【0歳児】身近な人と気持ちが通じ合う|保育指針3つの視点を保育士が実践解説
0歳児クラスを初めて担当することになった新人保育士さん、月案の書き方に悩んでいませんか?
保育所保育指針に出てくる「身近な人と気持ちが通じ合う」という言葉、実際の保育でどう実践すればいいのか、具体的にイメージできていますか?
こういうとき、不安になりますよね。
言葉が話せない赤ちゃんと、どうやって気持ちを通じ合わせればいいのか。応答的な関わりって具体的に何をすればいいのか。月案には何を書けばいいのか。
この記事では、保育所保育指針が定める0歳児保育の3つの視点の中から「身近な人と気持ちが通じ合う」に焦点を当て、その意味から具体的な実践方法、月案の書き方まで、現場で使える情報を徹底的にお伝えします。
15年以上の保育経験を持つ先輩保育士の知恵と、厚生労働省の保育所保育指針解説に基づいた確かな情報で、あなたの保育をサポートします。
1. 「身近な人と気持ちが通じ合う」とは?保育指針の基本を理解しよう
1-1. 保育所保育指針における3つの視点とは
2017年に改定された保育所保育指針では、乳児保育(0歳児)に関する記述が大きく充実しました。
0歳児の発達はまだ5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)に分けにくいため、次の3つの視点で保育のねらいと内容が整理されています。
- 健やかに伸び伸びと育つ(身体的発達に関する視点)
- 身近な人と気持ちが通じ合う(社会的発達に関する視点)
- 身近なものと関わり感性が育つ(精神的発達に関する視点)
これらは、厚生労働省の保育所保育指針第2章「保育の内容」で明確に示されており、全国すべての保育所で共通に取り組むべき内容です。
3つの視点は独立しているわけではなく、養護(生命の保持・情緒の安定)と一体となって展開され、お互いに深く関連し合っています。
例えば、保育者に抱っこされて安心する(情緒の安定)経験は、「気持ちが通じ合う」経験そのものですし、その安心感があるからこそ周りのものに興味を持って関わる(感性が育つ)ことができるのです。
1-2. 「身近な人と気持ちが通じ合う」が示す社会的発達の意味
「身近な人と気持ちが通じ合う」は、社会的発達に関する視点として位置づけられています。
社会的発達と聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば「人と関わる力の基礎を作る」ということです。
0歳児の時期、赤ちゃんは主に保育者や家族といった身近な大人との関わりを通じて、次のような経験を積み重ねていきます。
- 自分の気持ちを泣いたり笑ったりして表現する
- その気持ちを身近な大人に受け止めてもらう
- 受け止めてもらえることで安心感を得る
- 「伝わった」という喜びを感じる
- もっと伝えたい、関わりたいという意欲が育つ
この経験の積み重ねが、将来的に友達と遊んだり、相手の気持ちを考えたり、協力したりする力の土台になるんです。
保育所保育指針解説では、「心地よく受けとめられる関わりの中で、何かを伝えようとする意欲や身近な大人との信頼関係の育ちは、人との関わりの世界を次第に広げていく上での基盤となる」と明記されています。
1-3. なぜ0歳児に「気持ちが通じ合う」経験が重要なのか
「まだ言葉も話せないのに、本当に気持ちは通じ合うの?」
そう思われるかもしれません。でも、だからこそ0歳児の時期が重要なんです。
愛着形成の臨界期
0歳児から1歳頃は、特定の大人との愛着関係を形成する大切な時期です。
この時期に信頼できる大人との温かい関わりを十分に経験することで、「人は信頼できる」「世界は安全だ」という基本的信頼感が育ちます。
この基本的信頼感は、心理学者エリク・エリクソンが提唱した発達段階理論でも、人生最初の課題として位置づけられています。
コミュニケーションの原型
言葉を話す前の赤ちゃんも、実はたくさんのことを伝えようとしています。
泣き声のトーンの違い、視線、表情、身体の動き、喃語…これらすべてがコミュニケーションです。
保育者がこれらのサインに丁寧に応えることで、赤ちゃんは「伝わる喜び」を知り、もっと伝えたいという意欲が育ちます。
これが将来の言語発達や対人関係能力の基礎になるのです。
情緒の安定
気持ちが通じ合う経験は、赤ちゃんの情緒を安定させます。
「お腹が空いた」と泣けば授乳してもらえる。「眠い」とぐずれば優しく抱っこしてもらえる。
こうした経験を通じて、赤ちゃんは「自分の気持ちは大切にされている」と感じ、安心して過ごせるようになります。
情緒が安定している子どもは、周りの環境に興味を持ち、積極的に探索する力も育ちやすいんです。
2. 0歳児の発達段階と「気持ちが通じ合う」育ちの特徴
0歳児は1年間で目覚ましい成長を遂げます。
月齢によって「気持ちが通じ合う」経験の現れ方も大きく変わってくるので、発達段階を理解することが大切です。
2-1. 新生児期~3ヶ月:快・不快の表現と受け止められる経験
この時期の特徴
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ視力もはっきりせず、自分の意志で体を動かすこともほとんどできません。
