「産休に入った月って、日数が少ないから計算に使ってもらえないの?」
「支給額が思ったより少ない気がするけど、ちゃんと計算されてる?」
育児休業給付金の申請後、こんな疑問が頭に浮かんだことはありませんか?
実は、「賃金支払基礎日数が11日未満の月」は、原則として育児休業給付金の計算対象から除外されるというルールがあります。
これは公式の仕組みなので損をしているわけではないのですが、
「除外されると何が変わるの?」「どの月が代わりに使われるの?」という疑問が次々と湧いてきますよね。
この記事では、11日未満の月が含まれるケースの計算ルールを、具体的な数字とパターン別の事例でわかりやすく解説します。「自分の計算が合っているか確認したい」という方にもそのまま使える内容にまとめています。
※本記事の情報は2026年4月時点のものです。制度改正により内容が変わる場合がありますので、最新情報はハローワークまたは厚生労働省公式サイトでご確認ください。
まず結論——11日未満の月は「計算対象外」になる
育児休業給付金の金額は、次の計算式で決まります。
育児休業給付金 = 賃金日額 × 支給日数 × 支給率(67%または50%)
この計算式の「賃金日額」を出すときに使うのが、育休開始前の直近6ヶ月の賃金です。
ただし、どの月でも使えるわけではありません。
使えるのは「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」だけです(もしくは就業時間が80時間以上の月)。
つまり、11日未満の月はカウントせずに飛ばして、その分はひとつ前の月を引っ張ってくる、という仕組みになっています。
賃金支払基礎日数とは?
「賃金支払基礎日数」とは、給与の支払いの基礎となった日数のことです。
月給制の会社であれば、基本的に「出勤した日数 + 有給休暇を取った日数」が賃金支払基礎日数になります。
欠勤・無給の休みは含まれません。
具体的には、こんなイメージです。
| 月 | 出勤日数 | 有給取得 | 賃金支払基礎日数 | 計算対象? |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 20日 | 0日 | 20日 | ✔ 対象 |
| 2月 | 8日 | 2日 | 10日 | ✘ 対象外 |
| 3月 | 18日 | 3日 | 21日 | ✔ 対象 |
上の例だと2月は10日なので対象外。代わりに2月よりさらに前の月が引っ張られます。
なぜ11日未満は除外されるのか
「なんで中途半端に11日って決まってるの?」と思いませんか。
理由はシンプルで、1ヶ月のうち半分以下しか働いていない月の賃金を基準にすると、実態の月収よりも低く計算されてしまうからです。
たとえば産休に入る直前の月(たとえば出勤が5日だけ)の賃金を「6ヶ月の平均賃金」に含めると、計算が実態より低くなってしまいます。
それは不公平ですよね。だから、実態を正確に反映できる「11日以上ある月」だけを使う、という仕組みになっています。
これは制度として定められた計算方法なので、「除外されると損」ではなく「除外されることで正しく計算される」と理解してください。
11日未満になりやすいのはこんな月
「11日未満の月ってどんなときに発生するの?」と思う方も多いと思います。
実際によくあるパターンを整理しておきますね。
パターン①:産休に入った月(月の途中から休業)
最も多いのが、産前休業(産休)に入った月です。
たとえば、10月15日から産前休業に入った場合、10月の出勤日数は前半だけなので、賃金支払基礎日数が10日以下になることがあります。
この場合、10月は除外対象となり、その分はひとつ前(9月など)の月が追加で使われます。
パターン②:育休開始月(月の途中から育休スタート)
産後休業(産休)が終わり、月の途中から育休に入った場合も同様です。
たとえば4月20日から育休を開始した場合、4月の出勤日数はわずかになりますが、育休開始月(=育休がスタートした月)は計算の起点になるだけで、それ自体は6ヶ月の対象月には含まれません。
「育休開始月から逆算して6ヶ月」という計算になるので、育休開始月そのものの日数は基本的に関係ありません。ここは少し分かりにくいので注意してください。
パターン③:有給消化・欠勤・病気療養が多かった月
育休前に体調を崩して欠勤が多かった月や、年次有給消化に加えて傷病欠勤が重なった月なども、賃金支払基礎日数が11日未満になることがあります。
また、時短勤務や短時間パートで月の実働日数が少ないケースも同様です。
パターン④:転職直後で在籍期間が短かった月
転職して新しい会社に入社した月は、月の途中からの在籍となることが多いため、賃金支払基礎日数が11日を下回ることがあります。
この場合も、その月は計算対象外になり、前の月(=前の勤務先での賃金)が対象に加わることもあります。
✅ ポイントまとめ
- 産休に入った月は日数が少なく、11日未満になりやすい
- 育休開始月そのものは6ヶ月の計算対象に含まれない
- 欠勤・病気・時短が多かった月も除外対象になりやすい
