育児休業給付金は年末調整に含める?非課税の扱いを完全解説
育児休業を取得して給付金を受け取っている方の中には、「この給付金って年末調整に書くの?」「税金はかかるの?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
特に初めての育休だと、給付金と給与の違いもよくわからないし、年末調整の書類にどう書けばいいのか迷いますよね。会社から「年末調整の書類を出してください」と言われて、慌てて調べている方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、育児休業給付金は年末調整の対象外で、書類に記入する必要はありません。なぜなら、育児休業給付金は非課税所得だからです。
この記事では、育児休業給付金と年末調整の関係について、初心者の方にもわかりやすく詳しく解説していきます。年末調整で何をすればいいのか、確定申告は必要なのか、といった疑問もすべて解消できる内容になっています。
育児休業給付金と年末調整の関係【結論】
育児休業給付金は年末調整の対象外
まず最初に知っておいていただきたいのは、育児休業給付金は年末調整の対象にならないということです。
年末調整とは、会社が従業員の1年間の所得税を計算し直して、払いすぎた税金を返したり、不足分を徴収したりする手続きのことです。この計算の対象となるのは「課税所得」だけなんですね。
育児休業給付金は後で詳しく説明しますが、「非課税所得」に分類されます。つまり、そもそも税金がかからないお金なので、年末調整で計算する必要がないのです。
非課税所得だから申告不要
「非課税所得」という言葉に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言うと、税金がかからない収入のことです。
日本の税制では、すべての収入に税金がかかるわけではありません。社会保障の観点から、一定の給付金や手当は非課税とされているんです。育児休業給付金もその一つです。
非課税所得は、年末調整でも確定申告でも、基本的に申告する必要がありません。つまり、何もしなくてOKということです。
年末調整書類に記入する必要はない
会社から配られる年末調整の書類には、以下のようなものがあります。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
これらの書類のどこにも、育児休業給付金を記入する欄はありません。書く必要がないからです。
ただし、育休中でも給与が支払われている場合(例えば、育休前の月の給与や賞与など)は、その給与分については通常通り年末調整の対象になります。これについては後ほど詳しく説明しますね。
育児休業給付金の基本知識
育児休業給付金とは?
そもそも育児休業給付金とは何なのか、改めて確認しておきましょう。
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金です。育児休業を取得した労働者が、休業期間中に一定の収入を得られるよう支援する制度なんですね。
厚生労働省の「雇用保険法」に基づいて支給されるもので、正式には「育児休業給付」と呼ばれています。会社が支払うものではなく、ハローワーク(公共職業安定所)を通じて国から支給されるのが特徴です。
この制度の目的は、育児休業を取りやすくすることで、仕事と育児の両立を支援し、雇用の継続を促進することにあります。
支給額の計算方法
育児休業給付金の支給額は、育休開始前の賃金(月給)をもとに計算されます。具体的には以下のようになります。
| 期間 | 支給率 | 計算式 |
|---|---|---|
| 育休開始から180日まで | 67% | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67% |
| 181日目以降 | 50% | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50% |
例えば、育休開始前の月給が30万円だった場合、最初の6ヶ月は約20万円、それ以降は約15万円が毎月支給されることになります(実際には2ヶ月ごとの支給です)。
ただし、上限額と下限額が設定されています。2024年8月1日以降の上限額は、67%期間で310,143円、50%期間で232,188円となっています。これは定期的に見直されるので、最新の情報はハローワークで確認してくださいね。
支給期間と対象者
育児休業給付金は、原則として子どもが1歳になるまで支給されます。ただし、保育所に入れないなどの事情がある場合は、最長で2歳まで延長が可能です。
支給を受けるための主な要件は以下の通りです。
- 雇用保険に加入していること
- 育休開始前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あること
