育児休業等取得者申出書はいつまでに提出?期限・遅れた場合の対処法・書き方まで完全ガイド
育児休業を取得する際、人事担当者や総務担当者にとって避けて通れないのが「育児休業等取得者申出書」の提出です。でも、「いつまでに出せばいいの?」「期限を過ぎたらどうなるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この書類は、育休中の社会保険料免除を受けるために必要不可欠なもの。提出期限を守らないと、従業員にも会社にも不利益が生じる可能性があります。
本記事では、育児休業等取得者申出書の提出期限、遅れた場合の対処法、書き方、提出先まで、実務で必要な情報をすべて網羅して解説します。初めて担当する方でも安心して手続きできるよう、わかりやすくお伝えしていきますね。
1. 育児休業等取得者申出書とは?基本を理解しよう
まずは、育児休業等取得者申出書がどのような書類なのか、基本から押さえていきましょう。
1-1. 育児休業等取得者申出書の定義と目的
育児休業等取得者申出書とは、正式名称を「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」といい、従業員が育児休業を取得する際に必要となる公的書類です。
この書類は、日本年金機構に提出するもので、主な目的は以下の2つです:
- 育児休業中の社会保険料免除を受けるため
- 育休期間中も被保険者資格を継続させるため
育児休業は、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に基づいた制度です。この法律により、育休中の従業員とその事業主は社会保険料が免除される仕組みになっています。
ただし、自動的に免除されるわけではありません。この申出書を提出することで初めて、免除が適用されるんです。
1-2. 誰が提出する書類なのか
ここ、とても重要なポイントです。
育児休業等取得者申出書を提出するのは「事業主(会社の人事・総務担当者)」です。
従業員本人が直接提出するものではありません。従業員から育休取得の申し出を受けた後、会社の担当者が書類を作成し、日本年金機構に提出する流れになります。
つまり、この記事を読んでいる人事・総務担当者の皆さんが、適切に手続きを進める責任があるということですね。従業員の大切な権利を守るため、正確な手続きを心がけましょう。
1-3. 提出することで得られるメリット(社会保険料免除)
では、この書類を提出することで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
最大のメリットは、育児休業期間中の社会保険料が免除されることです。
免除される保険料は以下の2つ:
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
しかも、従業員負担分だけでなく、事業主負担分も免除されます。つまり、会社にとっても経済的メリットがあるんです。
さらに重要なのは、保険料が免除されている期間中も、被保険者資格は継続したままということ。将来受け取る年金額にも影響しません。免除期間中は、休業前の標準報酬月額に応じた保険料を納めているものとして扱われます。
例えば、標準報酬月額30万円の従業員が1年間育休を取得した場合、従業員と会社を合わせて年間約100万円以上の保険料が免除されることになります(健康保険料率や厚生年金保険料率によって変動します)。
こうした大きなメリットを受けるためにも、育児休業等取得者申出書の提出は必須なのです。
2. 【重要】育児休業等取得者申出書の提出期限はいつまで?
さあ、ここからが本題です。多くの方が気になっている「提出期限」について、詳しく見ていきましょう。
2-1. 原則的な提出期限:育休期間中または終了日から1ヵ月以内
育児休業等取得者申出書の提出期限は、「育児休業等期間中、または育児休業等終了日から起算して1ヵ月以内」です。
これは日本年金機構が定めている公式なルールです。もう少し具体的に説明しますね。
提出可能な期間
- 育休開始日から育休終了日まで(育休期間中)
- 育休終了日の翌日から1ヵ月間
例えば、従業員が2025年4月1日から2026年3月31日まで育休を取得するとします。この場合、提出期限は:
- 育休期間中:2025年4月1日~2026年3月31日のいずれかの日
- 育休終了後:2026年4月1日~2026年4月30日まで
つまり、最終的な提出期限は2026年4月30日ということになります。
実務上のおすすめ提出タイミング
法律上は育休期間中または終了後1ヵ月以内でOKですが、実務的には育休開始後、できるだけ早めに提出するのがベストです。
理由は以下の通り:
- 保険料免除の恩恵を早く受けられる
- 提出忘れのリスクを減らせる
- 育休終了時期が変更になっても対応しやすい
- 年金事務所での処理に時間がかかるため、早めの方が安心
育休開始から1~2週間以内を目安に提出できれば、とてもスムーズですよ。
2-2. 提出期限を過ぎてしまった場合はどうなる?
