育児休業給付金の上限引き上げ、あなたはいくら受け取れる?
「2025年4月から手取り10割になるって聞いたけど、うちは高収入だから上限に引っかかるかも…」
「8月にまた上限額が変わったって聞いたけど、結局いくらなの?」
そんなモヤモヤを抱えていませんか?
結論から言います。2025年8月1日以降の育児休業給付金の上限額は、月額323,811円(育休開始から180日まで)に引き上げられました。これは1日あたりの賃金日額上限が16,110円に改定されたためです。
そして2025年4月からは「出生後休業支援給付金」が新設され、条件を満たせば最大28日間だけ給付率が80%(実質手取り10割相当)になります。
「よかった!」と思った方、少し待ってください。この「10割」には大きな落とし穴があります。
この記事では、2025年8月改定後の最新上限額をもとに、年収別の受取額早見表・計算シミュレーション・条件の全整理をお届けします。「自分はいくらもらえるの?」という問いに、最後まで読めば明確に答えられるはずです。
📋 この記事でわかること
- 2025年8月1日改定後の最新上限額(育休期間別)
- 「手取り10割」になるための5つの条件
- 年収別・実際の受取額シミュレーション
- 上限に引っかかる年収ラインの目安
- 高収入世帯が「損しない」ための対策
- 申請の流れとよくある落とし穴
※この記事の情報は厚生労働省の公表資料をもとに作成しています。正確な支給額は必ずハローワークまたは勤務先の担当者にご確認ください。
まず整理!育児休業給付金の上限引き上げ、何がどう変わった?
「上限引き上げ」という言葉がメディアで飛び交っていますが、実は「上限引き上げ」には2つの意味があります。混同すると損しますので、最初にここを整理しましょう。
変更①:給付率そのものの引き上げ(2025年4月〜)
2025年4月1日から「出生後休業支援給付金」が新設されました。夫婦が一定条件を満たせば、従来67%だった給付率に13%が上乗せされ、最大28日間だけ給付率80%になります。
「手取り10割」と表現されるのはこのためです。
| 育休期間 | 改正前 | 改正後(条件あり) |
|---|---|---|
| 出生後8週間以内の最大28日間 | 67% | 80%(手取り10割相当) |
| 29日目〜育休開始180日目 | 67% | 67%(変わらず) |
| 181日目以降 | 50% | 50%(変わらず) |
⚠️ 重要:80%が適用されるのは最大28日間だけです。育休を1年取得しても「10割」なのは最初の1か月弱のみです。
変更②:上限額そのものの引き上げ(2025年8月〜)
もうひとつの「引き上げ」が、毎年8月1日に行われる賃金日額の上限額改定です。
これは毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、厚生労働省が毎年改定しています。2025年8月1日の改定では、上限日額が15,690円から16,110円に引き上げられました。
| 時期 | 賃金日額 上限 | 月額上限(67%) | 月額上限(50%) |
|---|---|---|---|
| 〜2025年7月31日 | 15,690円 | 315,369円 | 235,350円 |
| 2025年8月1日〜 | 16,110円 | 323,811円 | 241,650円 |
出典:厚生労働省「高年齢雇用継続給付 介護休業給付 育児休業給付の受給者の皆さまへ(令和7年8月改定)」
「手取り10割相当」のカラクリをわかりやすく説明します
「給付率80%なのに、なぜ手取りが10割になるの?」という疑問、よくわかります。少しだけお付き合いください。
働いているとき、月収30万円でも手取りは24万円前後ですよね。なぜなら以下の控除があるからです。
| 控除の種類 | 目安の割合 |
|---|---|
| 健康保険料(本人負担) | 約5% |
| 厚生年金保険料(本人負担) | 約9% |
| 雇用保険料 | 約0.6% |
| 所得税・住民税 | 約5〜10% |
| 合計控除 | 約20〜25% |
一方、育休中は:
- ✅ 健康保険料・厚生年金保険料 → 免除(本人負担分)
- ✅ 雇用保険料 → 0円(給与がないため)
- ✅ 育児休業給付金 → 非課税(所得税・住民税なし)
つまり、額面の80%をもらっても控除がほぼゼロなので、実質的な手取りとして見ると休業前の10割相当になる、という仕組みです。
📊 具体例:月収35万円の場合
| 通常勤務時 | 育休中(80%給付) | |
|---|---|---|
| 受取ベース | 350,000円(額面) | 280,000円(80%) |
| 各種控除 | 約80,000円 | 約0円 |
| 手取り | 約270,000円 | 約280,000円 |
※住民税は前年所得に基づき翌年度まで課税されます(別途注意)
ただしこれは「上限に引っかからない場合」の話です。次のセクションから、上限の壁について詳しく解説します。
高収入の方は要注意!上限額の「壁」と実際の影響
「手取り10割になる!やった!」と思っているあなた、ちょっと待ってください。
育児休業給付金には「休業開始時賃金日額」に上限が設けられています。月収が一定額を超えると、それ以上はもらえないルールです。
【最新版】2025年8月1日以降の上限額
| 給付率 | 賃金日額 上限 | 月額上限 | 上限に達する月収目安 |
|---|---|---|---|
| 80%(最初の28日間) | 16,110円 | 約362,400円※ | 約483,300円以上 |
| 67%(〜180日目) | 16,110円 | 323,811円 | 約483,300円以上 |
| 50%(181日目〜) | 16,110円 | 241,650円 | 約483,300円以上 |
※出生後休業支援給付金(13%)の月額上限は別途設定あり(2025年8月以降:約58,640円)。月収483,300円は賃金日額16,110円×30日で算出した目安です。実際の「休業開始時賃金日額」は過去6か月の賃金総額÷180で算出されます。
年収別シミュレーション:あなたはいくら受け取れる?
