【2025年最新】育児短時間勤務の法律を完全解説|3歳までの権利・申請方法・給与の扱いまで
「仕事も続けたいけど、子どもとの時間も大切にしたい…」
「育休から復帰するけど、フルタイムでやっていけるか不安」
そんな風に悩んでいませんか?
実は、育児短時間勤務という制度は、法律できちんと定められたあなたの権利なんです。育児介護休業法第23条によって、3歳未満の子どもを育てながら働くすべての労働者に認められています。
この記事では、育児短時間勤務に関する法律の内容を、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。2025年4月から施行された最新の法改正内容や、申請方法、給与への影響まで、知っておくべき情報をすべてカバーしています。
「自分は対象になるのかな?」「給料はどれくらい減るの?」「会社に申請するのが不安…」といった疑問や不安を、この記事を読めばすべて解消できるはずです。
安心して育児と仕事を両立できるよう、一緒に見ていきましょう。
1. 育児短時間勤務制度とは?法律の基本を理解しよう
1-1. 育児介護休業法第23条で定められた労働者の権利
育児短時間勤務制度は、正式には「育児のための所定労働時間の短縮措置」と呼ばれます。
この制度は、育児介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)の第23条第1項に明確に定められています。
法律の条文を簡単に説明すると、こういうことです。
「事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者であって、育児休業をしていない者に関して、所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置を講じなければならない」
ちょっと難しい言葉が並んでいますが、要するに「会社は、3歳未満の子どもを育てている従業員が希望したら、働く時間を短くする制度を用意しないといけない」ということです。
これは企業の「努力義務」ではなく、「法的義務」です。つまり、必ず守らなければならないルールなんですね。
この制度があることで、育児をしながら働く人が仕事を続けやすくなり、キャリアを中断せずに済むようになっています。
1-2. なぜこの制度が必要なのか?背景と目的
なぜ国は、わざわざ法律で育児短時間勤務を義務化したのでしょうか?
その背景には、少子高齢化と女性の労働力確保という日本社会が抱える大きな課題があります。
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」によると、30〜34歳の女性のうち4.8%が「出産・育児」を理由に離職しています。同年齢の男性の離職率と比べると、圧倒的に女性の方が高いんです。
これは社会にとって大きな損失です。出産・育児で一度仕事を辞めてしまうと、再就職が難しかったり、キャリアが中断されたりして、本人にとっても企業にとっても不利益になります。
そこで国は、「育児をしながらでも働き続けられる環境を整えよう」という方針を打ち出しました。その具体的な施策の一つが、育児短時間勤務制度の法制化だったんです。
この制度の目的は、大きく3つあります。
- 育児と仕事の両立支援:無理なく子育てしながら働ける
- 離職防止:出産後も仕事を続けられる
- 男女共同参画の推進:女性だけでなく男性も育児に参加しやすく
「育休から復帰したけど、いきなりフルタイムは体力的にも精神的にもきつい…」という声は本当に多いです。育児短時間勤務は、そんな不安を和らげ、無理なく職場復帰できるようサポートしてくれる制度なんですね。
1-3. 育児休業との違いは何?
「育休と育児短時間勤務って、何が違うの?」という疑問を持つ方も多いと思います。
この2つは、似ているようで全く異なる制度です。違いを表で整理してみましょう。
| 項目 | 育児休業 | 育児短時間勤務 |
|---|---|---|
| 利用期間 | 原則、子が1歳になるまで (最長2歳まで延長可能) |
子が3歳になるまで |
| 就労状況 | 働かない(休業) | 働く(短時間勤務) |
| 給与 | 無給(雇用保険から育児休業給付金) | 働いた時間分の給与 |
| 社会保険料 | 免除される | 通常通り支払う |
| 申請タイミング | 休業開始の1か月前まで | 短縮開始の1か月前まで |
| 同時利用 | 短時間勤務とは併用不可 | 育休とは併用不可 |
大きな違いは、「働くか、働かないか」です。
育児休業は、完全に仕事を休んで育児に専念する期間。一方、育児短時間勤務は、働きながら育児をするための制度です。
多くの方は、こんな流れで制度を利用しています。
- 出産前:産休
- 出産後〜1歳(または2歳):育児休業
- 職場復帰後〜3歳:育児短時間勤務
- 3歳以降:フルタイムまたは企業独自の時短制度
つまり、育休の次のステップとして育児短時間勤務を活用するというのが一般的な使い方です。
ただし、育休を取らずに産休明けからすぐ育児短時間勤務で働き始めることも可能です。家庭の事情や経済状況に応じて、柔軟に選択できるのがメリットですね。
2. 【2025年最新】法改正のポイントを押さえよう
2-1. 代替措置にテレワークが追加された意味
2025年4月1日から、育児介護休業法が改正されました。育児短時間勤務に関する重要な変更点の一つが、「代替措置にテレワークが追加された」ことです。
「代替措置って何?」と思った方もいるかもしれません。簡単に説明しますね。
法律では、育児短時間勤務を適用することが難しい一部の労働者(例えば、業務の性質上短時間勤務ができない職種)に対して、企業は「代わりの措置」を用意することが義務付けられています。
これまでの代替措置は、以下の3つでした。
- フレックスタイム制
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
- 事業所内保育施設の設置運営
そして2025年4月からは、これに「テレワーク」が追加されたのです。
なぜテレワークが追加されたのか?
