育児介護休業法とは?2024年最新版|制度内容・取得条件・給付金を完全解説
「育児介護休業法って聞いたことはあるけれど、実際どんな制度なの?」「自分は対象になるの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
育児介護休業法は、働く人が子育てや家族の介護をしながら仕事を続けられるよう支援する重要な法律です。しかし、制度が複雑で「何から調べればいいかわからない」という声をよく耳にします。
この記事では、育児介護休業法の基本から最新の改正内容、具体的な取得方法まで、初心者の方にもわかりやすく詳しく解説していきます。きっと、あなたの不安や疑問が解消されるはずです。
育児介護休業法とは?基本概念と制度の全体像
育児介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、働く人が育児や介護と仕事を両立できるよう支援する法律です。1991年に制定され、その後何度も改正を重ねて現在に至っています。
この法律の目的は、労働者が子育てや家族の介護を行いながらも継続して働けるよう、休業制度や労働時間の短縮などの措置を定めることです。つまり、「仕事か育児・介護か」という二者択一ではなく、「仕事も育児・介護も」という両立を可能にする制度なのです。
法律が対象とする主な制度は以下の通りです:
- 育児休業:子どもが1歳(条件によっては2歳)になるまで取得できる休業
- 介護休業:要介護状態の家族を介護するため、通算93日まで取得できる休業
- 子の看護休暇:子どもの病気やけがの世話のため取得できる休暇
- 介護休暇:要介護状態の家族の介護のため取得できる休暇
- 所定外労働の制限:残業を制限する制度
- 時間外労働・深夜業の制限:労働時間に関する制限措置
- 所定労働時間の短縮措置:短時間勤務制度
これらの制度を通じて、働く人の生活の質を向上させ、少子高齢化社会における労働力の確保にもつながっています。企業にとっても、優秀な人材の継続雇用や職場環境の改善により、生産性向上が期待できる制度と言えるでしょう。
育児介護休業法の歴史と2024年最新改正内容
育児介護休業法は時代の変化に合わせて継続的に改正されてきました。その歴史を振り返ることで、現在の制度がどのように形成されたかを理解できます。
1991年の制定当初は「育児休業法」として、女性労働者の育児休業のみが対象でした。その後、1995年に介護休業制度が追加され、現在の「育児介護休業法」となりました。2010年には男性の育児参加促進のため「パパ・ママ育休プラス」が導入され、2022年には男性の育児休業取得率向上を目的とした大幅な改正が行われました。
2024年現在の最新改正では、以下のような変更が行われています:
産後パパ育休(出生時育児休業)の新設
2022年10月から開始された制度で、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる男性専用の育児休業です。通常の育児休業とは別に取得でき、2回に分けて取得することも可能です。この制度により、男性が子どもの誕生直後から育児に参加しやすくなりました。
育児休業の分割取得
従来は原則として一度しか取得できなかった育児休業が、2回まで分割して取得できるようになりました。例えば、子どもが生後3か月のときに一度復職し、保育園の入園が決まらなかったときに再度育児休業を取得するといった柔軟な活用が可能です。
育児休業取得の意向確認・個別周知義務
事業主は、労働者やその配偶者の妊娠・出産を申し出た場合、育児休業制度等に関する個別の周知と意向確認を行うことが義務付けられました。これにより、労働者が制度を知らずに利用できないという問題の解決が図られています。
有期雇用労働者の取得要件緩和
有期雇用労働者(パート、アルバイト、契約社員など)の育児・介護休業の取得要件が緩和されました。従来は「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件がありましたが、この条件が撤廃され、より多くの労働者が制度を利用できるようになりました。
これらの改正により、働く人々の育児・介護と仕事の両立がより一層支援される制度となっています。特に男性の育児参加促進や、多様な働き方への対応が強化されているのが特徴です。
育児休業制度の詳細解説
育児休業は、子どもを養育する労働者が一定期間仕事を休んで育児に専念できる制度です。「赤ちゃんが生まれたら必ず取れるの?」「どのくらいの期間休めるの?」といった疑問にお答えしていきます。
育児休業の取得対象者と条件
育児休業は、以下の条件を満たす労働者が取得できます:
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対象となる子 | 実子・養子を問わず、法律上の親子関係にある子(特別養子縁組の監護期間中の子も含む) |
| 雇用形態 | 正社員、パート、アルバイト、契約社員、派遣労働者など雇用契約の種類を問わない |
| 勤続期間 | 原則として制限なし(労使協定により1年未満の労働者を除外可能) |
| 申出時期 | 休業開始予定日の1か月前まで(産後パパ育休は2週間前まで) |
注意すべき点として、有期雇用労働者の場合は「子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない」という条件があります。つまり、契約期間が短すぎる場合は取得できない可能性があるということです。
育児休業の取得期間と分割取得
育児休業の基本的な取得期間は、子どもが1歳になるまでです。ただし、保育園に入れないなどの事情がある場合は、最大2歳まで延長することができます。
2022年の法改正により、育児休業を2回まで分割して取得できるようになりました。これは本当に画期的な変更で、働く親にとって大きなメリットがあります。
例えば、こんな使い方ができます:
- 子どもが生後3か月のときに3か月間の育児休業を取得
- 一度復職して仕事に復帰
- 子どもが9か月になったときに再度3か月間の育児休業を取得
このような柔軟な取得により、家庭の事情や職場の状況に合わせた育児休業の活用が可能になりました。
男性の育児休業(産後パパ育休)
男性の育児参加を促進するため、2022年10月から「産後パパ育休(出生時育児休業)」という新しい制度が始まりました。これは従来の育児休業とは別の制度で、男性が出産直後から育児に参加しやすくするためのものです。
産後パパ育休の特徴は以下の通りです:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得可能期間 | 子の出生後8週間以内 |