- 育児休業期間中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の賃金の8割以上が支払われていないこと
- 各支給単位期間中の就業日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)であること
正社員だけでなく、契約社員やパート、派遣社員の方も、条件を満たせば給付金を受け取ることができます。これ、意外と知らない方が多いんですよね。
給与との違いを理解しよう
ここが混乱しやすいポイントなのですが、育児休業給付金は「給与」ではありません。
給与は会社から労働の対価として支払われるお金で、所得税や住民税の課税対象となります。一方、育児休業給付金は雇用保険からの給付金で、税金がかかりません。
| 項目 | 給与 | 育児休業給付金 |
|---|---|---|
| 支払者 | 会社 | 国(ハローワーク) |
| 性質 | 労働の対価 | 雇用保険からの給付 |
| 所得税 | 課税対象 | 非課税 |
| 住民税 | 課税対象 | 非課税 |
| 社会保険料 | 控除される | 控除されない |
| 年末調整 | 対象 | 対象外 |
この表を見ていただくとわかるように、給与と育児休業給付金は全く別物なんです。だから、年末調整での扱いも異なるというわけですね。
なぜ年末調整に含めなくていいの?【非課税の仕組み】
非課税所得とは
ここで、「非課税所得」についてもう少し詳しく見ていきましょう。
非課税所得とは、所得税法で「税金をかけない」と定められている所得のことです。すべての収入に税金がかかるわけではなく、社会政策的な配慮から、特定の所得は非課税とされているんですね。
所得税法第9条に非課税所得が列挙されていて、育児休業給付金もその中に含まれています。具体的には、「雇用保険法の規定により支給される育児休業給付金」として明記されているんです。
なぜ非課税なのかというと、育児休業給付金は「所得の補償」ではなく、「育児支援のための給付」という性格が強いからです。税金をかけてしまうと、せっかくの支援の意味が薄れてしまいますよね。
育児休業給付金が非課税な理由
育児休業給付金が非課税とされている理由は、主に以下の3つです。
1. 社会保障制度の一環だから
育児休業給付金は、雇用保険という社会保障制度から支給されるものです。失業給付や傷病手当金などと同じように、生活を支えるための給付なので、税金をかけないことになっています。
2. 育児支援という政策目的があるから
少子化対策として、安心して子どもを産み育てられる環境を整えることは国の重要な政策です。給付金に税金をかけないことで、より手厚い支援を実現しているんですね。
3. 所得の代替ではなく、育児のための給付だから
給与は労働の対価ですが、育児休業給付金は育児をするための支援です。性質が異なるため、税制上の扱いも異なるのです。
このように、育児休業給付金の非課税は、しっかりとした理由に基づいているんですね。
他の非課税所得との比較表
育児休業給付金以外にも、非課税所得はたくさんあります。どんなものがあるのか、比較してみましょう。
| 非課税所得の種類 | 概要 | 根拠法令 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 育児休業中に雇用保険から支給される給付金 | 雇用保険法 |
| 失業給付(基本手当) | 失業中にハローワークから支給される手当 | 雇用保険法 |
| 傷病手当金 | 病気やケガで働けない期間の健康保険からの給付 | 健康保険法 |
| 出産手当金 | 出産のため仕事を休んだ期間の健康保険からの給付 | 健康保険法 |
| 出産育児一時金 | 出産時に健康保険から支給される一時金 | 健康保険法 |
| 児童手当 | 子育て世帯に支給される手当 | 児童手当法 |
| 遺族年金 | 亡くなった方の遺族に支給される年金 | 国民年金法・厚生年金保険法 |
| 障害年金 | 障害のある方に支給される年金 | 国民年金法・厚生年金保険法 |
| 通勤手当(一定額まで) | 通勤にかかる費用の実費補償(月15万円まで) | 所得税法 |
こうして見ると、生活を支えるための社会保障給付の多くが非課税になっていることがわかりますね。これらはすべて、年末調整や確定申告で申告する必要がありません。
ちなみに、通勤手当だけは性質が少し異なります。これは給与の一部ですが、実費補償という性格から、一定額までは非課税とされているんです。
年末調整で気をつけるポイント
源泉徴収票の見方
育休中でも、会社から源泉徴収票をもらうことがあります。この源泉徴収票の見方を知っておくと、自分の状況を正しく把握できますよ。
源泉徴収票には、育児休業給付金は記載されません。記載されるのは、あくまでも会社から支払われた給与や賞与だけです。
