「育児休業給付金の上限が引き上げになったって聞いたんだけど、自分にはどう関係あるの?」
そう思って調べ始めた方、多いんじゃないでしょうか。
実は「上限引き上げ」には2種類あって、混乱している方もけっこういます。
- ①毎年8月に行われる賃金日額の上限額の改定(2025年8月〜さらに引き上げ)
- ②2025年4月から始まった「出生後休業支援給付金」による実質給付率80%(手取り10割相当)への引き上げ
この記事では、この2種類の「上限引き上げ」を整理し、「自分の受取額はいくら変わるの?」「上限に引っかかるのはどのくらいの月給からなの?」という疑問に、具体的な数字でお答えします。
📋 この記事でわかること
・2025年8月改定後の育児休業給付金の上限額(最新版)
・月給いくら以上で上限に当たるのか
・「手取り10割」になる条件と上限額
・改正前後の受取額シミュレーション
※本記事の数値・制度情報は2026年5月時点のものです。上限額は毎年8月1日に改定される場合があります。最新情報はハローワークまたは厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
育児休業給付金の「上限引き上げ」には2種類ある
ニュースや職場の先輩から「育休の給付金、上限が上がったよ」と聞いたとき、実はそこには2つの話が混在していることが多いです。まずここをきちんと整理しましょう。
①毎年8月に行われる「賃金日額上限額」の改定
育児休業給付金には、計算のベースとなる「休業開始時賃金日額」に上限額が設定されています。この上限額は毎年8月1日に見直され、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに引き上げ・引き下げが行われます。
2025年8月1日の改定では、上限額がこれまでより引き上げられました。具体的な数字は次のセクションで詳しく解説します。
この改定は「賃金が上がれば給付金の上限も上がる」という設計の話であり、上限超えの方の実際の受取額が増える変更です。
②2025年4月:「出生後休業支援給付金」の新設で実質給付率80%へ
もう一方の「引き上げ」は、2025年4月1日に新設された「出生後休業支援給付金」によるものです。
従来の育児休業給付金は賃金の67%(手取りベースで約8割)でしたが、この新給付金と合わせて受け取ることで、一定条件を満たせば最大28日間は実質80%(手取り10割相当)に引き上がります。
「手取り10割?」と驚く方も多いですが、これは社会保険料の免除効果を含めた実質的な計算です。後ほど詳しく解説します。
⚠️ よくある誤解
「2025年から育児休業給付金が10割になった」という情報を見て、全員が10割になると思っている方がいますが、条件ありです。「夫婦ともに14日以上育休を取得する」などの要件を満たす必要があります。
2025年8月改定後の上限額一覧(最新版)
2025年8月1日の改定で、育児休業給付金の計算に使う「休業開始時賃金日額」の上限額が15,690円 → 16,110円に引き上げられました(2026年7月31日まで適用)。
これにより、月あたりの支給上限額も変わっています。
給付率67%のとき(育休開始〜180日目まで)
| 項目 | 〜2025年7月31日 | 2025年8月1日〜 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 賃金日額 上限 | 15,690円 | 16,110円 | +420円 |
| 月額支給上限(30日) | 315,369円 | 323,811円 | +8,442円 |
計算式:16,110円 × 30日 × 67% = 323,811円
給付率50%のとき(育休開始181日目以降)
| 項目 | 〜2025年7月31日 | 2025年8月1日〜 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 賃金日額 上限 | 15,690円 | 16,110円 | +420円 |
| 月額支給上限(30日) | 235,350円 | 241,650円 | +6,300円 |
計算式:16,110円 × 30日 × 50% = 241,650円
つまり、月収が高くて上限に当たっている方は、2025年8月以降の育休期間について月あたり最大8,442円受取額が増えます。12ヶ月育休を取るなら年間で約10万円の差にもなりますね。
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育児休業給付金の支給額を自分の給与で計算したい方は、育児休業給付金計算ツールを使うと簡単に試算できます。上限の壁も込みで計算してくれますよ。
上限に当たるのは月給いくら以上?
「上限」という言葉を聞いて、「自分は関係あるのかな?」と思っている方も多いはずです。実際にどのくらいの給与水準から上限の影響が出るのか、確認してみましょう。
上限に当たる月給の目安
育児休業給付金の計算ベースとなる「休業開始時賃金日額」は、育休開始前6ヶ月の給与総額を180で割って算出します。この賃金日額が上限(16,110円)を超えると、給付額は頭打ちになります。
賃金日額に直すと:16,110円 × 30日 = 月換算483,300円(約48万円)がひとつの目安です。
| 月給(額面) | 上限の影響 | 受取上限額(67%) |
|---|---|---|
| 30万円 | 影響なし | 約201,000円(実額) |
| 40万円 | 影響なし | 約268,000円(実額) |
| 48万円 | 上限付近 | 約321,600円(実額) |
| 50万円以上 | 上限に当たる | 323,811円(上限) |
| 60万円 | 上限に当たる | 323,811円(上限) |
おおよそ月給48〜50万円以上の方が上限の影響を受けます。管理職や専門職、年収600〜700万円超の方あたりが対象になることが多いイメージです。
「あ、うちはそこまでじゃないな」という方は、上限を気にせず実際の給与で計算すれば大丈夫です。
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育休中にもらえるお金全体を把握したい方は、育休中の給付金まとめも参考にどうぞ。給付金の種類と受取時期をわかりやすく整理しています。
2025年4月の「もうひとつの上限引き上げ」:出生後休業支援給付金とは?
