育児休業給付金とは?基本の仕組みを解説
「育休を取りたいけど、収入が減るのが心配…」「育児休業給付金って、いくらもらえるの?」
こういうとき、不安になりますよね。実際、育児休業中は多くの場合、会社からの給与が支払われなくなります。そこで、働く方の生活を支えるために設けられているのが「育児休業給付金」という制度です。
育児休業給付金は、雇用保険に加入している方が育児休業を取得した際に、国から支給される給付金です。男女問わず、一定の条件を満たせば受給することができます。
2025年4月からは制度が大きく改正され、新たな給付金も創設されました。この記事では、2026年最新の情報をもとに、育児休業給付金の受給条件から申請手続きまで、必要な情報をすべて解説していきます。
育児休業給付金の4つの特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 支給率 | 休業開始から180日間は賃金の67%、181日目以降は50% |
| 非課税 | 所得税・住民税がかからない |
| 社会保険料免除 | 申出により健康保険料・厚生年金保険料が免除 |
| 雇用保険料なし | 給与が支払われない場合、雇用保険料の負担なし |
これらの特徴を踏まえると、給付率67%でも実質的には手取りの約8割相当を受け取れる計算になります。さらに2025年4月からは、条件を満たせば手取り10割相当になる制度も始まりました。
【2025年4月改正】手取り10割相当になる新制度とは
2025年4月の雇用保険法改正により、育児に関する給付制度が大幅に拡充されました。特に注目すべきは「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」の創設です。
出生後休業支援給付金で手取り10割相当に
出生後休業支援給付金は、夫婦ともに育児休業を取得した場合に、通常の育児休業給付金に13%が上乗せされる新しい給付金です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付率 | 育児休業給付金67% + 出生後休業支援給付金13% = 80% |
| 支給上限期間 | 最大28日間 |
| 対象期間 | 子の出生後8週間以内(母親は産後休業後8週間以内) |
| 要件 | 夫婦それぞれが14日以上の育児休業を取得 |
給付率80%に加えて社会保険料免除と非課税措置があるため、手取りベースでほぼ10割相当の給付を受けられます。男性の育休取得を促進し、夫婦で協力して育児を行う期間を経済的に支援することが目的です。
育児時短就業給付金(2025年4月新設)
育児休業から復帰後、時短勤務を選択する方を支援する制度も新設されました。
対象:2歳未満の子を養育するために時短勤務を選択する労働者
給付額:時短勤務による賃金減少額の約10%相当
育児休業からのスムーズな職場復帰と、その後の継続的な就業を支援する給付金として位置づけられています。
育児休業給付金の受給条件を確認しよう
育児休業給付金を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。「自分は対象になるのかな?」と不安な方も多いと思いますので、詳しく解説していきます。
基本の受給条件(3つのポイント)
【条件1】雇用保険の被保険者であること
育児休業給付金は雇用保険から支給されるため、雇用保険に加入していることが大前提です。正社員はもちろん、パートやアルバイトでも雇用保険に加入していれば対象になります。
【条件2】一定の勤務実績があること
育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または労働時間80時間以上)ある月が12か月以上必要です。この条件を満たせない場合でも、産前休業開始日前2年間で判定される場合があります。
また、病気や育児などやむを得ない理由がある場合は、最長4年前まで遡って算定できます。
【条件3】休業中の就労・賃金に関する条件
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 就労日数 | 1支給単位期間(1か月)ごとに10日以下、または80時間以下 |
| 賃金 | 休業前賃金の80%未満であること |
休業中に80%以上の賃金が支払われると「生活の補填の必要がない」と判断され、給付対象外となります。
有期雇用(契約社員・派遣社員)の方の追加条件
契約社員や派遣社員など有期雇用で働いている方は、上記の条件に加えて以下を満たす必要があります。
子どもが1歳6か月(延長を受ける場合は2歳)になるまでに、労働契約が終了することが明らかでないこと
契約更新の見込みがある場合は、この条件を満たすと判断されることが多いです。不安な場合は、会社の人事担当者やハローワークに確認しましょう。
転職したばかりの場合は?