例えば、2024年4月から育休を取得した場合、1月から3月までの給与は源泉徴収票に記載されます。でも、4月以降に受け取った育児休業給付金は、どこにも載りません。
源泉徴収票で確認すべきポイントは以下の通りです。
- 支払金額:その年に会社から支払われた給与や賞与の総額
- 給与所得控除後の金額:支払金額から給与所得控除を引いた金額
- 所得控除の額の合計額:社会保険料控除や扶養控除などの合計
- 源泉徴収税額:実際に天引きされた所得税の額
育休を取得すると、年間の給与が少なくなるため、源泉徴収票の「支払金額」も例年より少なくなります。でも、それは正常なことなので心配しないでくださいね。
保険料控除証明書の扱い
年末調整では、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書などを提出しますよね。育休中でも、これらの証明書は通常通り提出してOKです。
ただし、育休中は給与がほとんどない、または全くない状態なので、控除を受けても税金が還付されない可能性があります。
例えば、年間の給与が50万円しかなく、給与所得控除(最低55万円)を引くと所得がゼロになる場合、そもそも所得税がかかりません。この場合、保険料控除を申告しても意味がないんですね。
でも、翌年に確定申告をする可能性もあるので、証明書は捨てずに保管しておくことをおすすめします。
扶養控除申告書の書き方
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、育休中でも提出する必要があります。これは、翌年の給与から天引きする所得税の計算に使われるものだからです。
書き方は通常と変わりません。扶養している家族がいれば記入し、いなければ本人の情報だけ記入すればOKです。
ここで注意したいのは、配偶者が育休を取得している場合です。
例えば、夫が働いていて妻が育休中の場合、妻の収入がどうなるかを考える必要があります。育児休業給付金は非課税なので収入に含まれませんが、育休前や育休後に給与がある場合は、その給与は収入に含まれます。
配偶者控除や配偶者特別控除を受けるためには、配偶者の年間所得が一定額以下である必要があります。給与所得だけであれば103万円以下で配偶者控除、103万円超150万円以下で配偶者特別控除の対象となります。
育休中の配偶者の年間給与を確認して、適切に申告しましょう。
育休中に給与がある場合の対応
育休中でも、以下のような場合には給与が支払われることがあります。
- 育休前の月の給与(月途中で育休に入った場合)
- 育休前に支給される賞与
- 育休中に出勤した日の給与
- 会社独自の育児休業手当(給付金とは別)
これらの給与は、通常通り年末調整の対象になります。育児休業給付金とは分けて考えてください。
例えば、2024年4月1日から育休を取得した場合、1月から3月までの給与と、4月分として支払われた給与(3月勤務分)は年末調整の対象です。でも、4月以降に受け取った育児休業給付金は対象外、という感じですね。
会社によっては、育休中も一部の手当を支給してくれるところがあります。その手当が給与として扱われるのか、それとも福利厚生の一環なのかによって、税務上の扱いが変わります。不明な場合は、会社の人事部や経理部に確認してみましょう。
確定申告が必要なケースとは?
医療費控除を受けたい場合
育休中は年末調整だけで税金の処理が終わることが多いのですが、確定申告をすることで税金の還付を受けられるケースもあります。
その代表例が「医療費控除」です。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得から控除を受けられる制度です。出産した年は、妊婦健診費用や分娩費用などで医療費がかさむことが多いですよね。
医療費控除の対象となる主な費用は以下の通りです。
- 妊婦健診の費用
- 分娩・入院の費用
- 通院のための交通費(公共交通機関)
- 薬局で購入した医薬品(治療目的のもの)
- 歯科治療費
- その他の診察・治療費
医療費控除は、年末調整では受けられません。確定申告をする必要があります。
ただし、ここで注意が必要です。育休中で給与がほとんどない、または全くない場合、そもそも所得税を払っていないので、控除を受けても還付されるお金がありません。
例えば、年間の給与が30万円で、給与所得控除を引くと所得がゼロになる場合、医療費控除を申告しても意味がないんですね。
でも、夫婦で一緒に確定申告するという方法があります。医療費は「生計を一にする家族」の分をまとめて申告できるので、配偶者の方で申告すれば控除を受けられます。
共働き夫婦で妻が育休中の場合、夫の確定申告で家族全員の医療費をまとめて申告するのが一般的です。この方が節税効果が高くなりますよ。
住宅ローン控除の初年度