新型コロナウイルスの影響で、テレワークが一気に普及しました。実際にテレワークで働いてみて、「通勤時間がなくなる分、育児との両立がしやすい」と感じた人が多かったからです。
テレワークには、こんなメリットがあります。
- 通勤時間がゼロになり、その分を育児や家事に使える
- 保育園の送迎がスムーズになる
- 子どもの急な体調不良にも対応しやすい
- 柔軟な働き方が可能
企業にとっても、「短時間勤務は難しいけど、テレワークならできる」というケースも多いため、選択肢が広がったことは大きな前進です。
ただし注意点として、テレワークは代替措置の一つであって、育児短時間勤務の代わりという位置づけです。あなたが「やっぱり短時間勤務がいい」と希望すれば、原則としてそちらが優先されます。
2-2. 育児時短就業給付制度の新設(2025年4月〜)
もう一つの大きな改正が、「育児時短就業給付制度」の新設です。
これは、育児短時間勤務を利用することで減ってしまう給与の一部を、雇用保険から給付してもらえる制度です。2025年4月1日から開始されました。
「時短にすると給料が減るから、経済的に厳しい…」という理由で、フルタイムを無理して続けている方も多いのではないでしょうか。
育児時短就業給付制度は、そんな経済的な不安を軽減してくれます。
給付の内容
- 対象期間:子が2歳になるまで
- 給付額:短縮した労働時間に応じて、賃金の一定割合を給付(具体的な割合は厚生労働省の告示で定められます)
- 申請方法:会社を通じてハローワークに申請
たとえば、時短勤務で月収が30万円から20万円に減ったとします。この10万円の減額分の一部(例えば30%の3万円など)が給付されるイメージです。
この制度のポイントは、育児休業給付金とは別の制度だということです。
育休中は育児休業給付金をもらい、職場復帰後に育児短時間勤務を利用する場合は育児時短就業給付金をもらう、という流れになります。
ただし、給付を受けるには一定の要件を満たす必要があります。詳細は厚生労働省の公式サイトや、会社の人事部門に確認しましょう。
2-3. 企業が対応すべき新ルール
2025年の法改正で、企業側にも新たな対応が求められています。
特に重要なのが、以下の3点です。
① 就業規則の見直し
テレワークが代替措置に追加されたことで、就業規則に新しい選択肢を明記する必要があります。「育児短時間勤務が難しい場合、テレワークを選択できる」といった内容を盛り込むことが求められます。
② 従業員への周知
新しい制度について、従業員にきちんと説明する義務があります。「こんな制度があるなんて知らなかった」ということがないよう、社内で情報共有を徹底する必要があります。
③ 育児時短就業給付金の申請サポート
育児時短就業給付金の申請は、会社を通じて行います。企業の人事・労務担当者は、申請方法を理解し、従業員をサポートする体制を整えなければなりません。
もしあなたが勤めている会社で「法改正の対応がまだされていない」と感じたら、人事部門に問い合わせてみるのも一つの方法です。法律で義務化されている以上、企業は対応しなければならないからです。
3. 育児短時間勤務の対象期間はいつまで?
3-1. 法律で義務化されているのは「3歳未満まで」
育児短時間勤務を利用できる期間は、子どもが3歳になる誕生日の前日までです。
より正確に言うと、「3歳に達する日」までとなります。民法では、年齢は「誕生日の前日」に1つ増えるというルールがあるため、実質的には3歳の誕生日の前々日までが対象期間です。
例を挙げてみましょう。
例)子どもの誕生日が2025年4月15日の場合
- 3歳に達する日:2028年4月14日
- 育児短時間勤務を利用できる最終日:2028年4月14日
- 通常勤務に戻る日:2028年4月15日
この「3歳未満まで」というのは、育児介護休業法で義務化されている最低ラインです。つまり、どの企業も必ずこの期間は育児短時間勤務を認めなければなりません。
ちなみに、兄弟姉妹がいる場合はどうなるでしょうか?