「気づいたら期限を過ぎていた!」という状況、実はけっこう起こりがちなんです。特に、育休終了後1ヵ月の期限は見落としやすいもの。
でも、安心してください。期限を過ぎても提出自体は可能です。
ただし、いくつか注意点があります:
遅延時のデメリット
- 追加の添付書類が必要になる
通常は添付書類不要ですが、期限を過ぎると理由書や証明書類の提出を求められます(詳しくは後述) - 手続きに時間がかかる
年金事務所での審査が厳しくなり、処理に通常より時間がかかる可能性があります - 保険料の免除開始が遅れる可能性
手続きが遅れた分、免除の適用が遅れるリスクがあります
ただし、期限を過ぎたからといって保険料免除が受けられなくなるわけではありません。きちんと手続きをすれば、遡って免除が適用されます。
とはいえ、余計な手間を避けるためにも、期限内に提出するのが一番ですね。
2-3. 遅延時に必要な添付書類と対処法
もし提出期限を過ぎてしまった場合、以下の書類を添付する必要があります。
必要な添付書類
- 遅延理由書(申立書)
なぜ期限内に提出できなかったのか、理由を記載した書類です。日本年金機構のウェブサイトに様式がある場合もありますが、ない場合は自由形式で作成します。 - 育児休業を取得していたことを証明する書類
以下のいずれかを用意します:- 出勤簿のコピー
- 賃金台帳のコピー
- 勤怠管理システムの記録
- タイムカード
これらの書類で、該当期間に実際に育休を取得していたことを証明します。
遅延時の対処法
期限を過ぎてしまった場合の手順は以下の通りです:
- 育児休業等取得者申出書を通常通り記入する
- 遅延理由書を作成する(正直に、簡潔に理由を書きましょう)
- 育休取得を証明できる書類を準備する
- すべての書類をまとめて年金事務所に提出する
- 提出時に「提出が遅れたこと」を窓口で説明する(郵送の場合は送付状に記載)
実務担当者の方へのアドバイスとしては、遅延に気づいたらできるだけ早く対応することです。「もう遅いから…」と放置すると、従業員に不利益が生じる可能性があります。
また、同じミスを繰り返さないよう、社内で育休取得者が出た際のチェックリストを作成しておくことをおすすめします。
3. 提出先と提出方法を詳しく解説
育児休業等取得者申出書を「どこに」「どうやって」提出するのか、詳しく見ていきましょう。加入している健康保険の種類によって提出先が異なるので、注意が必要です。
3-1. 協会けんぽ加入者の提出先
従業員が協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入している場合、提出先は「日本年金機構」です。
具体的には:
- 管轄の年金事務所、または
- 事務センター
のいずれかに提出します。
重要なのは、日本年金機構に提出すれば、協会けんぽへの別途届出は不要ということ。一か所に提出するだけで、健康保険と厚生年金保険の両方の手続きが完了します。これは便利ですね。
管轄の年金事務所の調べ方
自社の事業所を管轄する年金事務所は、日本年金機構のウェブサイトで検索できます。会社の所在地を入力すれば、すぐに分かりますよ。
3-2. 組合健保加入者の提出先
従業員が組合健保(健康保険組合)に加入している場合は、少し注意が必要です。
提出先が2か所になる可能性があります:
- 日本年金機構(年金事務所または事務センター)
厚生年金保険の手続きのため - 加入している健康保険組合
健康保険の手続きのため
ただし、健康保険組合によっては独自の様式を用意している場合もあります。また、「日本年金機構に提出すればOK」としている組合もあれば、「両方に提出が必要」としている組合もあります。
必ず加入している健康保険組合に確認してください。提出先を間違えると、手続きが完了せず、保険料免除が受けられないリスクがあります。
健康保険組合の確認方法
- 従業員の健康保険証に記載されている
- 健康保険組合のウェブサイトで確認できる
- 直接、健康保険組合に電話で問い合わせる
3-3. 提出方法(電子申請・郵送・窓口)の選び方
育児休業等取得者申出書の提出方法は3つあります。それぞれの特徴を理解して、自社に合った方法を選びましょう。
①電子申請(e-Gov)
メリット:
- 24時間いつでも提出可能
- 郵送費がかからない
- 書類の紛失リスクがない
- 処理がスピーディ
- 過去の申請履歴が確認できる
デメリット:
- 初回のシステム設定に手間がかかる
- 電子証明書が必要
- 慣れるまで操作が難しい
おすすめな人:定期的に社会保険関係の手続きをする企業、従業員数が多い企業
②郵送
メリット:
- 操作が不要で簡単
- 特別なシステムが不要
- 複数の書類をまとめて送れる
デメリット:
- 郵送費がかかる
- 到着まで数日かかる
- 配達状況が確認しにくい(簡易書留推奨)
- 書類の不備があった場合、再送の手間がかかる
おすすめな人:電子申請の環境が整っていない小規模企業、年に数回しか申請しない企業
③窓口持参
メリット:
- その場で書類の確認をしてもらえる
- 不備があればすぐに修正できる
- 疑問点をその場で質問できる
- 受付印をもらえるので安心
デメリット:
- 年金事務所の営業時間内(平日8:30~17:15)に行く必要がある
- 混雑時は待ち時間が長い
- 交通費・移動時間がかかる
おすすめな人:初めて申請する人、書類に不安がある人、年金事務所が近い企業
実務担当者へのアドバイス
個人的には、慣れている方は郵送、システムに強い会社は電子申請、初めての方は窓口持参をおすすめします。
特に初めて手続きをする場合、窓口に持参してその場で確認してもらうと、後々のトラブルを防げます。「これで合っていますか?」と聞けるだけでも、安心感が違いますよね。