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける場合、初年度は必ず確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で対応できますが、1年目だけは自分で確定申告をしなければなりません。
育休中に住宅を購入した方、または育休前に購入して初めての年末を迎える方は、忘れずに確定申告をしましょう。
住宅ローン控除では、年末のローン残高の0.7%が所得税から控除されます(2022年以降に入居した場合)。ただし、これも医療費控除と同じで、そもそも所得税を払っていなければ還付されません。
育休中で所得がほとんどない年は、住宅ローン控除を受けられない可能性があります。でも、確定申告自体は必要なので、必ず手続きをしてくださいね。
住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は以下の通りです。
- 確定申告書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関発行)
- 土地・建物の登記事項証明書
- 不動産売買契約書の写し
- 源泉徴収票
- マイナンバーカードまたは通知カード
書類が多くて大変ですが、初年度だけなので頑張りましょう。
副業収入がある場合
育休中に在宅でできる副業を始める方も増えていますよね。ブログ、アフィリエイト、ハンドメイド販売、ライティング、プログラミングなど、様々な副業があります。
副業で収入がある場合、年間20万円を超えたら確定申告が必要です。正確には、給与以外の所得が20万円を超えた場合ですね。
ここで注意したいのは、「収入」と「所得」の違いです。
- 収入:売上や報酬として受け取った金額の総額
- 所得:収入から必要経費を引いた金額
例えば、ハンドメイド販売で年間30万円の売上があったとします。でも、材料費や送料で15万円かかっていれば、所得は15万円です。この場合、20万円以下なので確定申告は不要です(ただし、住民税の申告は必要な場合があります)。
副業の種類によって、所得の区分が異なります。
| 副業の種類 | 所得区分 | 特徴 |
|---|---|---|
| アフィリエイト、ブログ収入 | 雑所得または事業所得 | 規模によって判断 |
| ハンドメイド販売 | 雑所得または事業所得 | 継続性・反復性で判断 |
| ライティング、デザイン | 雑所得または事業所得 | 規模によって判断 |
| 株式投資の配当金 | 配当所得 | 源泉徴収あり |
| 不動産賃貸 | 不動産所得 | 規模によって青色申告も可能 |
副業の確定申告は少し複雑なので、不安な方は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
ふるさと納税の寄附金控除
ふるさと納税をした方は、確定申告またはワンストップ特例制度で控除を受けることができます。
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくても、ふるさと納税の控除を受けられる便利な制度です。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 確定申告をする必要がない給与所得者等であること
- 1年間のふるさと納税先が5自治体以内であること
- 各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出していること
育休中で確定申告をしない方は、ワンストップ特例が使えます。でも、医療費控除や住宅ローン控除で確定申告をする場合は、ふるさと納税も確定申告に含める必要があります。ワンストップ特例は無効になるので注意してくださいね。
ここで重要なのは、育休中で所得がほとんどない場合、ふるさと納税のメリットが少ないということです。
ふるさと納税は、寄附額から2,000円を引いた金額が、所得税と住民税から控除される仕組みです。でも、そもそも税金を払っていなければ、控除を受けても意味がありません。
共働き夫婦の場合、育休中の妻ではなく、働いている夫の名義でふるさと納税をする方が節税効果が高いですよ。
育休中のお金に関するよくある質問【Q&A】
Q1:育児休業給付金は収入に含まれる?
A:税法上の「収入」には含まれません。
育児休業給付金は非課税所得なので、所得税や住民税の計算において「収入」としてカウントされません。
ただし、注意が必要なのは、「収入」という言葉の使い方です。一般的な会話や家計簿では「収入」と呼ぶかもしれませんが、税法上は収入ではないんですね。
例えば、保育園の入園申請で「世帯収入」を記入する場合、自治体によっては育児休業給付金を含めるか含めないかが異なります。これは保育料の算定基準が税法上の所得を基にしているためです。詳しくはお住まいの自治体に確認してください。
Q2:住民税はどうなる?