- 転職入社月も日数が少ないため注意
賃金日額の正しい計算手順【ケース別】
では実際に、11日未満の月がある場合、どうやって賃金日額を計算するのか見ていきましょう。
基本の計算式
賃金日額 = 直近6ヶ月(賃金支払基礎日数11日以上の月)の賃金合計 ÷ 180
この「直近6ヶ月」は暦の6ヶ月ではなく、育休開始日の前日から逆算して「賃金支払基礎日数が11日以上ある月が6ヶ月分」揃うまでさかのぼります。
ケース1:産休前の月が11日未満だったとき(最もよくあるケース)
たとえば以下の状況を考えてみます。
- 10月15日から産前休業開始
- 翌年1月15日から育児休業開始
- 10月の賃金支払基礎日数:8日(月の途中から産休入り)
この場合、育休開始日(1月15日)の前日(1月14日)から逆算します。
| 月 | 賃金支払基礎日数 | その月の賃金 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 1月(1〜14日) | — | — | 起点(対象外) |
| 12月 | 0日(産休中) | 0円 | ✘ 除外 |
| 11月 | 0日(産休中) | 0円 | ✘ 除外 |
| 10月 | 8日(産休前半月) | 約10万円 | ✘ 除外 |
| 9月 | 20日 | 30万円 | ✔ 対象① |
| 8月 | 20日 | 30万円 | ✔ 対象② |
| 7月 | 22日 | 32万円 | ✔ 対象③ |
| 6月 | 19日 | 30万円 | ✔ 対象④ |
| 5月 | 21日 | 30万円 | ✔ 対象⑤ |
| 4月 | 20日 | 30万円 | ✔ 対象⑥ |
対象6ヶ月の賃金合計:30万+30万+32万+30万+30万+30万 = 182万円
賃金日額:182万円 ÷ 180 = 約10,111円
もし産休前月(10月)を無理やり計算に含めていたら、その月は約10万円(少ない)なので、平均が下がってしまいますよね。だから除外されることで、逆に正しく実態に近い金額になるわけです。
ケース2:6ヶ月分の対象月が揃わないとき
「育休開始前2年以内に11日以上の月が6ヶ月分ない」というケースもあります。たとえば、
- 出産前から体調不良で長期欠勤していた
- 途中で別の育休を取っていた(2人目育休など)
- 入社してまだ期間が短い
このような場合、6ヶ月に満たなくても、揃っている月数で計算します。
たとえば対象月が4ヶ月分しかない場合:
賃金日額 = 4ヶ月分の賃金合計 ÷ 180
※分母の「180」は変わりません。対象月数が少なくなるため、賃金日額は低めになることが多いです。
ただし、対象月が1ヶ月も揃わない場合(例:入社直後に産休・育休に入った)は、受給資格そのものが問題になることがあります。その場合は別途ハローワークへの確認が必要です。
ケース3:11日未満でも「80時間以上」なら代替可能
ここが見落とされやすいポイントです。
賃金支払基礎日数が11日未満の月であっても、その月の就業時間が80時間以上あれば、計算対象として使えるという例外規定があります。
これは主に、週3〜4日のパート・アルバイトや時短勤務の方が対象になるケースです。週4日勤務だと月の出勤日数は16〜17日ほどになりますが、時短勤務で1日の勤務時間が短い場合などに、月の総時間が80時間を超えているかどうかが判断基準になります。
⚠ 80時間ルールの注意点
就業時間の記録(タイムカードなど)が必要になる場合があります。パート・時短勤務の方は、会社の担当者を通じてハローワークに確認してもらうことをおすすめします。
具体的な計算例で支給額まで確認しよう
ここでは、よくある「産休前月が11日未満」のケースで、実際の支給額まで計算してみます。
【計算例】月給28万円・産休前月が8日出勤だった場合
前提条件:
- 月給:280,000円(固定給)
- 育休開始日:翌年2月1日
- 産休開始月(前年11月)の賃金支払基礎日数:8日(→除外)
- 産休中(11月後半〜1月)は賃金支払基礎日数0日(→除外)
- 10月・9月・8月・7月・6月・5月は賃金支払基礎日数20日前後(→対象)
STEP 1:対象月を確定する
2月1日から逆算して、11日以上の月を6ヶ月分さかのぼる。
→ 10月・9月・8月・7月・6月・5月が対象。
STEP 2:賃金日額を計算する
各月の賃金が同じ28万円とすると:
280,000円 × 6ヶ月 = 1,680,000円
賃金日額 = 1,680,000円 ÷ 180 = 9,333円
STEP 3:月々の支給額を計算する
育休開始〜最初の180日間(67%):
9,333円 × 30日 × 67% = 約187,793円/月
181日目以降(50%):
9,333円 × 30日 × 50% = 約140,000円/月
産休前の月が除外された結果、正規の28万円ベースで計算されていることが確認できます。もし8日しか出勤していない11月(約7万円程度)が含まれていたら、月の平均が下がって受給額も低くなっていたはずです。
