【図解付き】育児休業等終了時報酬月額変更届の記入例を完全解説!書き方のポイントと注意点
育児休業から復帰して時短勤務を始めたのに、給料明細を見て「あれ、社会保険料が高すぎない?」と感じたことはありませんか?
実は、育休復帰後も社会保険料は育休前のフルタイム時代の給与をもとに計算されているため、時短で給料が減っているのに保険料だけは高いまま…という状態になってしまうんです。
そんなとき役立つのが「育児休業等終了時報酬月額変更届」という制度。この届出を提出することで、実際の時短勤務の給与に合わせて社会保険料を見直すことができます。
でも、「書類の書き方がよくわからない」「どの欄に何を書けばいいの?」と不安になりますよね。こういうとき、不安になるのは当然です。
この記事では、日本年金機構の公式記入例をもとに、各項目の書き方を初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。よくある記入ミスや注意点も紹介しますので、安心して手続きを進めてくださいね。
この記事を読めば、育児休業等終了時報酬月額変更届の記入方法がしっかり理解でき、スムーズに手続きが完了します。それでは、一緒に見ていきましょう!
1. 育児休業等終了時報酬月額変更届とは?まず基本を押さえよう
1-1. この届出が必要になる理由
育児休業が終わって職場に復帰するとき、多くの方が時短勤務やフレックスタイム制を選択します。当然、労働時間が減れば給料も減りますよね。
ところが、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、育休前のフルタイムで働いていたときの「標準報酬月額」をもとに計算され続けます。これって、かなり負担が大きいですよね。
たとえば、育休前は月給30万円だったのに、時短復帰後は月給20万円になったとします。でも、社会保険料は月給30万円をベースに計算されるので、実際の手取りがさらに減ってしまうという状況が発生するんです。
「育児休業等終了時報酬月額変更届」は、こうした状況を改善するための制度。復帰後の実際の給与に合わせて標準報酬月額を見直し、社会保険料を適正な金額に調整できるんです。
1-2. 通常の月額変更届(随時改定)との違い
「給与が変わったら月額変更届を出すんじゃないの?」と思った方、鋭いですね!
確かに、給与が大きく変動したときは「月額変更届(随時改定)」という手続きがあります。でも、実はこの随時改定には厳しい条件があるんです。
| 項目 | 随時改定(月額変更届) | 育児休業等終了時報酬月額変更届 |
|---|---|---|
| 対象者 | すべての被保険者 | 育休から復帰した人のみ |
| 必要な等級差 | 2等級以上 | 1等級以上でOK |
| 固定的賃金の変動 | 必要 | 不要 |
| 提出の義務 | 要件を満たせば義務 | 本人の希望による任意 |
| 適用開始時期 | 変動から4ヶ月目 | 復帰後4ヶ月目 |
ポイントは、育児休業等終了時報酬月額変更届は「1等級以上の差」があれば提出できるという点です。随時改定だと2等級以上の差が必要なので、時短勤務でそこまで大きく給与が下がらなかった場合は対象外になってしまうことがあります。
また、随時改定では「固定的賃金の変動」が必要ですが、育児休業等終了時報酬月額変更届では不要。つまり、時短勤務という勤務形態の変更だけで利用できるので、育休復帰者にとってとても使いやすい制度なんです。
1-3. 時短復帰したママ・パパを支える制度です
この制度、実は「育児と仕事の両立を頑張る人を応援したい」という社会的な背景から作られました。
小さな子どもを育てながら働くって、本当に大変ですよね。朝は保育園に送って、夕方はお迎えに行って、夜は家事と育児で休む暇もない…。そんな中で時短勤務を選択するのは、家族のための選択です。
でも、収入が減るのに社会保険料が高いままでは、経済的な負担が大きすぎますよね。だからこそ、この「育児休業等終了時報酬月額変更届」という制度があるんです。
会社側から積極的に教えてくれることもありますが、残念ながらすべての会社が周知しているわけではありません。だからこそ、制度を知って、自分から申し出ることが大切なんです。
