通告された
これらは完全に会社都合であり、本人に落ち度はありません。当然、給付金の返還義務もありません。
むしろ、このようなケースでは会社側に責任があり、不当解雇や退職強要として法的問題になる可能性もあります。労働基準監督署や弁護士への相談を検討してください。
5. 実際の返還事例を紹介
ここからは、実際に起きた返還事例をいくつか紹介します。「自分は大丈夫」と思っていても、思わぬところで問題が起きることがあります。他人事と思わず、ぜひ参考にしてくださいね。
5-1. 【事例1】部門間の連携不足で過誤払いが発生
状況:
Aさんは大手企業の営業部に勤務。育休後、2024年4月1日に職場復帰しました。しかし、人事部と営業部の連携がうまくいかず、人事部がAさんの復帰を把握していませんでした。
その結果、人事部は4月分・5月分の育児休業給付金の申請を継続。本来もらえないはずの給付金が支給されてしまいました。
結果:
ハローワークの調査で過誤払いが判明。Aさんに対して4月分・5月分の給付金(約40万円)の返還請求が届きました。
教訓:
このケースは完全に会社側のミスですが、返還義務は受給者であるAさんにあります。大きな会社ほど部門間の連携ミスが起きやすいため、復職時は必ず人事部に連絡し、給付金申請が停止されているか確認しましょう。
5-2. 【事例2】保育園落選狙いで給付金返還を命じられた
状況:
Bさんは育休を2歳まで延長するため、保育園に入所申込みをしました。しかし、実際は保育園に入る気はなく、「自宅から遠い園」「定員が少ない園」など、明らかに入所困難な条件で申し込んでいました。
2025年4月以降、延長申請の厳格化に伴い、ハローワークが市区町村に申込内容を確認。Bさんの申込みが「入所を希望していない」と判断されました。
結果:
延長期間分の給付金(約6ヶ月分、約90万円)の返還を命じられました。さらに、悪質な不正受給と判断され、追徴金として約90万円(給付金と同額)の納付も命じられました。合計約180万円の返還となり、Bさんは大きな経済的打撃を受けました。
教訓:
「バレないだろう」という安易な考えは絶対にNG。2025年4月以降、延長申請の審査は格段に厳しくなっています。本当に保育園に入所したいのであれば、誠実に申し込みをしましょう。
5-3. 【事例3】副業をしていたことが判明して返還請求
状況:
Cさんは育休中、生活費の足しにしようと、友人の会社で週3日アルバイトを始めました(月12日勤務、月間約100時間)。育児休業給付金の申請書には「就業日数:0日」と記載していました。
しかし、アルバイト先の会社がCさんを雇用保険に加入させたことで、ハローワークに情報が伝わり、育休中の就業が発覚しました。
結果:
就業していた期間(3ヶ月分)の給付金、約45万円の返還を命じられました。さらに、虚偽申告として悪質と判断され、約45万円の追徴金も課されました。
教訓:
育休中でも、10日以内・80時間以内であれば就業は可能です。しかし、正直に申告する必要があります。「バレないだろう」という考えは通用しません。雇用保険のデータは連携されているため、必ず発覚します。
5-4. 【事例4】退職日を誤って申告して返還に
状況:
Dさんは育休中の2024年9月4日に退職することを会社に伝えました。しかし、会社の担当者が退職日を「9月30日」と勘違いし、9月分の給付金を申請してしまいました。
後日、ハローワークから「9月4日に退職しているのに、9月分の給付金が支給されている」と指摘を受けました。
結果:
9月分の給付金(約15万円)の返還を求められました。Dさんは「会社のミスなのに…」と納得がいきませんでしたが、返還義務は受給者にあるため、結局返還することになりました。
その後、Dさんは会社に対して返還分の補償を求め、話し合いの結果、会社が全額を補填することになりました。
教訓:
会社のミスでも、返還義務は受給者にあります。ただし、会社側のミスが明らかな場合、会社に補償を求めることは可能です。退職や復職の際は、日付を正確に伝え、書面で確認することが大切です。
6. 返還を求められたときの対処法
もし育児休業給付金の返還通知が届いてしまったら、どうすればいいのでしょうか。慌てずに、以下のステップで対応しましょう。
6-1. まずは冷静に通知内容を確認
返還通知が届いたら、まずは通知内容をしっかり確認してください。