郵送する場合は、必ず簡易書留で送ることをおすすめします。普通郵便だと、「届いたかどうか分からない」という不安が残りますから。
4. 育児休業等取得者申出書の書き方・記入例
ここからは実践編です。育児休業等取得者申出書の具体的な書き方を、項目ごとに詳しく解説していきます。
4-1. 用紙のダウンロード方法
まず、申出書の用紙を入手しましょう。
日本年金機構の公式ウェブサイトから無料でダウンロードできます。検索エンジンで「育児休業等取得者申出書 日本年金機構」と検索すれば、すぐに見つかります。
用紙は以下の3種類が1つのPDFにまとまっています:
- 新規用(初めて育休を取得する場合)
- 延長用(育休を延長する場合)
- 終了届(予定より早く育休を終了する場合)
今回は「新規」の場合の書き方を中心に解説しますね。
4-2. 【記入例付き】各項目の書き方を徹底解説
では、申出書の各項目を上から順に見ていきましょう。記入例とともに解説します。
①提出日
記入内容:年金事務所に実際に提出する日付を記入します。
記入例:令和7年4月15日
注意点:郵送の場合は投函日、電子申請の場合は送信日を記入します。
②事業所整理記号
記入内容:年金事務所から付与されている事業所整理記号を記入します。
記入例:ア12-3456
確認方法:
- 納入告知書に記載されている
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書に記載されている
- 年金事務所に問い合わせても教えてもらえます
注意点:必ず正確に記入してください。間違えると書類が受理されない可能性があります。
③事業所所在地・名称
記入内容:会社の正式な住所と名称を記入します。
記入例:
東京都千代田区丸の内1-1-1
株式会社○○商事
注意点:登記簿上の正式名称で記入しましょう。略称ではなく、「株式会社」「有限会社」などを正確に書きます。
④事業主氏名
記入内容:事業主(代表者)の氏名を記入し、押印します。
記入例:山田 太郎 ㊞
注意点:代表取締役の氏名を記入するのが原則ですが、人事部長などに権限委譲している場合はその旨を明記します。
⑤電話番号
記入内容:会社の代表電話番号、または人事部門の直通番号を記入します。
記入例:03-1234-5678
注意点:年金事務所から確認の連絡が来る可能性があるので、確実に連絡が取れる番号を記入しましょう。
⑥被保険者整理番号
記入内容:従業員の被保険者整理番号を記入します。
記入例:123456
確認方法:
- 従業員の健康保険証に記載されている
- 厚生年金資格取得届の控えで確認できる
- 社内の人事システムで管理している場合も多い
⑦個人番号(マイナンバー)
記入内容:従業員のマイナンバー(12桁)を記入します。
記入例:123456789012
注意点:マイナンバーの取り扱いには十分注意してください。記入した書類は、郵送時も厳重に管理する必要があります。
⑧被保険者氏名
記入内容:育休を取得する従業員の氏名を記入します。
記入例:佐藤 花子
注意点:戸籍上の正式な氏名を記入します。旧姓使用の場合でも、戸籍名で記入してください。
⑨生年月日
記入内容:従業員の生年月日を和暦で記入します。
記入例:平成5年3月15日
⑩育児休業開始年月日
記入内容:育休を開始する日を記入します。
記入例:令和7年4月1日
注意点:産後休業から引き続き育休を取得する場合、産後休業終了の翌日が育休開始日になります。例えば、産後休業が3月31日に終了する場合、育休開始日は4月1日です。
⑪育児休業終了予定年月日
記入内容:育休を終了する予定の日を記入します。
記入例:令和8年3月31日
注意点:子どもが1歳になる前日が一般的です。例えば、子どもの誕生日が4月1日なら、育休終了予定日は3月31日になります。
⑫子の氏名
記入内容:養育する子どもの氏名を記入します。
記入例:佐藤 太郎
⑬子の生年月日
記入内容:子どもの生年月日を記入します。
記入例:令和7年4月1日
注意点:出生前に申出書を準備する場合、出産後に記入して提出します。
⑭続柄
記入内容:従業員と子どもの続柄を記入します。
記入例:子、養子、など
⑮備考欄
記入内容:該当する場合のみ記入します。
主な記入ケース:
- パパ・ママ育休プラスを利用する場合
「パパ・ママ育休プラスの適用を受ける」と記入し、配偶者の育休期間なども記載します。 - 保育所に入所できないため1歳6か月(または2歳)まで延長する場合
「保育所等入所保留のため延長」などと記入します。 - 産後パパ育休を取得する場合
「産後パパ育休」と記入します。
4-3. 複数回育休取得時の特別な記入方法
2022年10月から、育児休業を分割して取得できるようになりました。特に男性の育休取得促進のため、「産後パパ育休」という制度も始まっています。
1カ月のうちに複数回の育休を取得する場合、記入方法に特別な注意が必要です。
記入のポイント
- 育児休業開始年月日欄
最初の育休開始日を記入します。 - 育児休業終了予定年月日欄
最後の育休終了予定日を記入します。 - 育児休業等取得日数欄
実際に育休を取得する日数を記入します。 - 就業予定日数欄
育休期間中に就業する予定の日数を記入します。 - 育休等取得内訳欄
いつからいつまで育休を取得し、いつからいつまで就業するのか、詳細に記入します。
記入例
例:4月1日~4月14日と4月21日~4月30日の2回に分けて育休を取得し、4月15日~4月20日は就業する場合
- 育児休業開始年月日:令和7年4月1日
- 育児休業終了予定年月日:令和7年4月30日
- 育児休業等取得日数:24日
- 就業予定日数:6日
- 育休等取得内訳:4/1~4/14(育休14日)、4/15~4/20(就業6日)、4/21~4/30(育休10日)
複雑に感じるかもしれませんが、実際に取得する日数と就業する日数を正確に記入すれば大丈夫です。