でも、「快」と「不快」の感覚ははっきりしています。
お腹が空いた、おむつが濡れて気持ち悪い、眠いのに寝られない…こうした「不快」を泣いて訴えます。
逆に、授乳されてお腹がいっぱいになった、心地よく眠れた、優しく抱っこされた…こうした「快」の状態では、穏やかな表情を見せます。
保育者の関わりのポイント
この時期の赤ちゃんとの「気持ちが通じ合う」経験は、シンプルです。
- 泣いたらすぐに駆けつける
- 優しい声で「どうしたの?」と声をかける
- 何を求めているのか、丁寧に確認する
- 欲求を満たしてあげる
- 「気持ちよくなったね」と共感する
特定の保育者が継続的に関わることで、赤ちゃんは「この人は自分のことをわかってくれる」と感じ始めます。
これが愛着形成の第一歩です。
また、授乳やおむつ交換の時は、必ず目を見て、穏やかに話しかけましょう。
赤ちゃんは言葉の意味はわからなくても、優しい声のトーンや表情から、「自分は大切にされている」と感じ取ります。
2-2. 4ヶ月~6ヶ月:喃語や笑顔での応答的やりとり
この時期の特徴
首がすわり、寝返りができるようになってくる時期です。
視力も発達し、人の顔をじっと見つめるようになります。
この頃から、「あー」「うー」といった喃語が盛んに出てくるようになります。
また、保育者の顔を見て微笑む「社会的微笑」も見られるようになります。
保育者の関わりのポイント
この時期は、応答的なやりとりが本格的に始まる大切な時期です。
赤ちゃんが「あー」と声を出したら、すぐに「あー、お話ししてるの?」と同じように「あー」と返してあげましょう。
これを「ミラーリング」といい、赤ちゃんは「自分の声が返ってきた!」という嬉しい発見をします。
また、赤ちゃんがニコッと笑ったら、保育者も満面の笑みで「にっこり笑ったね!可愛いね!」と応えます。
こうした「呼びかけ→応答」の繰り返しが、コミュニケーションの原型になります。
実践例
- 赤ちゃんの目をしっかり見て、にこやかに話しかける
- 喃語に同じトーンで応答する
- 「いないいないばあ」など、顔の表情の変化を楽しむ遊びを取り入れる
- ゆったりとした雰囲気で、1対1の関わりの時間を大切にする
2-3. 7ヶ月~11ヶ月:指さしや身振りでの意思表示
この時期の特徴
ハイハイやつかまり立ちができるようになり、行動範囲が広がります。
自分の意志で興味のあるものに近づいていけるようになるのです。
9ヶ月頃から人見知りが始まることも多く、特定の保育者への愛着がはっきりしてきます。
また、指さしが始まり、「あれを見て」「あれが欲しい」といった意思表示が明確になります。
喃語も「まんま」「ばば」など、意味のある言葉に近づいてきます。
保育者の関わりのポイント
この時期は、赤ちゃんからの発信がぐっと増えてきます。
その一つひとつに丁寧に応答することが、とても大切です。
赤ちゃんが何かを指さしたら、「あっ、お花だね」と言葉にして応えます。
これを「共同注意」といい、「一緒に見る」「一緒に関心を向ける」経験が、言葉の発達やコミュニケーション能力の基礎になります。
人見知りで泣く子には、「初めての人でびっくりしたね。大丈夫だよ」と気持ちを代弁し、安心できる保育者がそばにいることを伝えましょう。
実践例
- 指さしに必ず応答し、対象物を言葉で説明する
- 「ちょうだい」「どうぞ」のやりとり遊びを楽しむ
- 赤ちゃんの身振りを言葉にして代弁する
- 人見知りには焦らず、安心感を与える関わりを続ける
2-4. 月齢別の発達比較表
| 月齢 | 身体発達 | コミュニケーション | 「気持ちが通じ合う」経験 | 保育者の関わり |
|---|---|---|---|---|
| 0~3ヶ月 | 首すわり前 寝返りなし |
泣く 視線を合わせる |
快・不快を泣いて訴え、受け止められる | すぐに応答 優しい声かけ 抱っこ |
| 4~6ヶ月 | 首がすわる 寝返りができる |
喃語が出る 社会的微笑 |
喃語への応答 笑顔のやりとり |
ミラーリング 目を見て話す ふれあい遊び |
| 7~11ヶ月 | ハイハイ つかまり立ち |
指さし 身振り 意味のある喃語 |
指さしへの応答 やりとり遊び 共同注意 |
指さしを言葉にする 気持ちの代弁 人見知りへの配慮 |
※個人差が大きい時期なので、あくまでも目安としてください。
目の前の子ども一人ひとりの姿をよく観察し、その子に合った関わりをすることが何より大切です。
3. 保育指針が示す「ねらい」と「内容」を詳しく解説
保育所保育指針では、「身近な人と気持ちが通じ合う」視点について、具体的な「ねらい」と「内容」が示されています。
月案を書く時も、この内容を参考にすることで、指針に沿った計画を立てることができます。
3-1. 身近な人と共に安心して過ごす
ねらい
特定の保育者との継続的な関わりの中で、安心して過ごせるようになることです。
内容
- 保育者に抱かれて、心地よく過ごす
- 保育者の優しい語りかけや歌を聞いて、安心する
- 欲求や不快感を受け止めてもらい、満たされる経験をする
保育のポイント