2. 提出できる人の条件を確認しましょう
2-1. 4つの要件をすべて満たす必要があります
育児休業等終了時報酬月額変更届を提出するには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。ひとつでも欠けると提出できませんので、しっかり確認しましょう。
【要件①】育児・介護休業法に基づく育児休業等を終了していること
当たり前のようですが、まず育児休業を終了して職場に復帰していることが前提です。ここでいう「育児休業等」には、育児休業そのものだけでなく、育児休業に準ずる休業(会社独自の育児支援休業など)も含まれます。
【要件②】育児休業等終了日に3歳未満の子を養育していること
お子さんが3歳の誕生日を迎える前日までに育児休業を終了している必要があります。3歳以上のお子さんの場合は、残念ながらこの制度は使えません。
【要件③】従前の標準報酬月額と変更後の標準報酬月額との間に1等級以上の差があること
「標準報酬月額」というのは、社会保険料を計算するための基準となる月額のことです。健康保険では第1級から第50級、厚生年金保険では第1級から第32級に区分されています。
育休前と復帰後で、この等級が1つ以上変わる必要があります。たとえば、育休前が第20級で復帰後が第19級になった場合は、1等級下がったことになるので要件を満たします。
【要件④】育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月のうち、少なくとも1ヶ月で支払基礎日数が17日以上あること
これが少しわかりにくいですよね。詳しくは次の項目で説明します。
重要な注意点:育児休業等を終了した日の翌日に引き続いて産前産後休業を開始した場合は、この制度は利用できません。たとえば、第一子の育休から復帰せずにそのまま第二子の産休に入った場合は対象外となります。
2-2. 「支払基礎日数」って何?数え方を解説
「支払基礎日数」という言葉、初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。
支払基礎日数とは、簡単に言うと「その月の給与計算の対象となった日数」のことです。ただし、雇用形態によって数え方が異なります。
【月給制の場合】
月給制の方は、基本的に暦日数(その月の日数すべて)が支払基礎日数になります。
たとえば、4月なら30日、5月なら31日です。欠勤があった場合は、就業規則などで会社が定めた日数から欠勤日数を引いた日数になります。
具体例:
4月(30日)のうち、2日欠勤した場合
→ 支払基礎日数は28日
【日給制・時給制の場合】
日給制や時給制の方は、実際に出勤した日数が支払基礎日数になります。
具体例:
4月に実際に出勤したのが15日間
→ 支払基礎日数は15日
【短時間労働者(パートタイム)の場合】
特定適用事業所に勤務する短時間労働者の場合は、支払基礎日数が11日以上あれば要件を満たします。
特定適用事業所とは、従業員数が101人以上の事業所のことです(2024年10月からは51人以上に拡大されました)。
ポイントは、復帰後3ヶ月のうち、少なくとも1ヶ月で17日以上(短時間労働者は11日以上)あればOKという点です。3ヶ月すべてが17日以上である必要はありません。
2-3. 産前産後休業に引き続く場合は対象外です
これは見落としがちなポイントなので注意が必要です。
第一子の育児休業を終了した日の翌日に、引き続いて第二子の産前産後休業を開始した場合、この育児休業等終了時報酬月額変更届は提出できません。
なぜかというと、産前産後休業中も社会保険料が免除されるため、わざわざ標準報酬月額を変更する必要がないからです。
ただし、第一子の育休から一度復帰して働いた後に第二子の産休に入る場合は、もちろん第一子の育休終了時にこの届出を提出できます。
3. 【記入例付き】育児休業等終了時報酬月額変更届の書き方を項目ごとに解説
それでは、いよいよ具体的な記入方法を見ていきましょう。ここからが本記事のメインコンテンツです!
