【2025年最新】出生時育児休業と育児休業の違いを徹底比較|産後パパ育休とは?申請方法まで完全ガイド
1. はじめに:2022年に変わった育児休業制度
「出生時育児休業って何?」「普通の育児休業と何が違うの?」
2022年10月、新しく「出生時育児休業」という制度が始まりました。別名「産後パパ育休」とも呼ばれるこの制度、従来からある「育児休業」とは別の制度なんです。
でも、名前が似ているし、どちらも育児のための休業制度。「何が違うの?」と混乱してしまいますよね。実際、私の周りでも「両方取れるの?」「どっちを申請すればいいの?」という声をよく聞きます。
この記事では、出生時育児休業と育児休業の違いを、表や図を使ってわかりやすく解説していきます。初めて育児休業を検討している方、会社の人事担当者の方、どちらにも役立つ内容になっています。
この記事でわかること
- 出生時育児休業と育児休業の基本的な違い
- 取得期間・回数・給付金などの詳細比較
- 両制度を併用する方法と効果的な使い分け
- 具体的な申請方法と手続きの流れ
- 実際に取得した方の体験談
- よくある質問への回答
最後まで読めば、あなたに最適な育児休業の取り方が見えてくるはずです。それでは、順番に見ていきましょう!
2. 出生時育児休業(産後パパ育休)とは?
2022年10月に新設された制度
出生時育児休業は、2022年(令和4年)10月1日から施行された新しい育児休業制度です。これは「育児・介護休業法」の改正によって創設されました。
最大の特徴は、子どもが生まれてから8週間以内という、出産直後の時期に特化していること。つまり、従来の育児休業よりも「もっと早い時期から、柔軟に休める制度」として設計されているんです。
「産後パパ育休」という愛称の意味
厚生労働省は、この出生時育児休業を「産後パパ育休」という愛称で呼んでいます。
この名前には、「産後すぐの時期に、パパが育休を取りやすくしよう」という狙いが込められています。もちろん、実際には男性だけでなく女性も取得できる制度なのですが、特に男性の育休取得率を上げるために、わかりやすい愛称がつけられました。
実は、日本の男性の育児休業取得率は近年上昇傾向にあるものの、2023年時点でも約30%程度。まだまだ低い水準です。出生直後の大変な時期こそ、両親が協力して育児に取り組めるよう、この制度が作られたんですね。
制度創設の背景
なぜこの制度が必要だったのでしょうか?理由は主に3つあります。
①産後すぐの時期の育児負担が大きい
出産直後の8週間は、母親の体力回復と同時に、赤ちゃんのお世話が最も大変な時期。授乳は2〜3時間おき、おむつ替えも頻繁。この時期にパートナーのサポートがあるかどうかで、その後の育児生活が大きく変わります。
②従来の育児休業では柔軟性に欠けていた
従来の育児休業は、基本的に「仕事を完全に休む」ことが前提でした。でも、「1日だけ重要な会議に出たい」「週に1回だけ出社して業務を引き継ぎたい」というニーズに応えられませんでした。
③男性の育休取得を促進したい
政府は2025年までに男性の育休取得率を30%(当時の目標)にする目標を掲げていました。そのために、より使いやすく、短期間でも取得しやすい制度が求められていたのです。
(参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」)
3. 育児休業とは?
従来からある育児休業制度
一方、「育児休業」は1992年から施行されている歴史ある制度です。正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づいています。
こちらは子どもが原則1歳になるまで(条件により最長2歳まで延長可能)取得できる、長期的な育児支援制度です。
男女ともに取得可能
「育休って女性が取るものでしょ?」と思っている方もいるかもしれませんが、それは誤解です。
育児休業は性別に関係なく、すべての労働者が取得できる権利です。母親が産後休業(産休)を取得している間でも、父親は育児休業を取得できます。また、養子縁組の場合など、出産していなくても取得可能です。
基本的な仕組み
育児休業の基本的な仕組みを簡単にまとめると、以下のようになります:
- 取得期間:原則として子どもが1歳になるまで(条件により1歳6ヶ月、2歳まで延長可能)
- 対象者:原則として雇用されているすべての労働者(一部条件あり)
- 申請期限:休業開始予定日の1ヶ月前まで
- 給付金:育児休業給付金として、休業開始時賃金の67%(180日経過後は50%)が支給
- 休業中の就業:原則として就業不可
この育児休業は、2022年10月の法改正で、分割取得が2回まで可能になるなど、より柔軟に使えるようになりました。これについても後ほど詳しく説明しますね。
(参考:厚生労働省「育児休業制度」パンフレット)