0歳児は、特に特定の保育者(担当制を取り入れている園では担当保育者)との関係性が重要です。
できるだけ同じ保育者が継続的に関わることで、「この人なら安心」という信頼関係が育ちます。
保育室の環境も大切です。
過度に刺激的でなく、落ち着いて過ごせる空間作りを心がけましょう。
また、赤ちゃんが不安そうにしている時は、そばに寄り添い、優しく声をかけたり、抱っこしたり、スキンシップを大切にします。
「大丈夫だよ」「〇〇先生がそばにいるからね」という言葉は、赤ちゃんに安心感を与えます。
3-2. 喃語や体の動きでやりとりをする
ねらい
保育者との応答的なやりとりを通じて、伝える喜びを感じることです。
内容
- 機嫌よく喃語を発する
- 保育者の語りかけに、喃語や身振り、表情で応える
- 保育者とのやりとりを楽しむ
保育のポイント
赤ちゃんの声や動きに、すぐに応答することが大切です。
「応答的」というのは、ただ反応するだけでなく、「受け止めたよ」「わかったよ」というメッセージを赤ちゃんに伝えることです。
具体的な声かけ例
- 赤ちゃんが「あー」と言ったら→「あー、お話ししてるの?先生も聞いてるよ。あー」
- 赤ちゃんが笑ったら→「にこにこ笑ったね!楽しいね!先生も嬉しいな」
- 赤ちゃんが手を伸ばしたら→「これが欲しいの?はい、どうぞ」
- 赤ちゃんが何かを見つめていたら→「見てるね。何が見えるかな?」
こうした一つひとつの丁寧なやりとりが、赤ちゃんの「伝わった!」という喜びにつながり、もっと伝えたいという意欲を育てます。
3-3. 身近な人と信頼関係を持つ
ねらい
保育者との温かい関わりを通じて、信頼関係を形成することです。
内容
- 保育者に親しみの気持ちを持つ
- 人見知りをしながらも、保育者に安心感を持つ
- 保育者の顔を見て、安心して笑う
保育のポイント
信頼関係は、一朝一夕には育ちません。
毎日の関わりの積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。
人見知りが始まると、「嫌われたのかな」と不安になる保育者もいますが、実はこれは発達の証です。
「特定の人(家族や担当保育者)とそれ以外の人を区別できるようになった」ということなんです。
人見知りで泣く子には、無理に抱っこしようとせず、少し距離を置いて、穏やかに見守ります。
信頼できる保育者がそばにいることで、徐々に安心して、他の保育者にも慣れていきます。
また、保育者自身が笑顔で楽しそうに過ごすことも大切です。
赤ちゃんは保育者の表情や雰囲気を敏感に感じ取ります。
保育者がリラックスして、赤ちゃんとの時間を楽しむことで、赤ちゃんも安心して過ごせるようになります。
4. 保育士が実践すべき「応答的な関わり」の具体例
「応答的な関わり」という言葉、保育指針でよく出てきますよね。
でも、具体的に何をすればいいのか、わかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、現場ですぐに実践できる具体例をお伝えします。
4-1. 目と目を合わせた丁寧な声かけ
赤ちゃんと関わる時、何より大切なのは「目を見る」ことです。
忙しい保育の中で、つい他のことをしながら声をかけてしまうこともあるかもしれません。
でも、赤ちゃんと気持ちを通じ合わせるためには、しっかりと目と目を合わせることが大切です。
実践のコツ
- 赤ちゃんと同じ目線の高さになる(しゃがむ、座る)
- 赤ちゃんの顔を見て、表情を確認する
- ゆっくり、はっきりとした口調で話しかける
- 赤ちゃんが視線を合わせてくれるのを待つ
例えば、おむつ交換の時。
「おむつ替えようね」と声をかけながらも、赤ちゃんの目を見て、「気持ち悪かったね」「きれいになって気持ちいいね」と話しかけます。
この時、無表情ではなく、優しい笑顔で、声のトーンも柔らかくすることがポイントです。
赤ちゃんは言葉の意味よりも、声のトーンや表情から、保育者の気持ちを感じ取ります。
4-2. 喃語への応答と言葉のシャワー
赤ちゃんが「あー」「うー」と声を出した時、どう応答していますか?
忙しいと、聞こえていても応答できないこともありますよね。
でも、できるだけ、赤ちゃんの声には応えてあげましょう。
「応答してもらえる」という経験が、言葉の発達につながります。
応答の仕方
- ミラーリング:赤ちゃんと同じ音を返す
赤ちゃん「あー」→保育者「あー、お話ししてるの?」 - 言葉にする:赤ちゃんの気持ちを言葉で表現する
赤ちゃんが何かを見て声を出したら→「お花が見えたね。きれいだね」 - 会話のやりとり:赤ちゃんの声に応えて、会話のリズムを作る
赤ちゃん「ばぶー」→保育者「ばぶー、そうなの?」→赤ちゃん「あー」→保育者「あー、そっか」
また、「言葉のシャワー」も大切です。
日常の生活の中で、保育者が話しかける言葉を、たくさん聞かせてあげましょう。
「今日はいい天気だね」「お友達が遊んでるね」「お給食、おいしそうだね」
こうした何気ない語りかけが、赤ちゃんの言葉の貯金になります。
4-3. スキンシップと愛着形成
抱っこ、おんぶ、優しく撫でる、手を握る…こうしたスキンシップは、0歳児にとって最も大切なコミュニケーションです。