| 取得可能日数 | 4週間(28日)まで |
| 分割回数 | 2回まで分割可能 |
| 申出期限 | 原則として休業開始予定日の2週間前まで |
| 休業中の就業 | 労使合意により一定の範囲内で就業可能 |
産後パパ育休の大きな特徴は、休業中でも労使が合意すれば一定の範囲内で就業できることです。完全に仕事から離れることが難しい職種の方でも、育児休業を取得しやすくなっています。
実際の活用例を見てみましょう:
【事例1:IT企業の営業課長Aさん(32歳)】
妻の出産予定日の1週間後から2週間の産後パパ育休を取得。重要なプロジェクトがあったため、週2回、1日4時間までテレワークで業務を継続。育児をしながらも仕事の責任を果たせたと満足している。
【事例2:製造業の技術者Bさん(28歳)】
第一子の出産時に1週間、第二子の出産時に3週間の産後パパ育休を取得。2回に分割し、最初の1週間で妻のサポートと育児の基本を学び、残りの期間で上の子のケアと新生児の世話を分担。家族全体のサポートができたと感じている。
介護休業制度の詳細解説
介護休業は、要介護状態にある家族の介護を行うために取得できる休業制度です。「親の介護が必要になったらどうすればいいの?」「仕事を辞めずに介護はできるの?」そんな不安をお持ちの方も多いでしょう。
介護休業の取得対象者と条件
介護休業は、要介護状態にある家族を介護する労働者が対象となります。対象となる家族の範囲は法律で明確に定められています:
| 対象家族 | 続柄 |
|---|---|
| 配偶者 | 法律婚・事実婚を問わない |
| 父母 | 実父母・養父母 |
| 子 | 実子・養子 |
| 配偶者の父母 | 義父母 |
| 祖父母・兄弟姉妹・孫 | 労働者と同居し、かつ扶養している場合 |
「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことです。介護保険制度の要介護認定を受けている必要はありませんが、医師の診断書や介護の状況を示す書類が必要になる場合があります。
介護休業の取得期間と分割取得
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで取得できます。この93日は、3回まで分割して取得することが可能です。例えば:
- 1回目:30日
- 2回目:40日
- 3回目:23日
というように、家族の介護状況や職場の事情に合わせて柔軟に取得できます。
介護休業の申出は、休業開始予定日の2週間前までに行う必要があります。ただし、突発的に介護が必要になった場合など、やむを得ない事情があるときは、この期限を短縮することも可能です。
実際の活用例をご紹介しましょう:
【事例:経理部のCさん(45歳女性)】
母親が脳梗塞で倒れ、要介護3の認定を受けた。最初の1か月(30日)で介護環境を整備し、介護サービスの利用手続きを行った。半年後、母親の状態が悪化したため2回目の介護休業(40日)を取得し、施設入所の手続きを完了。最後に残った23日は、母親の入院時に利用予定として確保している。
このように、介護休業は長期間の介護のためではなく、介護体制を整えるための期間として活用することが想定されています。そのため、介護休業期間中は以下のような活動を行うことが重要です:
- 要介護者の状態把握と医療機関との連携
- 介護保険サービスの申請と利用開始
- 介護施設の見学と入所手続き
- 家族間での介護分担の調整
- 住宅改修や介護用品の準備
- ケアマネジャーとの介護計画作成
育児・介護休業給付金の仕組み
「休業中の生活費はどうなるの?」これは育児・介護休業を検討する際の最大の関心事の一つですよね。育児・介護休業給付金は、休業中の経済的負担を軽減するための重要な制度です。
育児休業給付金の給付額と計算方法
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金です。支給額は休業前の賃金を基に計算され、育児休業期間中の生活を支援します。
給付金の計算方法は以下の通りです:
| 期間 | 給付率 | 支給額の計算 |
|---|---|---|
| 休業開始から6か月 | 賃金日額×支給日数×67% | 上限額:456,300円/月 下限額:75,000円/月 |
| 6か月経過後 | 賃金日額×支給日数×50% | 上限額:340,200円/月 下限額:75,000円/月 |
「賃金日額」とは、休業開始前6か月間の賃金を180で割った金額です。つまり、休業前の平均的な日給のことを指します。
具体的な計算例を見てみましょう:
【計算例:月給30万円のDさんの場合】
- 休業開始前6か月の賃金総額:180万円(30万円×6か月)
- 賃金日額:10,000円(180万円÷180日)
- 最初の6か月:10,000円×30日×67%=201,000円/月
- 6か月経過後:10,000円×30日×50%=150,000円/月
育児休業給付金には税金がかかりませんし、社会保険料も免除されるため、実質的な手取り額で考えると、通常の給与の約80%程度の収入を確保できる計算になります。
介護休業給付金の給付額と計算方法
介護休業給付金も雇用保険から支給される給付金で、給付率は賃金の67%です。育児休業給付金と異なり、期間による給付率の変更はありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付率 | 賃金日額×支給日数×67% |
| 支給期間 | 介護休業期間中(最大93日) |
| 上限額 | 456,300円/月 |
| 下限額 | 75,000円/月 |
給付金の支給条件と申請手続き
育児・介護休業給付金を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 雇用保険の被保険者であること:パート・アルバイトでも条件を満たせば加入している
- 休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12か月以上あること
- 休業中に事業主から賃金が支払われていない、または賃金月額の80%未満であること
- 育児休業期間中に就業している日数が、各支給単位期間において10日以下であること
申請手続きは、通常は勤務先の人事部や総務部が代行して行います。労働者本人が直接ハローワークで手続きを行うことも可能ですが、企業経由の方が一般的で手続きもスムーズです。
申請に必要な書類は以下の通りです:
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 母子健康手帳など子どもとの関係がわかる書類