3-1. 日本年金機構の公式様式を使います
育児休業等終了時報酬月額変更届の様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
正式名称は「健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届」または「厚生年金保険 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届」です(70歳以上の方用は兼用様式になっています)。
様式は1枚のA4サイズで、記入欄は大きく分けて3つあります。
- 提出者記入欄(事業所の情報)
- 申出者欄(被保険者本人の申出情報)
- 被保険者欄(給与や報酬の詳細情報)
記入例では、①から⑱まで番号が振られていますので、その順番に沿って説明していきますね。
出典:日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届 記入例」(PDF)
3-2. 【提出者記入欄】①〜④の書き方
①提出日
この届書を年金事務所や事務センターへ提出する日付を記入します。
記入例:令和8年1月13日提出
実際に郵送する日付、または窓口に持参する日付を書きましょう。事前に記入する場合は、提出予定日を書いておき、実際の提出日が変わった場合は訂正します。
②事業所整理記号
事業所ごとに割り当てられている記号です。必ず記入してください。
会社で管理している社会保険関係の書類に記載されていますので、人事・総務担当者に確認しましょう。記号は「00-ケイ」のような形式です。
③事業所情報
以下の情報を記入します。
- 事業所名称:正式な会社名を記入します(例:株式会社健保産業)
- 事業所所在地:郵便番号と住所を記入します
- 事業主氏名:代表者の役職と氏名を記入します(例:代表取締役社長 健保 良一)
- 電話番号:事業所の連絡先電話番号を記入します
④社会保険労務士記載欄
社会保険労務士に手続きを委託している場合は、社労士の情報を記入します。会社が直接手続きする場合は空欄で構いません。
3-3. 【申出者欄】⑤〜⑦の書き方
この欄は、被保険者本人(育休から復帰した方)に関する情報です。
⑤被保険者整理番号
必ず記入してください。会社で管理している被保険者ごとの番号です。給与明細や社会保険関係の書類に記載されています。
⑥個人番号または基礎年金番号
必ず記入してください。
マイナンバーカードや基礎年金番号通知書を確認して記入します。どちらか一方を記入すればOKです。
- 個人番号(マイナンバー):12桁の番号
- 基礎年金番号:10桁の番号(4桁-6桁の形式)
⑦育児休業等終了年月日
育児休業を終了した日付を記入します。
記入例:令和3年12月30日
重要:ここで注意したいのは、「終了した日」と「復帰した日」は異なるという点です。たとえば、12月30日が育児休業の最終日だった場合、12月31日から職場復帰することになりますが、この欄には「12月30日」を記入します。
3-4. 【被保険者欄】⑧〜⑱の書き方(最重要)
ここからが最も重要な部分です。給与や報酬に関する詳細情報を記入していきます。
⑧支給月と給与計算の対象期間
⑦に記入した日の翌日が属する月から連続する3ヶ月を記入します。
記入例:
育児休業終了日:令和3年12月30日
→ 翌日は12月31日で、これは「12月」に属します
→ したがって、12月・1月・2月の3ヶ月を記入します
各月について、以下の情報を記入します。
- 支給月:給与が支給された月
- 給与計算の対象期間(日数):その月の給与支払いの対象となった日数
支払基礎日数の記入方法:
- 月給者:暦日数(4月なら30日、5月なら31日)
- 日給者:出勤日数
- 月給者で欠勤控除がある場合:就業規則等で定められた日数から欠勤日数を控除した日数
⑨報酬月額の内訳
各3ヶ月に支払われた報酬を記入します。3つの欄に分けて記入します。
- ㋐通貨:現金で支払われた報酬額
- ㋑現物:現物給与(食事、住宅、通勤定期券など)を金銭換算した額
- ㋒合計:㋐と㋑の合計額
記入例:
| 支給月 | 基礎日数 | ㋐通貨 | ㋑現物 | ㋒合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 31日 | 252,100円 | 0円 | 252,100円 |
| 2月 | 28日 | 275,000円 | 0円 | 275,000円 |
| 3月 | 31日 | 0円 | 0円 | 0円 |
注意点:
・現物給与がある場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」に基づいて金銭換算します
・支払基礎日数が17日未満の月がある場合、その月の報酬は計算対象から除外します(上記例では3月が0円)
⑩総計
3ヶ月間の報酬(㋒合計欄)の合計額を記入します。
ただし、17日未満の月は除きます。
記入例:
252,100円 + 275,000円 = 527,100円
⑪平均額(修正平均額)
⑩の総計額を、17日以上ある月数で割った額を記入します。1円未満は切り捨てです。