昔は「抱き癖がつく」と言われたこともありましたが、現在の保育・発達心理学では、これは誤りだとされています。
むしろ、0歳児の時期にたくさん抱っこされ、スキンシップを受けた子どもの方が、情緒が安定し、将来的に自立しやすいことがわかっています。
スキンシップのポイント
- 泣いた時だけでなく、機嫌がいい時もたくさん抱っこする
赤ちゃんは「泣けば抱っこしてもらえる」だけでなく、「いつでも受け入れてもらえる」と感じることが大切です。 - 優しく、ゆったりとした抱き方
急いで抱っこすると、赤ちゃんも不安を感じます。落ち着いて、優しく抱きしめましょう。 - 抱っこしながら話しかける
「気持ちいいね」「先生も嬉しいな」など、温かい言葉をかけます。 - ふれあい遊びを取り入れる
「いっぽんばし」「にぎにぎ」など、スキンシップを伴う遊びは、楽しみながら触れ合えます。
スキンシップを通じて、赤ちゃんは「自分は愛されている」「大切にされている」と感じます。
これが自己肯定感の基礎になり、愛着形成につながります。
4-4. 気持ちを代弁する声かけ例
0歳児は、自分の気持ちを言葉で表現できません。
だからこそ、保育者が赤ちゃんの気持ちを言葉にして代弁することが、とても大切です。
赤ちゃんは「自分の気持ちをわかってもらえた」と感じ、保育者への信頼感が育ちます。
また、「こういう時は、こう言えばいいんだ」ということを学び、将来の言葉の発達にもつながります。
場面別の声かけ例
【泣いている時】
- 「お腹が空いたね。ミルクを飲もうね」
- 「眠いね。もう少し抱っこしていようね」
- 「おむつが気持ち悪いね。すぐ替えようね」
- 「びっくりしたね。大きな音がしたね。大丈夫だよ」
【遊んでいる時】
- 「このおもちゃが面白いんだね」
- 「上手に掴めたね」
- 「これが欲しかったんだね。はい、どうぞ」
- 「楽しいね。嬉しいね」
【困っている時】
- 「取れなくて困ったね。手伝おうか」
- 「行きたいのに行けないね。一緒に行こうか」
- 「難しいね。でも頑張ってるね」
【嬉しそうな時】
- 「嬉しいね!楽しいね!」
- 「できたね!すごいね!」
- 「面白いね!先生も嬉しいな」
大切なのは、赤ちゃんの表情や動きをよく観察し、「今、この子は何を感じているか」を想像することです。
完璧に当たらなくても大丈夫。一生懸命に気持ちを理解しようとする姿勢が、赤ちゃんに伝わります。
5. 場面別|0歳児と気持ちが通じ合う関わり方
保育園での一日の生活の中で、様々な場面があります。
それぞれの場面で、どのように関わればいいのか、具体例を見ていきましょう。
5-1. 授乳・食事場面での関わり
授乳や食事は、赤ちゃんにとって最も重要な生理的欲求を満たす時間です。
同時に、保育者との1対1の密な関わりができる、大切な時間でもあります。
授乳時の関わり
- 授乳の前に「ミルク飲もうね」と声をかけ、心の準備をさせる
- 抱っこして、目を見ながら授乳する
- 「おいしいね」「ごくごく飲んでるね」と優しく話しかける
- 飲み終わったら「お腹いっぱいになったね」と満足感を共有する
- ゲップが出たら「すっきりしたね」と声をかける
離乳食・食事時の関わり
- 「今日は〇〇だよ。おいしそうだね」と食べ物を紹介する
- 「あーん」と声をかけながら、ゆっくりと口に運ぶ
- 「もぐもぐしてるね」と咀嚼を言葉にする
- 手づかみで食べようとする意欲を認める「自分で食べたいんだね」
- 「全部食べたね。すごいね」と達成感を共有する
食事場面では、急がせず、赤ちゃんのペースに合わせることが大切です。
また、食べている時の赤ちゃんの表情(おいしそう、もういらない、など)をよく見て、それに応じた関わりをしましょう。
5-2. おむつ交換時の関わり
おむつ交換は、一日に何度も行う、とても大切なケアです。
ただの作業にせず、赤ちゃんとコミュニケーションを取る時間にしましょう。
おむつ交換時の関わり
- 予告する:「おむつ替えようね」と声をかけてから始める
- 実況する:「ズボンを脱がせるね」「おしりを拭くよ」と、何をするか説明する
- 共感する:「気持ち悪かったね」「きれいになって気持ちいいね」
- 楽しい雰囲気:わらべうたを歌ったり、「きれいきれい~」と明るく話しかける
- 終わりを伝える:「おむつ替え終わったよ。すっきりしたね」
おむつ交換中、赤ちゃんはじっと保育者の顔を見つめていることが多いです。
この時、しっかりと目を合わせて、にこやかに話しかけることで、赤ちゃんは安心し、保育者との信頼関係が深まります。
また、おむつ交換は、赤ちゃんの体調を確認する大切な機会でもあります。
おしっこの色や量、うんちの状態などを確認しながら、異変があれば記録し、看護師や主任に報告します。
5-3. 午睡前後の関わり
眠りにつく時と目覚めの時は、赤ちゃんにとって不安を感じやすい時間です。
安心して眠れる、気持ちよく目覚められる、そんな関わりを心がけましょう。
午睡前の関わり
- 「ねんねの時間だよ」と優しく声をかける
- 部屋を暗くし、静かな環境を作る
- 赤ちゃんの背中やお腹を優しくトントンする