👉 自分の賃金日額や受給額を計算したい方は、育児休業給付金かんたん計算ツールをご活用ください。
また、計算式の全体的な仕組みについては下記の記事で詳しく解説しています。
▶ あわせて読みたい
「もしかして計算が間違ってるかも」と思ったときの確認方法
支給額の通知が来たとき、「なんか少ない気がする…」と思うことありますよね。面倒ですが、確認は大事です。
まずは「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を確認する
育休申請時に、会社がハローワークに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」という書類を提出しています。
この書類に、各月の賃金と賃金支払基礎日数が記載されており、計算に使われる月が確定します。
コピーをもらえる場合は、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 11日未満の月が正しく除外されているか
- 記載されている賃金額が実際の月収と合っているか
- 対象月が6ヶ月分正しく取られているか
会社の担当者に確認を依頼する
育児休業給付金の申請は、原則として会社(事業主)がハローワークに行います。
そのため、計算内容や使われた月について確認したい場合は、まず会社の総務・人事担当者に聞くのが一番スムーズです。
「賃金月額証明書のコピーを見せてもらえますか?」と一言聞くだけで、計算に使われた月と金額を確認できます。
どうしても疑問が解消しないときはハローワークへ
会社側でも回答が得られない場合や、明らかに計算が合わない場合は、会社が届出をしているハローワークに問い合わせることもできます。
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育児休業給付金はいつから?支給時期と申請の流れを徹底解説
ハローワークへ電話するときは、以下の情報を手元に揃えておくとスムーズです。
- 雇用保険被保険者番号(11桁)
- 育児休業の開始日・終了予定日
- 会社名・担当部署名
- 気になる月の賃金と出勤日数のメモ
よくある疑問Q&A
Q. 有給休暇を使っていた月は11日のカウントに入る?
A. はい、有給休暇は「働いた日」としてカウントされます。賃金支払基礎日数に含まれるので、有給取得日数も合算して考えてください。
Q. 産休・育休中の月は必ず除外される?
A. 基本的にはそうです。産休中・育休中は賃金が支払われないため、賃金支払基礎日数は0日となり、当然ながら計算対象外になります。
Q. 2年以上前の月は使えない?
A. 原則として、育休開始前の2年間が計算対象の範囲です。ただし、産休・育休などで雇用保険の被保険者期間がある月が2年以内に少ない場合は、最大4年前まで遡れる特例があります。詳しくはハローワークに確認してください。
Q. ボーナス(賞与)は賃金日額の計算に含まれる?
A. 賃金日額の計算に使われる「賃金」は、原則として毎月の固定給が対象です。賞与(ボーナス)は含まれません。
Q. 11日未満の月ばかりで6ヶ月揃わない場合、給付金はもらえない?
A. 受給資格(育休前2年間に11日以上の月が12ヶ月以上)を満たしていれば、賃金日額の計算に使う6ヶ月が揃わなくても給付金は受け取れます。ただし、揃っている月数が少ないほど賃金日額が低くなる可能性があります。就業時間80時間以上の月も活用できる場合があるので、ハローワークに相談しましょう。
Q. パートや時短勤務だと11日以上になりにくい?
A. 週4日以上勤務であれば月に16〜18日出勤できるので11日以上になりやすいですが、週3日以下の場合は月の出勤日数が12〜13日程度になることもあります。出勤日数が足りない場合は「月80時間以上の就業時間」という代替条件も確認してみましょう。
まとめ:11日未満の月は「除外」されることで正しく計算される
最後に、この記事のポイントを整理しておきます。
- 賃金支払基礎日数が11日未満の月は育児休業給付金の賃金日額計算から除外される
- 除外されても損ではなく、むしろ実態の月収に近い金額で計算される
- 産休開始月・欠勤が多かった月・転職入社月などが11日未満になりやすい
- 6ヶ月分揃わない場合は、揃っている月数で計算される(最低1ヶ月でも可)
- 11日未満でも就業時間80時間以上なら代替として使える
- 計算結果が不安なときは「賃金月額証明書」を会社から取り寄せて確認する
「自分の支給額が正しいか確認したい」という方は、ぜひかんたん計算ツールを使ってシミュレーションしてみてください。
育休中はただでさえ不安なことが多いですよね。給付金のことで余計に消耗しないよう、この記事が少しでも役立てばうれしいです。
※本記事の情報は2026年4月時点のものです。制度の詳細・最新情報は、ハローワークまたは厚生労働省公式サイトでご確認ください。



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