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【完全版】育児休業等取得者申出書の延長|1歳6か月までの記入例と必要書類を徹底解説

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【完全版】育児休業等取得者申出書の延長|1歳6か月までの記入例と必要書類を徹底解説

「保育所が見つからなくて、育児休業を1歳6か月まで延長したいけど、手続きがよくわからない…」

そんな不安を抱えている人事担当者の方、多いのではないでしょうか。育児休業の延長手続きは、従業員の生活に直結する大切な手続きです。特に、育児休業等取得者申出書の延長申請は、記入項目が多く、添付書類も必要なため、初めて対応する方にとっては戸惑うポイントがたくさんあります。

この記事では、育児休業を1歳6か月まで延長する際の「育児休業等取得者申出書」の書き方を、実際の記入例を交えながら徹底解説します。延長が認められる理由、必要な添付書類、提出期限、よくある間違いまで、人事担当者が知っておくべき情報を網羅的にお伝えします。

この記事を読めば、延長手続きの全体像が理解でき、スムーズに申請を進められるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

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1. 育児休業等取得者申出書とは?延長手続きの基本

まずは基本から押さえていきましょう。育児休業等取得者申出書とは何か、そして延長手続きの全体像について解説します。

1-1. 育児休業等取得者申出書の役割と目的

育児休業等取得者申出書は、正式には「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」といいます。

この書類の最大の目的は、育児休業期間中の社会保険料を免除してもらうことです。従業員が育児休業を取得する際、事業主(会社)がこの申出書を年金事務所または健康保険組合に提出することで、従業員本人と会社の両方が負担する健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。

「保険料が免除されるなら、将来の年金額が減るのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、ご安心ください。育児休業期間中の免除期間は、保険料を支払ったものとみなされるため、将来受け取る年金額には影響しません。

免除される期間の考え方

  • 育児休業等の開始日が属する月から、終了日の翌日が属する月の前月まで
  • 開始日と終了日が同じ月でも、14日以上取得していれば免除対象

たとえば、4月10日に育児休業を開始し、翌年3月31日に終了する場合、4月から3月までの12か月分の社会保険料が免除されます。

参考:日本年金機構|従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き

1-2. 新規・延長・終了の違い

育児休業等取得者申出書は、状況に応じて「新規」「延長」「終了」の3つの使い分けが必要です。それぞれの違いを整理しておきましょう。

区分 提出するタイミング 記入する欄
新規 子が1歳になるまでの育児休業を初めて取得するとき 共通記載欄(①〜⑭)のみ
延長 1歳から1歳6か月、1歳6か月から2歳など、休業期間を延ばすとき 共通記載欄+「A.延長」欄
終了 予定より早く育児休業を終了するとき 共通記載欄+「B.終了」欄

今回の記事で重点的に解説するのは、「延長」のケース、特に1歳から1歳6か月まで延長する場合の手続きです。

ちなみに、延長手続きは育児休業の期間が変わるたびに毎回提出が必要です。たとえば、1歳まで→1歳6か月まで→2歳までと段階的に延長する場合、それぞれのタイミングで申出書を提出する必要があります。

1-3. 社会保険料免除の仕組み

育児休業期間中に免除される社会保険料について、もう少し詳しく見ていきましょう。

免除される保険料

  • 健康保険料(従業員負担分+会社負担分)
  • 厚生年金保険料(従業員負担分+会社負担分)

免除されない保険料

  • 雇用保険料(ただし、育児休業中は給与が発生しないため、実質的に負担なし)

免除の恩恵は、従業員だけでなく会社にもあります。たとえば、標準報酬月額が30万円の従業員の場合、月々の社会保険料(健康保険+厚生年金)は約8万円(労使合計)になりますので、1年間の育児休業で約96万円の保険料が免除されることになります。

こうした制度があるからこそ、育児休業を取得しやすくなっているんですね。

2. 育児休業を1歳6か月まで延長できる条件

「子どもが1歳になるタイミングで保育所に入れなかった…」こういうケース、実は珍しくありません。では、どんな理由があれば育児休業を1歳6か月まで延長できるのでしょうか?