- 子守唄を歌ったり、「ねんねんころりよ」とリズミカルに声をかける
- 眠りに入るまで、そばで見守る
午睡中の配慮
- SIDS(乳幼児突然死症候群)予防のため、必ず仰向けに寝かせる
- 5分おきに呼吸確認を行う
- 顔色、体温、寝相などを観察する
目覚めた時の関わり
- 「おはよう。よく眠れたね」と笑顔で迎える
- ぐずっている場合は、抱っこして「まだ眠いね」と気持ちを代弁する
- 「気持ちよく起きられたね」と目覚めを喜ぶ
眠りの時間は、赤ちゃんによってリズムが違います。
午前中に眠る子、午後に長く寝る子、短い睡眠を繰り返す子…それぞれの生活リズムを把握し、個別に対応することが大切です。
5-4. 遊びの場面での関わり
遊びは、0歳児にとって学びそのものです。
遊びを通じて、体の使い方、物の性質、人との関わり方など、たくさんのことを学びます。
遊びでの関わり方
- 見守る:赤ちゃんが集中して遊んでいる時は、そばで静かに見守る
- 共感する:赤ちゃんが保育者を見たら、「楽しいね」「面白いね」と共感する
- 一緒に遊ぶ:「いないいないばあ」や「ちょうだい・どうぞ」など、やりとり遊びを楽しむ
- 言葉をかける:赤ちゃんが触っているものを言葉で説明する「ボールだね。まるいね」
- 援助する:うまくできない時は「こうやるといいよ」と手を添える
発達段階に合わせた遊び
| 月齢 | おすすめの遊び | 関わりのポイント |
|---|---|---|
| 0~3ヶ月 | 音の出るおもちゃ モビール 触れ合い遊び |
優しく触れる ゆっくり動かす 目を見て笑いかける |
| 4~6ヶ月 | 握れるおもちゃ 布絵本 いないいないばあ |
手に持たせてあげる 一緒にページをめくる 表情豊かに遊ぶ |
| 7~11ヶ月 | 積み木 ボール 型はめ 引っ張るおもちゃ |
一緒に積む 転がして遊ぶ できた時に一緒に喜ぶ 励ましの言葉をかける |
遊びの中で大切なのは、「赤ちゃんが楽しんでいるか」を常に確認することです。
保育者が一方的に遊ばせるのではなく、赤ちゃんの興味や関心に寄り添い、一緒に楽しむ姿勢が大切です。
6. 月案・週案での書き方と文例集
「身近な人と気持ちが通じ合う」の視点を、月案や週案にどう落とし込めばいいのか。
ここでは、具体的な書き方のポイントと文例をご紹介します。
6-1. ねらいの書き方のポイント
ねらいとは
保育を通じて、子どもにどのような育ちを期待するか、を示したものです。
書き方のポイント
- 子どもを主語にする
「保育者が~する」ではなく、「子どもが~する」という形で書きます。 - 具体的に
「コミュニケーション能力を育てる」ではなく、「喃語で保育者とやりとりを楽しむ」のように、具体的に書きます。 - 発達段階に合わせる
その月齢の子どもができることを考えて書きます。 - 3つの視点を意識する
「身近な人と気持ちが通じ合う」視点であることを明確にします。
ねらいの文例(月齢別)
【0~3ヶ月】
- 保育者に思いや欲求を満たしてもらいながら、信頼関係を深めていく
- 安心できる保育者に見守られている環境で、穏やかに過ごす
- 快・不快を泣いて表現し、受け止めてもらう経験をする
【4~6ヶ月】
- 保育者とのやり取りの中で、声を出すこと・話すことの楽しさを味わう
- 保育者の顔を見て笑い、応答してもらう喜びを感じる
- 喃語や表情で思いを伝え、保育者に受け止めてもらう
【7~11ヶ月】
- 身振りや喃語・片言で思いを伝え、保育者とのやりとりを楽しむ
- 指さしや声を出して、興味のあるものを保育者に伝える
- 保育者や他児と一緒に過ごし、安心して遊ぶ
6-2. 内容・配慮事項の書き方
内容とは
ねらいを達成するために、保育者が行う具体的な援助や環境構成のことです。
配慮事項とは
保育を行う上で、特に気をつけること、大切にしたいことです。
書き方のポイント
- 具体的な行動を書く
「優しく関わる」ではなく、「目を見て笑顔で話しかける」のように、具体的に書きます。 - 子どもの姿と保育者の援助をセットで
「〇〇する姿が見られる」→「保育者は△△する」という流れで書きます。 - 個別対応の視点
0歳児は個人差が大きいので、「一人ひとりに合わせて」という視点を入れます。
内容・配慮事項の文例
【子どもの姿】
- 保育者の顔を見て、にこっと笑う姿が見られる
- 「あー」「うー」と喃語を発し、保育者に話しかけようとする
- 人見知りで、初めての人には泣いてしまうことがある
- 気になるものを指さして、保育者に見せようとする
【保育者の援助・配慮】
- 子どもの笑顔に笑顔で応え、「にこにこしてるね」と言葉をかける
- 喃語に同じ音で応答し、「お話ししてるの?」とやりとりを楽しむ
- 人見知りで泣く子には、担当保育者がそばにいて安心感を与える
- 指さしには必ず応答し、「〇〇だね」と対象を言葉で伝える
- 一人ひとりの発達やリズムに合わせ、個別に丁寧に関わる時間を確保する
- おむつ交換や授乳など、生活の場面でも目を見て話しかけ、心を通わせる
6-3. 月齢別の文例サンプル
【0~3ヶ月:3つの視点「身近な人と気持ちが通じ合う」】
ねらい
・特定の保育者との継続的な関わりの中で、安心して過ごす