4. 【比較表】出生時育児休業と育児休業の違い一覧
それでは、出生時育児休業(産後パパ育休)と育児休業の違いを、まず表で一覧にしてみましょう。この表を見れば、主な違いが一目でわかります。
| 比較項目 | 出生時育児休業 (産後パパ育休) |
育児休業 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 子の出生後8週間以内 | 原則、子が1歳になるまで (最長2歳まで延長可能) |
| 取得可能日数 | 最大28日間(4週間) | 原則1年間 (条件により1歳6ヶ月、2歳まで) |
| 分割取得 | 2回まで分割可能 | 2回まで分割可能 |
| 申請期限 | 原則、休業開始の2週間前まで (労使協定で1ヶ月前も可) |
休業開始の1ヶ月前まで |
| 休業中の就業 | 労使協定により可能 (条件あり) |
原則不可 |
| 給付金 | 出生時育児休業給付金 休業開始時賃金の67% |
育児休業給付金 休業開始時賃金の67% (180日経過後は50%) |
| 対象外となる労働者 | ・雇用期間が6ヶ月未満 ・8週間以内に退職予定 ・週の所定労働日数が2日以下 (労使協定による除外あり) |
・雇用期間が1年未満 ・1年以内に雇用終了予定 ・週の所定労働日数が2日以下 (労使協定による除外あり) |
| 法律上の呼称 | 出生時育児休業 | 育児休業 |
8つの重要な違いポイント
上の表から、特に押さえておきたい8つの重要な違いを挙げると:
- 対象期間:出生時育児休業は出生後8週間以内、育児休業は1歳まで
- 取得日数:出生時育児休業は最大28日間、育児休業は最大1年間
- 申請期限:出生時育児休業は2週間前、育児休業は1ヶ月前
- 柔軟性:出生時育児休業は休業中の就業が可能、育児休業は原則不可
- 分割回数:どちらも2回まで分割可能(2022年改正で育児休業も可能に)
- 給付率:出生時育児休業は67%固定、育児休業は当初67%、180日後50%
- 雇用期間要件:出生時育児休業は6ヶ月以上、育児休業は1年以上
- 併用:両方を組み合わせて取得することが可能
「思っていたより違いがあるんだな」と感じた方も多いのではないでしょうか。次の章では、これらの違いをもっと詳しく、実例を交えながら解説していきますね。
5. 出生時育児休業と育児休業の詳細な違い
5-1. 取得期間の違い
出生時育児休業(産後パパ育休):
子どもの出生後8週間以内に、最大28日間(4週間)まで取得できます。
この「8週間以内」というのは、赤ちゃんが生まれた日を含めて数えます。例えば、4月1日に生まれた場合、5月26日までの期間が対象になります。
重要なのは、「この8週間の間であれば、いつでも28日間取れる」ということ。つまり、「出生直後から2週間取って、残りの2週間を少し後にする」といった使い方もできるんです。
育児休業:
原則として、子どもが1歳になるまでの間、希望する期間を取得できます。
さらに、以下の条件を満たせば延長も可能です:
- 1歳6ヶ月まで延長:保育所に入れないなどの理由がある場合
- 2歳まで再延長:1歳6ヶ月時点でもまだ保育所に入れないなどの場合
女性の場合は、産後休業(出産後8週間)が終わった後から育児休業を開始するのが一般的です。男性の場合は、出生直後から育児休業を取ることもできますが、その場合は出生時育児休業との使い分けを考える必要がありますね。
5-2. 取得可能回数の違い
これは、2022年10月の法改正で大きく変わったポイントです。
出生時育児休業:
8週間の期間内で、2回まで分割して取得できます。
例えば:
- 出生直後に2週間取得 → 生後6週目にさらに2週間取得
- 出生直後に10日間取得 → 1ヶ月後に18日間取得
この柔軟性が、出生時育児休業の大きなメリットです。「最初は様子を見て、必要なときにもう一度休む」という使い方ができるんですね。
育児休業:
こちらも2022年10月の改正で、2回まで分割して取得できるようになりました。
以前は原則として1回しか取得できず、「一度職場復帰したら、もう育休は取れない」という制約がありました。でも今は、例えば:
- 生後2ヶ月〜6ヶ月まで取得 → 職場復帰 → 生後10ヶ月〜1歳まで再度取得
- パートナーと交代で取得する
といった柔軟な取り方が可能になっています。
ただし注意点として、「2回まで」というのは、出生時育児休業と育児休業は別々にカウントされます。つまり、出生時育児休業を2回+育児休業を2回、合計4回の分割取得も理論上は可能なんです。(ただし、それぞれの取得条件を満たす必要があります)
5-3. 申請期限の違い
「いつまでに会社に伝えればいいの?」これも重要な違いの一つです。
出生時育児休業:
原則として、休業を開始する日の2週間前までに申し出ることが必要です。