計算例:
527,100円 ÷ 2ヶ月 = 263,550円
この平均額が、新しい標準報酬月額を決定する基準となります。
⑫健・厚(従前標準報酬月額)
育休前の標準報酬月額を記入します。これは給与明細や社会保険関係の書類で確認できます。
記入例:280千円(280,000円のこと)
⑬改定年月
⑧に記入した3ヶ月目の翌月の年月を記入します。
記入例:
3ヶ月目が3月の場合 → 4月(令和4年4月)
この月から、新しい標準報酬月額が適用されます。
⑭遡及支払額
過去にさかのぼって支払われた給与がある場合に記入します。通常は空欄で構いません。
⑮昇給・降給・遡及
該当する項目を〇で囲みます。時短勤務で給与が下がった場合は「2.降給」に〇をします。
⑯給与締切日・支払日
会社の給与計算の締切日と支払日を記入します。
記入例:
締切日:月末
支払日:翌月10日
⑰備考
該当する項目を〇で囲みます。
- 70歳以上被用者
- 二以上勤務被保険者(複数の事業所で働いている場合)
- 短時間労働者(特定適用事業所等)
- パート
- その他
⑱月変該当の確認(チェックボックス)
必ずチェックを入れてください。
「育児休業等を終了した日の翌日に引き続いて産前産後休業を開始していませんか」という確認項目です。
産前産後休業を開始していない場合は、「開始していません」の□にチェック(✓)を入れます。
重要:この確認を怠ると、届出が受理されない可能性があります。
3-5. 報酬月額の計算方法を具体例で説明
実際の計算例を見てみましょう。
【ケース1:すべての月が17日以上の場合】
前提条件:
・育児休業終了日:令和6年3月31日
・復帰後の給与(4月・5月・6月)
4月:22万円(勤務日数21日)
5月:24万円(勤務日数22日)
6月:23万円(勤務日数20日)
計算:
(220,000円 + 240,000円 + 230,000円) ÷ 3ヶ月 = 230,000円
新しい標準報酬月額は、この230,000円をもとに決定されます。標準報酬月額表を見ると、230,000円は「第17級:230,000円」に該当します。
【ケース2:17日未満の月がある場合】
前提条件:
・育児休業終了日:令和6年5月15日
・復帰後の給与(5月・6月・7月)
5月:8万円(勤務日数10日)← 17日未満
6月:25万円(勤務日数22日)
7月:24万円(勤務日数21日)
計算:
5月は17日未満なので計算から除外します。
(250,000円 + 240,000円) ÷ 2ヶ月 = 245,000円
新しい標準報酬月額は、245,000円をもとに決定されます。
【ケース3:短時間労働者の場合】
前提条件:
・特定適用事業所勤務のパートタイム社員
・復帰後の給与(8月・9月・10月)
8月:13万円(勤務日数14日)
9月:15万円(勤務日数16日)
10月:14万円(勤務日数15日)
計算:
短時間労働者の場合、11日以上あれば計算対象になります。
(130,000円 + 150,000円 + 140,000円) ÷ 3ヶ月 = 140,000円
3-6. よくある記入ミスと対策
実際の手続きでよくある間違いをまとめました。これを知っておけば、スムーズに手続きが進みます。
【ミス①】育児休業終了日を間違える
×間違い:復帰した日を記入してしまう
○正解:育児休業の最終日を記入する
育休の最終日が12月30日なら、復帰日は12月31日ですが、記入するのは「12月30日」です。
【ミス②】支払基礎日数の数え方を間違える
×間違い:月給者なのに出勤日数を記入してしまう
○正解:月給者は暦日数を記入する
月給制の場合は、実際の出勤日数ではなく、その月の日数(4月なら30日)を記入します。
【ミス③】17日未満の月を計算に含めてしまう
×間違い:すべての月の報酬を合計して3で割る
○正解:17日未満の月は除外して計算する
復帰した月が中途半端な場合、その月は17日未満になることがあります。その場合は計算対象から除外します。
【ミス④】現物給与を忘れる
×間違い:現金で支払われた給与のみを記入
○正解:食事代、住宅手当、通勤定期券なども金銭換算して含める
現物給与は見落としがちですが、標準報酬月額の計算に含める必要があります。
【ミス⑤】チェックボックスにチェックを入れ忘れる
×間違い:⑱の確認欄にチェックを入れずに提出
○正解:必ずチェックを入れる
「産前産後休業を開始していません」のチェックは、本人の意思確認のために必須です。
4. 提出方法と手続きの流れ
4-1. 提出先はどこ?(年金事務所・健康保険組合)
育児休業等終了時報酬月額変更届の提出先は、加入している健康保険の種類によって異なります。
【協会けんぽに加入している場合】
事業所の所在地を管轄する年金事務所または事務センターに提出します。
管轄の年金事務所は、日本年金機構のホームページで検索できます。郵送でも窓口持参でもOKです。
【健康保険組合(組合健保)に加入している場合】
加入している健康保険組合と年金事務所の両方に提出する必要があります。
会社の人事・総務担当者に確認して、正しい提出先を把握しましょう。
4-2. 提出期限はいつ?