- 賃金台帳、出勤簿など賃金の支払状況がわかる書類
支給は2か月に1回行われ、指定した銀行口座に振り込まれます。初回の支給は休業開始から約3〜4か月後になることが多いので、当面の生活費については事前に準備しておくことが大切です。
子の看護休暇・介護休暇制度
「子どもが急に熱を出したけど、有給休暇を使うしかないの?」「親の通院付き添いで半日だけ休みたいんだけど…」こんな状況に対応するのが、子の看護休暇と介護休暇です。これらは育児・介護休業とは別の制度で、より日常的なニーズに対応しています。
子の看護休暇制度
子の看護休暇は、小学校就学前の子どもの病気やけがの世話、予防接種や健康診断の付き添いなどのために取得できる休暇です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる子 | 小学校就学前の子(6歳に達する年度の3月31日まで) |
| 取得可能日数 | 子が1人の場合:年5日 子が2人以上の場合:年10日 |
| 取得単位 | 1日または時間単位(1時間単位で取得可能) |
| 対象事由 | ・子の病気やけがの世話 ・予防接種・健康診断の付き添い |
子の看護休暇の大きなメリットは、時間単位で取得できることです。例えば、朝に子どもが熱を出した場合、午前中だけ看護休暇を取得して午後から出勤することができます。これにより、有給休暇を温存しつつ、子どもの急な体調不良に対応できるのです。
介護休暇制度
介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話のために取得できる休暇で、介護休業よりも短期間で柔軟に利用できる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象家族 | 介護休業と同様(配偶者、父母、子、義父母、同居扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫) |
| 取得可能日数 | 対象家族が1人の場合:年5日 対象家族が2人以上の場合:年10日 |
| 取得単位 | 1日または時間単位(1時間単位で取得可能) |
| 対象事由 | ・要介護状態にある家族の介護 ・通院等の付き添い ・介護サービスの利用手続き |
介護休暇は、日々の介護における突発的なニーズに対応するための制度です。例えば:
- 定期通院の付き添い(2時間の介護休暇を取得)
- ケアマネジャーとの面談(3時間の介護休暇を取得)
- 介護用品の購入や住宅改修の立ち会い(半日の介護休暇を取得)
- 急な体調悪化での緊急対応(1日の介護休暇を取得)
看護・介護休暇の活用事例
【事例1:営業部のEさん(35歳男性)】
3歳と5歳の子どもを持つEさんは、子の看護休暇をフル活用している。上の子のインフルエンザで3日間(1日×3回)、下の子の発熱で2日間(半日×4回)を使用。「時間単位で取れるので、午後から出勤できる日もあり、職場への負担を最小限に抑えられています」
【事例2:総務部のFさん(42歳女性)】
要介護2の義母を抱えるFさんは、介護休暇を計画的に利用。月1回の通院付き添いに半日×12回、ケアマネジャーとの調整に2時間×6回を活用。「短時間でも休めることで、介護と仕事の両立がしやすくなりました」
これらの休暇制度は無給である場合が多いですが、企業によっては有給として扱っているところもあります。自分の会社の就業規則を確認してみることをおすすめします。
所定外労働・時間外労働の制限
育児や介護をしながら働く際に重要なのが、労働時間の調整です。「毎日残業があると保育園のお迎えに間に合わない…」「親の介護があるから定時で帰りたいんだけど…」そんな悩みに対応するのが、労働時間の制限に関する制度です。
所定外労働の制限
所定外労働の制限とは、3歳未満の子を養育する労働者または要介護状態の家族を介護する労働者が、残業(所定労働時間を超える労働)を拒否できる権利です。
| 対象者 | 制限内容 | 申出方法 |
|---|---|---|
| 3歳未満の子を養育する労働者 | 所定外労働の免除 | 制限を受けようとする1か月前までに申出 |
| 要介護状態の家族を介護する労働者 | 所定外労働の免除 | 制限を受けようとする1か月前までに申出 |
この制度の重要なポイントは、労働者が申出をすれば、使用者は所定外労働をさせてはいけないということです。つまり、上司が「今日は残業してほしい」と言っても、制度を利用している労働者は拒否することができるのです。
ただし、以下の労働者は対象外となります:
- 日々雇用される労働者
- 勤続期間が1年に満たない労働者(労使協定がある場合)
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者(労使協定がある場合)
時間外労働・深夜業の制限
さらに詳細な労働時間の制限として、時間外労働と深夜業の制限があります。これは所定外労働の制限よりも対象年齢が広く設定されています。
| 制限の種類 | 対象者 | 制限内容 |
|---|---|---|
| 時間外労働の制限 | 小学校就学前の子を養育する労働者 要介護状態の家族を介護する労働者 |
月24時間・年150時間を超える時間外労働の免除 |
| 深夜業の制限 | 小学校就学前の子を養育する労働者 要介護状態の家族を介護する労働者 |
深夜(午後10時〜午前5時)の労働の免除 |
時間外労働の制限は、完全に残業をゼロにするものではなく、月24時間・年150時間という上限を設けるものです。これは「ある程度の残業は可能だが、過度な長時間労働は避けられる」という趣旨の制度です。
深夜業の制限は、保育園の開園時間や家族の生活リズムを考慮したもので、特に小さな子どもを持つ労働者にとって重要な制度です。
労働時間制限の活用事例
【事例1:システム開発会社のGさん(29歳女性)】
2歳の子どもを持つGさんは、所定外労働の制限を申請。保育園のお迎え時間(午後6時)に合わせて定時退社を実現。「プロジェクトの繁忙期でも定時で帰れるので、保育園に迷惑をかけることがなくなりました。チームメンバーも理解してくれて、効率的に仕事を進める意識が高まりました」
【事例2:物流会社のHさん(38歳男性)】
要介護3の母親を介護するHさんは、深夜業の制限を利用。従来は夜勤もある3交代制勤務だったが、日勤のみの勤務に変更。「夜間は母の見守りが必要なので、深夜業制限は本当に助かっています。昼間は訪問介護を利用し、夜は家族でケアする体制が作れました」
これらの制度を活用する際は、職場の理解と協力が不可欠です。制度の存在を知らない上司や同僚もいるかもしれませんので、人事部と相談しながら円滑な利用を心がけることが大切です。