ただし、会社と労使協定を結んでいる場合は、1ヶ月前までとすることもできます。自分の会社がどちらなのか、事前に確認しておくことをおすすめします。
この「2週間前」という短い期限が設定されているのは、出生時育児休業が「急に必要になることもある」という性質を考慮してのこと。出産予定日はあくまで予定ですから、実際の出生日が前後することもありますよね。
育児休業:
休業を開始する日の1ヶ月前までに申し出る必要があります。
出生時育児休業と比べると期限が長めなのは、育児休業の方が長期間の休業になるため、会社側も業務の引き継ぎなどの準備期間が必要だからです。
ちなみに、配偶者の出産予定日が近づいてきたら、できるだけ早めに上司や人事に相談しておくのがベストです。法律上の期限ギリギリに申し出るより、余裕を持って伝えた方が、職場との関係も良好に保てますよね。
5-4. 休業中の就業可否の違い
これは、出生時育児休業と育児休業の最も大きな違いの一つです。
出生時育児休業:
労使協定を締結している場合に限り、休業中でも一定の条件下で就業することが可能です。
具体的な条件は:
- 労働者が合意した範囲内であること
- 就業日数の上限:休業期間中の所定労働日数の半分以下
- 就業時間の上限:休業期間中の所定労働時間の半分以下
例えば、28日間(4週間)の出生時育児休業を取得する場合:
- 通常の勤務が週5日なら、最大10日まで就業可能
- 1日8時間勤務なら、休業期間全体で最大80時間まで就業可能
「なんで休業中に働けるの?矛盾してない?」と思うかもしれませんね。これは、「完全に休むのは難しいけど、ある程度は休みたい」というニーズに応えるためです。特に、重要なプロジェクトの締めくくりや、自分しか対応できない緊急の仕事がある場合に便利です。
育児休業:
原則として、休業中の就業は認められていません。
育児休業は「育児に専念するための休業」という位置づけなので、基本的には働くことができません。ただし、以下のような例外的なケースはあります:
- 一時的・臨時的に働く場合で、労使の合意があるとき(ただし非常に限定的)
- 育児休業を終了して職場復帰する場合
つまり、長期的にしっかり休んで育児に専念したい場合は育児休業、短期間で柔軟に働きながら育児もしたい場合は出生時育児休業、という使い分けができるわけですね。
5-5. 対象期間の違い
すでに触れましたが、もう一度整理しましょう。
出生時育児休業:
子の出生後8週間以内という、非常に限定された期間が対象です。
この「8週間」は医学的にも意味があります。母親の「産後休業」が出産後8週間(産後6週間は就業禁止、その後2週間は本人が希望し医師が認めれば就業可能)と定められていることとも関連しています。つまり、母親が産後の回復期にある間、パートナーがサポートできる制度として設計されているんです。
育児休業:
原則として、子が1歳に達するまでの間、いつでも取得できます。
保育所に入れない場合などは、1歳6ヶ月まで、さらに必要であれば2歳まで延長できます。この延長は、夫婦どちらでも取得可能です。
また、パパ・ママ育休プラス制度を利用すると、両親が協力して取得する場合、育児休業期間を子が1歳2ヶ月に達するまで延長できます。(ただし、1人あたりの取得可能期間は最大1年間)
5-6. 給付金の違い
お金のことも気になりますよね。休業中の生活を支える給付金について見ていきましょう。
出生時育児休業:
出生時育児休業給付金が支給されます。
支給額:休業開始時賃金の67%(固定)
例えば、月給30万円の人が28日間の出生時育児休業を取得した場合:
30万円 × 67% = 約20万1,000円が給付されます。
ただし、休業中に就業した場合は、その就業日数や時間に応じて給付金額が調整されます。また、給付金は非課税なので、所得税はかかりません。
育児休業:
育児休業給付金が支給されます。
支給額:
- 休業開始から180日まで:休業開始時賃金の67%
- 181日目以降:休業開始時賃金の50%
例えば、月給30万円の人が1年間の育児休業を取得した場合:
- 最初の6ヶ月間:30万円 × 67% = 約20万1,000円/月
- 残りの6ヶ月間:30万円 × 50% = 15万円/月
- 合計:約210万円
こちらも非課税で、所得税はかかりません。また、育児休業中は社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)も免除されるため、実質的な手取りはもう少し高くなります。
注意点:
給付金は「あとから振り込まれる」仕組みです。通常、休業開始から2〜3ヶ月後に最初の給付が行われます。そのため、休業前に少し貯金をしておくと安心ですね。
(参考:ハローワーク「育児休業給付の内容と支給申請手続」)