育児休業等終了時報酬月額変更届には、明確な提出期限は設けられていません。
ただし、「育休終了日の翌日が属する月以降3ヶ月目の給与支払後、速やかに提出すること」とされています。
具体例:
育休終了日:令和6年3月31日
→ 翌日は4月1日(4月に属する)
→ 4月・5月・6月の3ヶ月間の給与を確認
→ 6月分の給与支払後、速やかに提出
「速やかに」というのは、通常2週間〜1ヶ月以内と考えてください。あまり遅くなると、新しい保険料の適用が遅れてしまいますので注意しましょう。
また、改定後の標準報酬月額は4ヶ月目から適用されます。上記の例だと、7月分の社会保険料(8月給与から天引き)から新しい保険料になります。
4-3. 電子申請もできます
育児休業等終了時報酬月額変更届は、電子申請(e-Gov)での提出も可能です。
電子申請のメリット:
- 24時間いつでも提出できる
- 郵送コストがかからない
- 控えが電子データで残る
- 提出状況をオンラインで確認できる
ただし、事業主など被保険者本人以外の方が電子申請を行う場合は、委任状を添付する必要があります。委任状の様式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
会社の人事・総務担当者が慣れている方法で提出するのが一番スムーズです。
5. メリットとデメリットを正直に解説します
育児休業等終了時報酬月額変更届を提出することには、メリットもあればデメリットもあります。正直に両方をお伝えしますので、ご自身の状況に合わせて判断してください。
5-1. メリット:社会保険料が軽減される
最大のメリットは、毎月の社会保険料の負担が軽くなることです。
具体例:
育休前:月給30万円(標準報酬月額30万円)
→ 社会保険料約4.4万円(健康保険+厚生年金)
時短復帰後:月給20万円(標準報酬月額20万円)
→ 社会保険料約2.9万円
差額:約1.5万円/月の負担軽減
年間で考えると約18万円の差になります。これは家計にとって大きいですよね。
特に、時短勤務で給与が大きく減った方にとっては、この制度を利用することで手取り額を増やすことができます。
5-2. デメリット:将来の年金額が減る可能性
一方で、デメリットもあります。厚生年金保険料の支払額が減ると、将来受け取る年金額も減ってしまうんです。
厚生年金は、支払った保険料に応じて将来の年金額が決まる仕組みです。標準報酬月額が下がれば、その分だけ将来の年金額も減少します。
ただし、この問題は次の章で説明する「養育期間標準報酬月額特例」を併用することで解決できます!
5-3. 傷病手当金・出産手当金への影響も
もうひとつ知っておきたいのが、傷病手当金や出産手当金の額も標準報酬月額をもとに計算されるという点です。
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときに支給される手当金です。出産手当金は、産休中に支給される手当金です。
どちらも「標準報酬月額の約3分の2」が支給額の目安になります。標準報酬月額が下がれば、これらの手当金も減ります。
こんな方は注意:
- 近いうちに第二子の妊娠・出産を予定している方
- 持病があり、傷病手当金を受け取る可能性がある方
上記に該当する方は、育児休業等終了時報酬月額変更届を提出しないという選択肢も検討する価値があります。
ただし、給与改定のタイミングや金額によっては、必ずしも手当金が少なくなるとは限らないケースもあります。詳しくは社会保険労務士や年金事務所に相談してみてください。
6. 【重要】養育期間標準報酬月額特例を必ず併用しましょう
6-1. 年金額を守る仕組みです
「社会保険料は軽くしたいけど、将来の年金額が減るのは困る…」そんなジレンマを感じた方、安心してください。
実は、「養育期間標準報酬月額特例」という制度を併用すれば、年金額を減らさずに済むんです!
養育期間標準報酬月額特例とは、3歳未満の子を養育している期間について、育休前の高い標準報酬月額をそのまま年金額の計算に使えるという制度です。
つまり、こういうことです:
- 毎月の社会保険料:時短復帰後の低い標準報酬月額で計算(負担軽減)
- 将来の年金額:育休前の高い標準報酬月額で計算(減額なし)
こんな都合のいい話があるの?と思うかもしれませんが、これは国が「子育て中の方を応援したい」という政策的配慮で作った制度なんです。
6-2. この特例を使えば安心です
養育期間標準報酬月額特例を利用するには、「養育期間標準報酬月額特例申出書」を別途提出する必要があります。
多くの方は、育児休業等終了時報酬月額変更届と同時に提出します。むしろ、セットで提出するのが基本と考えてください。
提出書類:
「健康保険・厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」
提出先や手続き方法は、育児休業等終了時報酬月額変更届とほぼ同じです。
注意点:
・申出はお子さんが3歳になるまでの期間が対象
・申出をしないと特例は適用されません
・会社から教えてもらえない場合もあるので、自分から申し出ることが大切
この特例を使えば、社会保険料の負担を軽減しながらも、将来の年金額はしっかり守れます。デメリットがほとんどない制度なので、ぜひ活用してくださいね。
出典:日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」
7. よくある質問Q&A
7-1. この届出は提出が義務ですか?