実際にシミュレーションしてみましょう。以下の表は、育休開始から180日以内(67%給付期間)の1か月あたりの受取額目安です。
| 月収(額面) | 年収目安 | 月額給付金(67%) | 上限到達? |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約240万円 | 約134,000円 | なし |
| 25万円 | 約300万円 | 約167,500円 | なし |
| 30万円 | 約360万円 | 約201,000円 | なし |
| 35万円 | 約420万円 | 約234,500円 | なし |
| 40万円 | 約480万円 | 約268,000円 | なし |
| 48万円 | 約576万円 | 323,811円(上限) | ⚠️ 上限到達 |
| 55万円 | 約660万円 | 323,811円(上限) | ❌ 上限適用 |
| 70万円 | 約840万円 | 323,811円(上限) | ❌ 上限適用 |
※月収は「休業開始前6か月間の賃金総額÷180×30」で算出します。残業代・交通費・各種手当を含みます(ただし賞与は原則含みません)。
⚠️ 重要ポイント:「手取り10割」の対象外になるケース
月収が約483,300円(年収目安580万円超)の方は、上限額が適用されるため「手取り10割」にはなりません。
ただし2025年8月の上限引き上げにより、従来の月収46万円ラインが約48.3万円に引き上げられました。
手取り10割を受け取るための5つの条件
「手取り10割」の28日間給付を受けるには、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。ひとつでも欠けると適用外になるので注意です。
条件①:雇用保険の被保険者であること
育休開始前2年間に、雇用保険に加入した月が通算12か月以上あることが必要です。育休前に無職・フリーランス・扶養内パートだった方は対象外になる可能性があります。
条件②:本人が通算14日以上の育休を取得すること
産後パパ育休(出生時育児休業)または育児休業を通算して14日以上取得する必要があります。分割取得も合算できます。
条件③:配偶者も通算14日以上の育休を取得すること
これが最大のポイントです。夫(妻)だけが育休を取っても80%にはなりません。配偶者も同じ時期に14日以上取得する必要があります。
対象期間は「子の出生日(または出産予定日のいずれか早い日)から8週間以内」です。
条件④:上限額の壁に引っかからないこと
前述の通り、月収が約483,300円を超える場合は上限額が適用され、手取り10割にはなりません。正確には「休業開始時賃金日額が16,110円を超えるかどうか」で判定されます。
条件⑤:育休中の就業日が月10日以下(または80時間以下)であること
育休中にアルバイトや副業をして収入を得た場合、支給額が減額または支給停止になることがあります。「なんとなく在宅ワーク」は要注意です。
特別なケース:ひとり親・配偶者が自営業の場合
「うちの配偶者は自営業だけど、条件③はクリアできないの?」と心配になりますよね。
実は、以下のケースでは配偶者の育休取得なしでも80%給付が受けられる特例があります。
- 配偶者が死亡、または重篤な疾病・障害で育休取得が困難な場合
- 離婚・婚姻の解消などで配偶者が育児をできない状態にある場合
- ひとり親家庭(配偶者がいない場合)
- 子が養子の場合で、もう一方の親が存在しない場合
- 多胎(双子以上)の場合など一定の事由があるとき
ただし、配偶者が「フリーランス」「自営業」であることは特例の対象外です。雇用保険未加入の自営業の配偶者の場合、残念ながら80%給付の対象にはならないことが多いです。詳細は必ずハローワークに確認してください。
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計算方法マスター:自分の受取額を正確に出す方法
「表を見てもよくわからない」という方のために、実際の計算手順を追ってみましょう。
計算ステップ
STEP 1:休業開始時賃金日額を求める
育休開始前6か月間(賃金支払基礎日数が11日以上の月)の賃金総額 ÷ 180
※賞与は含みません。交通費・残業代・各種手当は含みます。
STEP 2:上限額と比較する