- 返還を求められている金額
- 返還理由(どの期間のどの支給分か)
- 返還期限
- 問い合わせ先(通常はハローワーク)
通知書には「過誤払金返還請求書」や「返還命令書」といった名称で記載されています。内容に疑問がある場合は、すぐに問い合わせましょう。
6-2. ハローワークに相談する
返還理由に納得がいかない場合や、事実と異なる場合は、速やかにハローワークに連絡してください。
相談する際は、以下の書類を用意しておくとスムーズです。
- 返還通知書
- 育児休業給付金の支給決定通知書
- 雇用保険被保険者証
- 退職証明書や復職証明書(該当する場合)
- 賃金明細や出勤記録(該当する場合)
ハローワークの担当者が状況を確認し、返還が妥当かどうか再度判断してくれます。もし申請ミスや誤解があれば、返還が取り消されることもあります。
6-3. 会社との連携が重要
返還の原因が会社側のミス(復職日の申告漏れ、退職日の誤記載など)の場合、会社にも事実確認をしましょう。
会社のミスが明らかであれば、返還分を会社が負担することも可能です。ただし、法律上の返還義務は受給者にあるため、会社との話し合いが必要です。
会社との交渉のポイント:
- 感情的にならず、事実を冷静に説明する
- 「会社のミスで私が返還しなければならない理由」を明確にする
- 書面でのやり取りを記録に残す
- 必要に応じて、労働基準監督署や社会保険労務士に相談する
6-4. 分割返済は可能か
返還金額が大きく、一括での支払いが困難な場合、分割返済が認められることもあります。
ハローワークに事情を説明し、「分割返済したい」と申し出てください。経済状況によっては、月々数万円ずつの分割払いが認められることがあります。
ただし、分割返済が認められても、返還義務自体がなくなるわけではありません。また、悪質な不正受給の場合は、分割が認められないこともあります。
6-5. 専門家への相談も検討
以下のようなケースでは、専門家への相談を検討しましょう。
- 返還理由に納得がいかない
- 会社が責任を認めない
- 不正受給を疑われているが、事実と異なる
- 追徴金まで課されている
相談先:
- 社会保険労務士:給付金の専門家
- 弁護士:法的な対応が必要な場合
- 労働基準監督署:会社とのトラブルがある場合
- 法テラス:経済的に余裕がない場合
相談には費用がかかることもありますが、大きな金額の返還を求められている場合は、専門家のアドバイスが役立つことがあります。
7. 返還の罰則と追徴金について
育児休業給付金の不正受給や過誤払いには、どのような罰則があるのでしょうか。ここでは、返還に関わる罰則について詳しく説明します。
7-1. 全額返還義務
不正受給や過誤払いがあった場合、不正・過誤に該当する金額の全額を返還しなければなりません。
「一部だけ返せばいい」ということはなく、該当期間の給付金はすべて返還対象となります。
7-2. 最大2倍の納付命令(悪質な場合)
さらに悪質な不正受給の場合、返還額に加えて、最大2倍の金額の納付命令が出されることがあります。
例えば、不正に50万円を受給した場合:
- 返還命令:50万円(受給した金額)
- 納付命令:最大100万円(受給額の2倍)
- 合計:最大150万円
つまり、不正に受け取った金額の最大3倍を納めなければならない可能性があるのです。
悪質と判断されるケース:
- 意図的に虚偽の申告をした
- 書類を改ざんした
- 繰り返し不正を行った
- 返還を拒否した
7-3. 今後の給付金の支給停止
不正受給が発覚すると、不正のあった日以降、雇用保険からのすべての給付(失業手当、育児休業給付、介護休業給付など)が支給停止になります。
この支給停止は、返還が完了しても一定期間続くことがあります。つまり、一度不正受給をしてしまうと、将来的に失業したときや次の育休のときにも給付金を受け取れなくなる可能性があるのです。
「軽い気持ちでちょっとだけ…」が、将来の自分の首を絞めることになります。絶対に不正はしないでくださいね。
8. 2025年4月からの延長申請厳格化について
2025年4月から、育児休業給付金の延長申請手続きが大きく変わりました。ここでは、何がどう変わったのか、詳しく解説します。
8-1. 何が変わるのか
育児休業給付金は原則、子どもが1歳になるまでの支給ですが、保育園に入所できない場合などは最長2歳まで延長できます。