2-1. 延長が認められる理由(保育所不承諾など)

育児休業は原則として子どもが1歳になるまでですが、一定の理由がある場合に限り、1歳6か月まで、さらには2歳まで延長することができます。

延長が認められる主な理由

延長理由 具体的な状況 必要な証明書類
保育所等に入所できない 保育所の入所申込みをしたが、定員オーバーなどで入所できなかった 市区町村発行の保育所等入所不承諾通知書
配偶者の死亡 子どもを養育する予定だった配偶者が亡くなった 住民票の写し、戸籍謄本など
配偶者の病気・ケガ 配偶者が病気やケガで子どもの養育が困難になった 医師の診断書
婚姻の解消等 離婚などで配偶者と別居し、子どもの養育が困難になった 住民票の写し、戸籍謄本など
新たな妊娠・出産 配偶者が妊娠し、産前6週間(多胎妊娠は14週間)または産後8週間に該当している 母子健康手帳の写しなど

実務上、最も多いのは「保育所に入所できない」ケースです。特に都市部では待機児童問題が深刻で、1歳の誕生日までに保育所が見つからないことは決して珍しくありません。

こういうとき、不安になりますよね。でも安心してください。きちんと手続きを踏めば、延長は認められます。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法について

2-2. 1歳・1歳6か月・2歳の延長区分の違い

育児休業の延長には、段階的な区切りがあります。それぞれの延長区分について整理しましょう。

延長の段階

  • 第1段階:原則期間(子が1歳になるまで)
    これが基本の育児休業期間。パパママ育休プラスを利用する場合は1歳2か月まで延長可能。
  • 第2段階:1歳から1歳6か月まで
    子が1歳の誕生日を迎える時点で、上記の延長理由(保育所不承諾など)がある場合に延長できます。
  • 第3段階:1歳6か月から2歳まで
    子が1歳6か月を迎える時点で、まだ延長理由が解消されていない場合、さらに2歳まで延長できます。
  • 第4段階:2歳から3歳まで
    これは法律上の育児休業ではなく、企業が独自に設ける「育児休業の制度に準ずる措置」です。会社の制度として設けている場合のみ利用可能。

重要なポイント

延長手続きは、それぞれの期間が終了する前に行う必要があります。たとえば、1歳6か月までの延長を希望する場合、子が1歳になる誕生日の前日までに手続きを完了させる必要があります。

また、延長の際は毎回、育児休業等取得者申出書の提出が必要です。1回提出すれば2歳まで自動延長される、というわけではないので注意しましょう。

2-3. パパママ育休プラスとの関係

「パパママ育休プラス」という制度をご存じでしょうか?これは、父母がともに育児休業を取得する場合、子が1歳2か月になるまで休業できるという制度です。

パパママ育休プラスの要件

  • 配偶者が子の1歳到達日以前のいずれかの日に育児休業を取得している
  • 本人の育児休業開始日が、子の1歳の誕生日以前である
  • 本人の育児休業開始日が、配偶者の育児休業開始日以降である

ここで気をつけたいのが、パパママ育休プラスと、保育所不承諾による延長は別物だということです。

たとえば、母親が通常の育児休業を1歳まで取得し、その後保育所が見つからなかったため1歳6か月まで延長する場合、パパママ育休プラスとは関係なく、通常の延長手続きを行います。

一方、父親がパパママ育休プラスを利用して1歳2か月まで取得する場合、これは「新規」の申出として扱われ、延長とは異なります。

育児休業等取得者申出書には「パパママ育休プラス該当」を選択する欄がありますので、該当する場合は忘れずにチェックしましょう。

3. 【記入例付き】延長時の書き方を項目別に解説

それでは、実際の記入方法を詳しく見ていきましょう。ここが一番重要なセクションです。

3-1. 共通記載欄の記入方法(①〜⑭)

延長申請でも、共通記載欄(①〜⑭)はすべて記入する必要があります。新規申請時と同じ内容を記入することになりますが、一つずつ確認していきましょう。

①事業所整理記号

会社が社会保険に加入した際に付与される記号です。「適用通知書」や「保険料納入告知額・領収済額通知書」に記載されています。通常は「01-イロハ」のように、数字とカタカナで構成されています。

記入例:01-アイウ

②被保険者整理番号

従業員一人ひとりに付与される番号です。健康保険証や「資格取得確認通知書」に記載されています。

記入例:123456

③個人番号(または基礎年金番号)

マイナンバー(12桁)または基礎年金番号(10桁)を左詰めで記入します。現在はマイナンバーでの届出が基本となっています。

記入例:123456789012(マイナンバーの場合)

④被保険者氏名・生年月日

育児休業を取得する従業員の氏名と生年月日を記入します。氏名はフルネームで、カタカナで記入する欄もあります。

記入例:山田 花子(ヤマダ ハナコ)、昭和63年4月1日

⑤性別

該当する方を○で囲みます。

⑥育児休業等の対象である子の氏名・生年月日

育児休業の対象となる子どもの情報を記入します。双子の場合は、2人分の氏名を併記します。

記入例:山田 太郎、令和6年3月15日

⑦区分

実子の場合は「1」を、養子の場合は「2」を○で囲みます。

⑧養育開始年月日

養子の場合のみ記入します。実子の場合は空欄でOKです。

⑨備考欄

パパママ育休プラスに該当する場合は「1」を○で囲みます。該当しない場合は空欄または「2.その他」を選択します。

⑩育児休業等開始年月日

最初に育児休業を開始した日付を記入します。延長の場合でも、新規申請時と同じ開始日を記入するのがポイントです。

記入例:令和6年4月1日(子の出生日から開始する場合)