入社1年未満でも、以下の条件を満たせば育児休業給付金を受給できる可能性があります。
・前職で雇用保険に加入していた期間を通算できる
・前職を辞めてから1年以内に転職している
・前職退職時に失業給付の受給資格を取得していない(実際に受給していないこと)
詳しくは「転職1年未満でも育児休業給付金はもらえる!条件と手続きを完全解説」で解説しています。
支給額はいくら?計算方法と最新の上限・下限額
「結局いくらもらえるの?」という点が一番気になりますよね。ここでは具体的な計算方法と、2026年最新の上限額・下限額を解説します。
基本の計算式
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(または50%)
・育休開始から180日間:67%
・育休開始から181日目以降:50%
「休業開始時賃金日額」は、育児休業開始直前6か月間の賃金総額を180で割った金額です。残業代や通勤手当も含まれますが、賞与は含まれません。
【2026年最新】上限額と下限額
支給額には上限と下限が設けられています。2025年8月1日改定の最新基準は以下の通りです(2026年7月31日まで適用)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 休業開始時賃金日額の上限 | 16,110円 |
| 休業開始時賃金日額の下限 | 3,014円 |
| 1か月の支給上限額(67%) | 約323,613円 |
| 1か月の支給上限額(50%) | 約241,650円 |
※上限額は毎年8月1日に改定されます。
支給額シミュレーション
月給別のおおよその支給額は以下の通りです。
| 休業前の月給(額面) | 67%期間の月額 | 50%期間の月額 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約13.4万円 | 約10万円 |
| 25万円 | 約16.8万円 | 約12.5万円 |
| 30万円 | 約20.1万円 | 約15万円 |
| 40万円 | 約26.8万円 | 約20万円 |
| 50万円以上 | 約32.4万円(上限) | 約24.2万円(上限) |
社会保険料が免除され、非課税となるため、実際の手取り感覚はこれより高くなります。
支給期間と延長条件
育児休業給付金の支給期間は、原則として子どもが1歳になる前日までです。ただし、一定の条件を満たせば延長することができます。
基本の支給期間
原則:子どもが1歳に達する日(誕生日の前日)の前日まで
例えば、4月1日生まれの場合、翌年3月30日まで支給されます(誕生日の前日が1歳到達日となるため)。
パパ・ママ育休プラス
父母ともに育児休業を取得する場合、支給対象期間が子どもが1歳2か月になるまでに延長されます。ただし、取得できる育休期間自体は1年間のままです。
詳しい活用方法は「育児休業給付金と失業手当のリセット条件を完全解説」をご参照ください。
1歳6か月・2歳までの延長条件
以下の条件を満たす場合、育児休業給付金を1歳6か月まで、さらに2歳まで延長できます。
【延長が認められる主な理由】
1. 保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
2. 配偶者が死亡、負傷、疾病等により子を養育することが困難になった場合
3. 婚姻の解消等により配偶者と別居することになった場合
4. 次の子を出産する場合(産前6週間以内または産後8週間以内)
【2025年4月】延長手続きの厳格化に注意
2025年4月から、保育所入所を理由とする延長手続きが厳格化されました。以下の点に注意が必要です。
| ⚠ 延長が認められないケース |
|
・「入所が困難」と言われたため、入所申込自体を行わなかった場合 ・認可外保育所のみに申し込み、認可保育所に申し込んでいない場合 ・入所希望日(利用開始日)が1歳の誕生日の翌日以降になっている場合 ・保育所の申込日が子どもの1歳の誕生日を過ぎている場合 |
延長を検討している方は、早めに入所申込を行い、必要書類を準備しておくことが重要です。詳しくは「公務員の育児休業給付金を延長する方法」で解説しています。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)との違い
「産後パパ育休」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。2022年10月から始まった制度で、通常の育児休業とは別の給付金があります。
出生時育児休業給付金とは
出生時育児休業(産後パパ育休)は、子どもの出生後8週間以内に最大4週間(28日)まで取得できる育休制度です。
| 項目 | 出生時育児休業給付金 | 育児休業給付金 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 出生後8週間以内 | 原則1歳まで |
| 取得可能日数 | 最大28日(4週間) | 最大1年(延長あり) |
| 分割取得 | 2回まで | 2回まで |
| 給付率 | 67% | 67%(180日間)→50% |
| 休業中の就労 | 事前合意があれば可能(上限あり) | 原則不可(月10日以下) |
詳しい違いは「出生時育児休業給付金と育児休業給付金の違いを徹底解説」で解説しています。
パパが最大4回育休を取得できる
産後パパ育休(2回分割可)と通常の育休(2回分割可)を組み合わせることで、父親は最大4回に分けて育休を取得できます。家庭の状況に合わせて柔軟に取得できるのが大きなメリットです。
申請手続きの流れと必要書類
育児休業給付金の申請手続きは、原則として会社(事業主)を通じて行います。ご自身で直接ハローワークに申請することも可能ですが、多くの場合は会社の人事・総務担当者が手続きを代行してくれます。
申請の流れ
【STEP1】会社への育休取得の申出
育休開始予定日の1か月前までに、会社に育児休業取得の申出を行います。
【STEP2】必要書類の準備・提出
会社から渡される書類に必要事項を記入し、添付書類とともに提出します。
【STEP3】会社からハローワークへ申請
育休開始日から4か月以内に、会社がハローワークへ受給資格確認と初回申請を行います。
【STEP4】支給決定・振込
審査後、「育児休業給付支給決定通知書」が届き、約1週間後に指定口座へ振り込まれます。
【STEP5】2回目以降の申請(2か月ごと)
原則2か月に1回、支給申請書をハローワークに提出します。
必要書類一覧
| 書類名 | 記入者 |
|---|---|
| 育児休業給付受給資格確認票 | 従業員 |
| 育児休業給付金支給申請書 | 従業員・事業主 |
| 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 事業主 |
| 賃金台帳・出勤簿の写し | 事業主準備 |
| 母子健康手帳の写し(出生が確認できるページ) | 従業員準備 |
| 振込口座の通帳コピー | 従業員準備 |
申請書のダウンロード方法や記入例は「育児休業給付金申請書のダウンロード方法完全ガイド」「育児休業給付金支給申請書の記入例を完全解説」で詳しく解説しています。
初回の振込はいつ?