4-4. パパママ育休プラス・産後パパ育休の記載方法
特例制度を利用する場合の記載方法を見ていきましょう。
パパ・ママ育休プラスの場合
パパ・ママ育休プラスとは、両親がともに育休を取得する場合、子どもが1歳2か月になる日の前日まで育休を延長できる制度です。
適用条件:
- 子が1歳に到達するまでに配偶者が育休を取得している
- 本人の育休開始予定日が、子の1歳の誕生日より前である
- 本人の育休開始予定日が、配偶者の育休の初日以降である
記入方法:
- 備考欄に「パパ・ママ育休プラスの適用を受ける」と記入
- 配偶者の育休期間を記載(例:「配偶者育休期間:R7.4.1~R8.3.31」)
- 育休終了予定年月日は子が1歳2か月になる日の前日まで記入可能
産後パパ育休の場合
産後パパ育休(正式には「出生時育児休業」)は、子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日間)取得できる男性向けの育休制度です。通常の育休とは別に取得できます。
記入方法:
- 備考欄に「産後パパ育休(出生時育児休業)」と記入
- 育休開始年月日・終了予定年月日を正確に記入
- 2回に分割して取得する場合は、複数回育休の記入方法に従う
これらの特例制度を利用する場合、記入漏れがあると適用されないことがあります。必ず備考欄への記入を忘れないようにしてくださいね。
5. 添付書類は必要?不要?ケース別に解説
育児休業等取得者申出書を提出する際、「何か他に書類を付けないといけないのかな?」と不安になる方も多いようです。添付書類の要・不要について、ケース別に整理しましょう。
5-1. 通常は添付書類不要
まず、安心してください。基本的には添付書類は不要です。
育児休業等取得者申出書1枚だけを提出すれば、手続きは完了します。出生届のコピーや育児休業申出書(社内用)のコピーなども、通常は必要ありません。
これは、マイナンバー制度により、年金事務所が従業員の情報を確認できるようになったためです。以前は添付書類が必要なケースもありましたが、現在は簡素化されています。
ですから、期限内に適切に提出する限り、申出書1枚だけで大丈夫ですよ。
5-2. 期限を過ぎた場合に必要な書類
ただし、前述の通り、提出期限を過ぎた場合は添付書類が必要になります。
必要な書類は:
- 遅延理由書(申立書)
提出が遅れた理由を説明する書類です。 - 育児休業を取得していたことを証明する書類
- 出勤簿のコピー
- 賃金台帳のコピー
- 勤怠管理システムの記録
- タイムカードのコピー
これらのいずれかで、育休期間中に実際に休業していたことを証明します。
「ちょっと遅れただけなのに、面倒だな…」と思うかもしれませんね。でも、これは不正な申請を防ぐための措置なので、理解してください。
遅延理由書の書き方ですが、正直に理由を書けば大丈夫です。「担当者の異動により手続きが遅れた」「育休終了後の提出を失念していた」など、事実をそのまま記載しましょう。
5-3. 証明書類が求められるケース
通常は不要ですが、以下のような特殊なケースでは、年金事務所から証明書類の提出を求められることがあります:
①養子縁組の場合
実子ではなく養子の場合、養子縁組を証明する書類(戸籍謄本など)の提出を求められることがあります。
②事実婚の場合
法律上の婚姻関係にない場合、同居や生計を同一にしていることを証明する書類が必要になることがあります。
③育休期間が特に長い場合
2歳までの延長など、通常より長い期間の育休を取得する場合、保育所の入所保留通知書などが必要になります。
④年金事務所から個別に要請があった場合
書類の内容に疑義がある場合など、年金事務所の判断で追加資料を求められることがあります。
もし追加書類の提出を求められたら、速やかに対応しましょう。提出しないと手続きが完了せず、保険料免除が受けられなくなる可能性があります。
ただし、こうしたケースは稀です。ほとんどの場合、申出書1枚で手続きは完了しますので、あまり心配しなくて大丈夫ですよ。
6. 延長・終了時の手続きも忘れずに
育休は当初の予定通りに終了するとは限りません。延長したり、逆に予定より早く復帰したりすることもあります。そんな時の手続きについて見ていきましょう。
6-1. 育休を延長する場合の再提出
保育所に入所できなかった場合など、育休を延長するケースは少なくありません。
延長が可能なケース
- 子が1歳になった時点で、保育所等に入所できない場合→1歳6か月まで延長可能
- 子が1歳6か月になった時点で、保育所等に入所できない場合→2歳まで延長可能
- 配偶者の死亡、病気、離婚などの特別な事情がある場合
延長時の手続き
育休を延長する場合、育児休業等取得者申出書(延長)を提出する必要があります。
これは新規の申出書とは異なる様式です(同じPDFに含まれています)。
記入のポイント:
- 共通記載欄(①~⑭)は新規時と同じように記入
- ⑯育児休業等終了(予定)年月日(変更後)に、延長後の終了予定日を記入
- ⑰変更後の育児休業等取得日数を記入(該当する場合のみ)
提出期限:
延長が決まったら、速やかに提出してください。明確な期限は定められていませんが、遅れると保険料免除の適用に影響が出る可能性があります。
添付書類:
保育所の入所保留(不承諾)通知書が必要になる場合があります。ただし、自治体によっては「保育所等利用申込書」のコピーで対応できることもあるので、年金事務所に確認しましょう。
実務上の注意点
延長の手続きは、育児休業給付金の延長申請とは別です。両方の手続きが必要なので、忘れないようにしてください:
- 年金事務所へ:育児休業等取得者申出書(延長)を提出
- ハローワークへ:育児休業給付金の延長申請を提出