深夜業の制限と所定労働時間の短縮
育児や介護と仕事の両立において、労働時間の調整は極めて重要です。特に、深夜の勤務や長時間労働は、家庭での役割と両立することが困難な場合が多いでしょう。法律では、これらの状況に対応するため、深夜業の制限と所定労働時間の短縮措置が規定されています。
深夜業制限の詳細
深夜業の制限は、午後10時から翌日の午前5時までの深夜時間帯における労働を制限する制度です。この時間帯は、多くの保育施設が閉まっており、また家族の介護において最も人手が必要な時間でもあります。
| 対象労働者 | 制限期間・条件 |
|---|---|
| 育児をする労働者 | 小学校就学前の子を養育する期間中 |
| 介護をする労働者 | 要介護状態にある家族を介護する期間中 |
深夜業制限の申請ができない労働者もいます:
- 勤続期間が1年に満たない労働者(労使協定による除外対象の場合)
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者(労使協定による除外対象の場合)
- 深夜に子どもを保育できる16歳以上の同居家族がいる場合
- 深夜に要介護者を介護できる16歳以上の同居家族がいる場合
最後の2つの条件について詳しく説明すると、法律では「16歳以上の同居家族」がいる場合は深夜業制限の対象外となる可能性があります。しかし、その家族が以下の状況にある場合は、この限りではありません:
- 深夜に就業している場合
- 疾病、負傷等により子どもや要介護者の世話ができない場合
- 6週間以内に出産予定、または産後8週間以内の場合
所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)
短時間勤務制度は、育児や介護を行う労働者が、通常より短い労働時間で勤務できる制度です。これは「時短勤務」とも呼ばれ、多くの働く親に利用されています。
| 制度種別 | 対象期間 | 短縮後の労働時間 |
|---|---|---|
| 育児短時間勤務 | 3歳未満の子を養育する期間 | 1日の所定労働時間を6時間とする措置を含む複数の選択肢 |
| 介護短時間勤務 | 要介護状態にある家族を介護する期間 | 利用開始から3年間で2回以上の利用可能 |
育児短時間勤務の場合、事業主は以下のいずれかの措置を講じることが義務付けられています:
- 短時間勤務制度:1日の所定労働時間を6時間とする
- フレックスタイム制:コアタイムなしのフレックスタイム制
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ:1時間の範囲内での調整
- 所定外労働の免除:残業をさせない措置
多くの企業では、最も利用しやすい「短時間勤務制度」を採用しており、通常8時間の所定労働時間を6時間に短縮することで、育児との両立を支援しています。
短時間勤務制度の活用パターン
短時間勤務制度には様々な活用パターンがあり、個人の事情や職場の状況に応じて選択できます:
【パターン1:時短勤務(6時間勤務)】
通常の勤務時間:9:00〜18:00(8時間)
短時間勤務:9:00〜16:00(6時間、1時間の休憩を含む)
活用事例:保育園のお迎え時間に合わせた勤務調整
【パターン2:始業時刻の繰下げ】
通常の勤務時間:9:00〜18:00
調整後:10:00〜19:00
活用事例:子どもを保育園に送ってから出勤
【パターン3:終業時刻の繰上げ】
通常の勤務時間:9:00〜18:00
調整後:8:00〜17:00
活用事例:学童保育のお迎え時間に合わせた調整
【実際の活用事例:広告会社のIさん(32歳女性)】
1歳の子どもを持つIさんは、短時間勤務制度を利用して6時間勤務を選択。「フルタイムの75%の労働時間ですが、給与もそれに応じて調整されています。でも、保育園のお迎えに余裕を持って行けるし、子どもとの時間も確保できて満足しています。3歳までこの制度が使えるので、計画的に復職できました」
不利益取扱いの禁止と職場復帰支援
「育児休業を取ったら昇進に響くのでは?」「介護休業の申請をしたら職場での立場が悪くなりそう…」そんな不安を感じたことはありませんか?育児介護休業法では、こうした不利益な取扱いを明確に禁止し、働く人が安心して制度を利用できるよう保護しています。
不利益取扱いの禁止規定
育児介護休業法では、労働者が育児・介護休業等を申し出たり、実際に取得したりしたことを理由とした不利益な取扱いを禁止しています。具体的には以下のような行為が禁止されています:
| 不利益取扱いの類型 | 具体例 |
|---|---|
| 解雇 | 育児休業を取得したことを理由とした解雇 |
| 雇用契約の不更新 | 有期契約労働者に対する契約更新拒否 |
| 降格 | 管理職から一般職への格下げ |
| 減給 | 基本給や諸手当の引き下げ |
| 賞与の不利益算定 | 休業期間を理由とした賞与の過度な減額 |
| 不利益な配置転換 | 本人の意向に反した遠隔地への転勤命令 |
| 昇進・昇格の遅延 | 休業取得を理由とした人事考課での低評価 |
また、直接的な不利益取扱いだけでなく、以下のような間接的な不利益取扱いも禁止されています:
- 育児休業等の申請や取得をしないよう働きかけること
- 申請等をした労働者に対する嫌がらせ等の不当な取扱い
- 労働者が申請等をしたことにより、その労働者を不利益に取り扱う旨を示唆すること
ハラスメント防止措置
2022年の法改正により、育児休業等に関するハラスメント(「育休ハラスメント」や「ケアハラスメント」と呼ばれることもあります)の防止措置が事業主の義務となりました。
事業主が講じなければならないハラスメント防止措置は以下の通りです:
- 事業主の方針の明確化と周知・啓発:ハラスメントを行ってはならない旨を就業規則等に規定し、労働者に周知
- 相談・苦情対応体制の整備:相談窓口の設置や相談者のプライバシー保護
- 迅速かつ適切な対応:相談があった場合の事実関係の迅速な確認と適正な対処
- 再発防止措置:行為者に対する措置の実施や再発防止策の検討
ハラスメントに該当する言動の例:
- 「男のくせに育休を取るなんて」という発言
- 「育休中はどうせ暇でしょう」といった心ない言葉
- 「時短勤務なら重要な仕事は任せられない」という業務からの排除
- 「また休むの?」といった繰り返しの嫌味
- 育児休業の取得を阻止するような言動
職場復帰支援措置
育児・介護休業から復職する際の支援も重要な課題です。法律では明確な義務とはされていませんが、多くの企業で以下のような復職支援措置が行われています:
| 支援措置の種類 | 内容 |
|---|---|
| 原職復帰の配慮 | 可能な限り休業前と同じ職場・職種での復職 |
| 職場情報の提供 | 休業中の組織変更、制度変更等の情報共有 |
| 復職前面談 | 上司や人事担当者との復職前の相談機会 |
| 研修機会の提供 | 休業中に導入された新システムやスキルアップ研修 |
| 段階的復職制度 | 復職初期の業務量調整や慣らし期間の設定 |
不利益取扱いへの対処法
もし不利益な取扱いを受けた場合は、以下の方法で対処することができます:
【段階的な対応方法】
第1段階:社内での解決
まずは人事部や相談窓口に相談します。多くの場合、上司の理解不足が原因であり、適切な説明により解決することがあります。
第2段階:労働局への相談
社内での解決が困難な場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談できます。専門の相談員が助言や指導を行います。
第3段階:調停の申請
労働局による紛争解決援助制度を利用できます。第三者を交えた調停により、問題の解決を図ります。
第4段階:法的措置
最終的には、弁護士に相談して民事訴訟等の法的措置を検討することも可能です。
【実際のトラブル解決事例】
製造業のJさん(28歳男性)は、育児休業を取得した後、復職時に元の部署ではなく工場の夜勤部門に配置転換されました。家族との時間確保が困難になったため、労働局に相談したところ、会社側に指導が入り、最終的に元の部署での勤務が実現しました。「最初は泣き寝入りかと思いましたが、相談してよかったです」とJさんは話しています。
企業の義務と罰則
育児介護休業法は、労働者の権利を守るだけでなく、企業に対しても明確な義務を課しています。「うちの会社は制度があるけど、実際に取得できる雰囲気じゃない…」そんな状況を改善するために、法律では企業が果たすべき責任を詳細に定めています。
企業に課せられる主要な義務
育児介護休業法では、企業(事業主)に以下の義務を課しています:
| 義務の種類 | 具体的内容 |
|---|---|
| 制度整備義務 | 就業規則への記載、申請書類の整備 |
| 個別周知・意向確認義務 | 妊娠・出産の申出があった労働者への制度説明 |
| 環境整備義務 | 研修実施、相談窓口設置等の職場環境整備 |
| 不利益取扱い禁止義務 | 制度利用を理由とした解雇・降格等の禁止 |
| ハラスメント防止義務 | 相談体制の整備、迅速な対応措置 |
個別周知・意向確認義務の詳細
2022年の改正で新たに追加された重要な義務が、個別周知と意向確認です。これは、労働者が制度を知らずに利用機会を逃すことを防ぐための措置です。
対象となるタイミング:
- 本人の妊娠・出産の申出があったとき
- 配偶者の妊娠・出産の申出があったとき
- 家族の介護が必要になった旨の申出があったとき
周知すべき内容:
- 育児休業・産後パパ育休に関する制度
- 育児休業・産後パパ育休の申請先
- 育児休業給付に関する事項
- 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取扱い
周知方法:
- 面談による個別説明
- 書面による情報提供
- FAXによる送信
- 電子メールによる送信(労働者が希望した場合のみ)
環境整備義務の具体的措置
企業は、育児休業等を取得しやすい雇用環境の整備を行う義務があります。以下のいずれかの措置を講じることが求められています:
- 研修の実施:管理職や労働者に対する制度に関する研修
- 相談体制の整備:相談窓口の設置や専門相談員の配置
- 自社の育児休業取得事例の収集・提供:ロールモデルとなる事例の社内共有
- 自社の制度と育児休業取得促進に関する方針の周知:企業方針の明確化と全社的な共有
多くの企業では、複数の措置を組み合わせて実施しています。例えば、管理職研修と相談窓口の設置を同時に行うなど、包括的な環境整備を進めています。
罰則と監督指導
育児介護休業法に違反した企業に対しては、以下のような措置が取られます:
| 段階 | 措置内容 |
|---|---|
| 助言・指導 | 労働局による制度の説明と改善の要請 |
| 勧告 | 改善が見られない場合の書面による勧告 |
| 企業名公表 | 勧告に従わない場合の企業名の公表 |
| 罰金 | 20万円以下の過料(報告義務違反等の場合) |
実際の監督指導事例を見てみましょう:
【事例1:建設会社A社】
男性従業員の育児休業申請を「前例がない」として拒否し続けたため、労働局による指導を受けた。その後、就業規則を改正し、男性の育児休業取得実績も生まれた。
【事例2:小売業B社】
育児休業から復職した女性従業員を、休業前の正社員から契約社員に変更したため、労働局による勧告を受けた。最終的に正社員としての地位を回復し、遡って給与差額の支払いも行われた。
中小企業への配慮措置
法律では、中小企業の実情を考慮した段階的な適用や支援措置も設けられています:
- 常時雇用労働者数100人以下の企業:産後パパ育休中の就業に関する労使協定締結等で一部緩和措置あり
- 助成金制度:育児休業取得促進のための「両立支援等助成金」の支給
- 専門家派遣:中小企業向けの制度導入支援サービス
- 情報提供:業種別の取組事例や制度運用のノウハウ提供
企業にとって、これらの制度整備は単なる法的義務ではなく、優秀な人材の確保と定着、企業イメージの向上、働きやすい職場環境の構築につながる投資でもあります。実際に制度を充実させた企業では、従業員満足度の向上や離職率の低下といった効果が報告されています。
よくある質問とトラブル事例
育児介護休業法について、実際に利用を検討する際によく寄せられる質問や、現実に発生しがちなトラブルについて詳しく解説します。「こんなときはどうなるの?」という疑問にお答えしていきましょう。
育児休業に関するよくある質問
Q1:夫婦で同じ会社に勤務している場合、両方とも育児休業を取得できますか?
A1:はい、夫婦ともに取得できます。ただし、労使協定により、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中の場合は取得できないとする規定を設けることも可能です。しかし、産後8週間以内の産後パパ育休は、配偶者の就業状況に関わらず取得できます。
Q2:育児休業中に第2子を妊娠した場合、休業期間はどうなりますか?
A2:第1子の育児休業は産前休業が始まる前日で終了し、第2子出産後に新たに育児休業を取得することができます。つまり、連続して育児休業を取得することが可能です。
Q3:保育園に入れなかった場合の育児休業延長の手続きはいつまでに行えばよいですか?