しかし、「保育園に入る気がないのに、給付金延長のためにわざと落選する」という不正が問題になっていました。
そこで2025年4月から、延長申請の審査が厳格化されることになりました。具体的には、ハローワークが保育園の申し込み内容を市区町村に直接確認するようになりました。
8-2. 必要書類が増える
2025年4月以降、延長申請に必要な書類が増えました。
| 書類名 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 入所保留通知書 | 保育園に入所できなかった証明 | 従来から必要 |
| 延長事由認定申告書 | 延長理由を詳しく記載 | 新規追加 |
| 保育所申込書のコピー | 申し込み時の書類全ページ | 新規追加 |
特に「保育所申込書のコピー」がポイントです。申し込み内容(希望園、通園可能な条件など)がハローワークに提出され、市区町村にも確認されます。
8-3. 保育園申込みの確認が厳格に
ハローワークは、以下の点をチェックします。
- 保育所の申込みが規定の年月日までに行われているか
- 申込内容が「本当に入所を希望している」と判断できるか
- 内定を辞退していないか
- 申込内容を改ざんしていないか
例えば、以下のような申込みは「入所意思がない」と判断される可能性があります。
- 自宅から通園不可能な距離の園のみを希望
- 定員が極端に少ない園のみを希望
- 申込後に希望園を変更して、明らかに入りにくい園に変更
- 申込書の記載内容が不自然(希望条件が極端に限定的など)
もし虚偽や不正が判明した場合、給付金の返還請求や追徴金が課されます。
正直に申し込むことが何より大切です。本当に保育園に入所したいのであれば、通常通りに申し込めば問題ありません。
9. 返還トラブルを防ぐための5つのポイント
ここまで読んで、「返還トラブルを避けるにはどうすればいいの?」と思った方もいるでしょう。ここでは、返還トラブルを防ぐための具体的なポイントを5つ紹介します。
9-1. 復職意思を明確にする
育休を取得する際は、「復職する意思がある」ことを明確にしておきましょう。
- 育休申請書に復職予定日を記載する
- 上司や人事部に「復職します」と口頭でも伝える
- 復職に向けた準備(保育園探し、家族との調整など)を進める
もし育休中に事情が変わって退職を考えるようになっても、それは問題ありません。ただし、最初から復職する気がないのに育休を取るのはNGです。
9-2. 退職・復帰日は正確に報告
退職や復職をする際は、必ず会社の人事部に正確な日付を報告してください。
特に注意が必要なのは:
- 退職日が決まったらすぐに報告
- 復職日が変更になった場合も速やかに連絡
- 口頭だけでなく、書面(メールでもOK)で記録を残す
「言ったつもり」「聞いていない」というすれ違いが、過誤払いの原因になります。
9-3. 育休中の収入は必ず申告
育休中に以下のような収入があった場合、必ず会社に申告してください。
- 賞与(ボーナス)
- アルバイト・副業の収入
- 会社からの手当
- 在宅勤務などで得た賃金
「少額だからいいだろう」「バレないだろう」という考えは危険です。雇用保険のデータは連携されているため、必ず判明します。
9-4. 会社と密に連絡を取る
育休中でも、定期的に会社と連絡を取ることが大切です。
- 月に1回程度、現状を報告する
- 給付金の申請状況を確認する
- 復職予定日に変更がないか、双方で確認する
特に大きな会社では、人事担当者が複数の育休者を管理しているため、連絡が行き違うことがあります。自分から積極的に連絡を取ることで、ミスを防げます。
9-5. 不明点はハローワークへ相談
給付金のことで分からないことがあれば、遠慮せずにハローワークに相談してください。
- 「こういう場合、給付金はもらえますか?」
- 「育休中に副業をしたいのですが、問題ありませんか?」
- 「退職を考えているのですが、返還は必要ですか?」
ハローワークの窓口では、給付金の専門スタッフが丁寧に答えてくれます。電話でも相談できるので、気軽に問い合わせてみましょう。
「知らなかった」では済まされません。不明なことは、必ず事前に確認することが大切です。
10. よくある質問Q&A
最後に、育児休業給付金の返還に関するよくある質問にお答えします。
Q1. 育休後すぐに退職したら返還しなくていい?