STEP1の金額が16,110円(2025年8月以降)を超える場合は、16,110円に引き下げて計算します。
STEP 3:月額給付金を計算する
賃金日額 × 支給日数(原則30日) × 給付率(67%または50%)
出生後休業支援給付金が適用される場合は、さらに × 13% 分を合算します(最大28日分)。
シミュレーション例(3パターン)
【ケースA】月収30万円・夫婦ともに育休取得(28日間の80%期間)
賃金日額:300万円÷180日=10,000円(上限以下)
育児休業給付金:10,000円×28日×67%=187,600円
出生後休業支援給付金:10,000円×28日×13%=36,400円
合計:224,000円(手取りで月収の10割相当 ≒ 240,000円前後)
【ケースB】月収40万円・夫婦ともに育休取得(67%期間・30日分)
賃金日額:400万円÷180日=13,333円(上限以下)
育児休業給付金:13,333円×30日×67%=268,000円
1か月の受取額:約268,000円
【ケースC】月収60万円(上限適用)・夫婦ともに育休取得(67%期間)
賃金日額:600万円÷180日=20,000円 → 上限の16,110円に引き下げ
育児休業給付金:16,110円×30日×67%=323,811円
※月収60万円でも月収40万円の人も、上限後の受取額は同じになります
勤務時の手取り:約450,000円程度と仮定すると、受取額は約71%相当
→ 「手取り10割」にはなりません!月収が高いほど給付率は相対的に低くなります
高収入世帯が「損しない」ために知っておくべきこと
上限に引っかかる年収の方、正直つらいですよね。「こんなに税金払っているのに…」という気持ち、よくわかります。ただ、知っておくと少し気が楽になるアドバイスをお伝えします。
住民税の落とし穴を理解しておく
育休給付金は非課税ですが、住民税は「前年の所得」に基づいて課税されます。つまり、育休1年目は前年の所得に対する住民税がそのまま引き落とされます(口座振替または自分で納付)。
育休中に「あれ、手取りが思ったより少ない…」となるのは、多くの場合この住民税が原因です。育休初年度は毎月1〜3万円程度の住民税支払いが続くことを想定しておきましょう。
育休中の家計シミュレーションを事前に立てる
高収入世帯ほど、育休前後の収入差が大きくなります。「上限があるから320万円しかもらえない」とわかったうえで、
- 育休前に生活費の3〜6か月分の貯蓄を確保する
- 配偶者の収入と合算してどこまで生活できるか試算する
- 固定費(住宅ローン・車のローン・保険料)の見直しを先に行う
これだけでも、育休中の家計ストレスが大幅に軽減されます。
復職後は「育児時短就業給付金」も活用する
2025年4月から、育休明けに時短勤務を選択した場合に「育児時短就業給付」が受けられるようになりました。
時短勤務による賃金減少額の約10%を補填する制度で、2歳未満の子を養育している方が対象です。2025年8月以降の月収上限は約471,393円(月収がこれ以上の場合は支給なし)。
育休で収入が下がり、復職しても時短でさらに下がる…という連続ダメージを和らげるための制度です。育休後のキャリアプランと一緒に検討してみてください。
申請の流れと「もらい忘れ」を防ぐポイント
「制度の内容はわかったけど、申請って複雑そう…」という声もよく聞きます。基本的に申請は会社経由で行いますが、自分でも流れを把握しておくと安心です。
申請の基本的な流れ
育休開始の1か月前までに会社へ申し出る
「育児休業申出書」を会社の人事・総務に提出します。
会社がハローワークに受給資格確認の手続きをする
育休開始後、会社が申請書類をハローワークに提出します(初回は育休開始後8週間以内)。
2か月に1回、支給申請が行われる
基本的に2か月分まとめて支給されます。育休開始から約2〜3か月後が最初の振込の目安です。
出生後休業支援給付金は別途申請が必要
「配偶者も育休を14日以上取得した」という事実をハローワークが確認する必要があります。会社に配偶者の育休取得証明を提出するよう伝えておきましょう。
「もらい忘れ」が起きやすいポイント3つ
⚠️ 落とし穴①:配偶者分の申請を別途行っていない
出生後休業支援給付金は、夫婦それぞれが別々にハローワークに申請する形になります。「自分の会社に頼んだからOK」ではなく、配偶者側の会社でも別途手続きが必要です。