⑪育児休業等終了(予定)年月日

こちらも、新規申請時に記入した終了予定日をそのまま記入します。通常は子が1歳になる前日の日付です。

記入例:令和7年3月14日(子が令和7年3月15日に1歳になる場合)

⑫育児休業等取得日数

育児休業の開始日と終了日の翌日が同月内の場合のみ記入します。通常の延長ケースでは空欄でOKです。

⑬就業予定日数

出生時育児休業(産後パパ育休)で就業した場合のみ記入します。通常の育児休業では空欄です。

⑭出生時育児休業の区分

産後パパ育休の場合のみ、該当する回数を○で囲みます。通常の育児休業では記入不要です。

3-2. A.延長欄の記入ポイント

延長申請で最も重要なのが、この「A.延長」欄です。ここでは、変更後の終了予定日を記入します。

⑯育児休業等終了(予定)年月日(変更後)

延長後の新しい終了予定日を記入します。1歳6か月まで延長する場合、子が1歳6か月になる前日の日付を記入します。

記入例

子の誕生日が令和6年3月15日の場合:

  • 1歳の誕生日:令和7年3月15日
  • 1歳6か月:令和7年9月15日
  • 記入する日付:令和7年9月14日(1歳6か月になる前日)

注意点

この日付を間違えると、免除期間が正しく計算されません。「子が○歳○か月になる日の前日」という計算に注意しましょう。

また、1歳6か月まで延長する場合でも、必ず「1歳6か月に達する日以前」の日付を記入する必要があります。1歳6か月を超える日付は記入できませんので注意してください。

⑰変更後の育児休業等取得日数

延長後の⑯の終了予定日の翌日が、⑩の開始日と同月内の場合のみ記入します。通常のケースでは空欄でOKです。

3-3. 同月内取得の場合の注意点

育児休業の開始日と終了日が同じ月内に収まる場合、特別な記入が必要になります。これは主に短期間の育児休業や、産後パパ育休で発生します。

同月内取得のケース

  • ⑩開始日:令和7年4月10日
  • ⑪終了予定日の翌日:令和7年4月28日

この場合、⑫の「育児休業等取得日数」に日数を記入する必要があります。上記の例では、4月10日から4月27日までの18日間となります。

令和4年の法改正により、同月内でも14日以上取得していれば社会保険料が免除されるようになりました。そのため、この日数の記入が正確な免除判定に重要になります。

参考:日本年金機構|育児休業等期間中における社会保険料の免除要件の改正

3-4. 実際の記入例(イメージで確認)

【記入例】1歳から1歳6か月まで延長する場合

ケース設定

  • 従業員:山田花子さん(女性)
  • 子ども:山田太郎くん
  • 子の誕生日:令和6年3月15日
  • 育児休業開始日:令和6年3月15日
  • 当初の終了予定日:令和7年3月14日(1歳の前日)
  • 延長後の終了予定日:令和7年9月14日(1歳6か月の前日)
  • 延長理由:保育所に入所できなかった

共通記載欄の記入内容

①事業所整理記号:01-アイウ
②被保険者整理番号:123456
③個人番号:123456789012
④氏名:山田花子(ヤマダ ハナコ)
 生年月日:昭和63年4月1日
⑤性別:2(女)を○で囲む
⑥子の氏名:山田太郎(ヤマダ タロウ)
 生年月日:令和6年3月15日
⑦区分:1(実子)を○で囲む
⑧養育開始年月日:空欄
⑨備考:該当なしの場合は空欄
⑩育児休業等開始年月日:令和6年3月15日
⑪育児休業等終了(予定)年月日:令和7年3月14日
⑫⑬⑭:空欄(通常の育児休業の場合)

A.延長欄の記入内容

⑯育児休業等終了(予定)年月日(変更後):令和7年9月14日
⑰変更後の育児休業等取得日数:空欄(同月内でないため)