どちらか一方だけでは、保険料免除や給付金の支給が適切に受けられません。
6-2. 予定より早く復帰する場合の終了届
従業員の事情や会社の都合で、当初の予定より早く職場復帰することもあります。
終了届が必要なケース
育児休業等取得者終了届の提出が必要なのは、申出書に記載した終了予定日よりも早く育休を終了する場合のみです。
逆に、予定通りに終了する場合や、終了予定日と実際の終了日が同じ場合は、終了届の提出は不要です。
終了届の記入方法
記入のポイント:
- 共通記載欄(①~⑭)を記入
- ⑱育児休業等終了年月日に、実際に終了した日を記入
提出期限:
育休終了後、速やかに提出してください。保険料免除が終了する月を正確に確定するために必要です。
早期復帰時の注意事項
育休を途中で切り上げて復帰する場合、以下の点に注意が必要です:
- 保険料免除の終了時期
育休終了日の翌日が属する月の前月まで免除されます。例えば、4月15日に育休を終了した場合、4月分の保険料は免除されます(4月16日が翌日なので、その月の前月=3月まで免除…ではなく、終了日が月の途中なので4月分まで免除されます)。正確には、育休開始日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月まで免除されますが、終了日が月末の場合はその月まで免除されます。
- 育児休業給付金の支給停止
育休を終了すると、その時点で育児休業給付金の支給も停止されます。ハローワークへの連絡も必要です。 - 従業員への説明
早期復帰により、想定していた給付金が受け取れなくなる可能性があります。従業員にしっかり説明しましょう。
6-3. 延長・終了時の提出期限
延長時、終了時ともに、明確な「○日以内」という期限は定められていませんが、変更が分かり次第速やかに提出するのが原則です。
目安としては:
- 延長時:延長が決定してから1~2週間以内
- 終了時:復帰してから1~2週間以内
遅れると、保険料の徴収・免除の切り替えが適切に行われず、後々の修正が面倒になります。会社にとっても従業員にとっても、スムーズな手続きが一番ですよね。
実務担当者の方は、育休を取得している従業員と定期的にコミュニケーションを取り、予定の変更がないか確認しておくと安心です。
7. 保険料免除の仕組みを理解しよう
育児休業等取得者申出書を提出する最大の目的は、社会保険料の免除を受けることです。ここでは、保険料免除の仕組みを詳しく見ていきましょう。
7-1. 免除される保険料の種類
育休期間中に免除される保険料は以下の2つです:
①健康保険料
病院での治療費負担を軽減するための保険料です。通常、給与の約10%(労使折半で約5%ずつ)が保険料として徴収されます。
②厚生年金保険料
将来の年金給付のための保険料です。通常、給与の18.3%(労使折半で9.15%ずつ)が保険料として徴収されます。
重要なポイント:
- 従業員負担分と事業主負担分の両方が免除される
- 免除期間中も被保険者資格は継続する
- 将来の年金額には影響しない(免除前の標準報酬月額で保険料を納めたものとして計算される)
つまり、従業員にとっても会社にとっても、経済的メリットが大きいということですね。
免除されない保険料
ちなみに、以下の保険料は免除されません:
- 雇用保険料
ただし、育休中は給与が支払われないことが多いので、実質的に保険料も発生しません。 - 労災保険料
これは全額事業主負担なので、従業員には関係ありません。
7-2. 免除期間の計算方法
保険料免除の期間計算は、少し複雑です。しっかり理解しておきましょう。
原則的な計算方法
保険料免除期間は、「育児休業等の開始日が属する月から、育児休業等の終了日の翌日が属する月の前月まで」です。
これだけ読んでも分かりにくいですよね。具体例で見てみましょう。
【例1】月末まで育休を取得した場合
- 育休開始日:2025年4月1日
- 育休終了日:2026年3月31日(月末)
免除期間:2025年4月分~2026年3月分(12か月分)
育休終了日が月末の場合、その月の保険料も免除されます。
【例2】月の途中で育休を終了した場合
- 育休開始日:2025年4月1日
- 育休終了日:2026年3月15日(月の途中)
免除期間:2025年4月分~2026年2月分(11か月分)
育休終了日の翌日(3月16日)が属する月(3月)の前月(2月)までが免除されます。つまり、3月分の保険料は免除されません。
【例3】月の途中で育休を開始した場合
- 育休開始日:2025年4月15日
- 育休終了日:2026年3月31日
免除期間:2025年4月分~2026年3月分(12か月分)
育休開始日が月の途中でも、その月の保険料は免除されます。
この計算方法、ちょっと複雑に感じますよね。でも、覚えておくべきポイントは:
- 開始月は必ず免除される
- 終了月は、月末まで育休なら免除、途中終了なら免除されない
これだけです。
7-3. 14日以上取得時の特例
2022年10月から、新しいルールが追加されました。これは特に男性の短期間育休取得を支援するための制度です。
14日ルールとは
「同一月内に14日以上育休を取得した場合、その月の保険料が免除される」というルールです。
これまでは「月末時点で育休を取得していること」が免除の条件でしたが、このルールにより、月末には復帰していても保険料免除を受けられるようになりました。
具体例
【例】2025年4月5日~4月25日まで育休を取得した場合(21日間)
- 4月末には既に復帰している
- でも、4月中に14日以上(21日間)育休を取得している
結果:4月分の保険料は免除される
このルールのおかげで、男性が短期間だけ育休を取得するケースでも、保険料免除のメリットを受けられるようになりました。
注意点
- 14日には土日祝日も含まれる(暦日で計算)