・快・不快を泣いて表現し、受け止めてもらう経験を重ねる
内容
・泣いて不快感を訴える姿が見られる
・保育者に抱かれ、心地よく過ごす
・保育者の顔をじっと見つめる
配慮事項
・泣いたらすぐに駆けつけ、「どうしたの?」と優しく声をかける
・何を求めているのか、一つずつ丁寧に確認する(授乳、おむつ交換、抱っこなど)
・授乳やおむつ交換の際は、目を見て話しかけ、スキンシップを大切にする
・同じ保育者が継続的に関わることで、信頼関係を築く
・赤ちゃんの生活リズムを把握し、個別に対応する
【4~6ヶ月:3つの視点「身近な人と気持ちが通じ合う」】
ねらい
・保育者とのやりとりを通じて、声を出すこと・伝えることの楽しさを感じる
・保育者に笑いかけ、応答してもらう喜びを味わう
内容
・「あー」「うー」と喃語を発し、保育者に話しかける
・保育者の顔を見てにこにこと笑う
・保育者の真似をして、同じ音を出そうとする
配慮事項
・喃語に必ず応答し、同じ音を返したり、「お話ししてるね」と言葉をかける
・子どもの目をしっかり見て、表情豊かに関わる
・1対1でゆったりと関われる時間を作る
・「いないいないばあ」など、顔の表情の変化を楽しむ遊びを取り入れる
・子どもの発する声や笑顔を、保育者も楽しむ姿勢を大切にする
【7~11ヶ月:3つの視点「身近な人と気持ちが通じ合う」】
ねらい
・身振りや指さし、喃語で思いを伝え、保育者とやりとりを楽しむ
・保育者や他児と一緒に過ごすことの楽しさを感じる
内容
・気になったものを指さしし、保育者に見せようとする
・「ちょうだい」「どうぞ」のやりとりを楽しむ
・人見知りをしながらも、担当保育者のそばで安心して過ごす
・絵本の読み聞かせを、保育者と一緒に楽しむ
配慮事項
・指さしには必ず応答し、対象を言葉で伝える「お花だね。きれいだね」
・子どもの気づきや思いに丁寧に応答し、伝わる喜びを感じられる関わりをする
・「ちょうだい・どうぞ」など、やりとり遊びを積極的に取り入れる
・人見知りには焦らず、信頼できる保育者がそばにいることで安心感を与える
・保育者が仲立ちとなり、他児との関わりも楽しめる雰囲気を作る
・読み聞かせでは、子どもの反応を見ながら、一緒に楽しむ
7. 「気持ちが通じ合う」保育を深めるQ&A
現場でよくある疑問や悩みに、Q&A形式でお答えします。
7-1. 人見知りが激しい子への対応は?
Q:人見知りが激しく、担当保育者以外が近づくと泣いてしまいます。どう対応すればいいですか?
A:人見知りは発達の証です。焦らず、担当保育者が安全基地となることを大切にしてください。
人見知りは、「特定の人とそれ以外の人を区別できるようになった」という、とても大切な発達のステップです。
決して保育者を嫌っているわけではありません。
具体的な対応
- 担当保育者がそばにいる
担当保育者が抱っこしたまま、他の保育者と関わる機会を作ります。
「〇〇先生だよ。優しい先生だよ」と紹介することで、少しずつ慣れていきます。 - 無理に抱っこしない
他の保育者は、少し距離を置いて、笑顔で見守ります。
無理に抱っこしようとすると、かえって恐怖心が強くなります。 - 遊びを通じて慣れる
おもちゃを見せたり、歌を歌ったり、楽しい雰囲気を作ります。
子どもが興味を持ってくれたら、少しずつ距離を縮めていきます。 - 保護者に説明する
人見知りは成長の証であることを、保護者にも伝えます。
家庭でも同じような状況があれば、一緒に見守る姿勢を共有します。
7-2. なかなか泣き止まない時の関わり方は?
Q:何をしても泣き止まない時、どうすればいいですか?自信をなくしそうです。
A:すべての赤ちゃんの泣きをすぐに止められるわけではありません。大切なのは「寄り添う姿勢」です。
赤ちゃんが泣くのには、必ず理由があります。
でも、その理由がすぐにわからないこともあります。それは当然のことです。
泣き止まない時の対応
- 基本的な欲求を確認
・お腹は空いていないか
・おむつは汚れていないか
・暑すぎたり寒すぎたりしないか
・体調は悪くないか(熱、痛みなど)
・眠いのに寝られないのか - 環境を調整する
・静かな場所に移動する
・明るすぎる、うるさすぎる環境を改善する
・抱っこの仕方を変えてみる(縦抱き、横抱き) - 寄り添い続ける
泣き止まなくても、「大丈夫だよ」「そばにいるよ」と声をかけ続けます。
保育者が焦ると、赤ちゃんはその不安を感じ取ります。
深呼吸して、落ち着いた声で話しかけましょう。 - 他の保育者に相談する
一人で抱え込まず、先輩保育者や主任に相談します。
別の保育者が抱っこしたら泣き止むこともあります。それも自然なことです。 - 記録を取る
いつ、どんな状況で泣いたか、何をしたか、記録を取ります。
パターンがわかれば、対応もしやすくなります。
「泣き止ませること」がゴールではありません。
「赤ちゃんの気持ちに寄り添い、安心感を与えること」が大切です。
完璧にできなくても、一生懸命に関わる姿勢が、赤ちゃんに伝わっています。
7-3. 複数の子どもと同時に関わる時のコツは?
Q:0歳児は3人に1人の保育士配置ですが、3人が同時に泣いた時など、どう対応すればいいですか?