たとえば、上の子が4歳で下の子が2歳の場合、下の子が3歳になるまでは育児短時間勤務を継続できます。対象となる子どもが複数いても、一番下の子の年齢で判断されるんです。
3-2. 3歳以降は企業の努力義務
法律で義務化されているのは3歳未満までですが、実は3歳以降も育児短時間勤務を延長することが「努力義務」として定められています。
育児介護休業法では、「小学校就学の始期に達するまでの子」、つまり小学校入学前(6歳)までの育児短時間勤務について、企業に努力義務を課しています。
「義務」と「努力義務」の違いは何でしょうか?
| 種類 | 内容 | 企業の対応 |
|---|---|---|
| 義務 (3歳未満) |
必ず実施しなければならない | 対応しないと法律違反 |
| 努力義務 (3歳〜小学校入学前) |
できる限り実施することが望ましい | 対応しなくても罰則はないが、推奨される |
つまり、3歳以降の時短勤務は、企業の判断に委ねられているということです。
大手企業や福利厚生が充実している会社では、小学校入学前まで、あるいはそれ以上の期間、時短勤務を認めているケースも多いです。
一方で、中小企業では3歳を過ぎたらフルタイムに戻さなければならない、というケースもあります。
3-3. 小学校入学前まで延長している企業の実態
実際のところ、どれくらいの企業が3歳以降も時短勤務を認めているのでしょうか?
厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、育児短時間勤務制度を導入している事業所のうち、約62.2%が何らかの形で3歳以降も制度を利用できるようにしています。
具体的には、以下のような期間設定が多いです。
- 小学校就学前(6歳)まで:約30%
- 小学校3年生まで:約15%
- 小学校卒業まで:約10%
- その他(中学生まで、年齢制限なしなど):約7%
企業によって制度の内容は本当にさまざまです。
もしあなたが「3歳以降も時短勤務を続けたい」と考えているなら、まずは自分の会社の就業規則を確認してみましょう。
就業規則は、会社の総務部や人事部で閲覧できます。最近は社内イントラネットで公開している企業も多いので、チェックしてみてくださいね。
もし3歳以降の時短勤務が認められていなくても、「会社に相談してみる」という方法もあります。近年は働き方改革の流れで、柔軟な勤務形態を取り入れる企業が増えています。ダメ元でも相談してみる価値はありますよ。
4. 誰が利用できる?対象者の5つの条件
育児短時間勤務は、すべての労働者が無条件で利用できるわけではありません。法律で定められた5つの条件をすべて満たす必要があります。
「自分は対象になるのかな?」と不安な方も、この章を読めば明確になるはずです。一つずつ見ていきましょう。
4-1. 3歳に満たない子を養育していること
まず大前提として、3歳未満の子どもを育てていることが条件です。
ここで言う「子ども」とは、以下が含まれます。
- 実子(自分の子ども)
- 養子
- 特別養子縁組の子ども
また、法律上の親子関係があることが必要です。つまり、内縁関係のパートナーの子どもや、同居している親族の子ども(孫など)は対象外となります。
ただし、養子縁組をしていれば実子と同じ扱いになります。
4-2. 1日の所定労働時間が6時間以上であること
育児短時間勤務は、「所定労働時間を原則として6時間に短縮する」制度です。
つまり、もともとの勤務時間が6時間以上でないと対象にならないんです。
たとえば、もともと1日5時間のパート勤務をしている場合、すでに短時間勤務なので、この制度は適用されません。
ただし、フルタイム勤務(1日8時間)の人はもちろん、1日7時間勤務の人も対象になります。
正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーでも、所定労働時間が6時間以上であれば対象です。雇用形態は関係ありません。
4-3. 日々雇用でないこと
「日々雇用」とは、1日単位で雇用契約を結ぶ働き方のことです。
たとえば、日雇いのアルバイトや、30日未満の短期契約で働いている場合は、育児短時間勤務の対象外となります。
なぜかというと、育児短時間勤務は「継続的な雇用関係」を前提とした制度だからです。短期間で雇用が終わってしまう働き方では、制度の趣旨に合わないんですね。
逆に言えば、契約期間が決まっている契約社員や派遣社員でも、継続して働いていれば対象になります。
4-4. 労使協定で除外されていないこと
これは少し複雑なのですが、企業と労働者の代表が結ぶ「労使協定」によって、一部の労働者を育児短時間勤務の対象から除外することが認められています。
具体的には、以下のような労働者が除外対象になる可能性があります。
- 入社1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質上、短時間勤務が難しい労働者
ただし、これはあくまで「労使協定がある場合」に限ります。多くの企業では、こうした除外規定を設けていないケースが多いです。
自分の会社に労使協定があるかどうかは、就業規則や人事部門に確認してみましょう。
4-5. 育児休業中でないこと
最後の条件は、育児休業中でないことです。
これは当たり前のように思えますが、重要なポイントです。
育児休業は「働かない期間」なので、その間に「短時間勤務」を申請することはできません。育休から復帰した後に、育児短時間勤務を開始するというのが基本的な流れです。
ただし、育児休業中の配偶者(夫または妻)が短時間勤務を利用することは可能です。
たとえば、妻が育休中で夫がフルタイムで働いている場合、夫が育児短時間勤務を利用して家事・育児を分担することもできます。
5. 所定労働時間はどれくらい短縮できる?