- 1か月に満たない育休でも、14日以上ならOK
- 複数回に分けて取得する場合、合計で14日以上あれば適用される
7-4. 賞与の保険料免除条件
月々の給与だけでなく、賞与(ボーナス)にも社会保険料がかかります。育休中の賞与についても免除の制度がありますが、条件が異なるので注意が必要です。
賞与の保険料免除条件
「賞与支給月の月末を含む連続した1か月を超える育休を取得している場合」に、その賞与にかかる保険料が免除されます。
これも具体例で見てみましょう。
【例1】免除される場合
- 育休期間:6月1日~7月31日(2か月間)
- 賞与支給日:6月30日
結果:6月30日に支給される賞与の保険料は免除される
理由:賞与支給月(6月)の月末(6月30日)を含み、かつ1か月を超える育休(6月1日~7月31日)を取得しているため。
【例2】免除されない場合
- 育休期間:6月1日~6月30日(1か月ちょうど)
- 賞与支給日:6月30日
結果:6月30日に支給される賞与の保険料は免除されない
理由:月末を含んでいるが、1か月「を超えて」いないため。
【例3】免除されない場合②
- 育休期間:6月1日~7月15日(1か月以上)
- 賞与支給日:6月30日
結果:6月30日に支給される賞与の保険料は免除される
理由:賞与支給月(6月)の月末を含み、かつ1か月を超える育休を取得しているため。7月15日までなので、「1か月を超える」に該当します。
賞与の保険料免除は、月々の給与とは条件が異なります。特に「1か月を超える」という点がポイントですね。
7-5. 【比較表】免除される・されないケース一覧
ここまでの内容を、分かりやすく表にまとめました。
| ケース | 育休期間 | 保険料免除の可否 |
|---|---|---|
| 月末まで育休 | 4月1日~4月30日 | ○ 4月分免除 |
| 月の途中で終了 | 4月1日~4月20日 | △ 14日以上なら4月分免除 |
| 14日未満で終了 | 4月1日~4月10日 | × 4月分免除されない |
| 月をまたぐ育休 | 4月15日~5月31日 | ○ 4月分・5月分免除 |
| 複数回取得(合計14日以上) | 4月5日~4月10日、4月20日~4月28日 | ○ 4月分免除(合計14日以上のため) |
| 賞与月に1か月超の育休 | 6月1日~7月15日(賞与支給日6月30日) | ○ 賞与の保険料免除 |
| 賞与月にちょうど1か月の育休 | 6月1日~6月30日(賞与支給日6月30日) | × 賞与の保険料免除されない(1か月を超えていないため) |
この表を参考にして、保険料免除の適用を正確に把握してくださいね。
8. 混同しやすい!類似書類との違い
育休関連の書類は複数あり、名前も似ているので混同しやすいです。ここでは、よく間違えられる書類との違いを明確にしましょう。
8-1. 育児休業申出書(社内用)との違い
最も混同されやすいのが「育児休業申出書」と「育児休業等取得者申出書」です。名前が似ていますが、まったく別の書類なんです。
育児休業申出書(社内用)
- 提出する人:従業員本人
- 提出先:勤務先の会社(人事部門など)
- 目的:会社に対して育休取得を申し出るため
- 法的根拠:育児・介護休業法
- 様式:会社が独自に定める(法定の様式はない)
- 提出時期:育休開始予定日の1か月前まで(法律上の最低期限)
育児休業等取得者申出書
- 提出する人:会社の担当者(事業主)
- 提出先:日本年金機構(年金事務所)
- 目的:社会保険料免除を受けるため
- 法的根拠:健康保険法、厚生年金保険法
- 様式:日本年金機構が定める統一様式
- 提出時期:育休期間中または終了後1か月以内
手続きの流れ
- 従業員が「育児休業申出書」を会社に提出
- 会社が申出を受理
- 会社が「育児休業取扱通知書」を従業員に交付
- 会社が「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出←今回の記事のテーマ
つまり、従業員からの申出を受けて、会社が年金事務所に提出する、という流れですね。
8-2. 育児休業給付金支給申請書との関係
もう一つ、混同されやすいのが「育児休業給付金支給申請書」です。
育児休業給付金支給申請書
- 提出する人:会社の担当者(事業主)※従業員本人が申請することも可能
- 提出先:ハローワーク(公共職業安定所)
- 目的:育児休業給付金を受給するため
- 法的根拠:雇用保険法
- 提出時期:2か月ごとに定期的に申請
育児休業等取得者申出書との違い
| 比較項目 | 育児休業等取得者申出書 | 育児休業給付金支給申請書 |
|---|---|---|
| 提出先 | 年金事務所(日本年金機構) | ハローワーク |
| 目的 | 社会保険料の免除 | 給付金の受給 |
| 提出回数 | 原則1回(延長時は追加) | 2か月ごとに定期的 |
| 対象者 | 健康保険・厚生年金の被保険者全員 | 雇用保険の被保険者のみ |
| 効果 | 保険料が免除される(お金は受け取れない) | 給付金が支給される(お金を受け取れる) |
重要:どちらか一方だけではなく、両方の手続きが必要です。
- 育児休業等取得者申出書→保険料免除のため
- 育児休業給付金支給申請書→給付金受給のため
片方だけ手続きして、もう片方を忘れてしまうケースが意外と多いんです。チェックリストを作って、両方確実に手続きしましょう。
8-3. 【比較表】育休関連書類の提出先・期限一覧
育休関連の主要書類を一覧表にまとめました。これを見れば、どの書類をいつ、どこに提出すればいいのか一目瞭然です。
| 書類名 | 提出者 | 提出先 | 提出時期・期限 | 目的・効果 |
|---|---|---|---|---|