A:優先順位をつけつつ、すべての子どもに「待っててね」と声をかけることが大切です。
0歳児保育では、複数の子どもが同時に何かを求めることがよくあります。
一人ですべてに対応するのは物理的に不可能です。だからこそ、チームワークが大切なんです。
複数対応のコツ
- 優先順位をつける
・安全に関わること(転倒しそう、誤飲しそう)→最優先
・体調に関わること(激しく泣く、嘔吐など)→優先
・生理的欲求(授乳、おむつ交換)→重要
・遊びの要求→後回し可能 - すべての子に声をかける
Aちゃんの授乳中、Bちゃんが泣いたら
「Bちゃん、ちょっと待っててね。Aちゃんのミルクが終わったら、すぐに行くからね」
待たせる子にも必ず声をかけることで、「忘れられていない」安心感を与えます。 - 保育者同士で連携する
「Aちゃんの授乳、お願いできますか?」
「Bちゃん、今泣いてるから見てもらえますか?」
声をかけ合い、協力し合うことが大切です。 - 環境を整える
同時に複数が泣かないように、生活リズムをずらす工夫をします。
例えば、授乳時間を少しずつずらす、など。 - 一人で抱え込まない
どうしても手が回らない時は、すぐに他の保育者に助けを求めます。
0歳児保育はチームで行うものです。
7-4. 保護者との連携で大切なことは?
Q:保護者との連携で、「気持ちが通じ合う」保育をどう伝えればいいですか?
A:具体的なエピソードを伝え、園での育ちを共有することが大切です。
0歳児の保護者は、預けることに不安を感じている方も多いです。
「園で自分の子がどう過ごしているか」「保育者と良い関係を築けているか」を知りたいと思っています。
保護者との連携のポイント
- 具体的なエピソードを伝える
「今日、〇〇ちゃんが『あー』って声を出した時に、私も『あー』って返したら、にこっと笑ってくれたんですよ」
こうした具体的なエピソードは、保護者に安心感を与えます。 - 成長を共に喜ぶ
「最近、指さしが出てきましたね!お家でもありますか?」
園と家庭での育ちを共有し、一緒に喜ぶ姿勢が大切です。 - 連絡帳を活用する
毎日の連絡帳に、「気持ちが通じ合った」瞬間を書きます。
「お名前を呼んだら振り向いて、にこっと笑ってくれました」など。 - 保護者の不安に寄り添う
「人見知りが始まって心配」などの相談には、
「人見知りは成長の証ですよ。園でもこんな風に対応しています」と、具体的に説明します。 - 家庭での様子を聞く
「お家ではどんな様子ですか?」と聞くことで、
園と家庭での姿を合わせて理解でき、より良い保育につながります。
8. 他の2つの視点との関連性
「身近な人と気持ちが通じ合う」は、他の2つの視点と密接に関連しています。
3つの視点は独立しているのではなく、お互いに影響し合い、支え合っているのです。
8-1. 「健やかに伸び伸びと育つ」との関係
「健やかに伸び伸びと育つ」は、身体的発達に関する視点です。
生活リズムを整える、体を十分に動かす、心地よさを感じる、などが含まれます。
関連性
・心地よく授乳されたり、おむつを替えてもらったりする経験は、「気持ちが通じ合う」経験でもあります
・保育者との信頼関係があるから、安心して体を動かし、探索活動ができます
・「できた!」という達成感を保育者と共有することで、さらにやる気が育ちます
実践例
ハイハイができるようになった赤ちゃんが、遠くのおもちゃまで移動してそれを掴んだ時、
保育者が「すごい!自分で取りに行けたね!」と一緒に喜ぶ。
→これは「健やかに伸び伸びと育つ(体を動かす)」と「気持ちが通じ合う(喜びを共有する)」が一体となった瞬間です。
8-2. 「身近なものと関わり感性が育つ」との関係
「身近なものと関わり感性が育つ」は、精神的発達に関する視点です。
身の回りのものに興味を持つ、音やリズムを楽しむ、感触を味わう、などが含まれます。
関連性
・保育者との信頼関係があるから、安心して周りの環境に興味を持てます
・興味を持ったものを、保育者と「一緒に見る」「一緒に楽しむ」ことで、より興味が深まります
・「これ何?」という赤ちゃんの問いかけに保育者が応えることで、探究心が育ちます
実践例
赤ちゃんが窓の外の鳥を指さして「あっあっ」と声を出した時、
保育者が「鳥さんだね。ぴよぴよって鳴いてるね」と応える。
→これは「身近なものと関わり感性が育つ(鳥に興味を持つ)」と「気持ちが通じ合う(指さしに応答する)」が一体となった瞬間です。
8-3. 3つの視点が一体となった保育実践例
ここでは、3つの視点すべてが関連する保育実践の例をご紹介します。
【実践例:園庭での探索遊び】
場面
9ヶ月の赤ちゃんが、ハイハイで園庭の芝生まで移動し、芝生を触っている。
保育者がそばで見守っている。
保育者の関わり
- 赤ちゃんが芝生を触り、不思議そうな顔をしている
→保育者「ちくちくするね。芝生だよ」と声をかける
(身近なものと関わり感性が育つ:感触を味わう) - 赤ちゃんが保育者を見て、笑顔を見せる
→保育者「面白いね。楽しいね」と笑顔で応える
(身近な人と気持ちが通じ合う:共感を共有する) - 赤ちゃんが今度は立ち上がろうとする
→保育者「立てるかな?頑張れ!」と励まし、そばで見守る
(健やかに伸び伸びと育つ:体を動かす) - 立ち上がれた!