5-1. 原則1日6時間(5時間45分〜6時間)
育児短時間勤務では、1日の所定労働時間を原則として6時間に短縮します。
法律では「5時間45分から6時間の範囲内」と規定されていますが、多くの企業では「1日6時間」としているケースがほとんどです。
たとえば、通常の勤務時間が9時〜18時(休憩1時間を除いて8時間勤務)の場合、育児短時間勤務を利用すると以下のようになります。
パターン①:9時〜16時勤務(休憩1時間を除いて6時間)
朝の時間はそのままで、退勤時間を2時間早める
パターン②:10時〜17時勤務(休憩1時間を除いて6時間)
出勤時間を1時間遅らせて、退勤時間を1時間早める
どのパターンを選ぶかは、あなたの希望と会社との調整次第です。
保育園の送り迎えの時間に合わせて、柔軟に設定できる企業も増えています。
5-2. 週の勤務日数は変わらないのが基本
育児短時間勤務は、「1日の労働時間を短縮する」制度であって、「勤務日数を減らす」制度ではありません。
つまり、週5日勤務の場合、短時間勤務にしても週5日は働くのが原則です。
たとえば、週5日フルタイムで働いていた人が短時間勤務に切り替えると、こうなります。
- 変更前:週5日 × 8時間 = 週40時間勤務
- 変更後:週5日 × 6時間 = 週30時間勤務
ただし、企業によっては「週4日勤務」や「週3日勤務」といった柔軟な働き方を認めているところもあります。これは法律で定められているわけではなく、企業独自の制度です。
もし「勤務日数も減らしたい」という希望がある場合は、会社に相談してみる価値はあります。ダメ元でも聞いてみましょう。
5-3. 柔軟な運用をしている企業の事例
最近は、法律の最低基準を超えて、より柔軟な時短勤務を認める企業が増えています。
いくつか事例を紹介しますね。
事例①:1日5時間勤務も選択できる企業
法律では「原則6時間」ですが、企業によっては「5時間」や「4時間」といった、さらに短い勤務時間を認めているところもあります。
「6時間でも長い」と感じる方にとっては、ありがたい制度ですね。
事例②:在宅勤務と組み合わせられる企業
「週3日は出社して6時間勤務、週2日は在宅で6時間勤務」といった形で、柔軟に働けるケースもあります。
通勤時間がゼロになる分、育児との両立がぐっとしやすくなります。
事例③:小学校卒業まで時短勤務を認める企業
法律では3歳までが義務ですが、「小学校6年生まで」や「中学卒業まで」といった長期間の時短勤務を認めている企業もあります。
大手企業や外資系企業に多い傾向です。
こうした柔軟な制度を導入している企業は、従業員の満足度が高く、離職率も低いというデータがあります。
もしあなたが転職を考えているなら、「時短勤務の制度がどれだけ充実しているか」も、企業選びの重要なポイントになりますよ。
6. 給与・社会保険はどうなる?お金の話を詳しく
「時短勤務にすると、給料はどれくらい減るの?」
「社会保険料はどうなるの?」
これは誰もが気になるポイントですよね。お金のことはしっかり理解しておかないと、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
この章では、給与と社会保険について詳しく解説します。
6-1. 給与は勤務時間に比例して減額されるのが一般的
育児短時間勤務を利用すると、働く時間が減った分、給与も減るのが基本です。
法律では「給与をどうするか」について明確な規定はありません。つまり、給与の扱いは企業ごとに異なります。
最も一般的なのは、「勤務時間に比例して給与を減額する」という方法です。
たとえば、フルタイム勤務で月給30万円だった場合、6時間勤務に短縮すると以下のようになります。
計算例
- フルタイム:8時間勤務 → 月給30万円
- 時短勤務:6時間勤務 → 月給30万円 × (6÷8) = 22.5万円
つまり、月給が7.5万円減ることになります。
これは決して小さくない金額ですよね。だからこそ、前述した「育児時短就業給付制度」が新設されたのです。
ただし、企業によっては「時短勤務でも給与を減額しない」という制度を導入しているところもあります。これは法律で義務付けられているわけではなく、企業の福利厚生の一環です。
6-2. 社会保険料の標準報酬月額の特例
給与が減ると、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)も変わります。
通常、社会保険料は「標準報酬月額」に基づいて計算されます。標準報酬月額とは、毎月の給与を一定の等級に当てはめた金額のことです。
給与が減れば標準報酬月額も下がり、社会保険料も減ります。これ自体は負担が軽くなるのでメリットに感じるかもしれませんが、実は大きな問題があります。
それは、将来もらえる年金額が減ってしまうということです。