このように記入することで、育児休業期間が令和7年3月14日から令和7年9月14日に延長され、その期間の社会保険料免除が継続されます。

4. 延長申請に必要な添付書類・証明書類

延長申請では、延長理由を証明する書類の添付が必須です。ここでは、それぞれの延長理由別に必要な書類を詳しく解説します。

4-1. 保育所不承諾証明書の取得方法

最も多いケースである「保育所に入所できない」場合、市区町村が発行する保育所等入所不承諾通知書が必要です。

取得の流れ

  1. 保育所の入所申込みを行う
    子が1歳になる前(通常は誕生月の前月まで)に、市区町村の保育課に入所申込みを提出します。
  2. 選考結果を待つ
    市区町村が選考を行い、入所の可否が通知されます。
  3. 不承諾通知書を受け取る
    入所できない場合、「保育所等入所不承諾通知書」が送付されます。自治体によっては「保留通知書」「待機通知書」などの名称の場合もあります。
  4. 会社に提出
    この通知書のコピーを会社に提出します。

不承諾通知書に記載されている必要事項

  • 子どもの氏名・生年月日
  • 申込みをした保育所等の名称
  • 入所できない理由(定員超過など)
  • 子が1歳(または1歳6か月)に達する日において保育が行われていないことの確認
  • 市区町村の発行印

注意点

不承諾通知書は、子が1歳になる誕生日時点で保育所に入所できていないことを証明する書類である必要があります。申込み自体は誕生日の数か月前に行いますが、選考結果が出るのは誕生月になってからというケースが多いです。

また、自治体によっては、不承諾通知書ではなく「保育所入所申込書の写し」と「入所保留を証明する書類」の両方を求められることもあります。詳細は市区町村の保育課に確認しましょう。

4-2. その他の延長理由別の必要書類一覧

保育所不承諾以外の理由で延長する場合の必要書類をまとめます。

延長理由 必要書類 取得先・注意点
配偶者の死亡 ・住民票の写し
・戸籍謄本(死亡の記載があるもの)
・母子健康手帳の写し
市区町村の窓口で取得。戸籍謄本は取得に時間がかかる場合があるため早めに手配を。
配偶者の病気・ケガ ・医師の診断書
・母子健康手帳の写し
診断書には「養育が困難な状態である」ことの記載が必要。診断書の発行に1〜2週間かかる場合があるため余裕をもって依頼を。
婚姻の解消等 ・住民票の写し
・戸籍謄本(離婚の記載があるもの)
・母子健康手帳の写し
別居の事実が確認できる住民票が必要。離婚が成立していない別居の場合でも認められるケースあり。
新たな妊娠・出産 ・産前産後に係る母子健康手帳の写し 配偶者が産前6週間(多胎妊娠は14週間)または産後8週間に該当することを証明。予定日が記載されたページのコピーが必要。

これらの書類は、育児休業等取得者申出書とともに提出します。書類が揃わないと延長が認められない可能性があるため、早めに準備を進めましょう。

4-3. 書類準備のタイミング

延長に必要な書類は、子が1歳になる誕生日の1か月前から準備を始めるのが理想的です。

推奨スケジュール

  • 誕生日の2〜3か月前
    保育所の入所申込みを行う(自治体の締切に合わせて)
  • 誕生日の1か月前
    保育所の選考結果が通知される(自治体により異なる)。不承諾の場合、すぐに会社へ延長希望を連絡。
  • 誕生日の2週間前
    会社が育児休業等取得者申出書を作成。従業員から不承諾通知書等を受領。
  • 誕生日の1週間前〜誕生日当日
    年金事務所または健康保険組合に提出(誕生日までに提出するのが望ましい)

提出期限は「育児休業等期間中または終了日から1か月以内」とされていますが、実務上は子の誕生日前に提出するのがベストプラクティスです。なぜなら、誕生日を過ぎてから提出すると、一時的に保険料が発生してしまい、後日調整が必要になるケースがあるためです。

5. 提出先・提出期限・提出方法の完全ガイド

書類ができたら、次は提出です。提出先や方法を間違えると、手続きがやり直しになってしまうこともあるので、しっかり確認しましょう。

5-1. 提出先の確認方法(協会けんぽ・組合健保)

育児休業等取得者申出書の提出先は、加入している健康保険の種類によって異なります

協会けんぽの場合

全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合、提出先は日本年金機構です。

  • 事務センター:郵送で提出する場合
  • 管轄の年金事務所:窓口に持参する場合

協会けんぽの場合、年金事務所に提出すれば、協会けんぽへも自動的に情報が連携されるため、別途協会けんぽへの提出は不要です。

管轄の年金事務所は、日本年金機構のウェブサイトで検索できます。

組合健保(健康保険組合)の場合

企業独自の健康保険組合に加入している場合、提出先が複雑になります。

  • 厚生年金保険の手続き:日本年金機構(年金事務所)に提出
  • 健康保険の手続き:加入している健康保険組合に提出

つまり、2か所に提出が必要になるケースがあります。ただし、健康保険組合によっては、年金事務所への提出だけでOKという場合もあります。まずは加入している健康保険組合に確認しましょう。