→保育者「すごい!立てたね!やったね!」と一緒に喜ぶ
(身近な人と気持ちが通じ合う:達成感を共有する)
このように、日常の保育の中で、3つの視点は自然に絡み合っています。
保育者は、その瞬間瞬間で、どの視点が特に大切かを意識しながら、でも全体として調和のとれた関わりを心がけることが大切です。
9. 5領域への連続性を理解する
0歳児の3つの視点は、1歳以上になると5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)へと発展していきます。
この連続性を理解することで、0歳児保育の意味がより深く見えてきます。
9-1. 人間関係領域へのつながり
「身近な人と気持ちが通じ合う」は、主に「人間関係」領域へとつながります。
人間関係領域のねらい(1歳以上3歳未満児)
- 保育所での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる
- 周囲の子ども等への興味や関心が高まり、関わりをもとうとする
- 保育所の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く
0歳児期の育ちがどう活きるか
0歳児の時期に、保育者との信頼関係をしっかりと築いた子どもは、
1歳以上になると、その安心感を土台に、他の子どもにも興味を持ち始めます。
「気持ちが通じ合う」経験を十分にした子どもは、
「人と関わるって楽しい」「伝えたら伝わる」という基本的な信頼感を持っています。
これが、友達との関わりの基礎になるのです。
9-2. 言葉領域へのつながり
「身近な人と気持ちが通じ合う」は、「言葉」領域とも深く関連します。
言葉領域のねらい(1歳以上3歳未満児)
- 言葉遊びや言葉で表現する楽しさを感じる
- 人の言葉や話などを聞き、自分でも思ったことを伝えようとする
- 絵本や物語等に親しむとともに、言葉のやり取りを通じて身近な人と気持ちを通わせる
0歳児期の育ちがどう活きるか
0歳児の時期に、喃語への応答を十分に受けた子どもは、
「声を出せば応えてもらえる」「伝わる喜び」を知っています。
この経験が、言葉を話し始める時の土台になります。
「まんま」「ブーブー」など、初めての言葉を話した時、保育者が大喜びしてくれる経験が、
もっと言葉を覚えたい、もっと伝えたいという意欲につながります。
9-3. 表現領域へのつながり
「身近な人と気持ちが通じ合う」は、「表現」領域にもつながります。
表現領域のねらい(1歳以上3歳未満児)
- 身体の諸感覚の経験を豊かにし、様々な感覚を味わう
- 感じたことや考えたことなどを自分なりに表現しようとする
- 生活や遊びの様々な体験を通して、イメージや感性が豊かになる
0歳児期の育ちがどう活きるか
0歳児の時期に、自分の気持ち(嬉しい、悲しい、面白い)を表情や声で表現し、
それを保育者に受け止めてもらった経験が、「表現する楽しさ」の土台になります。
1歳以上になると、音楽に合わせて体を動かしたり、絵を描いたり、より多様な表現が可能になります。
その時も、「保育者が見てくれている」「共感してくれる」という安心感があるから、
子どもは自由に表現できるのです。
10. まとめ|0歳児との心の通い合いを大切に
ここまで、保育所保育指針が示す「身近な人と気持ちが通じ合う」について、
その意味から具体的な実践方法、月案の書き方まで、詳しくお伝えしてきました。
この記事のポイントをまとめます。
- 「身近な人と気持ちが通じ合う」は、0歳児保育の3つの視点の1つで、社会的発達に関する視点です
- 応答的な関わり、スキンシップ、気持ちの代弁が、気持ちを通じ合わせる基本です
- 月齢によって発達段階が異なるので、一人ひとりに合わせた関わりが大切です
- 月案・週案では、具体的なねらいと内容・配慮事項を書くことがポイントです
- 人見知りや泣き止まない時も、寄り添い続ける姿勢が大切です
- 3つの視点は互いに関連し合い、5領域へとつながっていきます
0歳児保育は、確かに大変です。
言葉が通じない、何を求めているかわからない、思うように泣き止んでくれない…
そんな時、自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。
でも、覚えていてください。
赤ちゃんは、あなたの一生懸命な姿を、ちゃんと感じ取っています。
目を見て話しかけてくれること。
泣いたらすぐに駆けつけてくれること。
優しく抱っこしてくれること。
喃語に応えてくれること。
これらすべてが、赤ちゃんの心に届いています。
そして、「この人は信頼できる」「この人と一緒にいると安心」という気持ちが、少しずつ育っています。
完璧にできなくても大丈夫。
大切なのは、赤ちゃん一人ひとりと向き合い、その子の気持ちを理解しようと努力し続けることです。
そして、一人で抱え込まず、保育者同士で支え合い、保護者とも連携しながら、
チームで0歳児の育ちを支えていきましょう。
あなたが関わった0歳児たちは、将来、人と関わることの楽しさを知り、
自分の気持ちを表現し、相手の気持ちを理解できる人に育っていきます。
その土台を作るのが、今、あなたが行っている0歳児保育です。
とても大切で、とても尊い仕事をしているんだということを、忘れないでください。
この記事が、あなたの保育の一助となれば幸いです。
赤ちゃんたちとの心の通い合いを、これからも大切にしてください。
応援しています!
【参考文献・出典】
- 厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年告示)
- 厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年)
- 児童福祉法
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
※この記事は、保育所保育指針に基づく一般的な情報を提供するものです。各園の方針や個々の子どもの状況に応じて、適切に実践してください。