厚生年金は、現役時代に支払った保険料に応じて将来の年金額が決まります。時短勤務で給与が減り、保険料も減ると、その分だけ将来の年金も減ってしまうんです。
「それは困る…」と思いますよね。
そこで登場するのが、「標準報酬月額の特例」という制度です。
この特例を申請すると、時短勤務前の標準報酬月額を維持できます。つまり、実際の給与は減っても、年金の計算上は減る前の金額で計算してもらえるんです。
ただし、この特例には条件があります。
- 3歳未満の子を養育していること
- 育児短時間勤務により給与が減少したこと
- 会社を通じて年金事務所に申請すること
申請は少し手間がかかりますが、将来の年金額に影響するので、必ず申請することをおすすめします。
会社の人事部門に「標準報酬月額の特例を申請したい」と伝えれば、手続きをサポートしてもらえるはずです。
6-3. 賞与やボーナスへの影響
給与が減ると、賞与(ボーナス)にも影響が出ることがあります。
賞与の計算方法は企業によって異なりますが、多くの場合「基本給 × 〇か月分」という形で計算されます。
時短勤務で基本給が減ると、賞与も減る可能性があるんです。
たとえば、フルタイム時の基本給が25万円で、賞与が「基本給の2か月分」だった場合。
- フルタイム:25万円 × 2 = 50万円
- 時短勤務(基本給18.75万円):18.75万円 × 2 = 37.5万円
約12.5万円の差が出ますね。
ただし、これも企業によって扱いが異なります。「時短勤務でも賞与は減額しない」という方針の企業もあれば、「勤務時間に比例して減額する」という企業もあります。
事前に人事部門に確認しておくと安心です。
6-4. 2025年4月開始の育児時短就業給付制度で収入減をカバー
給与が減ることへの不安を軽減してくれるのが、前述した「育児時短就業給付制度」です。
この制度を活用すれば、減った給与の一部を雇用保険から給付してもらえます。
たとえば、月給が30万円から22.5万円に減った場合(7.5万円の減額)、その一部(例えば30%の2.25万円)が給付されるイメージです。
完全に収入減をカバーできるわけではありませんが、経済的な負担を和らげてくれる心強い制度です。
給付を受けるには、会社を通じてハローワークに申請する必要があります。詳しい手続き方法は、厚生労働省の公式サイトや、会社の人事部門に確認しましょう。
7. 育児短時間勤務の申請方法と手続きの流れ
7-1. 申請のタイミング(開始予定日の1か月前まで)
育児短時間勤務を利用したい場合、開始予定日の1か月前までに会社に申し出る必要があります。
これは法律で定められたルールなので、守るようにしましょう。
たとえば、育休から4月1日に復帰して、その日から時短勤務を始めたい場合、遅くとも3月1日までには申請しなければなりません。
ただし、実際にはもっと早めに相談しておくことをおすすめします。
なぜかというと、会社側も業務の調整や人員配置を考える必要があるからです。早めに伝えておけば、スムーズに対応してもらいやすくなります。
理想的なタイミングは、育休中に復帰の3か月前くらいから相談を始めることです。
7-2. 必要な書類と記入例
育児短時間勤務を申請するには、「育児短時間勤務申出書」を提出します。
この書類は、会社が用意している場合もあれば、厚生労働省のホームページからダウンロードできる標準様式を使う場合もあります。
申出書に記入する内容は、主に以下の通りです。
- 氏名・所属部署
- 対象となる子の氏名・生年月日
- 短時間勤務を開始する日
- 短時間勤務を終了する予定日
- 希望する勤務時間(例:9時〜16時)
記入例を見てみましょう。
【記入例】
育児短時間勤務申出書 所属部署:営業部 氏名:山田花子 私は、育児・介護休業法第23条に基づき、下記の通り育児短時間勤務を申し出ます。 対象となる子の情報: 氏名:山田太郎 生年月日:2024年4月15日 短時間勤務期間: 開始日:2025年4月1日 終了予定日:2027年4月14日(子が3歳に達する日) 希望する勤務時間: 9:00〜16:00(休憩1時間を含む、実働6時間) 2025年2月1日 山田花子 印
書類の書き方がわからない場合は、人事部門に聞けば丁寧に教えてもらえますよ。
7-3. 会社とのコミュニケーションのポイント
申請をスムーズに進めるには、会社との良好なコミュニケーションが大切です。
以下のポイントを押さえておきましょう。
① 早めに相談する
前述の通り、法律では1か月前までの申請が求められていますが、実際にはもっと早く相談しておくのがベターです。
「育休から復帰する際に時短勤務を利用したいと考えています」と早めに伝えておけば、会社も準備しやすくなります。
② 具体的な希望を伝える