A:育児休業給付金には住民税もかかりません。ただし、前年の所得に基づく住民税は支払う必要があります。
住民税は前年の所得に基づいて計算されます。つまり、2024年に支払う住民税は、2023年の所得をもとに計算されているんですね。
例えば、2024年4月から育休を取得した場合、2024年分の住民税(2023年の所得に基づく)は通常通り支払う必要があります。会社から給与が出ている間は給与天引きされますが、育休中は自分で納付することになります。
会社の給与から天引きされなくなると、自宅に納付書が届きます。これを忘れずに支払いましょう。分割払いも可能ですよ。
一方、育休を取得した年(2024年)の所得は少なくなるので、翌年(2025年)の住民税は大幅に減額されるか、ゼロになる可能性があります。
Q3:社会保険料の支払いは?
A:育児休業期間中は、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の支払いが免除されます。
これは育休取得者にとって、とても大きなメリットです。通常、会社員は給与から健康保険料と厚生年金保険料が天引きされていますよね。月給30万円の人なら、月4〜5万円くらいの負担になります。
育児休業期間中は、この社会保険料の支払いが免除されるんです。しかも、免除期間中も保険料を払っているものとして扱われるので、将来の年金額が減ることもありません。
免除を受けるためには、会社が年金事務所に「育児休業等取得者申出書」を提出する必要があります。通常は会社が手続きしてくれますが、心配な方は人事部に確認してみましょう。
ちなみに、社会保険料が免除されるのは、育休開始月から終了日の翌日が属する月の前月までです。例えば、4月1日に育休を開始して、翌年3月31日に終了する場合、4月から2月まで(11ヶ月分)の保険料が免除されます。
Q4:配偶者控除は受けられる?
A:配偶者の年間所得が48万円以下なら、配偶者控除を受けられます。育児休業給付金は所得に含まれません。
配偶者控除を受けるための条件は以下の通りです。
- 民法上の配偶者であること(内縁関係は対象外)
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者として給与を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
育児休業給付金は非課税所得なので、合計所得金額には含まれません。つまり、育休中で給付金しか受け取っていない場合、所得はゼロと判断されるんですね。
例えば、妻が2024年4月から育休を取得し、1月から3月までの給与が60万円だった場合を考えてみましょう。給与所得控除(最低55万円)を引くと、所得は5万円です。48万円以下なので、夫は配偶者控除を受けられます。
ただし、年間の給与が103万円を超える場合は、配偶者控除ではなく配偶者特別控除の対象になります。配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円超133万円以下の場合に受けられる控除です。
Q5:給付金をもらっていることを会社に伝える必要は?
A:年末調整の観点では、特に伝える必要はありません。ただし、育休の申請手続きの中で会社は把握しています。
育児休業給付金は、会社を通じてハローワークに申請します。具体的には、会社が「育児休業給付金支給申請書」を2ヶ月ごとにハローワークに提出する仕組みになっているんですね。
なので、会社はあなたが給付金を受け取っていることを既に知っています。改めて伝える必要はありません。
ただし、年末調整の書類に記入する必要もありません。繰り返しになりますが、育児休業給付金は年末調整の対象外だからです。
もし会社から「給付金の金額を教えてください」と言われたら、それは年末調整とは別の目的(例えば社内の統計など)だと思われます。その場合は会社の指示に従ってください。
実際の体験談【先輩ママ・パパの声】
年末調整で迷ったケース
ここで、実際に育休を取得した先輩ママ・パパの体験談をご紹介します。これから育休を取る方の参考になればと思います。
【ケース1】初めての育休で年末調整に戸惑ったAさん(30代・女性)
「初めての出産で、10月から育休に入りました。12月になって会社から年末調整の書類が届いたんですが、何をどう書けばいいのか全然わからなくて。育児休業給付金って、書類のどこに書くんだろう?って悩んでいました。」
「ネットで調べても情報がバラバラで、混乱してしまって。結局、会社の人事部に電話して聞いたら、『給付金は書かなくていいですよ』とあっさり言われました。もっと早く聞けばよかったです(笑)。」
「1月から9月までの給与分だけ年末調整の対象で、給付金は完全に別物なんですね。理解してからは簡単でした。」
【ケース2】配偶者控除で悩んだBさん(30代・男性)