6. 併用は可能?使い分けのポイント
「じゃあ、両方の制度を使うことはできるの?」という疑問が湧いてきますよね。
答えは「はい、併用できます!」
両制度を組み合わせて取得する方法
出生時育児休業と育児休業は別々の制度なので、両方を取得することが可能です。むしろ、組み合わせて使うことで、より柔軟な育児支援が実現できます。
基本的な流れとしては:
- 出生直後に「出生時育児休業」を取得(最大28日間)
- その後、必要に応じて「育児休業」を取得(1歳まで)
この2つは連続して取得することもできますし、間を空けて取得することもできます。
効果的な使い分け例
実際にどう使い分けるのがいいのか、いくつかのパターンを見てみましょう。
パターン1:短期集中型(主に男性向け)
- 出生直後に出生時育児休業を28日間取得
- その後は通常勤務に戻る
→ 「長期間休むのは難しいけど、出産直後の大変な時期だけはサポートしたい」という方におすすめ。給付金も67%を維持できます。
パターン2:段階的サポート型
- 出生直後に出生時育児休業を2週間取得
- 生後6週目に出生時育児休業をさらに2週間取得(分割2回目)
- 生後3ヶ月から育児休業を3ヶ月間取得
→ 母親の職場復帰タイミングに合わせて、父親が育児を担当する形。夫婦で協力しながら、柔軟に対応できます。
パターン3:長期サポート型
- 出生直後に出生時育児休業を28日間取得
- その後、すぐに育児休業に切り替えて6ヶ月間取得
→ しっかりと育児に専念したい方向け。最初の28日間+6ヶ月間、合計約7ヶ月間の休業が可能になります。
パターン4:ママの復職サポート型
- ママが産後休業後、育児休業を8ヶ月取得
- ママの職場復帰(生後10ヶ月時点)の少し前に、パパが出生時育児休業を取得…は無理(8週間を超えているため)
- → この場合は、パパが育児休業を取得して引き継ぐ形になります
※出生時育児休業は「出生後8週間以内」という制約があるため、このパターンでは使えません。この場合は通常の育児休業を利用します。
実際の取得パターン事例
厚生労働省の調査によると、2023年度に出生時育児休業を取得した男性のうち、約40%が育児休業と併用しているそうです。
事例1:IT企業勤務のAさん(30代男性)
- 出生直後に出生時育児休業を10日間取得(重要なプロジェクトの区切りまで)
- 生後5週目に出生時育児休業をさらに18日間取得
- 妻の職場復帰時(生後8ヶ月)に育児休業を2ヶ月取得
「最初の10日間で育児の大変さを実感。でもプロジェクトも気になったので、一度戻って引き継ぎをしてから、もう一度しっかり休みました。妻の復帰時にも休めたので、保育園の慣らし保育にも立ち会えて良かったです」
事例2:製造業勤務のBさん(40代男性)
- 出生直後に出生時育児休業を28日間フル取得
- その後すぐに育児休業を4ヶ月取得
「第一子のときは何もできなかったので、第二子では思い切って5ヶ月休むことにしました。会社は最初驚いていましたが、事前に半年前から相談していたこともあり、理解してもらえました。妻の体調回復にも、上の子のケアにも時間を使えて、本当に取ってよかったです」
このように、家庭の状況や仕事の都合に応じて、柔軟に組み合わせることができるんですね。
(参考:厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」)
7. それぞれのメリット・デメリット
ここまで違いを見てきましたが、「結局どっちがいいの?」と悩む方もいるでしょう。それぞれのメリット・デメリットを整理してみましょう。
出生時育児休業のメリット・デメリット
✅ メリット
- 申請期限が短い(2週間前):急な対応がしやすい
- 休業中でも働ける:緊急の仕事に対応できる柔軟性
- 2回に分割できる:必要な時期に合わせて調整可能
- 給付率が67%固定:短期間なので高い給付率を維持
- 雇用期間が6ヶ月以上で取得可能:比較的条件が緩い
- 男性が取得しやすい:「産後パパ育休」という名称で、男性の取得を促進
❌ デメリット
- 期間が短い(最大28日間):長期間休みたい人には不向き
- 出生後8週間以内のみ:時期が限定される
- 休業中の就業には労使協定が必要:会社によっては利用できない場合も
- 給付金の受給まで時間がかかる:申請から2〜3ヶ月後
育児休業のメリット・デメリット
✅ メリット
- 長期間取得できる(最大2歳まで):じっくり育児に専念できる
- 延長が可能:保育所に入れない場合などに対応
- 取得時期を選べる:1歳までの間、いつでもスタート可能
- 2回まで分割可能:職場復帰後、再度取得もできる
- 社会保険料が免除:実質的な手取り増
- 育児に集中できる:仕事を気にせず育児に専念
❌ デメリット
- 申請期限が1ヶ月前:事前の計画が必要