A3:子どもの1歳の誕生日の2週間前までに申請する必要があります。延長の理由を証明する書類(保育所の入所不承諾通知書など)も必要です。手続きが遅れると延長できない場合があるので、早めの準備が大切です。
Q4:育児休業給付金の支給が遅れている場合、どこに相談すればよいですか?
A4:まずは勤務先の人事部に確認し、それでも解決しない場合は管轄のハローワークに直接相談してください。支給決定通知書の発行状況や振込予定日を確認できます。
介護休業に関するよくある質問
Q5:介護保険の要介護認定を受けていない家族でも介護休業は取得できますか?
A5:はい、要介護認定は必須ではありません。「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」であれば対象となります。医師の診断書や家族の状況を説明した書面で証明できます。
Q6:93日の介護休業を使い切った後、家族の状態が悪化した場合はどうすればよいですか?
A6:同一の家族について追加の介護休業は取得できませんが、介護休暇(年5日または10日)や短時間勤務制度、時間外労働の制限などの他の制度を活用することができます。
Q7:介護施設に入所した家族でも介護休業の対象になりますか?
A7:施設入所中でも、面会や外出の付き添い、医療機関での手続きなど、労働者による介護が必要な場合は対象となります。ただし、完全に施設に委ねられている状態では認められない場合があります。
よくあるトラブル事例と解決方法
【トラブル事例1:育児休業の申請拒否】
製造業のKさんは、育児休業を申請したところ、上司から「忙しい時期だから代わりの人がいない」として取得を拒否されました。
解決方法:
育児休業は労働者の権利であり、事業主は拒否することができません。Kさんは人事部に相談し、法律の説明を受けた上司が理解を示し、無事に育児休業を取得できました。代替要員の確保は事業主の責任であることが重要なポイントです。
【トラブル事例2:復職時の配置転換】
営業部のLさんは、1年間の育児休業後に復職したところ、営業から事務職に配置転換されました。給与も大幅に減額となりました。
解決方法:
本人の同意なしに不利益な配置転換を行うことは法律で禁止されています。Lさんは労働局に相談し、会社への指導により元の営業職に戻ることができました。給与についても遡って差額が支給されました。
【トラブル事例3:男性の育児休業への理解不足】
IT企業のMさんは、産後パパ育休を申請したところ、同僚から「男が育休なんて」という心ない言葉を浴びせられました。
解決方法:
これは明らかなハラスメントに該当します。Mさんは会社の相談窓口に報告し、加害者への指導と全社員向けの研修が実施されました。また、男性の育児参加を推進する企業方針が明文化されました。
【トラブル事例4:介護休業給付金の支給停止】
介護休業中のNさんに、突然給付金の支給停止通知が届きました。理由がよくわからず困惑しました。
解決方法:
ハローワークに確認したところ、要介護者の状況変化の報告が必要だったことが判明しました。適切な書類を提出することで支給が再開されました。定期的な現況報告の重要性を学ぶ事例となりました。
トラブルを避けるための事前準備
これらのトラブルを避けるためには、以下の点に注意することが重要です:
| 準備項目 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 制度の理解 | 自社の就業規則と法律の内容を正確に把握する |
| 早期の相談 | 人事部との事前相談で手続きや職場調整を円滑に進める |
| 書面での記録 | 申請や相談の経緯を書面やメールで記録として残す |
| 周囲への説明 | チームメンバーや関係部署への適切な説明と引き継ぎ |
| 相談先の確認 | 社内外の相談窓口や支援機関の連絡先を事前に調べておく |
制度を利用する際は、「権利だから当然」という姿勢だけでなく、職場の理解と協力を得られるよう、コミュニケーションを大切にすることも重要です。一方で、法律で保障された権利については、遠慮する必要はありません。適切な手続きに従って、安心して制度を利用してください。
申請手続きの具体的な流れ
「制度のことはわかったけれど、実際にどうやって申請すればいいの?」そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。ここでは、育児休業と介護休業の申請手続きについて、具体的な流れをステップバイステップで解説します。
育児休業の申請手続き
【ステップ1:申請準備(妊娠がわかったら)】
妊娠がわかったら、まず会社の就業規則を確認し、人事部や直属の上司に妊娠の報告を行います。この時点で、会社から育児休業制度に関する個別周知が行われるはずです。
準備すべき書類:
- 母子健康手帳(母子手帳)のコピー
- 出産予定日を証明する書類(医師の診断書など)
- 会社指定の妊娠届出書
【ステップ2:育児休業の申出(出産予定日の1か月前まで)】
育児休業開始予定日の1か月前までに、書面で申出を行います。申出書には以下の事項を記載します:
- 氏名
- 育児休業を取得する子の氏名、生年月日、労働者との続柄
- 育児休業開始予定日および終了予定日
- 申出年月日
【ステップ3:出産後の手続き】
子どもが生まれたら、速やかに以下の手続きを行います:
- 出生届の提出(市区町村役場)
- 会社への出産報告と母子手帳のコピー提出
- 健康保険の被扶養者追加手続き
【ステップ4:育児休業給付金の申請】
通常は会社が代理で手続きを行いますが、労働者が準備すべき書類もあります:
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(会社が作成)
- 育児休業給付受給資格確認票(労働者が記入)
- 育児休業給付金支給申請書(労働者が記入)
- 母子手帳などの写し
- 受給者本人名義の預金通帳またはキャッシュカードの写し
【産後パパ育休の場合の特記事項】
男性が産後パパ育休を取得する場合は、通常の育児休業申請に加えて以下の点に注意が必要です:
- 申出期限:休業開始予定日の2週間前まで(通常の育児休業は1か月前)
- 取得可能期間:子の出生後8週間以内で4週間まで
- 分割取得:2回まで分割可能(事前に全体の計画を提出)
- 休業中の就業:労使合意があれば一定範囲内で就業可能
介護休業の申請手続き
【ステップ1:家族の要介護状態の確認】
まず、介護が必要な家族が「要介護状態」に該当するかを確認します。以下のような状況が該当します:
- 負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態
- 医師の診断書や介護認定書類で状態を証明できる
【ステップ2:会社への相談と報告】
家族の介護が必要になったら、速やかに上司や人事部に相談します。この際に会社から制度の説明があります。
【ステップ3:介護休業の申出(休業開始予定日の2週間前まで)】
申出書に以下の事項を記載して提出します:
- 申出者の氏名
- 介護を必要とする家族の氏名、生年月日、労働者との続柄
- 家族が要介護状態にある事実
- 介護休業開始予定日および終了予定日
- 申出年月日
必要書類:
- 医師の診断書
- 要介護認定書(取得している場合)
- 家族関係を証明する書類(住民票、戸籍謄本など)
【ステップ4:介護休業給付金の申請】
介護休業給付金の申請も、通常は会社が代理で行います:
- 介護休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 要介護状態を証明する書類
- 受給者本人名義の預金通帳の写し
申請手続きのスケジュール例
【育児休業のスケジュール例】
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 妊娠判明時 | ・会社への妊娠報告 ・制度の個別周知を受ける ・就業規則の確認 |
| 妊娠6〜7か月 | ・育児休業の取得意向を上司と相談 ・職場の引き継ぎ計画を策定 |
| 出産予定日1か月前 | ・育児休業申出書を提出 ・給付金申請の準備 |
| 出産後 | ・出産報告と母子手帳提出 ・育児休業給付金の本申請 |
| 休業中(2か月毎) | ・給付金継続申請 ・職場との定期的な連絡 |
| 復職1か月前 | ・復職時期の最終確認 ・復職後の勤務形態の相談 |
【介護休業のスケジュール例】
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 介護の必要性発生 | ・家族の要介護状態の確認 ・医師の診断書取得 |
| 即日〜1週間以内 | ・会社への相談と報告 ・制度の説明を受ける |
| 休業開始2週間前 | ・介護休業申出書を提出 ・必要書類の準備 |
| 休業開始時 | ・給付金申請書類の提出 ・介護体制の構築開始 |
| 休業中 | ・介護サービスの利用手続き ・長期的な介護計画の策定 |
| 復職時 | ・介護と仕事の両立体制確認 ・必要に応じて時短勤務等の検討 |
手続き上の注意点とポイント
申請手続きを円滑に進めるために、以下の点に注意しましょう:
【重要な期限管理】
- 育児休業:休業開始予定日の1か月前までに申出(産後パパ育休は2週間前)
- 介護休業:休業開始予定日の2週間前までに申出
- 給付金申請:初回は休業開始から4か月以内、継続申請は2か月ごと
【書類作成のポイント】
- 申出書の記載事項は正確に、漏れなく記入する
- 医師の診断書は、要介護状態の具体的な症状と期間を明記してもらう
- 家族関係を証明する書類は、続柄が明確にわかるものを用意する
- 給付金振込先の口座は、本人名義のものに限る
【職場との調整】
- 業務の引き継ぎは計画的に、遅くとも休業開始1か月前から開始
- 緊急時の連絡体制について事前に取り決めておく
- 復職時期や勤務形態について、柔軟に相談できる関係を維持
- 休業中も定期的に職場と連絡を取り、情報共有を行う
他の制度との関係性
育児介護休業法は単独で存在するものではなく、他の様々な法律や制度と密接に関わっています。これらの関係性を理解することで、より効果的に制度を活用できるでしょう。
労働基準法との関係
労働基準法は労働条件の最低基準を定める法律で、育児介護休業法と以下の点で関連しています:
| 制度 | 労働基準法 | 育児介護休業法 |
|---|---|---|
| 産前産後休業 | 産前6週間・産後8週間の休業 | 産後休業終了後から育児休業開始 |
| 年次有給休暇 | 年次有給休暇の保障 | 子の看護休暇・介護休暇(通常無給) |
| 時間外労働 | 36協定による時間外労働の上限 | 育児・介護期間中の時間外労働制限 |
これらは重複するのではなく、労働基準法で定められた最低基準に加えて、育児介護休業法でより手厚い保護を提供する関係にあります。
社会保険制度との関係
育児・介護休業期間中は、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の取扱いに特別な配慮があります:
【社会保険料の免除】
- 育児休業期間中:健康保険・厚生年金保険料が労働者・事業主とも免除
- 産後パパ育休期間中:同様に保険料が免除
- 育児のための短時間勤務期間中:保険料は免除されないが、将来の年金額計算では休業前の標準報酬月額を使用
【介護休業期間中の注意点】
介護休業期間中は、育児休業と異なり社会保険料の免除制度がありません。このため、給与が支払われない場合でも保険料の負担が発生します。事前に会社と支払い方法について相談しておくことが重要です。
雇用保険制度との関係
育児休業給付金と介護休業給付金は雇用保険制度の一部です。他の雇用保険給付との関係は以下の通りです:
【失業給付との関係】
- 育児・介護休業給付金の受給期間中は失業給付を受けることはできない
- 休業終了後に退職した場合は、通常の失業給付を受給可能
- 受給期間の延長措置により、育児・介護のため離職した場合の特別な配慮あり
【教育訓練給付金との関係】
育児・介護休業期間中でも、オンライン講座などを利用して教育訓練給付金の対象となる資格取得や技能習得を行うことができます。復職後のキャリアアップに活用する人も増えています。
児童手当・介護保険制度との関係
育児・介護に関する他の公的制度との関係も重要です:
【児童手当との併給】
育児休業給付金と児童手当は併給可能です。どちらも子育て支援のための制度ですが、目的と財源が異なるため、重複して受給できます。
| 制度名 | 支給対象 | 支給額(月額) |
|---|---|---|
| 児童手当 | 中学校卒業まで(15歳到達後最初の3月31日まで) | 3歳未満:15,000円 3歳以上:10,000円(第1・2子) 15,000円(第3子以降) |
| 育児休業給付金 | 1歳(最大2歳)まで | 賃金の67%(6か月経過後は50%) |
【介護保険制度との関係】
要介護者が65歳以上または40歳以上で特定疾病の場合、介護保険サービスを利用できます。介護休業は、これらのサービス利用を前提とした短期間の休業として設計されています。