「妻が4月から育休に入り、僕の年末調整で配偶者控除を受けられるか気になっていました。妻は1月から3月まで働いていて、給与が80万円くらいあったんです。それに加えて育児休業給付金も受け取っているので、合計すると結構な金額になるんですよね。」
「税務署に電話して聞いたら、『給付金は非課税所得なので、配偶者の所得計算には含めません』と教えてもらいました。つまり、給与の80万円だけで判断すればいいと。給与所得控除を引くと所得は25万円なので、配偶者控除を受けられることがわかりました。」
「助かったのは、税務署の方が丁寧に説明してくれたことです。最初は自分で計算しようとして混乱していたので。」
【ケース3】確定申告で還付を受けたCさん(30代・女性)
「出産した年は医療費がかさんで、妊婦健診と分娩費用だけで60万円くらいかかりました。出産育児一時金をもらっても、自己負担が15万円ほど残ったんです。」
「年末調整では何もせず、翌年2月に確定申告をしました。私自身は育休中で所得がほとんどなかったので、夫の名義で医療費控除を申請したんです。家族分の医療費をまとめて申告できるって知って、得した気分でした。」
「結果、4万円ほど還付されました。赤ちゃんのおむつ代に消えましたが(笑)、やってよかったです。」
確定申告で還付を受けた事例
【ケース4】住宅ローン控除を初めて申請したDさん(30代・男性)
「育休に入る直前にマンションを購入しました。住宅ローン控除は初年度に確定申告が必要だと聞いていたので、2月になってすぐに税務署に行きました。」
「必要書類を準備するのが大変でしたね。登記事項証明書や売買契約書、金融機関の残高証明書など、たくさんの書類が必要で。でも、税務署の相談コーナーで職員の方がサポートしてくれたので、なんとか申告できました。」
「育休中で給与が少なかったので、控除額は満額受けられませんでしたが、それでも8万円ほど還付されました。2年目以降は年末調整で対応できるそうなので、来年は楽になりそうです。」
【ケース5】副業収入があったEさん(30代・女性)
「育休中に在宅でライティングの仕事を始めました。子どもが寝ている間にコツコツ書いて、年間で30万円くらいの収入になったんです。」
「確定申告が必要だとは知っていたんですが、経費の計算がよくわからなくて。結局、税理士さんに相談しました。パソコンの購入費用や通信費、参考書代などが経費として認められることを教えてもらい、所得は15万円ほどになりました。」
「育児休業給付金は非課税なので申告不要ですが、副業の所得は申告が必要でした。きちんと申告して、すっきりしました。」
専門家からのアドバイス
税理士が教える注意点
ここからは、税務の専門家である税理士の視点から、育児休業給付金と年末調整に関する重要なポイントをお伝えします。
【ポイント1】非課税所得の正しい理解
税理士の山田先生(仮名)によると、「育児休業給付金が非課税であることは理解していても、それが何を意味するのか正しく理解していない方が多い」とのこと。
「非課税所得は、年末調整でも確定申告でも申告する必要がありません。申告書のどこにも記入する欄がないんです。もし誤って記入してしまっても、税務署や会社の担当者が気づいて訂正してくれることがほとんどですが、最初から正しく理解しておくことが大切です。」
【ポイント2】配偶者控除・配偶者特別控除の判定
「配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるかどうかの判定で、育児休業給付金を含めて計算してしまう方がいらっしゃいます。これは間違いです。給付金は所得に含まれないので、給与収入だけで判断してください。」
「例えば、配偶者が年間150万円の育児休業給付金を受け取っていても、給与が50万円なら、所得はゼロです(給与所得控除55万円を引くため)。この場合、配偶者控除を受けられます。」
【ポイント3】確定申告のタイミング
「医療費控除や住宅ローン控除で確定申告をする場合、育休中の方は所得が少ないため、還付額が小さくなることがあります。でも、だからといって申告しないのはもったいないです。少額でも還付されるなら、申告する価値があります。」
「また、共働き夫婦の場合、どちらの名義で申告するかで還付額が変わります。所得が多い方の名義で申告した方が、節税効果が高くなることが多いので、よく検討してください。」
社労士が教える給付金のポイント
続いて、社会保険労務士の佐藤先生(仮名)から、育児休業給付金に関する実務的なアドバイスをいただきました。
【ポイント1】給付金の申請漏れに注意
「育児休業給付金は、会社が申請手続きをサポートしてくれますが、最終的には本人の権利です。会社任せにせず、自分でも申請状況を確認することをおすすめします。」
「特に、2ヶ月ごとの継続申請を忘れると、給付金が止まってしまいます。会社の担当者が忙しくて手続きが遅れることもあるので、定期的に確認しましょう。」
【ポイント2】育休延長時の手続き
「保育所に入れないなどの理由で育休を延長する場合、給付金の延長申請も必要です。このとき、市区町村が発行する『保育所入所保留通知書』などの証明書が必要になります。」