- 休業中の就業は原則不可:柔軟性に欠ける
- 180日経過後は給付率が50%に下がる:長期取得すると収入減
- 雇用期間が1年以上必要:転職直後などは取得できない場合も
- キャリアへの影響:長期間のブランクに不安を感じる人も
- 職場復帰の調整が必要:長期間休むほど復帰しづらいと感じる人も
どちらを選ぶべき?判断基準
以下のチェックリストで、あなたに合った選択を考えてみましょう。
出生時育児休業が向いている人:
- □ 長期間休むのは難しいが、出産直後はサポートしたい
- □ 仕事の状況に応じて柔軟に対応したい
- □ 短期間で効果的にサポートしたい
- □ 重要なプロジェクトがあり、完全に離れるのは難しい
- □ まずは短期間試してみたい
育児休業が向いている人:
- □ じっくりと育児に専念したい
- □ 長期間のプランを立てて休みたい
- □ パートナーの職場復帰に合わせて休みたい
- □ 保育所が見つかるまで家庭で育てたい
- □ 仕事を気にせず育児に集中したい
両方併用が向いている人:
- □ 出産直後と少し後の時期、両方でサポートしたい
- □ より長く育児に関わりたい
- □ 段階的に育児と仕事のバランスを取りたい
- □ パートナーと協力して柔軟に対応したい
「どれが正解」ということはありません。大切なのは、あなたの家庭の状況、職場の環境、そして希望する育児スタイルに合わせて選ぶことです。
迷ったら、職場の上司や人事担当者、そして何よりパートナーとよく話し合ってみてくださいね。
8. 申請方法と手続きの流れ
「制度はわかったけど、実際にどうやって申請するの?」という疑問にお答えします。
出生時育児休業の申請手順
ステップ1:事前準備(妊娠中〜出産前)
- 会社の就業規則を確認する
- 人事・総務部門に制度について相談
- 取得したい時期と期間を計画
- 上司に事前相談(できるだけ早めに)
ステップ2:正式な申し出(休業開始2週間前まで)
- 会社指定の申請書を提出(書面または電磁的記録)
- 申請書に記載する内容:
- 休業開始予定日と終了予定日
- 出生予定日(または出生日)
- 分割取得する場合は、その旨と各期間
ステップ3:業務の引き継ぎ
- 担当業務の引き継ぎ資料作成
- 後任者への引き継ぎ
- 緊急時の連絡体制確認(ただし、休業中の就業を前提としない)
ステップ4:給付金の申請
- 会社を通じてハローワークに申請
- 必要書類:
- 出生時育児休業給付金支給申請書
- 賃金台帳、出勤簿など
- 母子健康手帳(出生を証明するページのコピー)
- 通常、会社の担当者が手続きを代行してくれます
ステップ5:休業取得
- 計画通りに休業開始
- 就業する場合は、事前に会社と合意した範囲内で
育児休業の申請手順
ステップ1:事前準備(妊娠中〜出産前)
- 会社の育児休業制度を確認
- 人事・総務部門に相談
- 取得期間を計画(最長1歳まで、延長の可能性も考慮)
- 上司に相談(できれば出産予定日の3〜6ヶ月前)
ステップ2:正式な申し出(休業開始1ヶ月前まで)
- 会社指定の申請書を提出
- 申請書に記載する内容:
- 休業開始予定日と終了予定日
- 子の氏名、生年月日、労働者との続柄
- 配偶者の氏名
ステップ3:業務の引き継ぎ
- 詳細な引き継ぎ資料の作成
- 後任者への丁寧な引き継ぎ
- 顧客や取引先への挨拶
ステップ4:給付金の申請
- 会社を通じてハローワークに申請
- 必要書類:
- 育児休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳、出勤簿、母子健康手帳など
- 通常、会社が手続きを代行
- 2ヶ月ごとに支給申請を継続
ステップ5:休業期間中
- 育児に専念
- 必要に応じて会社と連絡を取る(無理のない範囲で)
ステップ6:職場復帰の準備
- 復帰予定日の1ヶ月前に会社に連絡
- 保育園の入園手続き
- 復帰後の働き方について相談
必要書類一覧
| 書類名 | 出生時育児休業 | 育児休業 | 入手先 |
|---|---|---|---|
| 休業申出書 | ○ | ○ | 会社指定の様式 |
| 母子健康手帳のコピー | ○ | ○ | 自治体から交付 |
| 給付金支給申請書 | ○ | ○ | 会社経由でハローワーク |
| 賃金台帳のコピー | ○ | ○ | 会社で準備 |
| 出勤簿のコピー | ○ | ○ | 会社で準備 |
| 賃金月額証明書 | △(初回申請時) | ○ | 会社で準備 |
| 延長申請書 | – | ○(延長時のみ) | 会社指定の様式 |
| 保育所入所不承諾通知書 | – | ○(延長時のみ) | 自治体から交付 |
※ ○:必要、△:場合により必要、-:不要
会社への伝え方のポイント