⚠️ 落とし穴②:「14日以上」のカウントを間違える
14日以上は「通算」でカウントします。分割取得してもOKです。ただし、就業した日は原則カウントできません。
⚠️ 落とし穴③:育休延長の手続き厳格化(2025年4月〜)
保育所入所不可を理由とした育休延長は、2025年4月から厳格化されました。「職場復帰のために保育所を探している」という事実の証明が必要です。「とりあえず延長申請すればOK」という認識は危険です。
申請手続きの詳細については、厚生労働省の育児休業給付金案内ページまたは管轄のハローワークに確認することをおすすめします。
よくある疑問Q&A
あわせて読みたい:産休・育休の期間と給付金を自動計算ツールで確認する
改めて確認:2024年→2025年の変更スケジュール一覧
「いつから何が変わったの?」という混乱を防ぐために、時系列でまとめておきます。
| 時期 | 変更内容 |
|---|---|
| 2024年8月1日 | 上限日額が15,430円→15,690円に改定(月額上限:315,369円) |
| 2025年4月1日 | 出生後休業支援給付金が新設(67%→80%・最大28日間) 育児時短就業給付も同時スタート 育休延長申請の審査厳格化も開始 |
| 2025年8月1日 | 上限日額が15,690円→16,110円に改定 月額上限:323,811円(67%期間)、241,650円(50%期間)に引き上げ 出生後休業支援給付金の上限も58,640円に引き上げ |
育休を最大限に活用するための3ステップ行動計画
「制度はわかった。じゃあ自分は何をすればいいの?」という方のために、具体的なアクションプランをまとめます。
🟢 STEP 1(育休3か月前まで):自分の給付額を試算する
- 直近6か月の給与明細から「月平均額」を計算する
- 賃金日額(月平均×12÷180)が16,110円を超えるか確認する
- 超える場合は上限が適用されることを認識して家計計画を立てる
- 配偶者と育休取得スケジュール(14日以上・出生後8週間以内)を相談する
🔵 STEP 2(育休開始前1か月):会社への手続きを確認する
- 「育児休業申出書」を会社に提出する
- 出生後休業支援給付金の申請には「配偶者の育休取得証明」が必要と伝えておく
- 住民税の振替停止・納付方法を確認する(普通徴収への切り替えが必要な場合あり)
🔴 STEP 3(復職前3か月):育児時短就業給付の準備もする
- 時短勤務を希望する場合、会社に制度確認する(育児時短就業給付の対象か)
- 2歳未満の子を養育中であれば最大で月収の10%補填を受けられる
- 保育所の申込状況と育休延長の可否を確認する(延長審査が厳しくなっています)
まとめ:育児休業給付金の上限引き上げ、要点を整理
最後に、この記事の重要ポイントを整理します。
📌 育児休業給付金の上限引き上げ・まとめ
- 2025年4月1日〜:出生後休業支援給付金の新設で最大28日間80%(手取り10割相当)に
- 2025年8月1日〜:上限日額が16,110円に引き上げ(月額上限323,811円・67%期間)
- 「手取り10割」の対象は夫婦ともに14日以上育休を取得した場合のみ・最大28日間
- 月収約483,300円超(年収580万円超目安)の場合は上限が適用され、手取り10割にはならない
- 住民税は育休中も前年の所得に基づいて課税される(要注意)
- 配偶者が自営業・フリーランスの場合は特例に該当しないことが多い
育児休業給付金の制度は、2025年前後でかなり大きく変わりました。「知らなかったから損した」とならないよう、事前に自分の状況を把握して、しっかり受け取れるように準備しましょう。
「もっと詳しく自分のケースを確認したい」という方は、管轄のハローワークか、会社の人事・総務担当者に相談するのが確実です。自動計算ツールでざっくりした見当をつけてから相談に行くと、話がスムーズになります。
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※本記事の情報は厚生労働省公表資料(2025年8月改定版)をもとに作成しています。給付額・条件等の最終確認は必ずハローワークまたは勤務先担当者に行ってください。制度の詳細は毎年改定されることがあります。


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