「延長申請の手続きが遅れると、給付金が支給されない期間が発生する可能性があるので、早めに準備してください。」
【ポイント3】育休中の働き方
「育休中に一時的に働くことは可能ですが、働きすぎると給付金が減額されたり、支給停止になったりします。具体的には、1ヶ月あたりの就業日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)である必要があります。」
「また、育休中に受け取る給与と給付金の合計が、育休前の賃金の80%を超えると、給付金が減額されます。育休中に働く場合は、これらの点に注意してください。」
【ポイント4】社会保険料免除の仕組み
「育休期間中は社会保険料が免除されますが、これは自動的に免除されるわけではありません。会社が年金事務所に申出書を提出する必要があります。」
「通常は会社が手続きしてくれますが、給与明細で社会保険料が引かれていないか確認してください。もし引かれている場合は、会社に連絡して手続き状況を確認しましょう。」
まとめ:育児休業給付金と年末調整の正しい理解
ここまで、育児休業給付金と年末調整の関係について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきますね。
押さえておきたい5つのポイント
1. 育児休業給付金は年末調整の対象外
育児休業給付金は非課税所得なので、年末調整の書類に記入する必要はありません。給与とは別物だと理解しておきましょう。
2. 源泉徴収票には記載されない
会社から受け取る源泉徴収票には、給付金の金額は記載されません。記載されるのは、会社から支払われた給与や賞与だけです。
3. 確定申告で還付を受けられるケースがある
医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告をすれば、税金の還付を受けられる可能性があります。特に出産した年は医療費がかさむので、確定申告を検討してみてください。
4. 配偶者控除の判定には給付金を含めない
配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるかどうかの判定では、育児休業給付金は所得に含まれません。給与収入だけで判断してください。
5. 困ったときは専門家や会社に相談
年末調整や税金のことでわからないことがあったら、一人で悩まず、会社の人事部や税務署、税理士に相談しましょう。
最後に:安心して育児に専念してください
育児休業を取得すると、仕事から離れて子育てに専念できる貴重な時間が得られます。でも、お金のことや手続きのことで不安になることもありますよね。
この記事でお伝えしたいのは、育児休業給付金に関する税金の心配はほとんど不要だということです。給付金は非課税なので、年末調整で何か特別なことをする必要はありません。
年末調整の書類が届いたら、育休前に受け取った給与分について、通常通り手続きをすればOKです。給付金のことは考えなくて大丈夫。シンプルでしょう?
もちろん、医療費控除や住宅ローン控除など、確定申告をすることでメリットがあるケースもあります。該当する方は、ぜひ確定申告にチャレンジしてみてください。還付金を受け取れたら、子育てグッズの購入費用にあてられますよね。
育児休業は、子どもとの大切な時間を過ごせる特別な期間です。お金の不安を少しでも減らして、安心して育児に専念していただければと思います。
育児は大変ですが、とても素晴らしい経験です。あなたの育休生活が、充実したものになることを心から願っています。
何か疑問や不安があれば、遠慮なく会社や専門家に相談してくださいね。あなたは一人じゃありません。周りにはサポートしてくれる人がたくさんいます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、あなたの育休生活の助けになれば幸いです。
参考情報・出典
本記事の作成にあたり、以下の信頼できる情報源を参考にしています。
- 厚生労働省「雇用保険法」
- 国税庁「所得税法第9条(非課税所得)」
- 厚生労働省「育児休業給付について」
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ」
- 日本年金機構「育児休業等期間中の社会保険料免除について」
最新の制度内容や金額については、以下の公式サイトでご確認ください。
- 厚生労働省ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/
- 国税庁ホームページ:https://www.nta.go.jp/
- ハローワークインターネットサービス:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
※本記事の内容は2024年10月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。