「休業を取りたいと言いづらい…」そんな不安を感じる方も多いでしょう。でも、育児休業は法律で認められた権利です。堂々と、でも配慮を持って伝えましょう。
タイミング
- 妊娠が確定したら、できるだけ早めに直属の上司に報告
- 正式な申請は法定期限(2週間前または1ヶ月前)までに
- でも、実際には2〜3ヶ月前には伝えておくのがベター
伝え方の例
「お時間をいただけますでしょうか。実は、妻が妊娠しまして、○月頃に出産予定です。つきましては、出生時育児休業(産後パパ育休)を取得したいと考えています。具体的には、出産直後から2週間程度を予定しております。業務の引き継ぎなど、できる限り準備を進めますので、ご相談させていただけますでしょうか。」
NGな伝え方
- ×「法律で認められているので休みます」と高圧的に伝える
- ×ギリギリになって突然申し出る
- ×引き継ぎを考えずに休む
職場の理解を得るコツ
- 早めに相談することで、業務調整の時間を確保
- 引き継ぎ計画を具体的に提案
- 休業中の連絡体制を提案(ただし、過度な業務連絡は避ける)
- 復帰後の働き方についても前向きに話す
万が一、会社が休業を認めないような場合は、人事部門や労働基準監督署に相談することもできます。ただし、まずは誠実に話し合うことが大切です。
9. 【体験談】実際に取得した方の声
「実際に取った人は、どうだったんだろう?」そんな疑問にお答えするため、実際に制度を利用した方々の体験談をご紹介します。(※個人情報保護のため、一部内容を改変しています)
出生時育児休業を取得したAさん(32歳・IT企業勤務)のケース
取得パターン:出生直後から2週間、その後1週間空けて、さらに2週間(合計28日間を分割)
「第一子の出産ということもあり、妻も私も初めての育児で不安でした。出生時育児休業を取ったことで、最初の2週間は妻の産後の回復を見守りながら、一緒に赤ちゃんのお世話の方法を学ぶことができました。
一度職場に戻ったのは、重要なシステムリリースがあったため。でもその1週間で業務の引き継ぎもしっかりできて、後半の2週間は安心して休めました。
分割できるのが本当に助かりました。もし4週間連続で休んでいたら、仕事の心配でそわそわしていたかもしれません。でも、一度戻って状況を確認できたので、後半は育児に集中できました。
妻からは『あなたがいてくれて本当に助かった』と言われて、取って良かったと心から思いました。給付金も67%出たので、経済的な不安も少なかったです。」
育児休業を取得したBさん(38歳・製造業勤務)のケース
取得パターン:生後2ヶ月から6ヶ月間の育児休業
「うちは妻が自営業で、産後2ヶ月後には仕事に復帰する必要がありました。そこで、私が育児休業を取ることにしました。
正直、最初は『男が半年も休んで大丈夫か?』と不安でした。でも、上司が『育児は立派な仕事だ』と言ってくれて、背中を押されました。
実際に休んでみると、育児の大変さを実感しました。夜泣きへの対応、離乳食の準備、予防接種のスケジュール管理…。仕事の方がよっぽど楽だったかも(笑)。
でも、子どもの成長を間近で見られたのは、何物にも代えがたい経験でした。初めて寝返りした瞬間、初めて笑った瞬間、すべてを見ることができました。
職場復帰後は、以前より育児への理解が深まったと感じています。同僚の育休取得にも積極的に協力できるようになりました。」
両方を併用したCさん(29歳・金融機関勤務)のケース
取得パターン:出生直後に出生時育児休業28日間→一度復帰→生後6ヶ月から育児休業3ヶ月間
「計画的に両方の制度を使いました。まず、出産直後の1ヶ月間は出生時育児休業で。この時期は本当に大変で、2時間おきの授乳、おむつ替え、沐浴…。妻も産後で体力的に限界だったので、私がサポートできて良かったです。
一度復帰してからは、3ヶ月間通常勤務。その間に業務を整理して、後任への引き継ぎ準備も進めました。
そして、妻が職場復帰する生後6ヶ月のタイミングで、今度は育児休業を3ヶ月取得。この頃になると、子どもも少し大きくなって、また違った大変さがありました。離乳食が始まったり、人見知りが激しくなったり。
夫婦で交代しながら育児に関わることで、お互いの大変さを理解し合えました。『育児は二人でやるもの』という実感が持てたのが一番の収穫です。
給付金も、出生時育児休業は67%、育児休業も最初の180日なので67%をもらえました。合計で約4ヶ月間、しっかりと育児に専念できたのは、本当に貴重な経験でした。」
これらの体験談から、それぞれの家庭の状況に応じて柔軟に制度を活用できることが分かりますね。大切なのは、自分たち家族にとって最適な取り方を考えることです。
10. よくある質問(Q&A)
ここでは、出生時育児休業と育児休業について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 男性でも両方の制度を取得できますか?