- 介護休業の目的:介護保険サービスの利用開始や介護体制の構築
- 介護保険の役割:長期的な介護サービスの提供
- 相互補完関係:介護休業で体制を整え、介護保険サービスで継続的な支援を受ける
税制との関係
育児・介護休業給付金は税制上の取扱いも特別です:
【所得税の非課税】
- 育児休業給付金・介護休業給付金は所得税が非課税
- 確定申告での所得金額に含める必要がない
- 配偶者の扶養控除の判定では、給付金は所得に算入されない
【住民税の取扱い】
- 給付金は住民税の課税対象にもならない
- ただし、前年の所得に基づく住民税の支払いは継続
- 休業により所得が大幅に減少する場合は、翌年の住民税が軽減される
企業の支援制度との関係
多くの企業では、法定制度に加えて独自の支援制度を設けています:
【法定を上回る制度の例】
- 休業期間の延長:法定1年(最大2年)を超える育児休業制度
- 給付金の上乗せ:育児休業給付金に加えて会社独自の給付
- 有給の看護・介護休暇:法定では無給が多いが、有給として運用
- 復職支援プログラム:研修制度や段階的復職制度
- 職場保育所:企業内保育施設の設置・運営
これらの企業制度は育児介護休業法を基盤としながら、より働きやすい環境を提供するものです。転職を検討する際は、これらの制度の充実度も重要な判断材料となるでしょう。
まとめ:育児介護休業法を活用するために
ここまで育児介護休業法について詳しく解説してきましたが、最後に重要なポイントをまとめ、制度を効果的に活用するためのアドバイスをお伝えします。
制度活用の基本原則
育児介護休業法を活用する上で最も重要なのは、「権利と責任のバランス」を理解することです。法律で保障された権利を適切に行使しつつ、職場や同僚との円滑な関係を維持することが、制度の持続可能な利用につながります。
【権利として理解すべきこと】
- 育児・介護休業の取得は労働者の当然の権利である
- 制度利用を理由とした不利益取扱いは法律で禁止されている
- 企業は制度の個別周知と環境整備を行う義務がある
- 給付金制度により経済的負担の軽減が図られている
【責任として認識すべきこと】
- 適切な手続きと期限の遵守
- 職場への十分な事前相談と業務引き継ぎ
- 休業中も必要に応じた職場との連絡維持
- 復職時の円滑な業務再開への配慮
ライフステージ別の活用戦略
育児介護休業法の活用方法は、個人のライフステージや家庭の状況によって異なります。以下に典型的なパターンをご紹介します:
【20代後半〜30代前半:キャリア形成期】
この時期は初回の出産・育児と重なることが多く、キャリアへの影響を心配する方も多いでしょう。重要なのは、「休業=キャリア中断」ではなく、「休業=新しいキャリアステージの始まり」と捉えることです。短時間勤務制度やフレックスタイム制度を活用し、段階的な復職を図ることで、継続的なキャリア形成が可能です。
【30代後半〜40代前半:責任拡大期】
管理職としての責任が重くなる時期と育児・介護が重なるケースです。産後パパ育休や介護休暇の活用により、短期間でも家族のサポートに集中する期間を作ることが重要です。また、時間外労働の制限を活用し、効率的な働き方への転換を図ることで、持続可能な両立が可能になります。
【40代後半〜50代:複合的課題期】
子どもの教育費負担と親の介護が同時期に発生する「ダブルケア」の問題に直面する時期です。介護休業と介護休暇を計画的に活用し、介護体制の構築に集中することが重要です。また、介護のための短時間勤務制度などを長期的な視点で活用することを検討しましょう。
職場環境改善への働きかけ
個人が制度を利用するだけでなく、職場全体の理解促進に貢献することも重要です。以下のような取り組みが効果的です:
【情報共有と啓発活動】
- 自身の制度利用体験を適切に共有し、後続の利用者をサポートする
- 管理職向けの研修や勉強会の提案・参加
- 社内報や掲示板での制度紹介記事の提案
- 人事部と協力した制度説明会の企画・実施
【働き方改革との連携】
- テレワーク制度との組み合わせによる柔軟な働き方の実現
- 業務プロセスの見直しと効率化の提案
- チーム内での業務分担の最適化
- 休業者の業務をカバーする体制作りへの協力
将来への備えと継続的学習
育児介護休業法は社会情勢の変化に応じて継続的に改正されています。制度を効果的に活用するためには、最新の情報をキャッチアップし続けることが重要です。
【情報収集のポイント】
- 厚生労働省ウェブサイト:最新の法改正情報と制度解説
- 都道府県労働局:地域における制度運用の実態と相談窓口
- 企業の人事部:自社制度の最新情報と運用状況
- 労働組合:労働者の立場からの制度活用ノウハウ
- 専門書籍・セミナー:より深い理解のための継続学習
【ネットワークの構築】
同じような立場の方々とのネットワークを構築することで、実践的な情報交換や相互支援が可能になります。社内外での交流会やオンラインコミュニティへの参加も有効です。
最終的なメッセージ
育児介護休業法は、働く人々が人生の様々なステージで直面する課題に対応するための重要な社会制度です。少子高齢化が進む日本社会において、この制度の活用は個人の幸福だけでなく、社会全体の持続可能性にも貢献します。
制度を利用することに躊躇や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、適切な知識と準備があれば、制度は確実にあなたの力になります。また、あなたが制度を利用することで、後に続く多くの人々にとって制度利用のハードルが下がり、より良い職場環境の構築に貢献することにもなります。
「仕事も大切、でも家族も大切」——そんな当たり前の思いを実現するために、育児介護休業法という強力な味方があることを忘れずに、安心して制度を活用してください。
何か困ったことがあれば、遠慮せずに人事部や労働局、専門家に相談することをお勧めします。あなたの人生がより豊かで充実したものになることを心から応援しています。
【主要な相談窓口】
- 厚生労働省 育児・介護休業法に関するお問い合わせ窓口
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
- ハローワーク 育児休業給付・介護休業給付に関する相談
- 労働基準監督署 労働条件に関する相談
- 法テラス 法的トラブルに関する相談
この記事が、あなたの育児介護休業法への理解を深め、制度活用の一助となれば幸いです。働きながら子育てや介護を行うすべての方々が、安心して制度を利用できる社会の実現に向けて、一歩ずつ前進していきましょう。