育児休業給付金の初回振込は、育休開始から約2〜3か月後になることが多いです。申請手続きの関係で、思ったより遅いと感じる方も多いでしょう。
「給付金がなかなか振り込まれない…」という不安を感じている方は「育児休業給付金の初回が遅すぎる!いつもらえる?」をご参照ください。
よくある質問(Q&A)
育児休業給付金に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. 育児休業給付金は年末調整に含める?
A. 含めません。育児休業給付金は非課税のため、年末調整の対象外です。収入として申告する必要もありません。詳しくは「育児休業給付金は年末調整に含める?」をご覧ください。
Q. 育休中に副業はできる?
A. 条件付きで可能です。ただし、就労日数が月10日(または80時間)を超えると給付金が支給されなくなります。また、副業による収入と会社からの賃金を合わせて休業前賃金の80%以上になると、給付金が調整または不支給となります。
Q. 育休中に退職したらどうなる?
A. 退職日の前日までの分が支給されます。退職後は雇用保険の被保険者でなくなるため、給付金も終了します。すでに受け取った分の返還は原則不要ですが、不正受給に該当する場合は返還が必要になることがあります。詳しくは「育児休業給付金の返還が必要な事例とは?」をご確認ください。
Q. 2人目でも育児休業給付金はもらえる?
A. 条件を満たせばもらえます。ただし、1人目の育休から復帰せずに2人目の育休に入る場合や、復帰期間が短い場合は注意が必要です。「育児休業給付金は2人目で復帰半年未満でももらえる?」「育児休業給付金2人目で復帰一年未満でも受給可能?」で詳しく解説しています。
Q. 支給日がバラバラなのはなぜ?
A. ハローワークの処理状況や申請タイミングにより変動します。2か月に1回の申請のため、毎回同じ日に振り込まれるわけではありません。詳しくは「育児休業給付金支給日がバラバラになる理由と対処法」をご覧ください。
Q. 会社が申請を忘れていたらどうする?
A. 時効(2年)以内であれば遡って申請できます。会社のミスで申請が遅れた場合の対処法は「育児休業給付金で会社のミス発覚!対処法と請求方法」「育児休業給付金の申請書が会社から来ない時の対処法」で解説しています。
もらえない場合の対処法と代替制度
残念ながら、すべての方が育児休業給付金を受け取れるわけではありません。雇用保険に加入していない自営業者やフリーランス、勤務日数が足りない方などは対象外となります。
「育児休業給付金がもらえない…」という場合でも、他に利用できる支援制度があります。
育児休業給付金がもらえないケース
・雇用保険に加入していない(自営業、フリーランスなど)
・勤務日数が足りない(11日以上の月が12か月未満)
・育休中の就労・賃金が条件を超えている
・有期雇用で契約が満了する見込み
代わりに使える支援制度
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 出産手当金 | 健康保険から支給。産前42日・産後56日の間、標準報酬日額の2/3 |
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき50万円(産科医療補償制度加入の場合) |
| 児童手当 | 0〜3歳未満:月1.5万円、3歳〜小学生:月1万円など |
| 傷病手当金 | 妊娠中のつわりなどで働けない場合に健康保険から支給 |
| 国民年金保険料の免除 | 産前産後期間の保険料が免除される制度 |
詳しい対処法は「育児休業給付金がもらえない!代わりに使える6つの支援制度」「育児休業給付金がもらえない時の対処法|生活できない不安を解消」をご参照ください。
まとめ:安心して育児休業を取得するために
育児休業給付金について、最新情報を含めて解説してきました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
この記事のまとめ
・育児休業給付金は雇用保険加入者が対象で、給付率は67%(180日間)→50%
・非課税かつ社会保険料免除で、実質手取り8割相当を確保できる
・2025年4月の改正で、夫婦で育休を取れば最大28日間手取り10割相当に
・支給期間は原則1歳まで、保育所に入れない場合は最長2歳まで延長可能
・申請は会社を通じて行い、初回振込は育休開始から2〜3か月後が目安
・2025年4月から延長手続きが厳格化されているため、早めの準備が大切
読者の皆様へ
出産・育児は人生の大きな転機です。経済的な不安から育休取得をためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、育児休業給付金をはじめとする公的支援を上手に活用すれば、安心して育児に専念する時間を確保できます。
制度は複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ確認していけば必ず理解できます。わからないことがあれば、会社の人事担当者やハローワーク、社会保険労務士などの専門家に相談してみてください。
大切な赤ちゃんとの時間を、ぜひ安心して過ごしてくださいね。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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参考文献・出典
・厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
・厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」
・厚生労働省「出生後休業支援給付金について」
・ハローワーク「育児休業給付について」



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