健康保険証に記載されている保険者名を見れば、協会けんぽか組合健保かを判別できます。

保険証の記載 保険者 提出先
全国健康保険協会 協会けんぽ 年金事務所のみ
○○健康保険組合 組合健保 年金事務所+健保組合(要確認)

5-2. 提出期限と遅延時の対応

提出期限

育児休業等取得者申出書の提出期限は、育児休業等期間中または育児休業等終了日から1か月以内です。

延長の場合も同じで、延長後の育児休業期間中または終了日から1か月以内に提出すればOKとされています。

ただし、実務上は子が1歳になる誕生日の前後に提出するのが一般的です。遅れると保険料の調整が複雑になるため、できるだけ早めの提出を心がけましょう。

提出期限を過ぎてしまった場合

期限を過ぎても、基本的に申出書は受理されます。ただし、次の書類の添付が必要になります。

  • 遅延理由書:なぜ期限内に提出できなかったのかを説明する書類
  • 育児休業の事実を証明する書類:出勤簿、賃金台帳、タイムカードなど

遅延理由書には定型フォーマットはありませんが、以下のような内容を記載します。

遅延理由書

令和○年○月○日

日本年金機構 御中

事業所名:株式会社○○
所在地:〒000-0000 ○○県○○市○○町1-2-3
事業主氏名:○○ ○○ 印

件名:育児休業等取得者申出書の提出遅延について

被保険者氏名:山田花子
被保険者生年月日:昭和63年4月1日

育児休業等取得者申出書の提出が期限を経過いたしましたことをお詫び申し上げます。

遅延理由:
担当者の業務引継ぎが不十分であったため、提出期限の認識が漏れておりました。
今後はこのようなことがないよう、育児休業関連手続きのチェックリストを整備し、
期限管理を徹底いたします。

以上

遅延すると手続きが煩雑になりますので、できる限り期限内に提出しましょう。

5-3. 3つの提出方法(窓口・郵送・電子申請)

育児休業等取得者申出書は、3つの方法で提出できます。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自社に合った方法を選びましょう。

①窓口持参

メリット

  • その場で受付印がもらえるので、提出完了が確実
  • 不明点があれば、その場で担当者に質問できる
  • 記入漏れや間違いがあれば、その場で訂正できる

デメリット

  • 年金事務所まで出向く時間と交通費がかかる
  • 窓口の営業時間(平日8:30〜17:15)に制約される
  • 混雑時は待ち時間が長い

こんな企業におすすめ

初めて手続きをする場合や、記入内容に不安がある場合は、窓口持参がおすすめです。

②郵送

メリット

  • 営業時間を気にせず、いつでも発送できる
  • 窓口に行く手間が省ける
  • 複数の従業員分をまとめて提出できる

デメリット

  • 到着までに2〜3日かかる
  • 切手代などの郵送費がかかる
  • 到着確認ができない(簡易書留などを使えば追跡可能)

こんな企業におすすめ

手続きに慣れている企業や、年金事務所が遠方にある企業におすすめです。

郵送時の注意点

  • 送付先は事務センターまたは管轄の年金事務所
  • 簡易書留または特定記録郵便で送付すると、追跡ができて安心
  • 送付用の封筒に「育児休業等取得者申出書在中」と記載すると丁寧

③電子申請(e-Gov)

メリット

  • 24時間365日、いつでも申請できる
  • 紙代、印刷代、郵送費が不要
  • 申請の進捗状況がオンラインで確認できる
  • 過去の申請データを保存・再利用できる

デメリット

  • 初回利用時にe-Govのアカウント取得や環境設定が必要
  • 操作に慣れるまで時間がかかる
  • 健康保険組合によっては電子申請に対応していない

こんな企業におすすめ

従業員数が多く、頻繁に手続きが発生する企業におすすめ。なお、常時100人を超える従業員を雇用している企業は、社会保険手続きの電子申請が義務化されています。

参考:e-Gov電子申請

提出方法の比較表

項目 窓口持参 郵送 電子申請
受付時間 平日8:30〜17:15 24時間(発送) 24時間365日
費用 交通費 切手代(約140〜400円) 無料
到着までの時間 即日 2〜3日 即時
確実性 ◎(その場で確認) ○(簡易書留なら追跡可) ◎(受付番号発行)
初心者向け △(慣れが必要)

6. よくある間違いと注意点

実際の手続きでは、さまざまな間違いや見落としが発生します。ここでは、よくあるミスと対策を紹介します。

6-1. 記入時のよくあるミス

①日付の「前日」を間違える

育児休業等終了予定年月日は、子が○歳になる「前日」を記入します。誕生日当日ではありません。

間違い例:

  • 子の誕生日:令和6年3月15日
  • 1歳6か月:令和7年9月15日
  • ❌ 記入日付:令和7年9月15日(誕生日当日)
  • ⭕ 正しい日付:令和7年9月14日(前日)

この1日のズレで保険料の免除期間が変わってしまうので、注意が必要です。

②共通記載欄の⑩⑪を変更してしまう

延長申請の際、共通記載欄の⑩開始年月日と⑪終了予定年月日は、新規申請時と同じ日付を記入します。延長後の日付に変更してはいけません。

間違い例:

  • ⑩開始年月日:令和6年3月15日(正しい)
  • ❌ ⑪終了予定年月日:令和7年9月14日(延長後の日付を記入してしまう)
  • ⭕ ⑪終了予定年月日:令和7年3月14日(新規申請時の日付のまま)

延長後の日付は、A.延長欄の⑯に記入します。

③個人番号の桁数を間違える

マイナンバーは12桁、基礎年金番号は10桁です。桁数を間違えると、本人確認ができず、手続きが止まってしまいます。

記入前に必ず桁数を確認しましょう。また、マイナンバーは左詰めで記入します。

④子の氏名の漢字を間違える

子どもの氏名は、戸籍に記載されている通りに記入します。旧字体や特殊な漢字の場合、間違えやすいので注意しましょう。

たとえば、「斉藤」「齋藤」「齊藤」など、異体字の違いにも気をつけてください。

⑤B.終了欄と間違える

延長申請なのに、誤って「B.終了」欄に記入してしまうケースがあります。

  • A.延長:育児休業期間を延ばす場合
  • B.終了:予定より早く育児休業を終了する場合

記入する欄を間違えないよう、提出前に必ず確認しましょう。

6-2. 提出期限を過ぎてしまったら

もし提出期限を過ぎてしまっても、慌てる必要はありません。ただし、前述の通り、遅延理由書と証明書類の添付が必要になります。

提出が遅れた場合の対応フロー

  1. すぐに年金事務所に電話で相談
    まずは管轄の年金事務所に連絡し、状況を説明しましょう。必要な書類や対応方法を教えてもらえます。
  2. 遅延理由書を作成
    なぜ遅れたのか、今後どう改善するのかを記載します。
  3. 証明書類を準備
    出勤簿、賃金台帳、タイムカードなど、実際に育児休業を取得していたことを証明する書類を用意します。
  4. 育児休業等取得者申出書とともに提出
    通常の申出書に、遅延理由書と証明書類を添えて提出します。

遅延による影響

提出が遅れると、一時的に社会保険料が徴収されてしまうことがあります。その場合、後日、遡って免除処理が行われ、徴収された保険料は還付されます。ただし、この調整には数か月かかることもあるため、従業員への説明が必要です。

また、あまりに遅延が頻繁だと、年金事務所から指導を受ける可能性もあります。手続きは計画的に進めましょう。

6-3. 双子の場合の記入方法

双子(多胎児)を出産した場合、育児休業等取得者申出書の記入方法が少し特殊になります。

基本的な考え方

双子でも、育児休業等取得者申出書は1枚のみ提出します。2人分の申出書を提出する必要はありません。

⑥子の氏名・生年月日欄の記入方法

子の氏名欄には、双子2人分の氏名と生年月日を併記します。

記入例:

⑥育児休業等の対象である子の氏名・生年月日
山田太郎、山田花子 令和6年3月15日

このように、カンマや読点で区切って両方の名前を記入します。

育児休業期間と社会保険料免除の扱い

双子の場合でも、育児休業期間や社会保険料免除の取り扱いは、単胎児の場合と同じです。

  • 育児休業期間:原則として子が1歳になるまで(延長可能)
  • 社会保険料免除:育児休業期間中は免除

「双子だから2倍の期間取得できる」「2人分の免除がある」といったことはありません。

産前休業の取り扱い

ちなみに、産前休業(産休)は双子の場合、取得期間が延長されます。

  • 単胎妊娠:出産予定日の6週間前から
  • 多胎妊娠:出産予定日の14週間前から

産前休業と育児休業は別の制度なので、混同しないよう注意しましょう。

7. 人事担当者が押さえるべき実務ポイント

ここからは、人事担当者として押さえておきたい実務上のポイントを解説します。

7-1. 従業員への事前案内のタイミング

育児休業の延長手続きは、従業員と人事担当者の連携が不可欠です。スムーズに手続きを進めるためには、事前の案内が重要になります。

推奨する案内タイミング

①育児休業開始時(出産直後)

育児休業を開始する際、「もし保育所に入所できなかった場合は、延長手続きが必要になります」ということを伝えておきましょう。

案内内容:

  • 延長の要件(保育所不承諾など)
  • 延長手続きに必要な書類
  • 会社への連絡期限

②子が1歳になる3か月前

保育所の入所申込みが始まる時期に、改めてリマインドを送ります。

案内内容:

  • 保育所の申込み状況の確認
  • 延長の可能性がある場合の早めの連絡依頼
  • 必要書類の準備案内

③子が1歳になる1か月前

保育所の選考結果が出る時期に、最終確認を行います。

案内内容:

  • 保育所の入所可否の確認
  • 延長する場合の必要書類提出依頼
  • 復職する場合の準備案内

案内メールの例文

件名:【重要】育児休業延長手続きについてのご案内

○○様

お疲れ様です。人事部の△△です。

○○様の育児休業期間が、令和7年3月14日(お子様の1歳の誕生日前日)で
終了予定となっております。

保育所への入所状況について、以下の点をご確認ください。

■保育所に入所できる場合
復職に向けた準備を進めてください。復職日の2週間前までに
人事部までご連絡をお願いいたします。

■保育所に入所できない場合
育児休業を1歳6か月まで延長することができます。
延長を希望される場合は、以下の書類を令和7年3月7日までに
人事部にご提出ください。

【必要書類】
・市区町村発行の保育所入所不承諾通知書(コピー可)

書類が揃い次第、会社で延長手続きを行います。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。

人事部 △△
電話:03-XXXX-XXXX
メール:jinji@example.co.jp

このような案内を定期的に行うことで、手続き漏れを防ぐことができます。

7-2. 延長申請の社内フロー整備

育児休業の延長手続きを円滑に進めるためには、社内の業務フローを整備しておくことが大切です。

推奨する社内フロー

  1. 従業員から人事部への連絡
    保育所不承諾が決まった時点で、速やかに人事部に連絡。
  2. 必要書類の提出依頼
    人事部から従業員に、不承諾通知書等の提出を依頼。
  3. 育児休業等取得者申出書の作成
    人事部が申出書を作成。従業員に内容確認を依頼。
  4. 書類の提出
    年金事務所または健康保険組合に提出。
  5. 受理確認
    受理通知書が届いたら、従業員に結果を報告。

社内フロー整備のポイント

  • 担当者を明確にする
    育児休業関連の手続きは誰が担当するのか、明確にしておきましょう。担当者不在時の代行者も決めておくと安心です。
  • チェックリストを作成する
    手続きの漏れを防ぐため、チェックリストを用意しましょう。
  • 期限管理を徹底する
    カレンダーやタスク管理ツールに、各従業員の育児休業終了予定日を登録し、アラートを設定しておくと便利です。
  • 書類のテンプレートを用意する
    案内メールのテンプレート、遅延理由書のテンプレートなどを用意しておくと、業務効率が上がります。

チェックリストの例

確認項目 期限 担当 完了
従業員への事前案内送付 誕生日の3か月前 人事部
保育所申込み状況の確認 誕生日の1か月前 従業員
不承諾通知書の受領 誕生日の2週間前 人事部
育児休業等取得者申出書の作成 誕生日の1週間前 人事部
年金事務所への提出 誕生日の前日まで 人事部
受理通知書の確認 提出後2週間以内 人事部

7-3. 給付金手続きとの連携

育児休業中は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。育児休業を延長する場合、給付金の延長手続きも必要になります。

育児休業給付金とは

育児休業給付金は、育児休業中の生活を支援するために、雇用保険から支給される給付金です。

  • 支給額:休業開始時の賃金の67%(180日経過後は50%)
  • 支給期間:原則として子が1歳になるまで(延長可能)
  • 手続き先:ハローワーク

延長時の給付金手続き

育児休業を1歳6か月まで延長する場合、育児休業給付金も同様に延長されます。ただし、給付金の延長手続きは、社会保険料免除の手続きとは別に行う必要があります。

手続き 提出先 提出書類
社会保険料免除 年金事務所 育児休業等取得者申出書
育児休業給付金の延長 ハローワーク 育児休業給付金支給申請書+延長理由を証明する書類

給付金延長の必要書類

  • 育児休業給付金支給申請書
  • 保育所入所不承諾通知書(社会保険料免除と同じもの)
  • 母子健康手帳の写し

実務上のポイント

給付金の手続きは2か月に1回、定期的に行うため、延長手続きも通常の支給申請と同時に行います。保育所不承諾通知書は、社会保険料免除の手続きと給付金の手続きの両方で必要になるため、複数枚コピーを取っておくと便利です。

また、ハローワークへの提出期限も守る必要があります。提出が遅れると、給付金の支給が遅れてしまい、従業員の生活に影響が出る可能性があるので注意しましょう。

参考:厚生労働省|育児休業給付について

8. 【Q&A】育児休業延長でよくある質問

ここでは、育児休業の延長に関してよく寄せられる質問にお答えします。

8-1. 1歳の誕生日ギリギリで保育所が決まらなかった場合は?