A. いいえ、任意です。
育児休業等終了時報酬月額変更届は、被保険者本人の希望に基づいて提出する任意の制度です。
通常の随時改定(月額変更届)の場合、要件を満たせば会社に提出義務がありますが、この育児休業等終了時報酬月額変更届は異なります。
つまり、提出するかどうかは本人が選べるということです。
ただし、前述のとおり、近いうちに第二子の出産を予定している方や、傷病手当金を受け取る可能性がある方は、提出しないという選択肢もあります。メリット・デメリットを比較して判断しましょう。
7-2. 二人目の育休の場合はどうなりますか?
A. 一度復帰していれば、第一子の育休終了時に届出を提出できます。
パターン①:第一子の育休→復帰→第二子の産休・育休
この場合、第一子の育休終了時に育児休業等終了時報酬月額変更届を提出できます。その後、第二子の育休終了時にも再度提出可能です。
パターン②:第一子の育休→そのまま第二子の産休へ(復帰せず)
この場合、第一子の育休終了時には届出を提出できません(産前産後休業に引き続く場合は対象外)。第二子の育休終了時に初めて提出できます。
7-3. 4月に復帰した場合の具体的な計算例は?
A. 4月・5月・6月の給与をもとに、7月から新しい保険料が適用されます。
具体例:
育休終了日:令和6年3月31日
復帰日:令和6年4月1日
手続きの流れ:
- 4月・5月・6月の給与を受け取る
- 6月の給与支払後、速やかに届出を提出
- 7月から新しい標準報酬月額が適用される
- 7月分の社会保険料(8月給与から天引き)から保険料が変わる
給与例:
4月:22万円(勤務日数21日)
5月:24万円(勤務日数22日)
6月:23万円(勤務日数20日)
平均額の計算:
(220,000円 + 240,000円 + 230,000円) ÷ 3 = 230,000円
この230,000円をもとに新しい標準報酬月額が決定されます。
注意:4月は新年度で慣らし保育などもあり、勤務日数が17日未満になることもあります。その場合は、4月を除いた5月・6月の2ヶ月で平均を計算します。
7-4. 会社が教えてくれなかったらどうすればいい?
A. 自分から人事・総務担当者に申し出ましょう。
残念ながら、すべての会社がこの制度を積極的に案内してくれるわけではありません。
会社側が知らない場合もありますし、手続きが面倒で積極的に案内していない場合もあります。
でも、これはあなたの権利です。遠慮せずに、自分から申し出てください。
申し出る際の例文:
「育児休業から復帰して時短勤務になったのですが、『育児休業等終了時報酬月額変更届』を提出したいと思います。手続きをお願いできますでしょうか?」
もし会社が対応してくれない場合は、最寄りの年金事務所に相談してみてください。直接相談することもできます。
8. まとめ:育休明けの社会保険料、見直せる制度があります
長い記事をここまで読んでくださって、ありがとうございます。
育児休業等終了時報酬月額変更届、最初は難しそうに見えたかもしれませんが、ひとつひとつ丁寧に記入していけば大丈夫です。
この記事のポイントをもう一度まとめます。
- 育児休業等終了時報酬月額変更届は、時短復帰後の社会保険料を軽減できる制度
- 1等級以上の差があれば提出できる(随時改定より条件が緩い)
- 復帰後3ヶ月の給与平均をもとに、4ヶ月目から新しい保険料が適用される
- 支払基礎日数は、月給者なら暦日数、日給者なら出勤日数
- 17日未満の月は計算から除外する
- 養育期間標準報酬月額特例を併用すれば、年金額を守れる
- 提出は任意だが、メリットが大きいので積極的に活用しよう
育児と仕事の両立は本当に大変です。朝から晩まで休む暇もなく、頑張っているあなたを心から応援しています。
社会保険料の負担が少しでも軽くなれば、そのぶん家計に余裕ができますし、気持ちにもゆとりが生まれますよね。
この制度は、知っているか知らないかで大きな差が出ます。ぜひ、周りの育休復帰予定の方にもこの情報をシェアしてあげてください。
手続きで不明な点があれば、遠慮せずに会社の人事・総務担当者や年金事務所に相談してくださいね。
あなたの育児と仕事の両立を、心から応援しています。頑張ってください!
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