A. はい、取得できます。
出生時育児休業も育児休業も、性別に関係なく取得できる制度です。「産後パパ育休」という愛称がついているため、男性専用と誤解されがちですが、実際には女性も取得可能です。
ただし、女性の場合は「産後休業」(出産後8週間)が別途あるため、実務上は産後休業終了後に育児休業を取得するのが一般的です。出生時育児休業は、産後休業と重複する期間には取得できません。
Q2. パート・契約社員も対象ですか?
A. 条件を満たせば取得できます。
正社員でなくても、以下の条件を満たせば取得可能です:
出生時育児休業の場合:
- 雇用期間が6ヶ月以上であること
- 子の出生後8週間以内に雇用契約が終了することが明らかでないこと
- 週の所定労働日数が2日以下でないこと
育児休業の場合:
- 同一の事業主に1年以上雇用されていること
- 子が1歳6ヶ月に達する日までに雇用契約が終了することが明らかでないこと
- 週の所定労働日数が2日以下でないこと
ただし、労使協定で除外されている場合もあるので、会社の人事部門に確認しましょう。
Q3. 期間を延長することはできますか?
A. 出生時育児休業は延長不可、育児休業は条件付きで延長可能です。
出生時育児休業:
最大28日間という上限が法律で定められているため、これ以上の延長はできません。また、対象期間も「出生後8週間以内」に限定されています。
育児休業:
以下の条件を満たせば、延長できます:
- 1歳6ヶ月まで延長:保育所に入所できない、配偶者が死亡・負傷・疾病等で養育が困難な場合
- 2歳まで再延長:1歳6ヶ月時点でも上記の事情が継続している場合
延長を希望する場合は、延長開始予定日の2週間前までに申し出る必要があります。
Q4. 給付金はいつ振り込まれますか?
A. 申請から通常2〜3ヶ月後です。
給付金の支給タイミングは:
- 会社がハローワークに申請書類を提出
- ハローワークで審査(通常2週間〜1ヶ月)
- 承認されれば、指定口座に振り込み
つまり、休業開始から実際に給付金を受け取るまでに、2〜3ヶ月かかることが一般的です。そのため、休業前に数ヶ月分の生活費を確保しておくことをおすすめします。
育児休業の場合は、2ヶ月ごとに継続して申請・支給されます。初回の支給が遅いだけで、その後は比較的スムーズに振り込まれます。
Q5. 会社が拒否することはありますか?
A. 法律上の要件を満たしていれば、拒否できません。
出生時育児休業も育児休業も、労働者の法的権利です。法律上の要件(雇用期間など)を満たしている場合、会社は休業を拒否することができません。
もし、会社が以下のような対応をした場合は、問題があります:
- 休業の申し出を拒否する
- 休業を理由に解雇や不利益な取扱いをする
- 休業取得をあきらめるよう説得する
- 嫌がらせをする(パタニティハラスメント・パタハラ)
このような場合は、まず会社の人事部門に相談しましょう。解決しない場合は、以下に相談できます:
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)
- 労働基準監督署
- ハローワーク
厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」にも詳しい情報が載っています。
Q6. 双子の場合はどうなりますか?
A. 基本的には同じ期間ですが、一部特例があります。
出生時育児休業の場合、双子でも28日間という上限は変わりません。ただし、育児休業の場合は、以下の特例があります:
- パパ・ママ育休プラス制度で、1歳2ヶ月まで延長可能
- 保育所に入所できない場合の延長がより認められやすい
多胎児の場合、育児負担が大きいため、両親で協力して長めに取得することを検討すると良いでしょう。
Q7. 養子縁組の場合も取得できますか?
A. はい、取得できます。
出生時育児休業・育児休業ともに、養子縁組の場合も対象です。ただし、条件が少し異なります:
- 出生時育児休業:養子を迎え入れた日から8週間以内
- 育児休業:養子が1歳に達するまで
特別養子縁組、普通養子縁組、どちらの場合でも取得可能です。
Q8. 取得中にアルバイトをしてもいいですか?
