【結論】育児休業給付金は所得にならない(非課税)
最初に結論をお伝えします。育児休業給付金は「所得」には含まれません。所得税も住民税もかからない、完全に非課税の収入です。
「え、毎月けっこうな金額が振り込まれてるのに、税金かからないの?」と不思議に思う方も多いですよね。でも本当です。育児休業給付金は雇用保険から支給される「給付金」であり、働いて得た「給与所得」とは別物として扱われます。
ただし、「非課税だから何も考えなくていい」というわけではありません。配偶者控除や保育料、ふるさと納税など、知らないと損してしまうポイントがいくつかあります。この記事では、育児休業給付金と所得の関係を整理しながら、育休中だからこそ確認しておきたいお金のことを解説していきます。
所得税・住民税ともに非課税
育児休業給付金が非課税である根拠は、雇用保険法第12条に「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」と定められているからです。
少し難しい言い回しですが、要するに「雇用保険からもらったお金には税金をかけちゃダメ」ということ。育児休業給付金は雇用保険の給付なので、所得税も住民税も一切かかりません。
📌 非課税になるもの一覧
- 育児休業給付金
- 出生時育児休業給付金(産後パパ育休の給付金)
- 出産手当金(健康保険から支給)
- 出産育児一時金(健康保険から支給)
つまり、育休中にもらえるお金は基本的にすべて非課税。「たくさんもらったから税金が心配…」という不安は不要です。
社会保険料も免除される
育休中は税金だけでなく、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)も免除されます。会社が届出をすることで、育休期間中は保険料の支払いが不要になるんです。
しかも、免除されている期間も「払ったもの」として扱われるため、将来の年金額が減ることもありません。これは育休取得者にとって大きなメリットですね。
💡 ポイント
育児休業給付金は「非課税」で「社会保険料も免除」。額面がそのまま手取りになるため、実質的な手取り率は給与よりも高くなることがあります。
育児休業給付金の金額について詳しく知りたい方は、こちらの記事で計算方法を解説しています。
▶ 〖2026年最新版〗育児休業給付金の計算方法を完全解説|給与別シミュレーションと受給額早見表
年末調整・確定申告での扱い
「育児休業給付金は非課税」とわかっても、いざ年末調整や確定申告の時期になると「本当に何も書かなくていいの?」と不安になりますよね。ここでは、具体的にどう対応すればいいか説明します。
年末調整で育児休業給付金は記載不要
年末調整の書類に育児休業給付金を記載する欄はありません。そもそも所得ではないので、年末調整では完全にスルーしてOKです。
ただし、年末調整で注意したいのは以下のケースです。
⚠️ 年末調整で対応が必要なケース
- 育休に入る前に給与をもらっていた場合:その給与分は年末調整の対象になります
- 年の途中で復帰した場合:復帰後の給与は年末調整の対象になります
- 配偶者控除を受けたい場合:パートナーの年末調整で申請します(後述)
1年間まるごと育休だった場合は、給与所得がゼロなので年末調整自体が不要になることもあります。会社から「年末調整の書類を出してください」と言われなければ、特に何もしなくて大丈夫です。
年末調整での扱いについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
▶ 育児休業給付金は年末調整に含める?非課税の扱いを完全解説
確定申告が必要になるケース
育児休業給付金自体は確定申告不要ですが、以下のケースでは確定申告が必要または「したほうがお得」になります。
【確定申告が必要なケース】
- 副業収入が20万円を超えた
- 不動産所得など給与以外の所得がある
- 2か所以上から給与をもらっている
【確定申告したほうがお得なケース】
- 医療費が年間10万円を超えた(医療費控除)
- 住宅ローン控除の初年度(2年目以降は年末調整でOK)
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
特に出産した年は、妊婦健診や分娩費用など医療費がかさみやすいですよね。出産育児一時金を差し引いた自己負担額が10万円を超えていれば、確定申告で医療費控除を受けられます。
✅ 医療費控除のポイント
育休中で所得税がゼロでも、パートナーの確定申告で医療費控除を申請できます。世帯でまとめて、所得が高いほう(税率が高いほう)が申請するのがお得です。
配偶者控除・扶養控除は使える?
「育休中は収入が少ないから、夫(妻)の扶養に入れるんじゃない?」と考える方は多いです。結論から言うと、条件を満たせば配偶者控除を受けられる可能性が高いです。
育休中なら配偶者控除の対象になりやすい
配偶者控除を受けるための条件は、配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与収入のみなら年収103万円以下に相当)。
ここで重要なのが、育児休業給付金は「所得」に含まれないという点です。つまり、1年間まるごと育休で給与所得がゼロなら、育児休業給付金をいくらもらっていても合計所得金額は「0円」になります。
📝 配偶者控除の例
【ケース】妻が1月〜12月まで育休、育児休業給付金を年間180万円受給
→ 給与所得:0円
→ 育児休業給付金:所得に含まれない
→ 合計所得金額:0円 → 配偶者控除の対象!