A. やむを得ない事情であれば返還不要です。
育休に入る時点で復職する意思があったのであれば、その後の事情変化でやむを得ず退職しても、返還義務はありません。
ただし、最初から退職する予定だったのに育休を取った場合は、不正受給となり、返還を求められます。
Q2. 会社のミスで過誤払いになったら誰が責任を負う?
A. 法律上の返還義務は受給者(あなた)にあります。
ただし、会社側のミスが明らかであれば、会社に対して返還分の補償を求めることは可能です。話し合いで解決しない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
Q3. 返還を拒否したらどうなる?
A. 法的手続きに進む可能性があります。
返還を拒否し続けると、最終的には裁判所を通じた法的手続き(強制執行など)に進むことがあります。また、悪質と判断されれば、追徴金も課されます。
返還理由に納得がいかない場合は、拒否するのではなく、まずハローワークに相談して事実確認をしましょう。
Q4. 不正受給を疑われたらどうすればいい?
A. すぐにハローワークに連絡し、事実を説明してください。
不正受給の疑いをかけられた場合、以下の書類を用意して事実を証明しましょう。
- 出勤記録や勤務実績(育休中に働いていないことの証明)
- 保育園の申込書や入所保留通知(延長申請が正当であることの証明)
- 復職予定だったことを示す書類(メール、メモなど)
事実と異なる疑いであれば、適切に説明することで解決できます。
Q5. 延長申請で本当に保育園に入りたいのに落選狙いと思われないか不安
A. 誠実に申し込めば問題ありません。
本当に保育園に入所を希望しているのであれば、通常通りに申し込めば大丈夫です。
- 自宅から通園可能な範囲の園を複数希望する
- 希望条件を現実的な内容にする
- 申込書を正直に記載する
これらを守れば、延長申請で問題になることはありません。
もし不安であれば、申し込み前にハローワークや市区町村の窓口で相談すると安心です。
11. まとめ:正しい知識で安心して育児休業を
ここまで、育児休業給付金の返還について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
返還が必要なケースは限定的
基本的に、やむを得ない事情で育休後に退職しても、給付金の返還は不要です。返還が必要になるのは、以下のような限られたケースです。
- 最初から復職意思がなかった(不正受給)
- 育休中に10日・80時間を超えて働いた
- 申請内容に虚偽や誤りがあった
- 延長申請で保育園落選を狙った
正直な申告が何より大切
育児休業給付金のトラブルを防ぐには、正直に申告することが何より重要です。
- 復職や退職の予定は正確に伝える
- 育休中の収入は必ず申告する
- 保育園の申し込みは誠実に行う
- 不明点はハローワークに相談する
「ちょっとくらい…」「バレないだろう…」という軽い気持ちが、大きなトラブルにつながります。
困ったときは専門家に相談を
もし返還通知が届いてしまったり、給付金のことで不安があったりしたら、一人で抱え込まずに専門家に相談してください。
- ハローワーク:給付金の専門窓口
- 社会保険労務士:給付金制度の専門家
- 労働基準監督署:会社とのトラブル
- 弁護士:法的な対応が必要な場合
最後に:あなたの育児休業が、安心して過ごせるものでありますように
育児休業は、子どもとの大切な時間を過ごすための制度です。給付金のことで不安になったり、トラブルに巻き込まれたりすることなく、安心して育児に専念できることを願っています。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、正しい知識を得る助けになれば幸いです。
育児休業給付金は、あなたの権利です。正しく理解し、正しく利用して、充実した育児期間を過ごしてくださいね。
困ったときは、一人で悩まず、まずはハローワークに相談を。
あなたの育児休業が、素敵な時間になりますように。