A. 原則として認められていません。
出生時育児休業の「休業中の就業」は、あくまで「休業を取得している会社での就業」を指します。別の会社でアルバイトをすることは、原則として認められていません。
また、アルバイトをした場合、給付金が減額されたり、支給されなくなったりする可能性があります。休業の趣旨は「育児に専念すること」ですので、アルバイトは控えましょう。
11. 2025年最新情報:さらなる制度改正の動き
育児休業制度は、社会のニーズに合わせて継続的に改正されています。2025年現在、さらなる制度拡充に向けた動きがあります。
今後の制度拡充の可能性
①男性育休取得率の目標引き上げ
政府は、男性の育児休業取得率を2025年までに50%、2030年までに85%にする目標を掲げています。(※2023年時点で約30%)
この目標達成のため、以下のような施策が検討されています:
- 企業への助成金の拡充
- 男性育休取得の義務化(検討段階)
- 取得しやすい職場環境づくりの推進
②給付率の引き上げ検討
現在67%(育児休業は181日以降50%)の給付率について、引き上げを求める声があります。特に、北欧諸国では80%以上の給付率となっており、日本でもさらなる引き上げが議論されています。
③柔軟な取得方法の拡大
時短勤務との併用や、週数日だけ休業するといった、より柔軟な取得方法の導入が検討されています。
最新の政府方針
厚生労働省は、2024年に「こども未来戦略」を発表し、その中で育児休業制度のさらなる拡充を明言しています。
主なポイント:
- 男性の育児休業取得を「当たり前」にする社会づくり
- 中小企業への支援強化
- 育児休業取得者へのキャリア支援
- 職場復帰後の柔軟な働き方の推進
今後も制度は進化していくと考えられます。最新情報は、厚生労働省の公式サイトやハローワークで確認できますので、定期的にチェックすることをおすすめします。
(参考:厚生労働省「こども未来戦略」、「男性の育児休業取得促進事業」)
12. まとめ:あなたに合った育児休業を選ぼう
ここまで、出生時育児休業(産後パパ育休)と育児休業の違いについて、詳しく見てきました。最後に、重要なポイントをもう一度まとめておきましょう。
重要ポイントの再確認
✅ 出生時育児休業(産後パパ育休)
- 出生後8週間以内に最大28日間取得
- 2回まで分割可能
- 申請は2週間前まで(原則)
- 休業中でも就業可能(労使協定がある場合)
- 給付金は67%(固定)
✅ 育児休業
- 原則1歳まで(最長2歳まで延長可能)
- 2回まで分割可能
- 申請は1ヶ月前まで
- 休業中の就業は原則不可
- 給付金は67%(180日まで)→50%(181日以降)
✅ 両方を併用することも可能
家庭の状況に合わせて、柔軟に組み合わせて使いましょう。
次のアクションステップ
この記事を読んで、「育児休業を取ってみよう」と思った方は、以下のステップで進めてみてください:
- パートナーと話し合う
どのタイミングで、どのくらいの期間休むのか、夫婦でよく相談しましょう。 - 会社の制度を確認する
就業規則や人事担当者に、自社の育児休業制度について確認しましょう。 - 上司に相談する
できるだけ早めに、上司に相談してみましょう。理解を得ることが大切です。 - 業務の引き継ぎ計画を立てる
スムーズに休業に入れるよう、計画的に準備を進めましょう。 - 正式に申請する
期限までに、会社指定の書類を提出しましょう。
読者へのエールメッセージ
育児は、人生で最も大切な「仕事」の一つです。
「休業を取るのは申し訳ない」「キャリアに影響が出るかも」そんな不安を感じている方もいるかもしれません。でも、育児に関わることは、決して「サボり」でも「休み」でもありません。
子どもの成長は一瞬です。生まれたばかりの小さな手、初めての笑顔、初めての寝返り…。そんな貴重な瞬間を、できるだけたくさん見ることができたら、それはきっと一生の宝物になります。
そして、育児に積極的に関わることは、パートナーとの絆を深めることにもつながります。「一緒に乗り越えた」という経験は、これからの長い人生を支える土台になるはずです。
もちろん、仕事も大切です。でも、仕事はいつでもできます。子どもが赤ちゃんでいる時間は、今だけです。
出生時育児休業と育児休業、どちらを選ぶにしても、あなたの家族にとって最善の選択をしてください。そして、その選択を自信を持って進めてください。
制度は整ってきています。あとは、あなたが一歩踏み出すだけです。
応援しています。あなたと、あなたの家族に、幸せな育児の時間が訪れますように。
※この記事の情報は2025年10月時点のものです。最新の情報は、厚生労働省の公式サイトやハローワークでご確認ください。
参考資料:
・厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
・厚生労働省「育児休業給付について」
・ハローワーク「雇用保険の給付内容」
・厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」