「9時〜16時の勤務を希望します」というように、具体的な勤務時間を伝えましょう。
曖昧な希望だと、会社側も対応に困ってしまいます。
③ 柔軟な姿勢も見せる
「できれば9時〜16時を希望しますが、業務の都合に応じて調整可能です」というように、ある程度の柔軟性を示すと、会社も協力しやすくなります。
④ 感謝の気持ちを忘れずに
「時短勤務を認めてもらって当然」という態度ではなく、「ご配慮いただきありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えることも大切です。
法律で定められた権利とはいえ、周囲の理解と協力があってこそ円滑に利用できるものです。
7-4. 申請が却下されたときの対処法
基本的に、法律で定められた条件を満たしていれば、会社は育児短時間勤務を認めなければなりません。
しかし、万が一申請が却下された場合、どうすればいいのでしょうか?
ステップ①:却下の理由を確認する
まずは、なぜ却下されたのか理由を聞きましょう。
もしかすると、労使協定によって除外対象になっている可能性もあります。あるいは、申請のタイミングや書類に不備があったのかもしれません。
ステップ②:人事部門や労働組合に相談する
直属の上司が却下した場合でも、人事部門に相談すれば対応してもらえることがあります。
労働組合がある会社なら、そちらに相談するのも有効です。
ステップ③:労働基準監督署に相談する
会社が法律に違反して時短勤務を認めない場合、労働基準監督署に相談することができます。
労働基準監督署は、企業が労働法を守っているかをチェックする公的機関です。相談は無料で、秘密も守られます。
最寄りの労働基準監督署は、厚生労働省のホームページで調べられます。
8. 企業側の義務と対応すべきこと
ここからは、企業の人事・労務担当者や経営者の方向けに、育児短時間勤務に関する企業側の義務について解説します。
もちろん、労働者側の方も「会社がどんな対応をすべきか」を知っておくと、交渉や相談がしやすくなりますよ。
8-1. 就業規則への規定が必須
育児短時間勤務制度は、就業規則に明記することが義務です。
「制度はあるけど、就業規則に書いていない」という状態は、法律違反になります。
就業規則には、以下の内容を記載する必要があります。
- 育児短時間勤務制度の対象者
- 利用できる期間(3歳未満まで)
- 短縮後の労働時間(原則6時間)
- 申請方法と申請期限(開始予定日の1か月前まで)
- 給与の扱い
- 代替措置(該当する場合)
厚生労働省のホームページには、就業規則の規定例が公開されています。企業はこれを参考に、自社の就業規則を整備しましょう。
8-2. 代替措置を講じる場合の選択肢
育児短時間勤務を適用することが難しい労働者がいる場合、企業は代替措置を講じなければなりません。
代替措置として認められているのは、以下の4つです。
- フレックスタイム制:始業・終業時刻を労働者が決められる
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ:出勤時間や退勤時間を調整できる
- 事業所内保育施設の設置運営:社内に保育施設を作る
- テレワーク:在宅勤務を認める(2025年4月から追加)
これらのうち、少なくとも一つは用意しなければなりません。
ただし、代替措置はあくまで「短時間勤務が難しい場合」の代わりです。労働者が短時間勤務を希望しているのに、勝手に代替措置にすることはできません。
8-3. 違反した場合の罰則
「育児短時間勤務を認めないと、どうなるの?」
実は、育児介護休業法には直接的な罰則規定はありません。
つまり、法律に違反しても「罰金〇万円」といった刑事罰は科されないんです。
しかし、だからといって違反していいわけではありません。
もし企業が育児短時間勤務を認めない場合、以下のようなリスクがあります。
- 行政指導:労働基準監督署から是正勧告を受ける
- 企業名公表:悪質な場合、企業名が公表される
- 民事訴訟:労働者から損害賠償を請求される可能性
- 企業イメージの低下:「ブラック企業」とみなされ、採用や取引に悪影響
特に近年は、SNSで企業の評判が一気に広まる時代です。法律を守らない企業は、社会的な信頼を失うリスクが高いと言えます。
8-4. 管理監督者への配慮
労働基準法上の「管理監督者」は、労働時間の規定が適用除外となります。
そのため、育児短時間勤務制度も原則として対象外です。
しかし、厚生労働省は「管理監督者であっても、短時間勤務制度に準じた措置を導入することが望ましい」としています。
管理職だからといって育児との両立を諦めなければならないというのは、おかしな話ですよね。
企業としては、管理職にも柔軟な働き方を認める制度を整えることが、優秀な人材の確保につながります。
9. 介護短時間勤務との違いは?