| 育児休業申出書 | 従業員本人 | 勤務先(会社) | 育休開始予定日の1か月前まで | 会社に育休取得を申し出る |
| 育児休業等取得者申出書 | 会社(事業主) | 年金事務所 | 育休期間中または終了後1か月以内 | 社会保険料の免除 |
| 育児休業給付金支給申請書 | 会社(事業主)または本人 | ハローワーク | 初回:育休開始から4か月後の月末まで 以降:2か月ごと |
育児休業給付金の受給 |
| 出生時育児休業給付金支給申請書 | 会社(事業主)または本人 | ハローワーク | 産後パパ育休終了後 | 産後パパ育休中の給付金受給 |
| 育児休業等取得者終了届 | 会社(事業主) | 年金事務所 | 予定より早く復帰した場合、速やかに | 保険料免除期間の確定 |
| 育児休業等終了時報酬月額変更届 | 会社(事業主) | 年金事務所 | 育休終了後、給与変更があった場合 | 標準報酬月額の変更 |
この表を印刷してデスクに貼っておくと、手続き漏れを防げますよ。
9. 提出忘れを防ぐ!人事担当者向けチェックリスト
ここまで読んでいただいた皆さんは、育児休業等取得者申出書についてかなり詳しくなったはずです。でも、知識があっても、実務で「うっかり忘れ」は起こりがちです。
そこで、提出忘れを防ぐための実践的なチェックリストをご用意しました。
9-1. 育休取得前に確認すべきこと
従業員から育休の申し出があったら、以下を確認しましょう:
□ 従業員情報の確認
- 被保険者整理番号
- マイナンバー
- 正式な氏名(戸籍名)
- 生年月日
□ 育休期間の確認
- 育休開始予定日
- 育休終了予定日
- 子どもの出産予定日または出生日
- 子どもの氏名
□ 特例制度の確認
- パパ・ママ育休プラスを利用するか
- 産後パパ育休を取得するか
- 分割取得するか
□ 加入保険の確認
- 協会けんぽか組合健保か
- 提出先の確認(組合健保の場合は特に注意)
□ 社内手続きの完了
- 育児休業申出書(社内用)の受理
- 育児休業取扱通知書の交付
9-2. 提出時の確認ポイント
育児休業等取得者申出書を提出する前に、以下をチェック:
□ 記入内容の確認
- すべての必須項目が記入されているか
- 事業所整理記号は正確か
- 被保険者整理番号は正確か
- 日付(和暦)は正しく記入されているか
- 押印はあるか
□ 提出方法の確認
- 提出先は合っているか(協会けんぽ/組合健保)
- 提出方法(電子/郵送/窓口)は決まったか
- 郵送の場合、簡易書留で送るか
□ 添付書類の確認
- 期限内提出なら添付書類不要
- 期限超過なら遅延理由書と証明書類を添付
□ 控えの保管
- 提出書類のコピーを取ったか
- 提出日・提出方法を記録したか
- 控えは適切に保管したか
9-3. よくあるミスと防止策
実務で起こりがちなミスと、その防止策をまとめました。
ミス①:提出期限を過ぎてしまう
原因:
- 育休開始時は忙しくて後回しにしてしまう
- 終了後1か月以内という期限を忘れる
防止策:
- 育休開始日の1~2週間後をリマインダーに設定
- 月次の社会保険手続きチェックリストに組み込む
- 育休取得者一覧表を作成し、提出状況を管理
ミス②:提出先を間違える
原因:
- 協会けんぽと組合健保の区別がつかない
- ハローワーク提出書類と混同する
防止策:
- 従業員の健康保険証で加入先を確認
- 組合健保の場合は、健保組合に提出先を確認
- 書類ごとに提出先を明記したチェックリストを作成
ミス③:記入漏れ・記入ミス
原因:
- 細かい項目が多く、見落としやすい
- マイナンバーや整理番号の転記ミス
防止策:
- 記入前に必要書類(健康保険証、マイナンバーカードなど)を揃える
- ダブルチェック体制を作る(2人で確認)
- 初回提出時は窓口持参で確認してもらう
ミス④:延長・終了時の手続き忘れ
原因:
- 育休が延長されたことを把握していない
- 早期復帰したが終了届を出し忘れる
防止策:
- 育休取得者と定期的にコミュニケーションを取る
- 育休終了予定日の1か月前に従業員に確認する
- 保育所の入所可否が判明する時期を把握しておく
ミス⑤:育児休業給付金の手続きとの混同
原因:
- どちらか一方だけ手続きして満足してしまう
- 提出先が違うことを認識していない
防止策:
- 「育休時の手続き一覧表」を作成し、両方チェック
- 年金事務所への提出とハローワークへの提出をセットで管理
- 社内マニュアルに両方の手続きを明記
実務担当者へのアドバイス
これらのミスを防ぐために、「育休手続きマニュアル」を社内で作成することを強くおすすめします。
マニュアルには以下を盛り込みましょう:
- 手続きの全体フロー
- 各書類の提出先・提出期限一覧
- 記入例(サンプル)
- チェックリスト
- よくある質問と回答
- 社内の問い合わせ先(担当者名・内線番号)
一度マニュアルを作ってしまえば、担当者が変わっても安心ですし、手続きの質も安定します。最初は手間ですが、長期的には必ず役立ちますよ。
10. よくある質問(FAQ)
ここでは、育児休業等取得者申出書に関してよく寄せられる質問にお答えします。
10-1. 男性の育休でも提出は必要?
A. はい、必要です。
育児休業等取得者申出書は、性別に関係なく提出が必要です。男性従業員が育休(または産後パパ育休)を取得する場合も、必ず提出してください。
最近は男性の育休取得率が上昇しており、2023年度には初めて30%を超えました。短期間でも育休を取得する男性が増えているため、人事担当者としてもしっかり対応する必要があります。
特に産後パパ育休(出生時育児休業)の場合、数週間程度の短期間取得が多いですが、14日以上取得すればその月の保険料は免除されます。しっかり申出書を提出して、従業員の権利を守りましょう。
10-2. 派遣社員やパートでも対象になる?