Q:子の1歳の誕生日まであと1週間というタイミングで、保育所の不承諾通知が届きました。今から延長手続きは間に合いますか?

A:間に合います。すぐに手続きを始めましょう。

提出期限は「育児休業期間中または終了日から1か月以内」なので、誕生日ギリギリでも大丈夫です。ただし、できるだけ早く提出する方が、保険料の調整がスムーズになります。

以下の手順で進めてください。

  1. すぐに人事部に連絡
  2. 不承諾通知書のコピーを準備
  3. 人事部が育児休業等取得者申出書を急いで作成
  4. 誕生日の前後に年金事務所に提出

場合によっては、窓口持参で対応すると、その場で受理してもらえるので安心です。

8-2. 延長は何回までできる?

Q:育児休業の延長は、何回まで可能ですか?

A:法律上は、1歳→1歳6か月→2歳の2回まで延長できます。それ以降は会社の制度次第です。

育児休業の延長は、以下の段階で可能です。

  • 1回目の延長:1歳→1歳6か月
  • 2回目の延長:1歳6か月→2歳
  • 3回目以降:2歳→3歳(会社の制度として設けている場合のみ)

1歳6か月まで延長したものの、まだ保育所が見つからない場合、さらに2歳まで延長できます。その場合も、同じように育児休業等取得者申出書を提出します。

ただし、延長のたびに保育所不承諾などの理由が必要です。1歳の時点で不承諾通知をもらっていても、1歳6か月の時点で改めて申込みをして、再度不承諾通知をもらう必要があります。

8-3. 途中で復職したくなったらどうする?

Q:1歳6か月まで延長する予定でしたが、途中で保育所が見つかったので、早めに復職したいです。手続きは必要ですか?

A:はい、育児休業等取得者申出書の「B.終了」欄を記入して、終了届を提出する必要があります。

予定より早く育児休業を終了する場合、以下の手続きを行います。

  1. 復職日の決定
    保育所の入所日に合わせて、復職日を決めます。
  2. 人事部に連絡
    復職日が決まったら、速やかに人事部に連絡します。
  3. 育児休業等取得者申出書(終了届)の提出
    共通記載欄を記入し、「B.終了」欄に実際の育児休業終了年月日を記入して提出します。

注意点

ただし、育児休業の終了予定日と実際の終了日が同じ場合は、終了届の提出は不要です。たとえば、1歳6か月まで延長して、予定通り1歳6か月の誕生日前日に復職する場合は、終了届は提出しなくてOKです。

また、育児休業に引き続いて産前産後休業を取得する場合(第2子の出産など)も、終了届の提出は不要です。

9. まとめ|延長手続きは余裕を持って準備を

育児休業を1歳6か月まで延長する際の「育児休業等取得者申出書」の書き方と手続きについて、詳しく解説してきました。

この記事のポイントをおさらいしましょう。

  • 育児休業等取得者申出書は、育児休業期間中の社会保険料免除を受けるための重要な書類
  • 延長時は共通記載欄と「A.延長」欄の両方を記入する
  • 延長理由(保育所不承諾など)を証明する書類の添付が必須
  • 提出先は協会けんぽなら年金事務所、組合健保なら年金事務所と健保組合の両方の場合あり
  • 提出期限は育児休業期間中または終了日から1か月以内だが、できるだけ早めに提出する
  • 日付の「前日」など、記入ミスに注意
  • 従業員への事前案内と社内フローの整備が円滑な手続きのカギ
  • 育児休業給付金の延長手続きも忘れずに

保育所が見つからないという状況は、従業員にとって大きな不安です。人事担当者として、適切なタイミングで適切な情報を提供し、スムーズに延長手続きを進めることで、従業員の安心につながります。

「手続きが複雑で不安…」と感じていた方も、この記事を参考にすれば大丈夫。一つひとつ確認しながら進めれば、必ず手続きは完了します。

今日からできること

  • 育児休業中の従業員リストを確認し、延長の可能性がある人をピックアップする
  • 子が1歳になる3か月前の従業員に、保育所申込みの案内を送る
  • 育児休業関連のチェックリストやテンプレートを整備する
  • 管轄の年金事務所の連絡先や提出方法を確認する

育児休業の延長手続きは、決して難しいものではありません。ただ、期限と必要書類を守ることが大切です。この記事があなたの実務の助けになれば幸いです。

育児と仕事の両立を支援する制度を正しく運用することで、従業員が安心して子育てに専念できる環境を作っていきましょう。応援しています!

※本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の情報は、日本年金機構厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

 

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