2025年4月から、育児休業に関連する給付金の体系が大きく変わりました。新設された「出生後休業支援給付金」によって、一定条件を満たすと給付率が実質80%(手取りで約10割相当)になります。
これが「上限が10割に引き上がった」というニュースの正体です。ただし、全員に自動的に適用されるわけではないので注意が必要です。
出生後休業支援給付金の仕組み
この給付金は、既存の育児休業給付金(67%)に13%を上乗せする形で支給されます。合計80%という数字は、社会保険料が免除されることで手取りベースでほぼ100%(10割)に相当するという計算です。
| 給付金の種類 | 給付率 | 対象期間 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金(従来) | 67% | 育休期間全体(180日まで) |
| 出生後休業支援給付金(新設) | +13% | 出生後8週間以内・最大28日間 |
| 合計(条件を満たした場合) | 80% | 最大28日間のみ |
受け取れる条件:夫婦ともに14日以上が必要
出生後休業支援給付金を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
【受給条件】
- 子の出生後8週間以内に、夫婦それぞれが合計14日以上の育休を取得すること
- 両親ともに雇用保険の被保険者であること
- 育児休業給付金の受給要件を満たしていること
「夫婦ともに14日以上」というのがポイントです。例えば、ママが産後すぐ育休に入り、パパも出生後8週間以内に2週間以上の育休を取れば、両方が条件を満たせます。
「パパが育休を取らない」「どちらかが雇用保険に入っていない(フリーランスなど)」というケースでは、この上乗せ給付金は受け取れません。不安になりますよね、でも条件さえ確認しておけば事前に対策できます。
出生後休業支援給付金の支給上限額
この給付金にも上限があります。2025年8月1日改定後の数値は以下の通りです。
| 対象 | 計算式 | 上限額(28日) |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金(67%) | 16,110円×28日×67% | 302,223円 |
| 出生後休業支援給付金(+13%) | 16,110円×28日×13% | 58,640円 |
| 合計(上限額の場合) | — | 360,863円 |
28日間で約36万円。1ヶ月あたりに換算すれば月38〜39万円相当です。上限に当たらない方であれば、これに近い金額を手取りベースでほぼ維持できることになります。
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出生後休業支援給付金の詳しい受給条件や手続きについては、出生後休業支援給付金とはで詳しく解説しています。
受取額シミュレーション:改正前後でどのくらい変わる?
「数字が多くてよくわからない」という方のために、具体的な月給別のシミュレーションをまとめました。自分に近いケースを見つけてみてください。
ケース①:月給35万円(上限の影響なし)
育休開始〜180日(67%)
月給35万円 × 67% = 約234,500円 / 月
育休181日目〜(50%)
月給35万円 × 50% = 約175,000円 / 月
※ 上限額(323,811円)には届かないため、実際の給与ベースで計算されます。2025年8月の上限改定の影響は受けません。
ケース②:月給50万円(上限超えのケース)
育休開始〜180日(67%)
| 改定時期 | 月額受取上限 | 差額 |
|---|---|---|
| 〜2025年7月まで | 315,369円 | — |
| 2025年8月〜 | 323,811円 | +8,442円 |
12ヶ月の育休であれば、2025年8月以降の分について月8,442円増。仮に8ヶ月分が改定後なら +約67,500円 の差になります。
ケース③:パパが産後パパ育休を取り、手取り10割を目指す場合(月給40万円)
条件:ママ・パパともに子の出生後8週間以内に14日以上育休取得
| 給付金の種類 | 給付率 | 月額換算(28日) |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 67% | 約249,000円 |
| 出生後休業支援給付金 | +13% | 約48,300円 |
| 合計 | 80% | 約297,300円 |
社会保険料免除が加わることで、手取りベースでは月給40万円と近い水準を維持できます。
「育休中は収入が激減する」というイメージがありますが、条件が揃えばかなりカバーできることがわかりますね。不安になっていた方、少し安心していただけましたか?