A. 健康保険・厚生年金保険の被保険者であれば対象になります。
雇用形態(正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト)に関係なく、以下の条件を満たせば対象です:
- 健康保険の被保険者である
- 厚生年金保険の被保険者である
- 育児・介護休業法に基づく育児休業を取得している
ただし、週の労働時間が短く、社会保険に加入していないパート・アルバイトの場合は対象外です(そもそも社会保険料がかかっていないため)。
派遣社員の場合、派遣元企業(派遣会社)が手続きを行います。派遣先企業ではないので注意してください。
10-3. 提出し忘れると保険料はどうなる?
A. 提出しないと保険料免除が受けられず、保険料が徴収され続けます。
育児休業等取得者申出書を提出しない限り、年金事務所は育休を取得していることを把握できません。そのため、育休中であっても通常通り社会保険料が請求されます。
具体的には:
- 会社に毎月の保険料納付書が届く
- 会社は保険料を納付しなければならない
- 従業員からも保険料を徴収する必要がある(育休中で給与がない場合、後日請求することになる)
ただし、後から気づいて提出すれば、遡って免除が適用されます。すでに納付してしまった保険料も還付されるので、気づいた時点ですぐに提出してください。
とはいえ、還付手続きには時間がかかりますし、余計な事務作業も発生します。やはり、期限内にきちんと提出するのがベストですね。
10-4. 育休中に会社を退職した場合は?
A. 退職日までの期間について申出書を提出してください。
育休中に退職することになった場合でも、退職日までの育休期間について保険料免除を受けることができます。
手続きの流れ:
- 育児休業等取得者申出書を提出(まだ提出していなかった場合)
- 育児休業等取得者終了届を提出(退職日を終了日として記入)
- 健康保険・厚生年金保険 資格喪失届を提出(退職の手続き)
注意点としては、退職後は被保険者資格を失うため、それ以降の保険料免除はありません(そもそも保険料がかかりません)。
また、育児休業給付金についても、退職すると支給が停止されます。ハローワークへの手続きも忘れずに行ってください。
10-5. 第二子の育休でも再度提出が必要?
A. はい、必要です。
第一子の育休で一度提出していても、第二子の育休を取得する際には、改めて新規の申出書を提出する必要があります。
育児休業等取得者申出書は、「この期間、この子のために育休を取得します」という届出です。子どもが違えば、当然別の申請が必要になります。
第一子の育休終了後、すぐに第二子の育休に入る場合(いわゆる「続けての育休」)でも、それぞれ別々に申出書を提出してください。
実務では、第二子の育休時に「前回も出したから今回は不要かな?」と勘違いして提出し忘れるケースがあります。気をつけてくださいね。
11. まとめ:育児休業等取得者申出書の提出はスムーズに進めよう
ここまで、育児休業等取得者申出書の提出期限から書き方、注意点まで、実務に必要な情報をすべて解説してきました。長い記事でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
改めて、重要なポイントをおさらいしましょう。
覚えておくべき5つのポイント
- 提出期限は「育休期間中または終了日から1か月以内」
遅れると追加書類が必要になるので、育休開始後、できるだけ早めに提出しましょう。 - 提出先は加入保険によって異なる
協会けんぽなら年金事務所のみ、組合健保なら年金事務所+健保組合の場合もあります。必ず確認を。 - 提出すると社会保険料が免除される
従業員と会社の両方にメリットがあります。提出し忘れると保険料が徴収されてしまいます。 - 延長・終了時も手続きが必要
育休の期間が変わったら、その都度届出が必要です。特に終了届は忘れがちなので注意。 - 他の育休関連書類と混同しない
育児休業申出書(社内用)、育児休業給付金支給申請書(ハローワーク)とは別物です。すべて提出が必要です。
人事担当者の皆さんへ
育児休業等取得者申出書の手続きは、従業員の大切な権利を守るための重要な業務です。
提出期限を守り、正確に記入し、適切に提出することで、従業員は安心して育児に専念できます。また、会社にとっても保険料免除という経済的メリットがあります。
「書類が多くて面倒だな」と感じることもあるかもしれませんが、一つ一つ丁寧に対応していけば大丈夫です。この記事で解説した内容を参考に、チェックリストやマニュアルを作成して、手続きを標準化してみてください。
初めて担当する方は、不安も大きいと思います。でも、分からないことがあれば年金事務所に問い合わせれば丁寧に教えてくれますし、窓口に持参すればその場で確認もしてもらえます。
遠慮せずに、どんどん活用してくださいね。
育休取得を考えている従業員の皆さんへ
この記事は主に人事担当者向けに書きましたが、育休取得を考えている従業員の方にも参考になる内容だったと思います。
育児休業等取得者申出書は会社が提出する書類ですが、その存在と内容を知っておくことは大切です。「会社がちゃんと手続きしてくれているかな?」と不安になったら、人事担当者に確認してみてください。
この書類が提出されることで、育休中の社会保険料が免除されます。将来の年金額に影響することなく、保険料負担が軽減されるのは、とてもありがたい制度ですよね。
安心して育児に専念できるよう、会社と協力して手続きを進めていってください。
最後に
育児休業は、子どもとの大切な時間を過ごすための制度です。その裏側では、様々な事務手続きが必要になりますが、一つ一つをきちんと進めることで、従業員が安心して育児に取り組める環境が整います。
人事担当者の皆さんの丁寧な対応が、育休取得者とその家族を支えています。時には大変なこともあるかもしれませんが、その仕事の価値は計り知れません。
この記事が、皆さんの実務の一助となれば幸いです。
育児と仕事の両立を支える社会を、一緒に作っていきましょう!