配偶者控除が適用されると、控除を受ける側(多くの場合、働いているパートナー)の所得税・住民税が軽減されます。控除額は最大38万円(住民税は33万円)なので、けっこう大きいですよね。
注意!育休前の給与所得で対象外になるケース
ただし、育休に入る前に働いていた期間の給与は「所得」にカウントされます。ここが落とし穴になりやすいポイントです。
⚠️ 配偶者控除を受けられないケース
【ケース】妻が4月から育休、1〜3月の給与収入が120万円
→ 給与所得:120万円 − 55万円(給与所得控除)= 65万円
→ 合計所得金額:65万円 → 48万円を超えるため配偶者控除の対象外
このように、年の途中から育休に入った場合は、育休前の給与収入によっては配偶者控除を受けられないことがあります。
配偶者特別控除との違い
合計所得金額が48万円を超えても、133万円以下なら「配偶者特別控除」が使える可能性があります。こちらは所得に応じて段階的に控除額が減っていく仕組みです。
| 配偶者の合計所得金額 | 控除の種類 | 控除額(所得税) |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 配偶者控除 | 最大38万円 |
| 48万円超〜95万円以下 | 配偶者特別控除 | 最大38万円 |
| 95万円超〜133万円以下 | 配偶者特別控除 | 段階的に減額 |
| 133万円超 | なし | 0円 |
※控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除・配偶者特別控除ともに適用されません。
いずれにしても、育休中は配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる可能性が高いので、忘れずに申請しましょう。パートナーの年末調整で「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出すればOKです。
保育料・児童手当への影響
「育児休業給付金が所得にならないなら、保育料とか児童手当にも影響あるの?」という疑問もよく聞きます。これは保育料にはプラスの影響、児童手当には影響なしというのが答えです。
保育料は「住民税額」で決まる
認可保育園の保育料は、世帯の住民税額(正確には市町村民税の所得割額)をもとに決まります。育休中で給与所得がなければ、当然ながら住民税も下がりますよね。
ここで知っておきたいのが、保育料は「前年の所得」で決まるということ。具体的には以下のようなスケジュールです。
📅 保育料算定のスケジュール例
- 2026年4月〜8月の保育料:2024年の所得(2025年度住民税)で算定
- 2026年9月〜翌3月の保育料:2025年の所得(2026年度住民税)で算定
つまり、2025年に1年間育休を取っていた場合、2026年9月以降の保育料がグッと下がる可能性があるんです。これは育休取得者にとって嬉しいポイントですね。
💡 実例で見てみると…
年収500万円で保育料が月額4万円だった世帯が、育休年の所得が大幅に下がることで、翌年度の保育料が月額2万円程度になるケースも。年間で24万円の差になります。
児童手当の所得制限には影響しない
一方、児童手当の所得制限は「前年の所得」で判定されますが、育児休業給付金はそもそも所得に含まれないため、給付金をいくらもらっても所得制限には影響しません。
とはいえ、育休前に働いていた期間の給与所得はカウントされるので、年の途中から育休に入った場合は、その年の給与所得で判定されます。
なお、2024年12月からの児童手当の拡充により所得制限が撤廃されたため、2025年以降は所得制限を気にする必要がなくなりました。
住宅ローン控除・ふるさと納税への影響
育休中のお金の話で見落としがちなのが、住宅ローン控除とふるさと納税です。「所得がない=税金がない」ということは、税金から控除する仕組みが使えなくなるということでもあります。
住宅ローン控除は「所得税額」がないと使えない
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から差し引ける制度です。ただし、これは「支払うべき所得税がある」ことが前提。
育休中で給与所得がゼロなら、所得税もゼロなので控除できるものがありません。
⚠️ 住宅ローン控除の注意点
- 育休中で所得税がゼロでも、控除を「繰り越す」ことはできない
- その年の控除枠は使い切れなければ消滅する
- ただし、住民税からも一部控除されるため、完全に無駄にはならないことも
住宅ローン控除を最大限活用したい場合は、育休からの復帰タイミングを年初にして、その年の給与所得(=所得税)を増やすという方法もあります。ただ、子育ての状況を考えるとお金だけで判断しにくい部分ではありますよね。
ふるさと納税の上限額が下がる可能性
ふるさと納税の「お得な上限額」は、その年の所得税・住民税の額で決まります。育休中で所得が下がれば、当然ながらふるさと納税の上限額も下がります。
「いつも通り5万円寄付したら、自己負担が2,000円で済まなかった…」ということにならないよう、育休中(または育休明け)のふるさと納税は上限額をよく確認してから行いましょう。
📝 ふるさと納税の上限額目安
・年収300万円(独身):約28,000円
・年収500万円(独身):約61,000円
・年収700万円(共働き):約108,000円
※育休で年収が下がれば、これより低い上限額になります。各ふるさと納税サイトのシミュレーターで確認しましょう。
逆に、パートナーの所得が高い場合は、パートナー名義でふるさと納税をすることで、世帯全体ではお得に活用できます。
よくある疑問Q&A
育児休業給付金と所得に関して、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
Q: 育児休業給付金は源泉徴収票に載る?