9-1. 対象期間と利用回数の違い
育児介護休業法では、育児だけでなく介護のための短時間勤務も定められています。
しかし、育児と介護では制度の内容が異なります。主な違いを表で見てみましょう。
| 項目 | 育児短時間勤務 | 介護短時間勤務 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 子が3歳になるまで | 連続する3年以上の期間 |
| 利用回数 | 制限なし | 2回以上利用可能 |
| 措置の種類 | 原則として6時間の短時間勤務 | 短時間勤務、フレックス、時差出勤などから選択 |
| 対象家族 | 3歳未満の子 | 配偶者、父母、子、祖父母など |
育児は「子が3歳になるまで」という明確な期限がありますが、介護は「3年以上」と定められているものの、上限が明確ではありません。
これは、介護の期間が人によって大きく異なるためです。
9-2. 介護は選択制の措置
育児短時間勤務は「原則として6時間の短時間勤務」と決まっていますが、介護の場合は違います。
介護では、以下の措置のいずれかを企業が選択して用意すればよいことになっています。
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
- 労働者が利用する介護サービスの費用助成
つまり、育児よりも柔軟な選択肢が用意されているんです。
9-3. 併用は可能か?
「育児と介護の両方をしている場合、両方の制度を使えるの?」という疑問もあると思います。
答えは「基本的には併用できる」です。
たとえば、3歳未満の子どもを育てながら、同時に親の介護もしている場合、育児短時間勤務と介護短時間勤務の両方を利用することが可能です。
ただし、実際の運用は企業の就業規則によります。人事部門に確認してみましょう。
10. 実際に利用した人の体験談
ここで、実際に育児短時間勤務を利用した方々の体験談を紹介します。
リアルな声を聞くことで、「自分もできそう」と思えるかもしれません。
10-1. フルタイム復帰までスムーズに移行できたケース
Aさん(32歳・IT企業勤務)の場合
「1年間の育休を取った後、9時〜16時の時短勤務で復帰しました。最初は『仕事についていけるかな』と不安でしたが、会社の理解もあり、徐々に仕事の感覚を取り戻せました。
時短勤務のおかげで、保育園のお迎えも余裕を持って行けましたし、夕方は子どもとゆっくり過ごせました。3歳になる前には、自分から『そろそろフルタイムに戻りたい』と思えるようになり、スムーズに移行できました。
時短勤務は、育児と仕事の両立に慣れるための『リハビリ期間』のようなものだったと思います。本当に助かりました。」
10-2. 給与減が想定以上で悩んだケース
Bさん(29歳・メーカー勤務)の場合
「時短勤務にすると給料が減ることはわかっていましたが、実際に明細を見たときはショックでした。月に約8万円も減っていて、『これじゃ家計が厳しい…』と焦りました。
幸い、夫が協力的で家計を支えてくれたのと、2025年から育児時短就業給付制度が始まったおかげで、少し負担が軽くなりました。
ただ、事前にもっとしっかりシミュレーションしておけばよかったと反省しています。これから時短勤務を考えている方には、『給料がどれくらい減るか、事前に計算しておくこと』をおすすめします。」
10-3. 企業の理解が得られず苦労したケース
Cさん(35歳・小売業勤務)の場合
「時短勤務を申請したとき、上司から『うちの会社は人手不足だから、フルタイムで働いてもらわないと困る』と言われました。法律で認められた権利なのに、すごく申し訳ない気持ちにさせられて…。
結局、人事部に相談して、なんとか時短勤務を認めてもらいましたが、職場の雰囲気が気まずくなってしまいました。
今は別の部署に異動して、理解のある上司のもとで働けていますが、もっと企業全体が育児との両立に理解を示してほしいと思います。」
これらの体験談からわかるのは、制度は整っていても、実際の運用や職場の雰囲気によって、利用しやすさが大きく変わるということです。
だからこそ、企業側の理解と協力が不可欠なんですね。
11. よくある質問Q&A
Q1. パート・契約社員も対象になる?