上限額はなぜ毎年変わるの?仕組みを理解しよう
「なんで毎年変わるの?」と疑問に思った方に、簡単に説明します。
育児休業給付金は雇用保険の給付金の一種です。雇用保険の給付水準は、「毎月勤労統計の平均定期給与額の増減」に連動して毎年8月1日に見直されます。社会全体の賃金が上がれば、給付の上限も上がる設計になっています。
つまり、最低賃金の引き上げや春闘の賃上げといった社会動向が、育児休業給付金の上限額にも間接的に影響してくるわけです。近年の賃上げムードの中で、毎年少しずつ上限が引き上げられているのはそのためです。
| 改定時期 | 賃金日額上限 | 月額上限(67%) |
|---|---|---|
| 2024年8月1日〜2025年7月31日 | 15,690円 | 315,369円 |
| 2025年8月1日〜2026年7月31日 | 16,110円 | 323,811円 |
毎年8月1日が「改定日」なので、育休の開始月やタイミングによって適用される上限額が変わることがある点も覚えておきましょう。特に8月前後に育休が始まる方は確認が大切です。
育児休業給付金の基本をおさらい
ここまで「上限」にフォーカスして解説してきましたが、「そもそもの計算方法がよくわからない」という方のために基本もまとめておきます。
いくらもらえる?計算式
育児休業給付金の計算式はシンプルです。
【計算式】
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率
- 休業開始時賃金日額:育休開始前6ヶ月の給与総額 ÷ 180
- 支給日数:原則30日(育休終了月は実際の日数)
- 給付率:育休開始〜180日目は67%、181日目以降は50%
ここで重要なのが「育休開始前6ヶ月の給与」の計算に賞与(ボーナス)は含まれない点です。基本給や残業代は含まれますが、ボーナスは除外されます。月給が高くてもボーナス依存の収入構造の方は、思ったより受取額が少なくなることも。
いつからいつまでもらえる?
| 育休の種類 | 取得できる期間 | 給付金の受給期間 |
|---|---|---|
| 通常の育休 | 子が1歳(最長2歳)まで | 育休期間中(最長1歳まで) |
| 産後パパ育休 | 出生後8週間以内・最大28日 | 育休期間中(最大28日) |
| 育休延長 | 1歳6ヶ月・2歳まで延長可 | 延長期間中も受給可 |
「育休を延長しても給付金はもらえるの?」という心配をされる方がいますが、育休の延長期間中も給付金を受け取ることができます。ただし、延長には「保育園に入れなかった」などの事由が必要で、手続きが発生します。
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育休の延長手続きや条件については、育休延長のページで詳しく解説しています。延長を検討している方はあわせてご覧ください。
受給する際の注意点:育休中にアルバイトをする場合
「育休中に少しだけ働いた場合は?」という疑問もよく聞きます。育休中に就労した日数が支給単位期間(1ヶ月)の10日以下であれば、原則として給付金を受け取れます。ただし、就労した日数・時間数が増えると給付金が減額・不支給になるケースがあります。
ちょっとした在宅ワークや手伝い程度なら影響が出ないことも多いですが、事前にハローワークへ確認するのが安心です。
給付金を正確に把握するために今やること
制度の変化が多くて「結局自分はどうすればいいの?」と混乱している方のために、やることをシンプルに整理しました。
✅ 育休前にやっておくこと
- 自分の休業開始時賃金日額を計算する(直近6ヶ月の給与総額 ÷ 180)
- 上限額(16,110円/日)と比べて、上限に当たるか確認する
- 出生後休業支援給付金の条件(夫婦ともに14日以上)を達成できるか夫婦で話し合う
- 育休開始・終了のタイミングが8月前後の場合、適用される上限額を確認する
- 手続きはすべて会社経由→ハローワークになるので、会社の人事・総務に早めに相談する
「制度は理解したけど、実際に自分の給与で試算してみたい」という方は、育児休業給付金計算ツールがおすすめです。最新の上限額を反映した状態で、月収を入力するだけで67%と50%の受取額の目安がわかります。
また、産休・育休の期間と給付金をまとめてシミュレーションしたい場合は、産休育休自動計算ツールが便利です。育休終了日や給付金の受取期間ごとに一覧化してくれます。
まとめ:上限引き上げは「高収入の方ほど恩恵が大きい」変化
改めてポイントを整理しましょう。
育児休業給付金の「上限引き上げ」まとめ
- 毎年8月に賃金日額の上限が見直される。2025年8月改定で 15,690円 → 16,110円 に引き上げ
- 月額支給上限は 315,369円 → 323,811円(67%) に増加(+8,442円)
- 上限に当たるのはおおよそ月給48〜50万円以上の方
- 2025年4月から「出生後休業支援給付金」が新設。夫婦ともに14日以上育休を取ると最大28日間は実質80%(手取り10割相当)に
- 月給が上限以下の方には、8月改定の影響はほぼなし。ただし出生後休業支援給付金は条件次第で全員対象
育休中の家計が心配で、給付金のことをきちんと把握しておきたかった方に、この記事が少しでも役に立てていたら嬉しいです。
「夫婦で話し合って育休の取り方を決めたい」「会社への伝え方がわからない」という方は、以下の記事も参考にしてみてください。
本記事の内容は2026年5月時点の情報をもとにしています。制度・金額は変更される場合があります。最新の情報はハローワークインターネットサービスまたは厚生労働省の育児休業給付に関するページでご確認ください。



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