A: 載りません。
源泉徴収票に記載されるのは「給与所得」のみ。育児休業給付金は雇用保険からの給付であり、給与ではないため、源泉徴収票には一切記載されません。
そのため、住宅ローンの審査や保育園の申請で「収入証明」が必要な場合、育児休業給付金の金額を証明するには別途「育児休業給付金支給決定通知書」が必要になることがあります。
支給決定通知書について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
▶ 育児休業給付金支給決定通知書の見方を完全解説!記載内容から手続きまで徹底ガイド
Q: 医療費控除は申請できる?
A: できます。ただし所得税がゼロだと還付はありません。
育休中で所得税がゼロの場合、自分で医療費控除を申請しても還付される税金がありません。この場合は、パートナーの確定申告で医療費控除を申請するのがおすすめです。
医療費は世帯でまとめて申請できるので、所得税を払っているパートナーが申請すれば、その分が還付されます。
Q: 翌年の住民税はどうなる?
A: 大幅に下がる可能性が高いです。
住民税は前年の所得に基づいて計算されます。育休で1年間給与所得がなかった(または大幅に減った)場合、翌年6月からの住民税はかなり低くなります。場合によっては住民税が非課税になることも。
住民税が下がると、前述の通り保育料にも影響します。育休期間が長いほど、翌年度の家計にはプラスに働くことが多いですね。
Q: 育児休業給付金をもらいながら働くことはできる?その場合の所得は?
A: 条件付きで働けます。働いた分の給与は「所得」になります。
育休中でも、月に10日(または80時間)以下であれば働くことができます。その際に得た給与は「給与所得」として課税対象になり、年末調整や確定申告の対象にもなります。
なお、働いた日数・時間によっては育児休業給付金が減額されることもあるので注意が必要です。
Q: パートでも同じ扱い?
A: はい、雇用形態に関わらず同じです。
正社員でもパートでも、育児休業給付金の税法上の扱いは同じ。非課税であり、所得には含まれません。パートの方でも、雇用保険に加入していて受給要件を満たせば育児休業給付金を受け取れます。
パートの育児休業給付金について詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶ 育児休業給付金はパートでももらえる!受給条件・計算方法・申請手続きを完全解説〖2026年最新版〗
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)も非課税
2022年10月にスタートした「産後パパ育休(出生時育児休業)」で受け取れる出生時育児休業給付金も、通常の育児休業給付金と同様に非課税です。
パパが産後パパ育休を取得して給付金を受け取っても、所得税・住民税はかかりません。ママの育児休業給付金と同じ扱いなので、安心して取得してください。
出生時育児休業給付金と育児休業給付金の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 育児休業給付金と出生時育児休業給付金の違いを徹底解説【2025年最新】
2025年4月からの制度改正による影響
2025年4月から育児休業給付金の制度が改正され、給付率が最大80%に引き上げられました。社会保険料の免除と合わせると、実質的に手取り10割相当になるケースも。
この改正によって受け取れる金額は増えましたが、税法上の扱いは変わりません。80%支給になっても、100%支給になっても、育児休業給付金は非課税のまま。所得にはカウントされません。
制度改正の詳細についてはこちらの記事で解説しています。
▶ 育児休業給付金80%引き上げはどうなった?2025年4月実施の全詳細
【チェックリスト】育休中にやっておくべきお金の確認
最後に、育休中に確認しておきたいお金まわりのことをチェックリストにまとめました。
✅ 育休中のお金チェックリスト
- □ 配偶者控除・配偶者特別控除を申請したか(パートナーの年末調整で)
- □ 医療費が10万円を超えていないか確認(超えていれば医療費控除を検討)
- □ ふるさと納税の上限額を再計算したか
- □ 住宅ローン控除が無駄になっていないか確認
- □ 翌年の保育料がいくらになるか試算
- □ 育児休業給付金支給決定通知書を保管しているか
まとめ|育休中だからこそ確認しておきたいお金のこと
この記事のポイントをまとめます。
- 育児休業給付金は所得にならない(非課税):所得税も住民税もかからない
- 年末調整・確定申告で記載不要:給付金は「なかったもの」として扱う
- 配偶者控除を受けられる可能性が高い:パートナーの年末調整で申請
- 保育料は翌年度下がる可能性あり:住民税が下がるため
- 住宅ローン控除・ふるさと納税は注意:所得がないと控除しきれない
育児休業給付金が非課税なのは育休取得者にとって大きなメリットですが、「非課税だから何も考えなくていい」わけではありません。配偶者控除の申請や医療費控除、ふるさと納税の上限額確認など、知っているかどうかで世帯の手取りが変わるポイントがいくつかあります。
育休中は赤ちゃんのお世話で忙しいとは思いますが、年末調整の時期だけでも少し時間を取って、家計全体のお金のことを確認してみてくださいね。
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※この記事は2026年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される場合がありますので、最新情報は厚生労働省やハローワークの公式サイトでご確認ください。



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