A. はい、対象になります。
育児短時間勤務は、雇用形態に関係なく利用できます。正社員だけでなく、パートタイマー、契約社員、派遣社員も対象です。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 1日の所定労働時間が6時間以上であること
- 日々雇用でないこと
たとえば、もともと1日7時間勤務のパート社員であれば、6時間に短縮することができます。
Q2. 育休から復帰後すぐに利用できる?
A. はい、利用できます。
育児休業が終わって職場復帰する際、そのまま時短勤務に切り替えることが可能です。
多くの方が、このパターンで利用しています。
ただし、開始予定日の1か月前までに申請する必要があるので、育休中に早めに手続きを進めておきましょう。
Q3. 途中で元の勤務時間に戻せる?
A. はい、戻せます。
時短勤務を始めたものの、「やっぱりフルタイムに戻りたい」と思った場合、いつでも元の勤務時間に戻すことができます。
会社に「時短勤務を終了したい」旨を伝え、手続きを進めましょう。
逆に、フルタイムで働いていたけど「やっぱり時短にしたい」という場合も、子どもが3歳未満であれば申請できます。
Q4. 残業は発生する?
A. 原則として、残業は発生しません。
育児介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合、時間外労働(残業)を制限する義務が企業にあります。
つまり、「残業をしたくない」と申し出れば、会社は原則として残業をさせることができません。
ただし、実際の運用は企業によって異なります。どうしても必要な場合は、事前に相談して調整することもあります。
Q5. 有給休暇の付与日数は変わる?
A. 基本的には変わりません。
有給休暇は、「勤続年数」と「出勤率」に応じて付与されます。
時短勤務を利用しても、勤続年数はカウントされますし、週5日勤務を続けていれば出勤率も問題ありません。
したがって、有給休暇の付与日数は、フルタイムの場合と同じです。
ただし、時短勤務にして週の勤務日数を減らした場合(例えば週3日勤務など)は、付与日数が減ることがあります。
12. まとめ:育児短時間勤務は法律で守られたあなたの権利
ここまで、育児短時間勤務に関する法律について詳しく解説してきました。
最後にもう一度、重要なポイントをおさらいしましょう。
✓ 育児短時間勤務は、育児介護休業法第23条で定められた労働者の権利
✓ 3歳未満の子を育てるすべての労働者が対象(雇用形態は問わない)
✓ 1日の労働時間を原則6時間に短縮できる
✓ 2025年4月から、代替措置にテレワークが追加、育児時短就業給付制度も開始
✓ 申請は開始予定日の1か月前までに
✓ 給与は減るが、社会保険料の特例や給付制度で負担を軽減できる
育児と仕事の両立は、決して簡単なことではありません。
「周りに迷惑をかけているんじゃないか」「キャリアが遅れてしまうんじゃないか」と不安になることもあるでしょう。
でも、忘れないでください。育児短時間勤務は、法律で認められたあなたの正当な権利です。
この制度を利用することは、決して「わがまま」ではありません。むしろ、無理をしてフルタイムを続けて体調を崩したり、仕事を辞めたりする方が、あなたにとっても会社にとっても損失になります。
今は時短勤務でも、子どもが成長すれば、また全力で仕事に取り組める時期が必ず来ます。
長い人生の中で、数年間だけ少しペースを落として働くことは、全く問題ないどころか、とても賢明な選択です。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、安心して育児と仕事を両立する助けになれば幸いです。
大切なのは、無理をしないこと。そして、周りに助けを求めること。
あなたの笑顔が、子どもにとって何よりの幸せです。
そしてあなたが幸せであることが、仕事でも良いパフォーマンスを発揮する秘訣です。
自信を持って、育児短時間勤務という選択肢を活用してくださいね。
応援しています!
【参考情報】
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html - 厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」
ホーム|厚生労働省厚生労働省の取り組んでいる政策情報、報道発表資料、統計情報、厚生労働白書について紹介しています。 - 東京都産業労働局「育児・介護休業法の概要」
※本記事の内容は2025年11月時点の法令に基づいています。法律は改正される可能性がありますので、最新情報は厚生労働省の公式サイトや、専門家にご確認ください。
※個別の事情によって適用が異なる場合がありますので、詳細は会社の人事部門や社会保険労務士にご相談ください。



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